コードギアスー紅の騎士ー   作:飛鳥-asuca-

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完全にリハビリです。


TURN19-2 世界線 が 変動した 日

「観念しろ、ゼロ」

 

「よくも我々をペテンに掛けてくれたな」

 

「君のギアスのことは分かっているんだ」

 

 格納庫に着くや否や、ゼロとカレンを歓迎したのは生死を共にしてきた黒の騎士団──の面々が差し向ける銃口であった。

 

「伝説の英雄、ゼロは志半ばにして戦死。しかし、その勇敢なる生き様は永遠に語り継がれることでしょう……」

 

 その場には黒の騎士団の媒体情報管理長であるディートハルト・リートの姿もあった。彼はブリタニア人でありながらその有り余る「混沌への渇望」からかゼロに心酔し、その手腕からゼロに重用されていた。

 

「ディートハルト……それがお前の台本か?」

 

「本当なら、あなたがブリタニアに勝利するところまで撮りたかったのですが……残念ながら、番組は打ち切りです」

 

 残念かな、ディートハルトの心酔はあくまで「カオスな権化」たるゼロであり、その役を全うできなさそうになればその夢から覚めてしまったのである。

 

(どうする……?!ナイトメアが邪魔だが扇たちは無防備だ…… ならギアスをかけて……!)

 

 そんなことを考えている間にもゼロへの罵倒は終わることを知らない。

 

「みんなお前を信じていたのに……!」

 

「井上も吉田も、お前の為に死んだんだ!」

 

 鳴り止むことのない怒声。感情的になるのも無理はない、彼らは今まさに今まで自分達を騙してきた相手に直面しているのだから。しかし、その場にたった一人だけ、ゼロの味方はいた。

 

「待って!一方的すぎるわこんなの……私達ゼロのおかげでここまでこれたじゃない!少しは彼の言い分だって……」

 

 悲しきかな。感情的になった人間に理屈は通用しない。何故ならば自分達こそ正義でありこの怒りは正当なものと勘違いしているからだ。

 

「どけカレン!」

 

「ゼロと一緒に死にたいのか!?」

 

「まさかギアスにかかってるんじゃないだろうな!?」

 

 カレンは小声で、ゼロ──ルルーシュにだけ聞こえるように問いかける。

 

「答えてルルーシュ……貴方にとって私は何……?」

「私貴方となら……!」

 

 ルルーシュは考える。どうすればこの場を切り抜けられるか、この場を生きて脱出できるのか。そして実感した、己の無力さを。確かにルルーシュは黒の騎士団という組織を拡大した。しかしそれは扇や玉木(ポーン)カレン(ナイト)がいてこそなのだ。ルルーシュ(キング)一人では何もできないのである。

 そして彼は見落とした。シュナイゼルという男の存在を、あの完全無欠な兄の存在を。だからかもしれない、ルルーシュは意を決してカレンへ返答をした。

 その時、世界線は変動する。

 

「カレン。君は私の騎士であり、そして……」

 

「そして……?」

 

「失いたくない存在だ。君がいなければ私はナナリーを失って狂っていたかもしれない」

 

「ルルーシュ……!」

 

 カレンはこの状況でなかったらルルーシュの胸の中に飛び込んでいたかもしれない。だが理性がその衝動を抑え、ルルーシュの言葉を待つ。

 

「なぁカレン、私は地獄への道を歩むかもしれない。それでも、私に付いてきてくれるか……?」

 

 期待通りの言葉を得られたカレンは目頭が熱くなるのを感じつつ、ルルーシュへ言葉を返した。

 

「イエス,マイロード」

 

「撃て!」

 

 藤堂が号令を出したのとほぼ同時に、一機のナイトメアフレームがルルーシュとカレンを庇った。

 

「「なっ」」

 

「大丈夫?!兄さんに紅月さん!」

 

 現れたナイトメアフレームはルルーシュが駆る蜃気楼であった。もっとも、操縦しているのはルルーシュの「弟」であるロロであるが。なぜ彼がここに、とルルーシュは思案するがその解を出す時間などあるはずもなく。

 

「かまわん。蜃気楼ごと撃て!」

 

 刹那。

 蜃気楼はルルーシュとカレンを連れ斑鳩の外へと出ていた。少し遅れて斑鳩から追手が来るが何度も彼の(ギアス)──体感時間を停止するギアスを用いたのだ。

 

「ロロ、それ以上ギアスを使ったらお前の命が!」

 

「え……どういうこと?」

 

「あいつのギアスは、言ってしまえば時間を停止できるギアスだ。だが時間を停止している間はロロ自身の心臓も停止する」

 

「な……それじゃロロが死んじゃうじゃない?!」

 

「そうなる……」

 

 ルルーシュとカレンがロロの身を案じているときに二人は蜃気楼のコックピットに入った。

 

「ロロ、もうやめ」

 

 二人がコックピットに入ったのを確認してギアスの力はまた行使された。ロロの体は徐々に蝕まれていくにも関わらず。それを承知でロロはギアスを使い続けた。

 

「このままだとあんたも……」

 

「いいんだ。僕は今まで誰かの道具だった。最初は卿団の、次は兄さんの。僕は兄さんに使われてただけかもしれない……。でもあの時間だけは本物だったんだ……!」

 

「ロロ、貴方……」

 

「あの思い出のおかけで、ようやく僕は人間になれたんだ!」

 

「……」

 

「僕は、道具じゃない!これは……僕の意思なんだから!」

 

 気づけば、黒の騎士団の追手を巻いていた。しかし、ロロの体もすでに限界を超えており、虫の息だった。ただでさえ体の負担が大きいギアスの力を連続で使っているのだ、無理もない。

 

「ロロ、どうして俺たちを助けた……?俺は、お前を──」

 

「兄さんは、僕にとって、失いたくない存在だから……」

 

「え……?」

 

「だから、命を懸けて兄さんと、兄さんを守ってくれる人を守った、んだよ」

 

「そうか、そうだったのか……ありがとう、ロロ」

 

「あはは……どう、いたし、まし、て……」

 

 ロロは旅立った。自らを人間たらしめた恩人と、その騎士を守って。

 

「カレン。埋めるのを手伝ってくれ」

 

「わかってるわ……」

 

 数刻の後、墓石すら立てることは叶わなかったが、ロロは埋葬された。呆然と立ち尽くすルルーシュにカレンが声をかけられないまま時間が進んだが、不意にルルーシュが口を開けた。

 

「なぁ、カレン」

 

「どうしたの、ルルーシュ?」

 

「ついてきてくれて、ありがとう。俺はあの場所で何もかもを失っていたかもしれない」

 

「私も、あの場所でルルーシュが私を拒絶するような気がして……だから、ちゃんと返事をしてくれただけで嬉しいの」

 

「そ、そうか」

 

 再び短い静寂が訪れたが、今度はカレンがそれを破った。

 

「ルルーシュ、これからどうするの?」

 

「そうだな、黒の騎士団を失い、ブリタニアという国家を物理的に破壊する手立ては失った。ならば、分が悪い賭けであったとしてもシャルルを殺し帝位を簒奪するのが早い。となると.神根島」

 

「了解。向かいましょう、神根島に」

 

 蜃気楼は動き出す。父殺しをするために……。

 

 

 

 

 

 

 




週ごとの更新を目指していくので良ければ最後までお付き合いよろしくお願いします。
5/29 サブタイトル変更
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