白き英雄譚   作:ラトソル

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早く最後の一番書きたいところを書きたい…!!


Lv5?ゴミめ

 闇派閥幹部オリヴァス・アクト率いる闇派閥の部隊により、アスフィ達冒険者は一時窮地に陥った。しかし、リューの参戦に加え、アストレア・ファミリアの援軍により、状況は一変した。

 

「リオン! いけるわね?」

 

「もちろんです!!」

 

「っ!! たかが一派閥が現れただけで!! 同士たちよ!! 奴らの死をもって罪の清算を!!!」

 

「んー、なんかうるさいわね、あの人」

 

「ストレス溜まってるんじゃね? 髪も白いし」

 

「その原理でいくとアルのやつ相当ストレス溜まってそうだな」

 

「「「たしかに」」」

 

「じゃあ、この戦いに一段落ついたら、私が膝枕からの添い寝で疲れを癒してあげようかしら!!」

 

「「「アリーゼ??」」」

 

「それは名案ですね、団長様。しかしその役は私が請け負いましょう」

 

「「「輝夜!?」」」

 

「……そのためにも、無事でいろ、アル」

 

 アストレア・ファミリアを中心とし、闇派閥を次々と倒していく。その姿に活気づいた他派閥の冒険者も応戦。この戦場は完全に冒険者サイドの優勢だった。今まで冒険者に批判的態度をとっていた市民も、自分達が守られているという認識がついたのか、声を上げて応援していた。

 

「はあああああああああああっ!!!」

 

「馬鹿なっ、馬鹿なあぁ……! あれだけの戦力差がありながら、何故っ──!」

 

「……私達の『正義』を信ずる意志が、お前たちに勝った。それだけだ」

 

「おのれっ、おのれぇ……! くそぉぉぉぉ!!」

 

 もはやここは『正義』の独壇場。闇派閥さえもが自身達の敗北を悟った。が、

 

「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」

 

「なんだ!?」

 

 何かが高速で市壁へと吹き飛ばされ、甲高い音と共に衝突していた。

 

「ガレスのおじ様!?」

 

 その正体にいち早く気づいたアリーゼがその何か──ガレスに向けて心配の声をあげた。

 

「ぐ……儂の心配は無用じゃ、小娘。それよりも──」

 

「──あぁ、腹が空いたな」

 

「「「!!?」」」

 

「……くくくくくく、はっはははははははははは!!!」

 

 決して大きくない呟くような声。しかしそれはその場に居るもの全ての鼓膜を震わせ、ある者には絶望を、ある者には歓喜を与えた。

 歓喜を受け取った側であるオリヴァスは先程までの屈辱の顔を捨て去り、既に勝ちを確信した表情へと変化していた。

 

「──蛆など食う価値もないが。メインディッシュが待っていると思えば、いくらかマシになるか」

 

「下がれ小娘ども!! お主たちに応戦できる相手ではない!!」

 

「ほお、面白いことを言うな、ドワーフのじじい……まるでお前なら俺を相手にできると聞こえるぞ?」

 

「ぐあああああ!!??」

 

「【重傑(エルガルム)】!!」

 

 ガレスへとザルドが軽く剣を振るう。耐久に優れたガレスであっても、Lv7の本気ですらない攻撃で弾き飛ばされた。

 ザルドの背後から気配を消したシャクティが首筋を狙って刃を振るうも、難なく受け止められた。

 

「っ」

 

「殺気はもっと上手く消すんだな……それに軽い」

 

「がっっ!?」

 

 剣を持っていない拳をガレス同様軽く振るう。ガレスに比べ耐久が低いシャクティはガレス以上に吹き飛ぶ。Lv5二人がかりで触れることすら出来なかったという事実が、その場の冒険者の奮い立った心を突き落としていた。

 

「──ほぉ? お前達は見どころがあるな」

 

 しかし、アストレア・ファミリア達の目は曇っていなかった。その様子にザルドは満足気な表情を浮かべた。

「ふふん!!」と何故か胸を張って威張るアリーゼを周りの団員が呆れたように見るも自分達も同意見だというような佇まいだった。

 

「お前達は俺を満足させてくれるのか?」

 

「無理ね! 無理無理!! あなた相手に一分でももったら私のランク上がっちゃうくらい無理ね!!」

 

「力量差は理解しているようだな。だが、理解出来ているのなら何故そんな表情が浮かべられる?」

 

「──決まっているだろう」

 

「あぁ、あいつは絶対ここに来る」

 

「えぇ。彼ならば」

 

「3人の言う通りね。だって、私達には──」

 

「っ!!!」

 

 ザルドに向かって光が走る。反射的に自身の大剣で防御の体勢を作り上げるも、その光にザルドの即席の防御は拮抗を許さず、数十メートルほど吹き飛ばした。

 

 先程までザルドが立っていた場所には白髪の少年が立っている。その姿を、アストレア・ファミリアは明確に知っており、その他の冒険者はその特徴を見て理解した。

 

「──英雄(アル)がいるもの」

 

「皆さん、お待たせしました!」

 

 その英雄の登場は、ザルドが来た時とは真逆の反応を周囲の者達に促した。闇派閥は絶望し、冒険者は歓喜する。

 ベルのことを見たことの無い者も、今の一撃で理解しただろう。ガレスとシャクティの二人でも一撃を与えられず、都市最強(オッタル)が一方的に敗北した相手に、一撃を入れるどころか吹き飛ばす。

 

 彼こそがオラリオの希望。オラリオの英雄なのだと。

 

「アル……すまねぇ、アタシ達のせいで」

 

「いえ。ライラさんと輝夜さんのせいじゃないですよ。不意打ちを許した僕が悪いんですから」

 

 輝夜とライラが申し訳ないような顔を向ける。アルフィアがベルを連れていく所を何もせずに見るだけしかできなかった二人は自身達の無力さに嫌気がさしていた。それでもベルは全く気にしているようではなかったが、自分達がひとつの要因であったのは間違いないものだったので。そんな二人の様子を見て声をかけようとしたベルだったが、崩れた瓦礫が吹き飛んだことにより注意がそちらへと向かった。

 

「美食からこちらへと来てくれるとは、なんたる幸運……蛆どもの相手をした甲斐があったというものだ」

 

 1歩、1歩と近づいてくる。ガレス達には見せなかった闘気がザルドの身体から滲み出ていた。そんなザルドに、ベルは怖気付いた様子を見せず、むしろこちらもと闘気を見せた。その様子にザルドは心の底からの喜びを表すようにニヤリと笑い大剣を構えた。

 

「いくぞ──クソガキぃぃ!!!!」

 

「はっ!!!!」

 

 大剣と漆黒のナイフがぶつかり合う。両者の本気のぶつかり合いは、衝撃波となって周りにいる冒険者を吹き飛ばす。甲高い音が耳を通り抜け、大地が震えた。

 ステイタスでは力はザルドのほうに少しばかり勝っている。スキルなしの状態ではベルは打ち合いでは押し負ける。故に、流す。

 力の行く場を失った大剣は地面にクレーターを作り上げる。

 一瞬で懐へと侵入し、『ヘスティア・ナイフ』と『白刀・朧』の2本を駆使して次々と傷を量産。都合10の傷が刻まれた後にザルドは大剣を振り回すがその力を利用して後ろへと飛ぶ。

 

 そして、ファイアボルト、と。

 

 展開された()()()()()()。それぞれから放たれる炎雷は全てザルドの方へと向かって行った。

 半分は大剣により弾かれたが、残った魔法はザルドの体力を削っていく。

 

 体勢を崩したザルドへとベルがすかさず突撃するも、横からの危険信号を察知し身を翻して回避した。

 

「──無効化ではなく回避するか。たいした反応速度だ」

 

 横から魔法を放った人物──アルフィアが静かに歩いてきた。

 

「な……【静寂】!?」

 

「お前とあの子は相性が悪いようだな、ザルド」

 

「あぁ。正直、俺では歯が立たない」

 

「既に肉体面は完成の域へと近づいている、か……だが、精神面はいささか未熟だな」

 

 ザルドの横にまで来たアルフィアはベルへと向く。ザルドもまた自身が負った傷など関係ないとばかりの佇まいだ。

 

「【福音(ゴスペル)】」

 

「【母の静寂(アタラクシア)】」

 

 開幕の狼煙をあげたのはアルフィアの詠唱。開戦の合図のようにも聞こえる音の塊は、すかさず詠唱したベルの魔法により消えていく。

 走り出したベルと前に出たザルドが互いの武器を重ね大気を震わせた。

 

 

 ──────────────────────────────

 

 手も、足も。何も動かない。唯一動くのは目の前で繰り広げられているものを見るための眼球のみ。それでも、速すぎる動きに目は追いつかないので、動く眼球すら意味をなさない。漠然としたものしか分からない。それほどまでに、今繰り広げられている戦いは、レベルが高く、速く、苛烈で──綺麗だ。

 

 魅入っていた。周りの冒険者は例外なく、闇派閥でさえ、ただ魅入っていた。

 

 二人の巨悪に対抗するは白き英雄。第二級以下から見れば、【暴喰】と【静寂】が『光』と闘っているようにしか見えない。時折力を足に溜めるための僅かな時間のみかろうじて英雄の姿を捉えることができた。

 

 どちらが優勢なのかも分からない。今何が起こっているのかも知れない分からない。アルフィアが詠唱すればその音は消え、ザルドが大剣を振るえば時に軌道を変え、時に止められる。

 

 数十の炎雷が轟き、消え、光が駆ける。付け入る隙などない。神時代が始まってからこのレベルの戦いは数えれるほどしかないだろう。

 

 まさしく神話の戦い。英雄譚のページに刻まれてもおかしくないものだ。

 

 正義の使徒も、都市の憲兵も、闇派閥も、道化の眷属も。呼吸すらこの戦いを見るのに不要だと、息をすることさえ忘れて魅入った。

 

「あれほど……なのですか」

 

「……高すぎる」

 

 ベルの戦闘を見たことの無いリュー達はもちろん、二度目である輝夜とライラでさえ、そのレベルの高すぎる戦いに戦慄した。文字通り、次元が違う。それは全員分共通認識であった。

 

 現在戦闘中の三人を除き、この場で最もLvの高いLv5の者たちは、かろうじて戦闘の内容を見れてしまうが故に、唖然とした。

 息すら許さぬ高速戦闘。加えて、その中での瞬間の駆け引き。剣をいなす技術。次の攻撃の予測に加え、行動の最適化。

 

 なんとなくでしか見えない中でも、それだけの事が見て取れた。

 

「あの冒険者は……フィンの言っていた……」

 

 ロキ・ファミリア副団長であるリヴェリア、幹部ガレスはフィンから味方と思われる英雄の存在と特徴を聞いていた。その特徴は目の前の少年と合致する。

 フィンからその話を聞いた時は、そんな美味い話があるのかとフィンの言葉ながらも疑った。Lv7二人を相手取れる存在など今のオラリオには存在せず、都市外などなおさらだ。【猛者】でさえ、手も足もでなかった。都市最強は【猛者】。それ以上は居ない。それは純然たる事実だった。

 

 だが、それなら目の前の事象はどう説明する? 

【暴喰】に刹那のうちに十数本の切り傷を与え、【静寂】の魔法を完璧に対処し、己の身体には傷一つ無い。

 

 二人が手加減しているのか? いや、自分は【静寂】の魔法一撃で沈められたのだ。加減していたところで無傷などありえない。それに二人が加減をする理由などない。恐らく全力。仮に自身があの場へと参加すれば、一秒で肉塊となるのは明白だった。

 

 彼らの前では、Lv5だろうと、所詮は有象無象。己の非力さに拳に力が入る。

 

「──お父さん?」

 

 ふと、横にいる存在へと目が移ってしまった。

 

「……アイズ?」

 

 彼女も同じく、ただ見ていた。その戦闘を。魅入って──はいない。その表情は、羨望であり、悲しみであり、怒りを含んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どこか、懐かしい気配を感じた。

 

 今の自分じゃ追いすがることさえできない戦い。フィンが言っていた二人と、一人が戦っている。

 フィン達でも、この戦いには参加すら許されない。そんな戦い。

 

 その強さに、嫉妬してしまう。私も、早くつよくなりたい。あの人たちみたいに、つよく、つよく。

 

 化物も殺し尽くせるくらい、つよくなりたい。

 

 もっと、もっと、もっと、もっと────

 

『──アイズ』

 

 つよく、ならなくちゃ。だって、だって、

 

『──いつか、お前だけの英雄にめぐり逢えるといいな』

 

 わたしには、英雄なんて、きてくれな──

 

 

「──お父さん?」

 

 

 気づけば、呟いていた。あの中のひとり。白い髪をもった冒険者に、父の姿を幻視した。

 フィンから聞いた。『英雄』を見たと。

 彼だ。確信めいたものがわたしの中にあった。わたしの中で、お父さんのほかに英雄は居ない。お父さんも、私を置いてお母さんとどこかへと行ってしまった。

 

 英雄なんて、現れない。そう、信じていたのに。

 

 なんで、もっと早く来てくれなかったの? 

 

 なんで、あの時に来てくれなかったの? 

 

 そんなに力があるのなら、なんで今になって現れたの? 

 

 なんで、なんで、なんで──

 

 

『お前だけの英雄にめぐり逢えるといいな』

 

 

 ──わたしだけの、英雄

 

 期待して、いいの? 

 

 信じて、いいの? 

 

 あなたが、そうだって。

 

 あなたが、私だけの英雄に、なってくれるの? 

 

 でも、英雄なんて、現れてくれない。

 

 私のところに、来てなんてくれない。

 

 だって、あの時、来てくれなかったから。

 

 英雄なんて、英雄なんて、英雄、なんて。

 

 

 

 

 

 ──だれか、わたしをたすけて

 

 

 

 

 

 

 鐘の音が、聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──熱い。

 

 よく覚えてはいないけど、たしかアルフィアさんに気絶させられた後。教会で目が覚めた時に感じた、背中の熱。

 あの時も熱かったけど、今はその比では無いくらい、熱い。

 

 夢を、見た気がする。

 

 何か、大切な約束をしたような。誰かがいたような。

 

 思い出せない。思い出そうとしたら、その情景がノイズがかかったようにぼやける。

 

 ──熱い。

 

 お祖父ちゃんがいたのは、覚えている。

 

 でも、多分、あと()()。誰かがいた気がする。

 

 今戦っているのも、二人だ。

 

 あの人達は、敵とは……『悪』だとは、とても思えない。

 

 二人の目からは、憎悪を感じない。むしろ、どこか暖かい。

 

 まあ、アルフィアさんには殺されかけたけど。

 

 ザルドさんの大剣と自身のナイフを打ち交わす。

 

 ──熱い。

 

 アルフィアさんの魔法をこちらも魔法を行使して打ち消す。

 

 ──熱い。

 

 受け流して──熱い。避けて──熱い。駆けて──熱い。

 

 熱い。熱い。熱い。

 

 背中に炎が灯っているかのようだ。

 

 でも、嫌な感じではなくて。

 

 ヘスティア様の、聖火のような。

 

 熱くて、暖かい。

 

 128 134 136 139──

 

 頭に数字が浮かび上がってくる。

 

 なんの数字だろう? 分からない。

 

 ただ、今はなんだか、調子が良い。

 

 脚が軽くなってきた。大剣を受け流しやすくなってきた。

 

 なんでだろ? 分からない。

 

 とりあえず、考えるのは後にしよう。

 

 今は、ただ。

 

 目の前の死合に、全力を──

 

 

 

 

 ──────────────────────────────

 

(……なんだ?)

 

 異次元の高速戦闘。その中で、後方から魔法を放っていたアルフィアが、違和感を感じた。

 

()()()()()()()……スキルか? いや)

 

 戦闘中の三人以外は、この変化に気づかないだろう。目で追うことさえ叶わないのだから。

 目で追えてしまうアルフィアだからこそ気づいた、些細な変化。

 僅かだが、ベルのスピードが上がった。徐々にではあるが、それは今も継続されている。

 

 何かの行動などで条件をクリアすることで、アビリティに補正が掛かるスキルは、あるにはある。それらは俗に言うレアスキルというものだが、ベルならば持っていてもおかしくないだろう。しかし、どこか違和感を感じた。

 

 変化したのは速さだけではない。今までいなすだけだったザルドの大剣と、僅かにだが拮抗し出した。それから導かれるのは、力のアビリティの上昇。

 

 加え、魔法を主軸として扱うアルフィアだがらわかる、ベルの行使する炎雷の質の向上。

 

(敏捷、力、魔力……三つものステイタスに補正がかかるだと?)

 

 才能の権化たるアルフィアでも理解できないもの。アルフィアの中に、一つの仮説が生まれた。

 

(……試すか)

 

 ザルドが大剣を振り落とし、ベルがそれをいなす。幾度と見た光景。しかしやはりその行動は最適化されていた。以前よりも踏ん張っていない。どこか余裕が見える。

 

 ベルが足蹴りをザルドへと加える。ザルド自身、その一撃だけでも、ベルのアビリティが上昇していることに気づいているだろう。

 大剣で受け止めたが、やはり以前より少しばかり長く吹き飛ばされていた。

 

 蹴りを出したベルはその反動で地面から足が離れている。その隙を逃さないアルフィアはベルの背後から魔法を叩き込んだ。

 

「【福音(ゴスペル)】」

 

 回避も魔法も間に合わず、この戦いが始まってからザルドの大剣を受け止めたことを加味しても、初めてまともなダメージがベルへと降りかかる。リヴェリアとガレスを瞬殺した魔法の威力。以前ベルにも当てたことがあり、その時の感触は覚えている。今回の感触は、以前と違った。

 

(手応えが以前と比べて薄い……確定か)

 

 耐久のアビリティ上昇。ザルドの大剣をいなす技術が上がっていたことから、器用も上昇していることが予測できた。そこから導かれる仮説はふたつ。

 

 一つはレア中のレアスキル。全アビリティ補正がかかるもの。これなら、納得はできるものの、継続して上がり続けていることに加え、時間が長く、上がり幅も大きすぎる。

 

 2つ目は、アルフィアが確信している仮説。

 

()()()()()()()()()。神による更新を必要とせず、戦いの最中にリアルタイムで強くなる。普段ならば、ありえないと笑いながら一蹴する考え。しかし、今回はその対象が違う。

 

「未来の英雄」であり、「時を超えた者」であるベルに、もはや常識など通用しない。

 成長スピードも異常だ。このまま戦い続ければ、近いうちにアルフィアの魔法による援護が追いつかなくなりザルドが倒され、一騎打ちでアルフィアさえも凌駕するようになることは想像にかたくない。

 

 その時、真なる英雄がオラリオに生まれる。それはアルフィアとザルドがエレボスの手を取った理由であり、願いであった。だが。

 

(まだ、その時では無いな)

 

【静寂の園】を解除したアルフィアが魔力を高めていく。

 

 自身のもつ灰色の髪がフワリと揺れ、粉微塵となっている地面だったものが浮き、自身の身体さえも魔力の圧力により浮かんだ。

 何をするのかを聞かずとも察したザルドは後退。ベルはアルフィアの魔力の波動を感じていた。そして、直感が危険信号を脳へと直接おくり、魔法無効化の魔法を持つにもかかわらず、反射的にその場から飛び退いた。

 

「【福音(ゴスペル)】────【サタナス・ヴェーリオン】」

 

 もはや音とすら認識できないほどの魔法がベルと二人の間に落とされる。

 今まで行使してきた魔法とは比べ物にならないほどの威力。たったワンワードで第一級冒険者を倒すことが容易な威力にその場の人間が戦慄し、耳を抑え、地面を離さぬように踏ん張った。それでも吹き飛ばされた者、耳をやられ平衡感覚を失った者。

 ベルの魔法の範囲をギリギリ超えた位置に放たれた魔法は、離れた位置に居るはずの冒険者達にさえ壮大な被害を与え、莫大な土煙を発生させた。

 

(っ、見失った!!!)

 

 なまじLv7となり敏感になりすぎた感覚は、土煙と未だ響いている音により二人の痕跡を完全に絶った。

 

 少しして視界が開けたころには既に二人の姿はなく、気配すら感じ取ることは出来ない。今までいた闇派閥すらいつの間にか消えており、エレボスも居なくなったようだ。

 

 ベルからすれば、逃走を許したことにより、自身の敗北を悟り。

 

 周りの冒険者は、Lv7二人という圧倒的絶望な状況に駆けつけ、敗走させた英雄(ベル)に大いに盛り上がり、歓声が響き渡った。

 

 その歓声の中、ベルの背中には新たな文字が刻まれ、一人の少女は、じっと、ベルのことを見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時ノ旅人(トラベラー)

・神に嘘が通じる。

・戦闘時の『敏捷』と『器用』のアビリティに高補正。

・ステイタス自動更新

 

 

 

 




アストレアレコード終わったあとどうしよう。
このまま原作入るか新しく設定作って原作からスタートの作品作るか迷う
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