”勝利”の先を得るために、彼女は剣を手に取った   作:第37番型眼鏡

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#11 戦いの後で

 ツムギとヴァルゼライドの戦いは、やはりアルバートとギルベルトの予想通りに後者へと軍配が上がった。

 弾かれた少女の剣が地に落ちた残響を聞きながら、ゆっくりとアルバートは口を開く。

 

「……どっちもどっち、そう評すればいいのかねぇ。俺にはもうついていけない領域だ」

「私としてもムラサメ中尉の剣技、吸収力は卓越したものに映ったさ。あのヴァルゼライドでなければ才覚の差に圧倒されていたことだろう」

 

 事実として中盤までは明らかにヴァルゼライドの方が押されていた。戦闘経験豊富であり、ツムギの数倍の年月を殺し合いに捧げた男が遅れを取るなどそれだけで異常事態だ。結果的に審判者の見立てに狂いは無かったが、果たして彼女が()()の人間だったらどうなっていたことやら。

 そのままツムギが押し切るかと思いきや、そこは場数を踏んだ意志力の英雄(カイブツ)というべきか。恐るべき成長速度を見せつけ、非才の剣士は天才剣士へ見事に逆転劇を収めたのだった。

 

「良いものを見させてもらったよ。君の人を見る目がまたも証明されたことで私も友として鼻が高い」

「別に俺は何もしてないけどなー。声かけたのはそっちだし、やる気を見せたのはツムギの方だ」

「謙遜せずとも良いさ。君の部下になり、雑談の中で語ってくれなければ我々も関与できなかった」

 

 その結果価値のある戦いに繋がったのだから甲斐はあったと、炯眼の男は薄く笑った。アルバートもそこは同感で、どうあれ学べる部分は多い一戦だったのは間違いない。もう少し節度を持ってくれとは切に思うが。

 

「で、首尾よくツムギの剣技も学習して、これでおまえ達は本懐達成って訳か」

「少なくとも彼にとってはそうだろう。私はただ、若き実力派剣士の実力を拝んでみたかっただけさ。他意は無いとも」

「そう言うヤツの中でおまえが一番胡散臭いぞ、自覚あるか?」

 

 誰よりも策謀に長けた男の懲りない言い回しに何度アルバートが辟易したものか。どいつもこいつも凄い奴なくせに、箍が外れてばかりだから常識人としては堪ったものじゃない。今回も負けたツムギからどれだけ再戦願いを出されるか、考えただけで頭が痛くなる思いである。

 

「考慮することもやるべきことも、うんざりする程有りやがる。偉くなるのも考えもんだな」

「それが上に立つ者の責務というヤツさ」

「はっ、分かっちゃいても堪らんさって話だよ」

 

 飄々と語るギルベルトを一瞥してから、握手をしている剣士二人の方へと足を向けたのだった。

 

 ◇

 

「私の負け、か……」

 

 戦闘中に剣が手から離れることなど久しく無かった。

 星辰奏者(エスペラント)となってからは誰だろうと、何人が相手だろうと負けなしで。今回の戦いだってあくまで勝利を手にするつもりが、此度はその手に残るものが何も無かった。

 激戦区たる東部戦線を生き抜いた英雄。つまるところ、ヴァルゼライドはその評価に相応しい傑物だったという話だ。今は内心の悔しさを押し殺して素直に相手を褒めるべきだろう。

 

「良い戦いでした、ありがとうございます」

「こちらこそ感謝しよう。貴官との戦いは得難い糧となった、この経験は必ず次の勝利へと活用させてもらうつもりだ」

 

 剣を拾って鞘へと納めたツムギはヴァルゼライドへ手を差し出した。彼は少し戸惑いながらも受け入れ、次の瞬間思い切り握り込まれた掌に怪訝そうな顔をした。

 

「ムラサメ中尉?」

「次は私が絶対に勝ちます。たとえ英雄だろうと私からの勝ち逃げなんて許しません」

「そうか、その際は礼も兼ねて受けて立つとしよう」

 

 返答に満足したツムギは「すみませんでした」と詫びつつ手を離した。大人の男性のゴツゴツした手、数多の伝説を作りだしたその手の感触を噛みしめて、この戦いを必ず覚えておこうと胸に誓う。学び取った剣も、これから反映すべき技術も、それこそ無数にあるのだから。

 敗北の悔しさに一区切り付け気持ちを切り替えたツムギは、さてこの後はどうするかと考える。いったん辞去して汗を流しに戻るか、鉄は熱いうちに打ての要領で今から剣を振り直すか。

 

 どちらも魅力的で決めあぐねているところに、横合いから声を掛けられた。 

 

「よう、二人ともお疲れさん」

「見事な戦いだった。しかとこの目に焼き映させてもらったよ」

 

 直属の上官であるアルバートと、今回の絵図を引いたギルベルト・ハーヴェスの二人だった。どちらもヴァルゼライドの旧友だけあり気安い調子だが、ツムギからすれば少々居辛い空気感があるのも事実だ。

 しかしツムギがそれを口に出す前に、先手を打ったのはギルベルトの方だった。

 

「ああ、私の事は気にしないでくれ。久闊を叙するのもやぶさかでないが、生憎と他にも用事があってな。すまないが失礼させてもらおう」

「ハーヴェス、それならば俺も共に──」

「いやいや、構わないとも。私一人ですぐに終わる程度の雑務だ、遠慮する必要はない」

 

 心の底から問題無いと言わんばかりの爽やかさだ。自分から泥を被りに行ったとはとても思えない素振りである。

 これが改革派一の頭脳、審判者(ラダマンテュス)かとツムギは思った。ヴァルゼライドと共に激戦区を駆け抜けた勇士であり、同時に並ぶことなき炯眼の持ち主。是非とも腰に提げている大剣を抜かせてみたい欲求が疼くものの、今しがた敗北したばかりなのもあってここは一つ我慢した。

 

「上官から聞きましたが、この場を整えてくださったのはそちらの口添えもあったようで。今更となってしまいますが、ありがとうございました」

「礼には及ばないさ。能力があり、向上心も備えた人間へ見合った光を齎したいのは普遍の事実だ。そうさな、君が望むならばいずれ私とも手合わせ願いたいものだ」

「ええ、その時は是非とも」

 

 などと約束を交わし、ギルベルトは颯爽と去っていった。底知れないが、悪い人間では無いように思った。正しき者にそれに見合いし報いあれ、言っていることはツムギも頷くところである。

 

「さてと、ギルベルトのヤツが気を利かせてくれた訳だが……この後はどうするんだ?」

「今の時刻はもう夕方を過ぎた頃でしょうか? 私は特に何もありませんが」

「俺も急ぎの公務は無い。今日に向けて火急のものは全て片付けてきたからな」

 

 三者三葉、奇跡的にこの後の予定は何も無かった。

 ならば、とアルバートが手を叩いた。

 

「どっかで反省会でもやるか? せっかくの機会なんだ、有意義に使った方がお互い良いだろ」

「その提案はありがたいが、場所のアテはあるのか?」

「俺はともかくクリスは絶対人を集めるからな。プライベートな空間となると、俺の部屋にでも集まるか?」

「えっ」

 

 何でもないような発言にツムギが声を零した。

 さすがにそれは、ちょっと怪しいというか……仮にもツムギだって年若い少女である。

 

「本気ですか?」

「他の目を気にせず、かつ不自然にもならない場所は──っておいおい、なんだそのゴミを見るような眼は!? そんなつもりで言った訳じゃ断じて無いぞ!」

「申し訳ないです、正直ちょっと引きました」

「いやいやいや、待ってくれ。別に他意は無いからな、そもそもクリスの奴も呼んでるんだぞ、なぁ?」

「アル、おまえはもう少しデリカシーを持った方がいい」

「おまえまでそう言うか……」

「冗談だ」

「冗談を真顔で言うヤツがあるか!」

 

 先ほどまでの激戦の熱はどこへやら。すっかり和気藹々とした空気に堪えきれずツムギが噴き出し、結局あたふたするアルバートが持ち直してから、提案通りに彼の部屋へと集まる運びとなったのだった。

 

 ◇

 

 いったん解散し、自室に戻って汗を流し綺麗な軍服を纏ってからツムギは上官の下を訪ねた。よくよく考えれば上司の部屋へ乗り込む部下の図だが、特に緊張は無い。むしろ私生活はどうなっているのか、待遇相当な豪華な部屋なのかという好奇心が勝っているくらいだ。

 ノックすればすぐに部屋へ招かれる。ヴァルゼライドは既に来ていたらしい。思っていたよりだいぶ綺麗で、かつ殺風景な部屋を見渡しながら勧められるままにソファへ腰かけ、後はもう坂を転がるがごとし。

 

「──この場合は君ならどうする?」

「私なら剣を蹴ってでも突破口を──」

 

 最初は互いの立ち回りの感想から始まった反省会は、いつの間にかヴァルゼライドの経験に基づいた様々な危機的状況(シチュエーション)の話に変化し、どうすれば突破できるか、どのような技術が必要かという話題へと移っていた。

 やはり剣を主軸に置くもの同士、話の噛み合いは悪くないようで。適当に相槌を打つ部屋の主を置いてけぼりにどんどんディープかつ限定的な話へと逸れていく。

 

 公式な場では無いからか、ややヴァルゼライドの口調が軟化していることにアルバートは気が付いた。堅苦しい空気が続くよりもよっぽどいい。

 

「では別の仮定として、剣を直接届かせることが不可能な相手に君はどう対処する? 近づくことすら不可能、あるいは剣が通らないほど硬い、想定はどれでも構わない」

「随分と剣士泣かせな想定ですが、ならばそうですね……」

「いや、その場合は考える前に逃げる方が先決だろ」

 

 もっともな突っ込みが横から入るものの、どちらも気にした様子は無い。

 大真面目に十秒ほど考えてから天才剣士は「かなり無茶ですね」と薄く笑った。

 

「隙を見つける、それしか手立ては無いでしょう。近づけない相手なら言葉でも石でも投げてみる。硬い相手なら同じ個所だけ攻撃して一点突破を狙う。最後に斬れれば良いのですから、取れる手段は取ってみるべきとはいえ、少々やり辛いのは否めません」

「なるほどな。歴史あるムラサメの剣士でもやはりそう考えるか」

「歴史あるからこそ、積み上げた剣技が通用しないときは素直に兜を脱げるのです。相手が凄いと認めるのが勝利への第一歩ですから」

「……確かにその通りだな。相手の実力を軽んじてしまえば勝てる相手にも勝てなくなる。初心忘れるべからずか」

 

 果たしてヴァルゼライドの問いは()()()()()()()()なのか。ツムギもアルバートも当然ながら思い当たる節は無い。星辰奏者(エスペラント)同士の戦いが起きた場合を想定しているのか、あるいはもっと特殊な状況への対抗策を練っているのか。

 ただ、そう。これ以外にも彼の質問はどうも、自分独りであらゆる状況へ対応するための打開策を作っているような印象だったから、

 

「大佐殿は、たった一人で戦争でもするおつもりですか?」

 

 ツムギが真正面から尋ねてみたくなるのも至極順当な成り行きなのだろう。

 それまでのんびりと会話を見守っていたアルバートが、それとなく意識を尖らせたことに二人とも感づいた。

 しばしの沈黙。張り詰めた空気の中で重い口を開いたのはヴァルゼライドだった。

 

「……何故、そう考えた」

「私も同類ですので」

 

 問い返された少女はノータイムで言葉を返す。

 

「"最強"になるにはどうするか? 全戦全勝、それが一番手っ取り早いです。では具体的に"全戦全勝"するために必要なことは? あらゆる相手を想定し、対策を立て、絶対に勝てる状況を作り出す。これでしょう」

「俺が言えた義理でもないが、"最強"になるとは随分と無茶なことを言う」

「ええ、まあ。恥ずかしながら自覚の上で目指しております」

 

 照れくさそうにツムギははにかんだ。微笑む姿は深層の令嬢かくやといった有様で、とても強さに取り憑かれた天才剣士とは思えない。

 ともかく、ヴァルゼライドが投げかける問いの意味は、同じことを考えたことのあるツムギにとって分かりやすい内容だったのは確かだ。

 

「あらゆる事象に対応できる剣は確かに至高のもので、最強の名に相応しく、究極的な存在でしょう。まさしく決戦兵器と形容するしかなく、けれど大佐殿は私のように私欲でその座を求める訳ではないでしょう?」

 

 だからツムギは問うたのだ、戦争でもするつもりなのか? と。すべてに勝てることの究極は、世界の全てを収められることに他ならないから。軍事帝国アドラーの英雄はあらゆる国に喧嘩を売り、勝利することで国益を齎すつもりなのかと訊ねている。

 荒唐無稽な、けれどヴァルゼライドならあり得ないとは言い切れない予想を前にアルバートが息を呑む。彼とて英雄が抱く秘密として、この可能性を考えたことはある。けれど聞いたところではぐらかされた答えが、手の届くところにまでやって来ていた。

 

 少しの逡巡の後、ヴァルゼライドは誠実な瞳でツムギとアルバートを見た。

 

「今回は俺の我が儘に両名とも付き合ってもらった借りがある。その対価として明かせる範囲で一つ、俺も正直に答えるとしよう」

「クリス、おまえは……」

「悪く思わないでくれ、本来ならばこれとておまえの為にも黙秘するべきことだった」

 

 旧友からの非難の目を真っ向から見つめ返してヴァルゼライドは語りだす。

 

「まず断っておくが、俺個人で戦争を仕掛ける訳ではない。国の方針として侵略戦争に乗り出すことはあるだろうが、たった一人で雌雄を決することができると自惚れるつもりも毛頭ない」

「じゃあ何のために強くなるつもりだ? おまえはもう十分に強い、誰もがそれを認めているだろうが」

「いいや、今のままではあまりに不足だ。何故なら、アドラーに繁栄をもたらすためにいずれ雌雄を決すべき相手が俺にはいる」

「……そいつは、星辰奏者(エスペラント)になったおまえが見ても強いのか?」

「ああ、強い。だが絶対に勝たねばならん、そのために研鑽を続けている」

「相手は誰だ? 何のために戦う必要がある? おまえ一人で挑むのか?」

「すまないが、これ以上は答えられない。だが必ずこの国の益となる行いだと断言しよう」

 

 矢継ぎ早に投げかけられた質問には黙秘を貫かれる。ヴァルゼライドはこれ以上の情報を開陳する気が無いようだ。親友の頑固さを知っているからアルバートもいったん引き下がるが、露骨に不服な様子を隠そうともしてない。

 そんな雰囲気の中でただ一人、ツムギだけは愉快そうに笑っていた。

 

「なるほどなるほど、つまり私を負かしたヴァルゼライド大佐()()()強い誰かがこの世界には存在していると、そういう訳なのですね」

「否定はしない、今の俺では届かないだろう」

「面白いですね、それは是非とも挑む価値があります。その相手を避けて"最強"を名乗ったところで、果たして誰が頷いてくれるのか」

 

 どこの誰だか、ヴァルゼライドの目的は何なのか、そんなことは問題ではない。一つ重要な事実として、この世にはまだ乗り越えるべき強者が多くいると分かった、それでツムギには十分すぎる。後はいずれ挑むために牙を研ぎ、まとめて乗り越えることを目指せばいい。

 

「俺から語れる内容はここまでだ。おまえ達がこの話題に深入りするというなら良いだろう、止めはしないしその権利もない。だが道半ばでもし、俺と衝突することがあるならば──」

「一度決めた決意のために誰であろうと斬り伏せて突き進む、そう言いたいんだろう? 知ってるさ、長い付き合いだ。そんで言わせてもらうが、俺だって諦めるつもりは欠片もねぇ。そんだけだ」

 

 硬い決意は男同士の意地でもあるのか。

 互いによく知っている間柄だからこそ余計な言葉は必要なかった。そういう頑固者(バカ)だと分かっているし、説得したところで折れる手合いでもない。だからこそ、干渉はしないがいざ邪魔になれば衝突することも当然ある、認めがたくはあっても二人にとって納得できる理屈だった。

 

 ただ、第三者(ツムギ)からしてみれば、

 

「──怪物(けつぶつ)とは、怖いものですね」

 

 友であろうと平気で斬り捨て目標へ突き進むその在り方に、空恐ろしいものを感じたのも事実だった。

 果たして"最強"を目指すためにそこまで貫けるかと問われれば……口では何とでも言える。けれどいざその時に一切躊躇しないかと言えば、さすがに頷ける自信は無かった。

 目的のために、勝つために、あらゆる全てを薪へと変えて燃やし尽くす情熱に気概。畏怖と納得が渦巻く胸中に一つの疑問が浮かび上がる。気付けばツムギは疑問を舌へと乗せていた。

 

「クリストファー・ヴァルゼライド大佐。"勝利"とは、いったい何だと思いますか?」

「随分と抽象的な問いかけだな」

「以前知り合いから同じような質問をされまして。大佐、目的のためにすべてを捧げる貴方にとって、掴み取る"勝利"にはどのような意味があるのでしょうか。誰かへ捧げるものですか? あるいは、自分のために奪い取るものですか?」

 

 私は、とツムギは続ける。

 

「"勝利"とは、認めることだと思います。誰も認めない勝利に意味はなく、それ故にまず自分を納得させられなければ始まらない。私は、私に打ち勝ちたい」

「……"勝利"、か。俺の道程などいまだ中途に過ぎず、君と違い明確な回答は持てていない。いや、まさに俺にとっての"勝利"を探している最中だ」

「迷わぬ英雄にも分からぬことはあるのですね」

「むしろ分からないことばかりだ、俺の至らない点など山ほどある。こうして君やアル、他の面々の力を借りているのが証左だろう」

「止せよ、困ってるなら助け合う。おまえだってそれくらいは知ってるだろ?」

 

 結局、ヴァルゼライドもまた人間なのだ。自分が万能であるとは欠片も考えていないし、素直に他者の力を乞うことだって幾度となくある。

 ただ、そのような姿勢を見せ、それこそ好ましいと分かっているにも関わらず……障害となるならば躊躇いなく刃を向けることができてしまう。光の宿痾(しゅくあ)と呼ぶべき因果に、ツムギはそっと息を吐いた。

 

 見習いたいが、見習えない。

 "最強"になりたいという決意とはまた別の領域で『これは真似できない』と心の中で白旗を上げた。この強さは参考にならない、であればアプローチを変えてまだ挑み直すしかないだろう。幸い、ツムギにはそれが出来るだけの素養があるのだから。

 

「ツムギ・ムラサメ。一人の対等な人間として、先ほどの問いはしかと胸に刻んでおくとしよう。感謝する」

「大袈裟ですよ。でも、私の方こそありがとうございました」

 

 そうして夜は更けていく。まだまだ話したいことなど山ほどあるし、この貴重な機会を無駄にしたくない一心で語らいは続行された。

 だが、あまりにも長く語らいすぎてそのまま寝落ちし、気が付けば男の部屋で目を覚ましたツムギが悲鳴をあげたことは……余談に留めておくべきだろう。

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