ヤバい奴らを纏められるのはやっぱりヤバい奴しかいなかった件 作:ジューク
廊下を爆走と言うよりバクシーン!しているのは、生徒会副会長の片割れであるウマ娘…エアグルーヴだ。そしてその前を、何かの装置が付いたスケボーでどこぞの死神ショ探偵のごとくこれまたバクシーン!しているのは我らがカオスの元凶こと堅斗である。大方いつものようにバカをやらかしたのだろう。気になるのはその内容である。
…訂正、ただのくだらない話であった()
と、そんなことをしている間にも堅斗は廊下を右に曲がり、それをエアグルーヴが追いかけて曲がったと同時に叫んだ。
廊下を曲がった先にいたのは、なぜかサングラスを装着したゴルシことゴールドシップだ。何より注目すべきなのは、足元にある大量のスポットライト…おそらくウイニングライブ練習場の備品を拝借したのだろう。
さて、ここで読者諸君に思い出して欲しい。
エアグルーヴの数少ない苦手なもの、それは…
急ブレーキをかけ、目を抑えるエアグルーヴを置いて廊下を曲がる直前にちゃっかりグラサンをセットしていた堅斗とゴールドシップはそれぞれ逆方向へと逃げていった。
ちなみに光の強さはそこまで大したことなかったが、目にダイレクトに入った為にダメージがデカかったそうな。
※良ゐ子は真似しないでね☆
「え?チームカオスの?………あぁ、混山か……まぁ端から見たら頭おかしい奴だけど、割と良いこともすんだよな…この前なんかウチの可愛いライス…あ、ライスシャワーのことな。ライスに赤い布被せて俺のとこに連れてきて「ケチャップライス一丁!」って言いやがったんだ。その時のライスの顔は過去一可愛かったかもしれん。ただ…普段があれだけどな」
「んぁ?合同練習ですかい?おハナさんや」
「その爺臭い言い方どうにかならないかしら?」
「いや俺が爺臭いならおハナさんは婆くs」
言い終わる前に堅斗の顔面に鉄拳を叩き込んだ女性…中央でもトップクラスのチームであるチームリギルを率いるトレーナーである東条…通称おハナさんは拳がめり込んで梅干しのような顔面になった堅斗に話を続けた。
「最初はスピカにしようとは思ったけど、規模や練度を考えると貴方のとこの方が適しているの…すっごく不本意だけど」
「てか俺の顔面エグいことなってね?この状態俺ドラえもんとヒロアカでしか見たことないんだけど。てか何も見えなくなってんだけど。戻してよーブーブーブーブーブーブークッション☆」
「黙りなさい」
「いやだから顔面が」
「黙りなさい」
「アッハイ」
めり込んだ顔面をスライムのようににゅるりと戻した堅斗は東条から何かヤベーイオーラを感じたのか、割と素直に黙った。
「というわけで、合同練習をお願いしたいんだけど、いいかしら?」
「え~?いいよ。そいじゃ行きますか。トイレ」
「おハナ摘みとか言うんじゃないでしょうね?」
「正k」
擬音にしたらドグシャア、と鳴ったような音を立て、せっかく戻った顔面が今度は東条のハイヒールを履いたハイキックによって再びめり込んでしまった堅斗であったとさ。
「…シンボリルドルフ、貴女も苦労してるのね」
「はぁ…」
一連の流れを半ば諦めたような顔で見ていたルドルフに声をかけ、東条は外へ出ていった。
数分後、東条と堅斗は互いの担当ウマ娘たちが走っている様子を入念に観察していた。尚、堅斗は自前のノートパソコンに向かいっぱなしである。
「…貴方から見て、どうかしら?」
「んーそうですねー…まずはナリタブライアン。いつも右足でスパートかけるからか、若干重心ズレてます。左脚重視のトレーニングを増やしてバランスを取らせた方が良いっすね。後は…ヒシアマゾンが曲線で強く踏み込み過ぎです。もうちょい力を抜いて走らないと終盤の体力が心許ないですね。フジキセキはこれと言って特に無し。強いて言うならちょっとスパート早め。0,7秒遅くて丁度良い塩梅ですわ。そっちはそれ以外ほぼほぼ問題らしい問題はありません。ウチはやっぱブルボンがスタミナ不足。有酸素運動を長時間させつつ、腹筋背筋腕立て伏せや体幹で同じ体勢を維持させてってやるのが定石ですかね。ルドルフは快調。会長だけに。オペラオーはスパートの時もっと他のウマ娘を意識させる必要あり…そんぐらいっすね」
…恐ろしい。
東条が最初に思ったのはそれだけだ。
目はパソコンから少しもレース場を向いていないのに、まるで透視でもしているかのように自分のチームのウマ娘から東条のウマ娘の癖や改善点までも的確に言い当てる。本人曰く、「音とかこう…オーラ的なので大体わかるンゴ」とのことだが、トレーナーとしてやはり堅斗は天才を通り越して『異常』の領域に入るだろう。尚、性格は除外するものとする()
「…んで?」
「………何かしら」
「いやいや、行かないんすか?おハナ摘m」
東条が持っていた金属バットで容赦なくケツを某大晦日のお笑いバラエティよろしくフルスイングすると、堅斗はグラウンドに吹っ飛んでそのまま地面に垂直に刺さり、犬神家状態となってしまっていた。因みに本人はそのまま足をピンと伸ばして前後に揺らしている。大方「人間メトロノーム」とでも言いたいのだろう。
「………ハァ…」
天才と変態は紙一重ということか、と東条は今日一番のため息を吐いていた。
正直すまんかった()