愛と呪いは紙一重   作:ランハナカマキリ

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シリアスなのかな?
まぁ保険としてシリアスです。



家入黎人は死にかける①

 

翌日、つばめさんに『大事な話がある。』と連絡をうけた。

 

任務は東京の2年ズに肩代わりしてもらったため、呼び出し先のカフェでいきなり手を掴まれたと思ったらタクシーに乗せられ、山奥の人気のない山道に連れてかれた。

 

黎人はこんな状況で恋愛要素を期待するどこぞのポンコツかぐやと奥手白銀とは違う。何故なら彼女が完全に怒っているのがわかるからだ。黎人は今までの人生で様々な呪いや呪術師と戦った。

 

里桜高校では特級呪霊『真人』

 

渋谷では特級呪霊『漏瑚』と呪いの王『両面宿儺』

 

広島コロニーでは130ポイントの江戸時代の遊郭の女帝『天野河天音』

 

なので幾度も敵の殺意や本心に触れることがある。彼女から放たれるオーラもまさにそれなのだ。

 

もし恋愛だったのなら全財産賭けてもいい。

 

黎人は心の中でそう呟いた。

 

▲△▲△▲△▲△

 

「・・・ねぇ黎人くん。君にとって私って何?」

 

「え、「ただの先輩?可哀想な女の子?それとも・・・都合のいい女?」

 

あ、これ恋愛よりの奴だ。帰ったら全財産つばめさんに差し上げよう、彼は心の中で誓った。ハイライトの無い目で黎人を見ながらつばめは言葉を続ける。

 

「ねぇ何で否定してくれないの?ねぇ、ねぇ、確かかぐやちゃん家に招かれたって噂があったよね?昨日は龍珠ちゃんを慰めてたよね?私の間違いじゃなかったら、昔彼女何人もいたんだよね?ほんとなの?」

 

「・・・多少脚色されていますが、事実です。」

 

とうとうつばめさんが狼狽えた。不味い、このままだと小野寺先生経由で母さんにチクられて殺される。何とか、何とかしないと・・・

 

「へぇ、そっか、じゃあ、もういいよ。呪術も結構教わったし、この2ヶ月楽しかったよ?けど私、黎人くんの邪魔になーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

血で濡れてない手で、幼い俺を撫でながら遠い日の記憶の父はこう言いながら涙を流していた。

 

『俺、お前たちの邪魔になるからな・・・元気でな。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめてください。」ーーえ?」

 

「その言い方、その言い方をやめてください。いや、やめろ。」

 

敬語を使わなくなった黎人。黒の右目と蒼色の左目が震えながら訴えかける。

 

「お願いだーーやめてくれ・・・俺はあんたが思うような女たらしじゃない。あんたのことは、あんたのことは友達として大事に思ってる。だから、やめてくれ・・・」

 

「黎人くーーゆる"さない。』

 

「ーーっ!?」

 

ーー殺意ーー

 

慌てて飛び退くと、地面が音を立てて崩壊する。つばめの髪が桃色から黒みを帯びた白に変色する。そして目の角膜と瞳の色が逆転する。

 

黎人はすぐさま空性結界を張り、辺りを包み込む。景色が一面岩畳に包まれる。ここで何が起きても現実世界には何も起きない。黎人の結界術の腕前は五条悟でも到達できない。その腕前は、両面宿儺をも上回る。

 

だからそれは、夕焼けと灰色の世界でより存在感を出した。

 

『ゆ"る"ざなぁぁあいいぃぃ!!!』

 

おそらく南雲玲奈が怨霊と化したのは、大切な主人を守るため。その主人は子安つばめであり、それを害そうとする存在を彼女から遠ざけ守ってきた。

 

しかし彼女は呪術を学び、玲奈が勝手に出てくることを防げるようになった。前より自由に行動が出来なくなってしまった玲奈にとっては悪夢に等しいだろう。

 

自分が守ると決めた主人を守れない。

 

『許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない!!!』

 

だが、黎人が他の女子と話していたことでつばめが作り上げた障壁が壊れてしまい再び玲奈が自由になってしまった。さらに自分をつばめの肉体に憑依させて、呪霊本来の機動力と耐久性を失う代わりに術式効果と呪力量を底上げした無意識の、即席の"縛り"。

 

その凶暴な殺意が黎人に向けられる。

 

『許せない、ゆるさ"ないぃ"ゆ"るざなぃぃぃ・・・つばめ様を弄ぶなぁァァァァァァ!!!!!!』

 

「弄んだ記憶は・・・いや、何を言っても通用しないな。」

 

(不味い。完全に乗っ取られてる。万が一を想定して空性結界を張って正解だった。そうじゃなかったらここら一体塵芥になってる。反転術式で祓うか?いや、そうなった場合受肉された彼女も同時に死ぬ。つまり最善策はーー)

 

猛顎(たけりあぎと)

 

現れたのは体長15メートルを超える白の巨体、屈強な四肢と鋭い鉤爪、頑丈な顎とずらりと並ぶ牙、そして怒り狂った悪魔のような鋭い瞳孔。

 

獣脚類の姿をした式神が、南雲の化身と化したつばめに向かって吼えたてる。

 

黎人は伊邪那美乃胎で産み出された存在。500年に1度しか産まれない五条家の『六眼』を持って産まれ、産まれながらにして術式を2つ持つ。

 

 

これが黎人のもう一つの術式。

 

埜亜乃方舟(のあのはこぶね)

地球上のありとあらゆる生物を式神として使役、自律的な行動が可能である。しかも多くの式神は破壊されると使役出来なくなるが彼の術式はそうではない。式神は黎人の呪力を貰い受け、それを自ら増幅させることができる。どちらかと言うと完全自律呪骸の性質に近いのだ。

 

宇宙をも操る万象操術

全ての生命を使役する埜亜乃方舟。

 

これが黎人を特級にたらしめる要因。

 

(コイツを再起不能になるまで疲弊させて、つばめさんが肉体の主導権を得られるようにする!!)

 

空気の塊を纏いながら、目の前の玲奈に青い瞳を向けた。

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