愛と呪いは紙一重   作:ランハナカマキリ

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皆さん学生時代の夏休みはいつまででしたか?
感想欄で教えてください。
ちなみに私の学生時代最後の夏休みは病院で消えました(涙)

※話の内容を一部変更します。


子安つばめは祝いたい

 

8月31日、日曜日

 

つばめと津美紀は美夜の家で女子会を開いていた。輝紗羅は明星を連れて任務という名の実験に向かっていた為、今この家には女子しかいない。

 

午後5時、●イクラで東京タワーを作っていた。赤のブラックはTNTで出来上がったそれは、もう完成しそうだった。

 

「ふーん。つばめちゃんって4月生まれなんだ。」

 

「あれ?そんな珍しいかな・・・」

 

「いやいや、私の家族って3人とも誕生日が12月だから。」

 

構築術式で構築されたマネキンの腕が、壁にかかっていたカレンダーを取る。

 

伏黒津美紀の家族・・・五条悟、伏黒恵、伏黒甚爾の事である。それぞれ12月7日、12月22日、12月31日生まれだ。強い術師は同じ月に生まれる法則でもあるのだろうか。

 

「あ、確か三輪先輩も4月でしたよ?あと伊地知さんも。というか4月4日生まれって、三輪先輩と誕生日同じですね。」

 

美夜が指摘し、津美紀が相づちを打つ。

 

「あ、本当だ!!」

 

カレンダーをペラペラとめくり、4月のカレンダーを取り出す。子安つばめ、三輪霞の誕生日は4月4日。根明で人気者は誕生日も同じらしい。

 

「じゃあ、来年は祝えると良いね!!」

 

「はい!!あ、美夜ちゃんって誕生日いつなの?」

 

「3月21日生まれです。弟は、4月17日ですね。」

 

美夜はカレンダーに赤ペンで日付に丸を描きながら、話を進める。するとここで、つばめがふいに思った事を口にした。ここで口にしなければ、明日黎人にダル絡みされていたかもしれない。

 

「そういえば、黎人くんの誕生日っていつだっけ?」

 

つばめの問いに、美夜と津美紀はキョトンと首を傾ける。津美紀がカレンダーを手に取ってパラパラとめくり、8月に戻す。そして美夜から赤ペンを受け取り、今日。8月31日に丸をつける。

 

「え、今日だよ?」

「今日ですよ?」

 

 

「・・・やば。」

▲▲

 

場所は変わって京都。

 

既に日は暮れ、夜の帳が下りる時間帯。山奥のダムのそばに建てられた研究所、『呪術高専所属九十九研究所』だ。

 

人間の呪術からの脱却を目指し、日々研究を続けている・・・とはいえ所長は海外をプラプラ、副所長の輝紗羅は駆け落ち、残った職員は1人だけだ。この研究所も大層な目標を掲げているが、実際のところ特殊な呪具や呪物の複製・製造を行っている。

 

その残った職員・・・もとい()の部屋。クーラーの効いた大量のモニタールームで黎人は無言で泣いていた。モニターにはよく分からない数値やグラフなどが映し出されている。

 

「おい、キーボードの上で泣くな。壊れたら弁償させるぞ。」

 

与幸吉、京都校3年の傀儡操術の使い手。去年内通者として暗躍し、真人によって殺されかけていたが、九十九由基と照屋輝紗羅に助けられた。以降、黎人による監察処分として死刑は免れた。

 

ここの職員として働いているが、1週間に一度だけしか来ていない。他の曜日は傀儡のメカ丸1号から6号にこなさせている。

 

移動式の椅子を黎人のそばに寄せ、パソコンのキーボードの心配をする。どうやら壊れていなかったようで、ホッと安堵する。その様子が傷心の黎人の心に引っかかった。

 

「先輩さ、俺が監察(見て)なかったら死刑なってたのに最近辛辣になってきましたね。俺泣くよ?」

 

「・・・お前、五条悟に似てきたな。」

 

黎人は跳ね起き、身震いしながら幸吉の肩を掴んで揺らした。

 

「おい冗談はやめろ!!この間、秀知院にあの五条悟(特級バカ)が赴任してきて胃に穴が空いて、蜂の巣になりそうなんだよ。あとそれから監察対象の先輩に、"誕生日おめでとう"って言われてない。もう死にそうだ・・・」

 

「じゃあ、俺の部屋にアポ無し訪問してんのは八つ当たりか?東京の高専の連中にも京都の高専の連中も、秀知院の生徒会には祝ってもらったんだし、別に良いだろ。」

 

事実、石上におめでとうと言ってもらえた。プレゼントは最新ゲームの攻略本だった。他の生徒会メンバーにも"おめでとう"のLINEは貰えたので御の字だ。

 

でも好きな人に祝って貰えないと辛い。

 

「そう言わないでくれよ、()()()()()〜」

 

「誰が22世紀の猫型ロボットだ!!?」

 

「じゃあ()()()()()()()。」

 

「お前な・・・いい加減にーー」話を聞いてくださいよ〜()()()()()

 

「おい待てやめろ?俺は三輪のことをどう思ってないし、別にそんな邪な感情を持っていない。別に好きでも何でもないんだからな。分かったな?」

 

幸吉が黎人の肩を掴んで左右に揺らした。目が血走り、汗が滝のように流れている。明らかに動揺している。

 

「オー、ワカッタワカッタ、ワカリマシター」

 

「なら良い・・・話に付き合ってやるよ。」

 

与幸吉は三輪霞と極秘交際をしている。だがしかし、周囲からはバレバレだ。京都校では『早くアイツら結婚させろ。』という苦情が出てるレベルだ。

 

「第一、彼女には伝えたのか?」

 

「LINE垢に誕生日書いてる。」

 

マジである。

この男、自分から伝えるのは恥ずかしいからLINEアカウントの紹介文だけにしか誕生日を書いていない。

 

「1番見ないやつだろそれ・・・んなんだから、受肉体のヤバいやつにストーカーされんだよ。」

 

()()()の話はやめろ!!!この間なんか・・・ベットの下の隙間に潜り込んでやがった。何、何なの、アイツ!!」

 

アイツ・・・あの花魁ストーカーの話はまた後日。

 

「あのな、恋情は一線踏み越えると凶情になるんだよ。伏黒と来栖見て分かんないのか?」

 

「あぁ、来栖ね・・・待って?アイツがストーカーやってるのは知ってんだけど、何?先輩アイツが何やってんのか分かんの?」

 

『ねぇペッパーくん、もし私が恵をストーカーしてるのバラしたら・・・ね?』

 

「・・・来栖に、口止めされてるから言わん。」

 

「・・・そうですか。」

 

黎人はこの世の暗部を聞いてしまったような気がした。

 

一方その頃、津美紀の家にて。

 

「あわわわわっ!!?絡まっちゃった!!?」

 

「つばめちゃん落ち着いて!!いい?まずこうやって紐を・・・」

 

「無理無理無理無理無理ぃ!!?」

 

△△

 

瞬間移動とは、SF映画や超能力バトルでよく見る技。A点からB点まで秒も経たずに移動する、そんな技術は現時点で確立されていない。アメリカ海軍の実験で戦艦がワープしたと言う話があるが、本当かどうか確かめる術はない。

 

だが黎人は瞬間移動という()()を操れる。

 

術式反転の会得、それは現在の科学で証明できない現象の操作及び他者への干渉の是非である。その為、黎人は去年のハロウィンにて、羂索と裏梅、改造人間と呪霊のみを超新星爆発で吹き飛ばすという荒技をやってのけた。

 

その黎人は意気消沈して帰路についていた。

 

「あはは・・・もう全部灰になっちゃえ。」

 

『あかん、此奴ならやりかねない。おい小童、誕生日を祝って貰えなかった程度で大袈裟だな。』

 

「黙れ五月蝿い、焼き蛇にすんぞ。」

 

『焼き蛇・・・ん?おい、あそこにいるの小娘でーーちょっまっ。』

 

黎人の自宅のドアの前。

そこにはドアをトントンと叩くつばめがいた。普段の彼女からは分からないほどに、慌ててオロオロとしている。

 

「どうしたんですか先輩っ。」

 

「ほぇ!?いつの間に!!!?」

 

『小娘よ、ひょっとして小僧の誕生日の祝いか?なら地球は安泰だな。』

 

「黙ってろ・・・いや、ありがとうございます。まさか気づいてくれるとは・・・どうしたんです?」

 

つばめは何か重要な事を伝えようとしてオロオロしており、黎人は喋るように促した。落ち着いたのか、彼女は口を開いた。

 

「あ、あのね?津美紀さんに黎人くんの誕生日今日だって教えてもらって・・・私、慌てて近くのケーキ屋さんでケーキ買ってきたんだけど、転んじゃってケーキがトラックに踏まれちゃって・・・」

 

((トラック絶許。))

 

実はこの後、そのトラックが廃車になっていたとかいないとか。

 

「んで、見かねた美夜ちゃんと津美紀さんにアドバイス貰って、ニット帽作ったんだけど・・・難しくって。」

 

((・・・え?ニット帽?))

 

「それで、その・・・これができました。」

 

目の前に差し出される布。それを受け取り、黎人はそれが何なのか理解した。黎人と八岐は文字通り目を丸くした。

 

「この()()()()が出来上がったと。」

 

「はい・・・」

 

顔を真っ赤にして俯くつばめが、出来上がった黒と赤のマフラーを手渡した。

 

初心者にしてはよく出来た方だ。

 

だが!!季節は夏!!!

 

今は夏休みが終わったとはいえ8月31日だ。基本的に夏の日差しが終わるのは9月上旬か下旬までの間。つまり、今マフラーなんぞ渡されたとしても、首に巻いたら間違いなく汗疹とかぶれができる。

 

ならば冬に巻けば良いのでは?

 

そう思う人もいるだろう。しかし、受け取ったプレゼント、しかも手作りのマフラーより既製品のマフラーの方が性能良いし、手触り良いし、何しろ長く使える。もちろん黎人には去年買った物があったため、マフラーには困っていなかった。

 

というか、ぶっちゃけ黎人は周りの気温を変えられるのでマフラーなど要らない。弁当に入っているバランと同じだ。

 

いるようでいらないもの。

 

だが!!しかし!!!

 

「・・・ありがとう、大切にします。」

 

この男、結構甘かった!!好意を寄せる先輩が、自分を思って編んでくれたマフラーをいらないから捨てるほど、黎人はイカれてはいない。うるうるしていたつばめの瞳が再び輝いた。

 

「よ、よかったぁ〜!!胸がドキドキノコしちゃっー「明日からこれ付けて過ごします。別に校則とか引っかかりませんよね?」ーだ、駄目だよ!!?駄目駄目!!」

 

「何でですか?」

 

平然とした表情で質問する黎人。まじまじしながら「えっと、その・・・」という彼女の表情が何よりも愛おしい。周りの人間から見たらなんだお前と言われそうなくらい黎人は上機嫌だった。

 

「・・・私が作ったもの、学校でつけられると恥ずかしいの。」

 

キュンッ!!

 

黎人は心臓が止まり地面に倒れた。この上なく良い顔をしながら、明日からこのマフラーつけて登校する事に決めた。

 

「れ、黎人くん!!!?」

 

〜じゅじゅさんぽ〜

 

三輪「ねぇコウくっ!!コホン、与くん!!」

 

真依・西宮(あ、これコウくんって呼んでるやつだ。)

 

幸吉「なぁ、かすーー!!三輪、少し良いか。」

 

東堂・加茂・新田(あ、これ霞って呼んでるやつだ。)

 

京都校全員(堂々と呼べや!!!)





黎人が誕生日に貰ったもの。
明星、高級プリン
美夜、『高嶺の花の先輩を堕とす方法』という題名の本
硝子、究極の名酒『毘沙門天』
東京高専メンバー、禁煙Tシャツ
京都高専メンバー、高田ちゃんファンクラT
生徒会(石上)、新作ゲーム『●loodborne』
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