愛と呪いは紙一重   作:ランハナカマキリ

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前話修正しました。

呪術本誌読みました・・・
もうダメだおしまいだアババババ!!!

※タイトル変えました


家入黎人/早坂愛/吉野順平は逃げ出したい

9月9日

今日は白銀御行の誕生日!!!

 

そんなおめでたい日の朝、順平と早坂は目の前に聳え立つウェディングケーキと頭に花が咲いたぽんぽこぽんかぐや様を見て絶句していた。

 

「どうでしょう?会長のために特別に発注して用意してもらったケーキです!!会長、ケーキ食べたがってる感じでしたから。とっても喜ぶに違いないわっ!!」

 

かぐやは声を弾ませて嬉しそうに、自分が会長のために用意したケーキについて説明をしていた。

 

それは、ケーキというにはあまりにも巨大過ぎた。

 

下の段から、1、2、3段作り。

通常の誕生日ケーキを1番上にし、2段、3段目に大きくなっていく。真っ白なクリームがスポンジに塗られ、真っ赤な苺がその上で存在感を放っていた。

 

順平は、"五条先生がいつも食ってるやつだ"と現実逃避したが、すぐに現実に目を向けた。

 

「苺も買い付けから行って、糖度17で苺の味が濃厚な物を運よく見つけられてですね!!」

 

今は9月、従来の苺のシーズンから外れており、それでも購入しようと思うならある程度、いや随分お高いのだろう。

 

だが、国の中枢たる四宮の血を引くかぐやは一切の妥協をしなかった。

 

「このスポンジにも秘密があって〜!!!」

 

このまま放っておくと花でも生えてきそうな、いやもう花は咲き誇っているのだが、かぐやはなおも続ける。

 

「このケーキを贈ろうとしたのには、実は黎人くんが関わってるのよ?だって黎人くんったら、つばめ先輩がプレゼントしたマフラーをまだ9月なのにつけてるのよ?やっぱり好きな人からのプレゼントっていいわね!!会長の、泣いて喜ぶ顔が見てみたいわっ!!!」

 

早坂は恥ずいを通り越して絶望していた。

 

(・・・え?私の主人重すぎぃ?)

 

こんなもの付き合ってもない異性に渡されたら、確実にヤバいやつ認定されてしまう。同じ思考に至ったのは順平も同じだった。だから順平は決断した。

 

ぴっ、ぽっ、ぱっ!!

 

トゥルルル・・・

 

「おはよう家入くん。ところで力貸してください。僕じゃどうしようもない!!!」

 

 

 

呼び出された黎人が見たのは3段ケーキだった。黎人は驚いていた。ついでに肩に巻きついていた八岐も唖然としていた。

 

「何コレ?」

 

「何って会長の誕生日ケーキですよ?黎人くん鈍いわね〜。あ!黎人くんにお願いがあったんです。コレ生徒会室に運んでくれませんか?」

 

「・・・え?1人で?」

 

「あら?早坂と吉野くんにも頼むつもりよ?」

 

早坂と順平の顔から、サァッと血が抜けた。彼らがケーキに背を向けてむけ走り出した瞬間、黎人が素早く順平の手を握った。そして同じタイミングで早坂の手を順平が掴んだ。

 

「家入くん!?何のつもりなの!!?」

 

「いやだ!!1人でこの生き恥の責任取らされんのやだ!!!」

 

「『ここは俺に構わず行け!!』とか言えないの!!?」

 

「くっ!ここは私に構わず逝ってください!!」

 

「「巫山戯んな!!お前も道連れだ!!!」」

 

■□■

 

何やかんやあって、3人はまだ始業時間前の裏門に来ていた。後ろにあるのはカバーされたウェディングケーキ(笑)だ。コレを誰にも見られず、形を崩さないように運べと依頼された。

 

「昔はあんなにアホじゃなかったのに・・・」

 

「えっと、大変だね・・・」

 

吉野は項垂れる早坂の頭をヨシヨシと撫でた。

 

「・・・ありがとうございます。欲を言えば吉野くんじゃなくて家入様にヨシヨシされたかった。」

 

「おいお前ら、始めるぞ。」

 

導火線にマッチの火がついた。

 

MISSION START(ミッション スタート)!!

 

「頼むよ?黎人くん。」

 

「了解した・・・ふーっ・・・」

 

黎人は呪力を練り込み、影絵を作り出す。

 

風蛇(ふうだ)

 

現れたのは巨大な翼竜。蛇のように長い鎌首の上には大きな鶏冠。全身に極彩色の羽毛が生えている。牙を持つ嘴と二股に分かれた尻尾。4枚の翼を広げ、空へ羽ばたいた。

 

『まず風蛇が上から見張る。誰かが接近してきた場合、すぐ知らせてくれるだろうな。』

 

『けど建物の中は?』

 

風蛇の活動範囲は基本的に野外に限定されている。山や谷などの広い場所では使えるが、建物の中などの狭い場所では使えない。

 

『そこは俺の式神と、順平の海月に任せてくれ。問題はどうやって生徒会室に辿り着くかだ。』

 

裏口から生徒会室のある別棟に向かう3人。誕生日ケーキを手押し車で押しながら、素早く移動する。

 

(・・・私何やってるんだろう。)

 

(深く考えたらダメですよ?考えたらダメです。)

 

校舎の壁際をつたって、別棟まであとわずかというところまで辿り着いた。黎人が校舎の影から歩み出そうとした瞬間。

 

「あ、黎人〜どうした?」

 

石上優、一年前の順平にめっちゃ似てる子が現れた!!

 

(((優っ!?/会計くん!?/えっ!僕!?)))

 

「よ、よぉ。お前にしては早いな・・・」

 

「まぁ、お前にスパルタ式に扱かれて課題終わらせたからな。やっぱまだ慣れないな、そのマフラー。暑くないか?」

 

「い、いや別に・・・」

 

「ん?後ろにいるの誰ーーー」

 

(万象操術・睡魔(ヒュプノス)!!)

 

黎人が吹きかけた青い煙には、人に麻酔のような現象をもたらす。

 

「ふにゃっ・・・」

 

石上は眠った。

 

彼らは急いで別棟に入り込んだ。順平の小さなクラゲの式神が玄関から生徒会室までを泳ぎ回る。黎人も呪力を練り直していた。ここからは風蛇の活動範囲外、なので室内向けの式神を出す。

 

戯鰐(ぎわに)

 

床から滑りと現れたホオジロザメ並みの大きさのサメ。6つの目をギロギロと動かしながら床を泳いでいく。戯鰐は床や壁を泳ぐ式神、どんな障害物を通り抜けられるのだ。

 

「・・・中に誰もいない。今のうちに急げ!!」

 

『ここからが難関です。どうやって放課後まであのケーキを死守できるんですか?』

 

『そこは、"帳"を。それも四宮先輩を入れる代わりにその他全ての人が入れない帳を。特定の個人に作用する"帳"を下ろすには時間かかるから、その間誰も近寄らせるな。順平は式神で生徒会室周辺を監視、早坂は校舎で誰も生徒会室に近寄らせんな。』

 

『はい。/承知致しました。』

 

ここまでは上手く行った。

 

そう、ここまでは・・・

 

「あれ?黎人くんじゃないですか〜」

 

「っ!?」

 

対象F、出現!!

 

慌てて部屋の脇の扉を閉める黎人。

 

(バカな!!玄関の方に順平が居たはず・・・もしや、トイレに行っていたのか!!?)

 

黎人の失策!!!

 

彼は生徒会室に誰かいる可能性だけを考慮しすぎてしまった。藤原の足が、どんどん黎人に近づく。"帳"の設定中に術式は使えない。もしウェディングケーキを見られたら、確実にバレる!!

 

もうダメか・・・そう思った瞬間!!

 

〈春の夜の 夢ばかりなる 手枕に〉

 

〈かひなく立たむ 名こそおしけれ〉

 

窓から吹き抜けてきた、春の穏やかな空気。

 

「んっ〜?はへ〜?」

 

そのままソファに倒れ眠る藤原。目の前に現れた人物に、黎人は安堵のため息をついた。美夜だ。美夜の術式、『移季乃舞姫(いきのまいひめ)』は口に出した百人一首を使った術式だ。具体的な効果は彼女が決める。

 

今回は春の眠気をプレゼントしたらしい。

 

「助かった・・・あ、"闇より出て闇より黒くその穢れを禊ぎ祓え"」

 

降りる"帳"、疲れ切った黎人はソファにグッタリとした。

 

「呼び出しておいて酷いわね、バカ兄貴・・・そのマフラー似合うわね。つばめさん色に染まる日も近いんじゃない?」

 

「ばかめ、つばめ先輩が俺色に染まるんだよ。」

 

とにかく紆余曲折あったが、黎人達の任務は終わった。だが早坂と順平は、夜に大量のケーキを食う羽目になる。




オマケ
黎人が白銀に送ったプレゼント。
(アイツ睡眠不足っぽいし・・・コレでいいか。)

牡蠣の写真が印刷された抱き枕カバー。
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