愛と呪いは紙一重   作:ランハナカマキリ

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この作品の五条悟は以下の方法で宿儺に勝っています。
・無制限の虚式発動。
・宿儺瀕死の重傷、摩虎羅が消滅する直前に五条の心臓を刺し宿儺の斬撃で上半身チョンパされる。
・五条一時死亡、彼岸を彷徨う。
・宿儺、鹿紫雲及び高専側と戦闘。羂索、五条の死体を乗っ取ろうとしたため黎人が割って入る。
・羂索死亡、黎人瀕死、乙骨重傷。
・五条現世行きの飛行機に乗り復活、史上最強の術師となり宿儺を消滅させる。


伊井野ミコは正したい

それは運命だったと伊井野は言った。

 

「あのね?初めて会った時、『君、風紀委員?一年生なのにしっかりしてるね!!頑張ってね〜』って応援してくれたの!!!この思いってもう()()じゃない!!?」

 

「ミコちゃん?その人ってまさか・・・」

 

 

 

 

 

一年の教室、その隅で黎人と石上は差し迫る模試に備えていた。とはいえ、黎人は学習せずに石上に数学のグラフ問題を解かせていた。必死に机に齧り付く石上の脳内には、1学期粉砕されたマネキンの姿が映されていた。

 

その様子を見ていた者たちがいた。

 

「ねぇ、あれって家入先輩だよね?何で石上と?」

 

「1学期から一緒らしいよ?似たもの同士仲良いんじゃない?ていうかあの目隠し見えてんの?キモッ。」

 

「うわっこっち見た・・・行こ行こ。」

 

 

 

 

「ボロクソ言われてるが気にすんな。俺にとってあんなクズどもの、親の威を借りるクソ雑魚どもの言う陰口ことなんぞ痛くも痒くもない。」

 

「お前の方が酷いこと言ってるけど?」

 

石上は目の前に座る黎人のアドバイスに苦言を言った。

 

「うるせぇ、子供の頃から人の暗黒面を見る仕事してきたからな。だいたい慣れるんだよ。嫉妬、怨恨、辛酸、後悔、恥辱、etc。そういうのの集合体が呪いなんだって前話しただろ?人がいる限り呪いは産まれる・・・たっく、今考えると呪術師ってエンドレスマラソンゲームだな。」

 

「くそくそ」っと呟いて天井を仰ぎ見る黎人。そんな彼に、石上は聞きたいことがあった。とはいえ、これはあまりにもデリカシーのない発言じゃないのかと思っていたが、もうこの際聞いてしまおう。

 

「・・・黎人ってさ。なんで俺の面倒見てくれるんだ?」

 

黎人は唐突の質問に少しの間固まり、座り直して口を開いた。

 

「そんなの親友(ダチ)だからに決まってんだろ。」

 

「・・・後悔したりはしてないのか?俺と同じやつみたいに言われーー「知るか。だっていちいちお前みたいにさ、生真面目に自分の行動を考えて後悔してたら、ただのバカだ。」

 

黎人は机に身を乗り出して、言った。

 

「この世で1番上手くいくやつは、()()()()()()()()。」

 

「・・・俺もお前みたいな割り切れる脳みそ欲しかったな。」

 

石上は解き終わったグラフの問題を見せ、採点する黎人に呟いた。黎人は採点しながら苦笑する。どことなく哀愁漂わせる笑みを浮かべた。

 

「・・・馬鹿が。持ってても後悔するだけだぞ?それより、今度の模試・・・クラス上位に入らなかったら、次の模試まで逆立ちで授業させるぞ。」

 

「ひぃぃぃ!!!」

 

△▲△▲△▲△▲△▲△▲

 

翌日、生徒会選挙の中間結果が出た。

 

そして何故か、夏休み前まであれだけ二期目やらないと言っていたはずの白銀も出るらしい。

 

「何でお前二期目やるんだよ。」

 

「あぁ・・・やりたくなったしな。」

 

どうせ四宮案件だろうな。

 

『む、恋愛の匂い!!!』

 

(黙ってろ蛇。いい加減祓うぞ?)

 

「お!会長ぶっちぎりじゃないですか!!」

 

「これは勝ったも同然ですね。」

 

校舎内の廊下に貼られた一枚の学内新聞。そこに書かれていたのはとあるアンケートの結果だった。内容は、生徒会選挙に出馬する三人の生徒の中で誰を支持するか。

 

その三人。

 

白銀御行、伊井野ミコ、本郷勇人。

 

その3人のうち白銀は、アンケートに答えた生徒の過半数の50%の票を手に入れていた。これはもう勝率大だ。だが白銀の意見は違った。

 

「いや、予測の数字なんて当てにならん。前期の活動で俺達の名前を記憶してる層が多いだけだ。他の候補者の活動次第で、この数字は変動しうる・・・油断は禁物だ。」

 

「そ、そう、ですね。油断は禁物です!!」

 

白銀の態度に引っ張られ、石上と千花の緩んだ表情が引き締まる。尊敬する同期と先輩の態度に自分の態度を改めたのだ。

 

(ーーーいやもう勝っただろ!!)

 

以外!!白銀はさっき口にした言葉とは全く真逆の事を考えていた。アンケートの事前予想の数字を鵜呑みにして完全に油断しきっていた。

 

その点、1番先を読んでいたのは黎人だった。

 

「・・・確かに、本郷は追い上げてくる可能性がある。にしても、1番危険視すべきは伊井野ミコだな。」

 

石上の顔に驚きが現れる。

 

「え!?あいつ出てんの!!?」

 

「あぁ・・・世も末だな。」

 

2人は伊井野ミコに目をつけられている指名手配犯。

奴とは犬猿の仲なのだ。

 

「あ・・・あそこでビラ配りしてるから話してきたらどうです?あれ、黎人くんは行かないんですか?」

 

「地学の課題提出してくる。」

 

▼▽▼▽▼▽▼▽

 

黎人の術式はありとあらゆる現象を操る。

 

地震、台風、火山の噴火、銀河の誕生。

その全てを操るためにはその現象が発生する経緯を知識として脳内に入れなければならない。

 

ちなみにあまりにも大きすぎる現象(ビッグバンやブラックホール、超新星爆発など)は領域内でしか出せない。

 

地学の課題を提出し終えた黎人は廊下で、知った顔と会った。

 

「うぇーいカス兄貴。可愛い妹が来てやったぜ。」

 

家入美夜だ。

 

「何しにきやがった。ここ高校練だぞ?」

 

「国語の先生のお手伝いした帰りで〜す。職員室同じなの知らないの?てかこないだ藤原さん眠らせて助けてやったのに、酷くない?」

 

「お前・・・何か隠してないか?いや、隠してんだろ。」

 

ピクリと、美夜の口が引くついた。

 

「図星だな。お前、何の情報握ってんだ?」

 

「・・・言うわけねーだろ?このカス。」

 

「チッ、死ね愚妹。」

 

「あ"?」

 

悪態をついた両者。

冷え込んだ空気がさらに殺気を帯びる。

 

美夜が手のひらに術式の扇を出し、黎人が虚空から絡百節の槍を取り出す。

 

「これで私が勝ったら、特級の称号返上しな?」

 

「泣いても知らなーーってありゃ?」

 

黎人の視線は美夜ではなく、中庭の方へと向けられていた。

 

△▲△▲△▲△▲

 

中庭、伊井野ミコが生徒会メンバーと討論を繰り広げていた。何と伊井野が藤原を生徒会に加えるという暴挙に出て、説得しようとした石上と白銀を伊井野は言い正した。

 

「失礼ですが、私は白銀前会長の生徒会には問題があると思います。あらゆる校則を破り!!未成年喫煙に授業中に途中下校する!!そのくせ成績上位!!!学校生活態度不良の黎人先輩が生徒会にいるのはおかしいと思います!!」

 

「おい伊井野、黎人は生徒会に必要な戦りょー「石上は黙ってて!!この不良!!」・・・会長、俺やっぱコイツ嫌いです。」

 

「とにかく!!今度の生徒会選挙、藤原先輩を引き入れるためにも頑張ります!!!」

 

「覚悟しておいて下さいね!!」

 

 

「「いや、何で寝返ってんだよ。」」

 

「ん?どうした優。」

 

「あ!黎人!?実はコイツがカクカクシカジカ〜」

 

「うわ〜なんか言い返せない。」

 

日本は"変"に対して不寛容、だからLGBTへの理解やオタクへの理解は少ないし、奇抜な少数派を普通の多数派が虐めることが正当化され、呪いが増える。

 

その中で"変"の代表格は呪術師だろう。

 

長身目隠し、三つ編み前髪、右半身全裸、変な前髪教祖、チョンマゲ性癖ゴリラ、魔女っ子、斜め前髪、男の娘、etc・・・

 

とはいえ、ファシャンに関してはまともな部類に入る黎人にとって先程の伊井野の発言は納得できないものであり、なかなか言い返せないものだった。

 

「っ!!噂をすれば・・・ん?後ろの方は?」

 

「うわっ、何この先輩。ぜんっぜん敬おうって気が湧かないんですけど?」

 

「ぷぷっ!」

 

「はははは!!!」

 

黎人についてきた美夜が思ったことを口に出した。

 

石上が思わず吹き出し、黎人は爆笑した。

「ちょっ!?貴女だれです!?その制服中学生ですよね!?先輩には敬語を使いなさい!!」

 

「家入美夜〜てか・・・この先輩ぜんっぜんタイプじゃないから敬わないで〜す!!」

 

「ムキィィィ!!!」

 

飛びかかろうとする伊井野を慌てて大仏が制止した。

 

その瞬間。

 

「い〜ね〜!!青春してるじゃん!!!」

 

「「「「「五条先生!!?」」」」」

 

サングラスに青シャツ姿の五条悟が現れた。

 

「ごめんね~。黎人たちさ、ミコの事をだ〜いぶ意識してるみたいで・・・も〜美夜ったら先輩敬わなきゃダメよ?お母さん悲しいわ?グスン!!」

 

「うげっ!!キモいからやめろ。その格好で良くオカマになれるな?」

 

「五条、先生・・・あのっ!!先生に、お願いがあるんです!!」

 

「ん?なになに?」

 

(あれ、なんか嫌な予感・・・っ!?この未来は!?まさか!!!?)

 

黎人が宙眼で見た未来、それは照れた伊井野が五条からの返事を嬉しそうに聞く未来だ。

 

(火照った頰、純粋な瞳、何かしら意味を含ませた喋り方・・・ま、まさか!!?)

 

自身も恋する乙女である美夜、伊井野の顔が完全に恋する乙女そのものだった。

 

「私が生徒会長になったら生徒会の顧問を継続した上で!!風紀委員会の顧問になってくれませんか!!!」

 

((まさかコイツ五条に!!??))

 

「え?いいけど?楽しみにしてるよ〜!!「っっ!!はいっ!!」ーーんじゃ!!!」

 

五条が去っていく姿をじっと見つめる伊井野。

 

黎人と美夜の脳内には、

 

『新任秀知院教師。教え子と熱愛か?』

 

『秀知院で発生した不純異性交遊!!』

 

などのテロップが流れた。2人は勢いよく伊井野の肩を掴み、怒号とも取れる音量で捲し立てた。

 

「ちょっと待って!!何?アンタまさかあの男に惚れてんの!!!?」

「伊井野早まるな!!ぜっっったい後悔するぞ!!!いや確実に!!!!」

 

「な、何で五条先生を悪人みたいに決めつけるんですか!?白銀前会長の周りには碌な人が集まらないみたいですね!!!」

 

五条に想いを寄せたであろう伊井野が赤面しながら言い返した。

他の生徒会メンバーも慌てて説得する。

 

「ミコちゃん?絶ッッッッッッッッ体やめた方がいいよ!!?五条先生何やったのか知ってる?女子の制服着て学生料金で購買弁当食べようとしたんだよ!?まぁ面白かったけども!!!」

 

「だからです!!普通じゃ考えられないことをする臨機応変で割り切れる頭!!何もかも見通してるような慈愛の目!!こういう人が生徒会や風紀委員会に必要なんです!!!」

 

「ヤ、ヤバい・・・こいつ本っ気でヤバい!!!」

 

「伊井野、お前まさか脳の病気か?救急車呼ぶか?いや救急車呼べ!!」

 

狼狽える石上と、救急車を呼ぼうとする白銀。

 

「な、何で私の邪魔するんですか!?」

 

「「絶対後悔するから止めてんだよ!!!」」

 

美夜は伊井野の隣に立っていた大仏に泣いて縋った。この世にこのアホを説得できる者がいるのなら、もう彼女しかいない。

 

「大仏先輩!!この人頭おかしいんじゃないですか!!?()()五条悟に惚れてんですよ!!!精神年齢中学生みたいな人に!!絶対持て遊ばれて絶対後悔します!!!」

 

「いや、私も五条先生は生徒会及び風紀委員会に必要だと考えます。それに、私は・・・ミコちゃんの友達です。友達の恋路は応援します。」

 

悲報、味方になってくれなかった。

 

プンスカ怒りながら立ち去る伊井野ミコ。生徒会メンバーは唖然と見送ることしかできなかった。

 

沈黙を破ったのは美夜だった。

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!私もう転校する!!!()()()()()()が副会長になるだけならまだしも!!天上天下唯我独尊男が風紀委員会の顧問になって生徒と熱愛!!!?無理ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!圭ちゃん連れて駆け落ちするぅぅぅ!!!」

 

「しれっとウチの妹と駆け落ちすんなぁ!!!」

 

「なんか私貶されてる!?」

 

阿鼻叫喚する美夜を尻目に、黎人は石上に一通の封筒を手渡す。

 

「優、これ念のために待っといてくれない?俺の遺書、遺産はお前とつばめ先輩で分けてって書いてあるからさ?」

 

「待って早まんな!!まだ負けてねーから!!」

 

「ハッ!!優、お前天才!!おい会長!!優!!あと藤原先輩!!この馬鹿の為にも、全力で伊井野派(彼奴等)を潰すぞ!!!」

 

「「「お、おす!!!」」」

 

黎人ら生徒会組が、異常な結束力を見せた瞬間だった。

 

〜じゅじゅよこく〜

 

五条「最近秀知院の風紀委員の女の子にしょっちゅう声かけられるんだよね〜」

 

家入「通報した。」

 

五条「待って待って!!?手出してないから、僕のマニュフェストは30代の酒と野球好きで顔に傷のある巫女服着た女の人だから!!?」

 

家入「次回、『家入黎人は演説したい』お楽しみに〜」

 

五条「教え子がストーカーされてるし、娘みたいに思ってた女の子が駆け落ちしたんだよ!!?僕が恋愛してもいいじゃん!!!?」

 

家入「どっちみちアウトなんだよ、このクズが。」

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