『SPY×FAMILY』×『Lupin the Third』〜輝く宝石はスパイと泥棒を呼ぶ〜   作:VOSE

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第9話〜鴉〜

…時は昨夜に遡る…

とある倉庫に、タクシーが来た。

そこから降りてきたのは、その場所とはかなりかけ離れた服装を着た女性である。

まるでパーティーにでも参加するようなピンクの豪勢な服を着たその女性の名は、グレース・マクラルーン。

真剣な眼差しで倉庫の方へ歩いたグレースは、何の躊躇いもなく中へと入る。

そこで待っていたのは…

 

「遅かったな」

 

一色を黒の衣装で纏った1人の男…ルパン達を襲った黒ずくめの男である。

 

「悪かったわね。遅くて」

 

グレースは男と対峙するように歩み、十分距離を取ったところで止まった。

 

「さて…約束は守ったんだろうな…」

「約束?あぁ…資金援助ね」

「『東国(オスタニア)の夢』を持ってきたんだろうな」

 

男はまるで急かすようにグレースに言い放つ。

そんな男の様子を見たグレースは…

 

「あぁ、それね…申し訳ないけど、隠したわ」

 

と、嘲笑うように話した。

だが、男はそんな事を既に見透かしていたかのように、グレースと同様嘲笑った。

 

「…俺を見くびるなよ…」

「とか言って、自分は対して何もしないくせに」

「黙れ、小娘」

 

男はグレースの挑発に、苛立ちを感じて強めの口調で言った。

しかし、グレースは一歩も引かなかった。

 

「別に、殺してもいいわよ。そのかわり、『東国(オスタニア)の夢』のありかを失うことになるわ」

 

グレースはそう言って男を動揺させようとした。

だがまたもや、男はグレースの言葉に臆するどころか、余裕な表情をみせた。

グレースはその様子を不思議そうに見たが、その答えはすぐにわかることになる。

グレースの後ろで気配がしたため、グレースはすぐに動こうとしたが…

カチャッ…

銃を構える音が聞こえ、後頭部には冷たい鉄の感覚がした。

 

「あら、教えてくれなくてもいいのよ」

 

ふと後ろから女の声が聞こえてくる。

 

「言っただろ?俺を見くびるなとな?」

 

男は勝ったと思わんばかりに思いっきりのニヤつきを見せた。

 

「…あなた、何者?」

 

グレースは後ろにいる女に声をかける。

 

「峰不二子。これが私の名前よ」

 

女…峰不二子は自分の名前を名乗ったあと、グレースに耳打ちをする。

 

「峰不二子…たしか、ルパン三世と共に動いている一味の1人…」

「でも今は別行動。ちょっとルパンとは喧嘩しちゃってね」

「なるほどね」

 

グレースははぁとため息を吐き、やれやれと言わんばかりに口を開く。

 

「『東国(オスタニア)の夢』はとある子供が持っている。それ以上は言えないわ」

 

グレースの言葉に、周りにいたであろう黒ずくめの男の仲間らしき人らがしびれを切らして声を荒げた。

 

「ふざけんな!」

「この国に何人子供がいるとおもってる!」

「お前がこの国から逃したら世界中回らないと見つからんぞ!」

 

男らの声にグレースははぁとまたため息をついた。

 

「ならば拘束して拷問でもすれば?私はどのみち追われる身でもあるし」

 

そのグレースの言葉に、リーダーの黒ずくめの男は興味津々とばかりに目を光らせた。

 

「ほう?追われてるのか?」

「えぇ。マクラルーン家の家宝でもある『東国(オスタニア)の夢』を持ち出したのなら、父はカンカンに怒って私を地の果てまで追いかけてくるでしょうね」

「なるほどな」

 

黒ずくめの男はフッと笑みを浮かべ、グレースに近づいた。

 

「ならば、俺ら『東西統一協力戦線』の仲間にならないか?そうすれば匿うこともできるぞ」

「あら、いいのかしら。どうせ拷問でもするのだろうけど」

「さぁな」

 

男の提案に、グレースは顔がわからない男の顔をじっと見つめたあと…

 

「いいわ。入っても」

 

あっさりと提案に合意した。

 

「では、ようこそ『東西統一協力戦線』へ」

 

男はニヤリと笑ったあと、グレースに膝をついてグループ加入を祝福した。

こんなあっさりとした、茶番に似た合意劇にグレースの後ろで銃を構えていた不二子は…

 

「…ふぅん…」

 

つまんなさそうに口を尖らせながら銃口を下ろす。

 

「それじゃ、あなた様は特別な部屋へご案内しましょう」

 

黒ずくめの男はそう言ってパンと手を叩くと、男の後ろから手下らしき男が姿を現した。

手下の男も黒いスーツと黒のソフト帽といった全身黒ずくめのスタイルである。

 

「ありがとう」

 

グレースは手下の男の後を追うように歩き出そうとしたその時だ。

 

「あ、そうそう…」

 

グレースはあることを聞こうと、足を止めた。

 

「ねぇ、あなたの名前は?」

 

グレースは黒ずくめの男に名前を名乗るように聞いた。

男はわずかに見える人相を変えず…

 

「クロウ…仲間ではそう呼ばれている」

 

と、あっさりと自分の名前を明かした。

 

「そ、それじゃよろしくね」

 

グレースはそう言うと闇の中へと消えていった。

 

「…まぁったく、何にも面白くないじゃない」

 

グレースがいなくなったのを見計らって、不二子が不満そうに愚痴をこぼした。

 

「別にいいじゃないか。彼女はゲームを持ち込んできたのだぞ?」

「だからといって、易々と仲間に受け入れるのはどうかと思うわ」

 

不二子の言い分はごもっともで、不二子にとっては急に現れた女をすぐに入れたのは、不信感以外何物でもないのである。

しかし、男…クロウは余裕の顔を崩さなかった。

 

「何、彼女を仲間になんてするわけない。現に君は仲間としてここに居るわけではないだろう?」

「えぇ、まぁそうね」

「それに、彼女から宝石のありかを聞き出せなくても()がいるからな」

 

男がふっと笑って不二子を見ると、その反応で不二子は納得した表情を見せた。

 

「あぁ…なるほどね」

 

不二子はクロウの言葉で、ルパンがマクラルーンの家に忍び込んだことがわかり、納得したもののどこか腑に落ちないところも見せた。

 

「…どうした?不二子くん」

「いえ、気にすることではないわ」

「ならば良いが。さて…」

 

クロウはふぅと一息ついて、黒の帽子を取った。

その帽子の中は鼻の部分が嘴のように尖っているマスクをつけており、人相はわからなくなっている。

そして髪の毛は、本当に(クロウ)のように漆黒だった。

 

「私はこの後ディナーに行くのだが、不二子君はどうかな?」

「私は遠慮しておくわ。烏と食事だなんて食べられたものじゃないわ」

「残念だな。今日は高級フレンチでも共にどうかと思ったが」

「だって、私は仲間じゃないでしょう?」

「あはは、これは一本取られたな…それならば、不二子君はルパンの動向をお願いしてもよろしいかな?」

「いいわ。ルパンなら任せて」

 

不二子は手をひらひらとさせながらバイクのヘルメットを取って倉庫から出た。

しばらくして、バイクの音がけたたましく鳴り、そして静かになると、クロウは手をすっと上げた。

すると、影から子分らしき男が現れた。

 

「…クロウ様、お呼びでしょうか?」

「不二子の後を追え」

「了解しました」

 

男はクロウの言葉を受け、再び影に隠れた。

 

「…あくまでそれだけの関係さ…不二子君」

 

クロウはニヤリと笑いながら、子分同様影の中に入ったのだった…




いかがでしたでしょうか?
だいぶ遅くなりましたが、明けましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします
今回の話は少し自分の中でもどうかな?と思うストーリーではございますが、今後の展開でなんとかいい感じに持っていけたらなと思ってます
では今回はここまでに
次回も楽しみに
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