『SPY×FAMILY』×『Lupin the Third』〜輝く宝石はスパイと泥棒を呼ぶ〜 作:VOSE
…マクラルーン家のパーティーから一夜明けたフォージャー家…
昨日のパーティーで最後にトラブルに見舞われたものの、参加していたロイド達はすっかりご満悦な気分に浸っていた。
「ロイドさん、昨日のパーティーとてもよかったですね!」
「はい。貴重な体験できてよかったです。これも全て、アーニャのおかげだからな」
「はっはっはー、もっとうやまえ!」
「その言葉、どこで覚えた…」
朝食を済ませたフォージャー一家は、それぞれ仕事、学校の支度を済ませることにした。
(…これでよし!)
アーニャは今日必要な道具を鞄に詰めた後、ふと机の上に置いてある煌びやかな箱を見た。
(これをじなんにみせびらかしたら…)
アーニャはいつもの妄想を膨らませた後、その箱を鞄の中に入れた。
「おい、アーニャ。そろそろバスが来るぞ」
「あ、まって〜!」
アーニャは入れた後に慌てて玄関を飛び出し、すでに来ていたスクールバスに飛び乗った。
「ふぅ…」
アーニャは間一髪で乗り込んだことに安堵の一息を入れた後、バッグの中をこっそりと見た。
(…これでせかいへいわ…!)
この時、アーニャの笑顔がかなり不気味だったらしく、周りの子たちはかなり引いていたとか…
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…バスを走らせてから十数分後…
バスはイーデン校の校門をくぐり止まった。
アーニャがバスを降りると…
「アーニャちゃん!おはよう!」
車からちょうど降りてきたベッキーが挨拶してきた。
「ベッキー、おはざます」
「昨日アーニャちゃん大丈夫だった?」
「きのう?」
「ほら、マクラルーン家でボヤ騒ぎあったでしょ?」
「ぼや…?」
「小さな火事よ…全く、その様子だと平気みたいね」
ベッキーは変わらないアーニャの様子にあきれながらも安堵した様子を見せていた。
「それで、パーティーはどうだった?」
「すっごいきらきらしてた!」
「そりゃパーティーだもの…ほかには?」
「ぴーなっつがいつもよりおいしかった!」
「またピーナッツなの?飽きないわね…ま、それがアーニャちゃんだけれども…」
アーニャとベッキーは校舎の中に入り、授業を受けるため教室へと向かっていると…
「…よぉ」
黒髪の男の子が二人の前をふさぐように歩いていた。
その男の子の後ろにはおかっぱ頭の男の子と、顔が細長い男の子もいた。
「げぇ、また何か用なの?ダミアン」
「悪いかよ」
黒髪の男の子はベッキーの言葉に、いつものように突っかかるような口調で返事した。
この黒髪の男の子はダミアン・デズモンド…ロイド・フォージャーもとい『黄昏』のターゲット、ドノバン・デズモンドの次男坊である。
次男であるため、アーニャはいつも『じなん』と呼んでいる。
「あ、じなん。おはやいます」
「うっせぇ、ちんちくりん」
「ふがっ!」
アーニャがダミアンに挨拶すると、ダミアンはいつものようにアーニャをあしらうように挨拶した。
その返事にアーニャは少しだけショックを受けたような素振りを見せた。
「まぁたアーニャちゃんをいじめてる」
「いじめてなんかねぇ」
いつになく冷たい態度を取るダミアンに、アーニャははっとした様子でおもむろにバッグの中からあるものを取り出した。
「じなん、これを見ろ!」
「ん?」
アーニャが取り出したのは、グレースがくれた宝石箱だった。
アーニャは自慢げに、そしてドヤ顔でそれをダミアンに見せようとしたが…
「…宝石か…うちにはたくさんあるけど、興味ねぇ」
当の本人は何も気にしない様子でその場を去った。
(がーん!またもや…なかよしさくせん…しっぱい…)
アーニャはがくりとその場にうなだれてしまった。
逆にその宝石箱に興味を持ったのは…
「アーニャちゃん!?何この宝石箱!?」
隣にいたベッキーである。
「きのう、ぐれーすさんからもらった」
「グレースさんから!?すごい綺麗…中何が入っているんだろう…」
ベッキーは宝石箱を調べようと中を開けようとした次の瞬間だった。
「こらぁ!」
後ろから怒鳴り声が聞こえた。
声の主はイーデン校の教師である。
「君たち、一年生だね?なんだ?その箱は!」
「こ、これ…たいせつなもの…」
「君たちも知ってるだろう?この学校では余計なものは持ってこないって…」
「…はい…」
「あ、あのこの子は悪くないんです!今日たまたま持ってきただけで…」
アーニャが先生に怒られているところを、ベッキーは一生懸命に弁明した。
と、その時である。
アーニャはふと、先生の心の声を聞いた。
その声は、先生の声とは全く違う声で…
(ったく…早くそれ回収しないと本物が起きちまう…)
と焦っているような声を聞こえたのだ。
(…このひと…せんせいじゃない…それじゃ…だれ?)
アーニャは少しずつ、後退りしながら先生…の偽物とベッキーの口論を見ていた。
そして少し決意したのか…
アーニャはとっさにベッキーの腕を掴んで逃げ始めた。
「ちょっと、アーニャちゃん!?」
「ベッキー!あのひと、にせもの!」
「え!?どういうこと!?」
「あのひと…せんせいじゃない!」
「どうしてわかるの!?」
「わからないけど…なんかちがう!」
アーニャとベッキーに逃げられた先生の偽物は…
「あ!こら待ちなさい!」
すぐさま2人を追いかける。
その最中、先生の偽物は耳に手を当てた。
そして小声で…
「おい次元!気づかれちまった!」
と、先ほどとは違う声で何処かへと連絡を取った。
実はこの先生…ルパン三世が変装しているのである。
耳にはトランシーバーを付け、別の場所で待機していた次元大介と連絡を取っていたのだ。
「気づかれた?どうして急に」
トランシーバー越しの次元も驚きを隠せない様子だった。
「さぁな…あのピンクの髪の子、何かあるな…」
「何かって何が」
「それはわからねぇが、とりあえず俺は追いかける!」
アーニャとベッキーは先生の偽物から逃げるために全速力で構内を駆け巡った。
先生に化けたルパンも、2人を追い詰めるべく走っていく。
しばらく鬼ごっこをした後…
「…嘘でしょ…行き止まり…」
アーニャとベッキーは逃げ場のないところに逃げてしまった。
「…ごめん…ベッキー…」
「謝らなくていいのよ…私はアーニャちゃんの言葉を信じるわ」
「ありがとう…」
しばらくして…
「はぁはぁ…」
ルパンがようやくアーニャとベッキーに追いついた。
普段ならすぐに追いつけるはずのルパンであったが、授業開始前の小学校のためそれなりに生徒がいたということと、ベッキーの機転によってちょこまかと動いていたためさすがのルパンでも見失ってしまい構内を駆け巡った結果、偶然アーニャとベッキーに遭遇したというわけだ。
「全く…先生の手を煩わせて…さぁ、その持ってるものを渡しなさい」
ルパンはゆっくりとアーニャの持っている宝石箱を取ろうと、手を伸ばした。
「っ…」
アーニャは涙目になりながら、宝石箱を腕の中で固く抱いている。
ベッキーはその様子を見て不安になりながらも、アーニャの前に出てゆく手を阻んだ。
「さぁ…それを…」
と、ルパンの手がアーニャ達に届きそうになった次の瞬間…
「おい!そこで何をしている!」
後ろから声が聞こえた。
その声は、ルパンが化けている先生の声とそっくり…いや、同じ声だ。
ルパンが慌てて後ろを振り向くと…そこにはもう1人、同じ風貌の先生が立っていたのであった…
いかがでしたでしょうか?
前回からだいぶ空いてしまいましたが、今後ともこの調子でやらせていただきますのでよろしくお願いします。
では次回、お会いしましょう。