『SPY×FAMILY』×『Lupin the Third』〜輝く宝石はスパイと泥棒を呼ぶ〜 作:VOSE
…バーリントのとある廃墟ビル…
そこそこ高いビルの屋上から、1人の男が街を眺めていた。
「…ここにいたのね、クロウ」
クロウの後ろから声が聞こえてきた。
「…不二子くんか」
振り返ったクロウの奇妙なマスクの目に、不二子が反射して映る。
「こんなところで何してるの?」
「あぁ…これから花火が打ち上がるんだ」
クロウはそう言うと、また顔を街に向けた。
「花火?なんのこと?」
「今、仲間たちがスタンバイしている」
「なるほど」
不二子は何か納得した様子でクロウの隣に来た。
「そういえば…」
不二子は何か思い出した様子でクロウに質問した。
「グレースって子…最初会った時から見てないけれど…」
「あぁ…彼女のことか」
クロウはそう言いながら指をとある方向へと向けた。
その指の先には…ビルの鉄塔からぶら下げられたグレースがいたのだ。
「あらあら…あんな可愛い子をそんな風に扱っていいの?」
「彼女はやはり我々を裏切るつもりだったらしい。だからこうさせてもらった」
「裏切るつもり?どういうことかしら?」
「彼女は、何かの目的があって我々に近づいてきたらしくてね…協力する気は鼻からなかったってことだ」
不二子はクロウの説明を聞いて納得したかのように頷いた。
「さて…そろそろいい頃合いかな…」
クロウはふと、時計を見て街をまた覗く。
「どこから花火上がるのかしら?」
「まぁ、見ているといい…」
クロウは耳に手を当て、数回小さく頷いた後、時計のボタンを徐に押したのだった…
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…遡ること数十分前…
五ェ門がフォージャー家に来てから数時間経過した頃…
「…うん!うまい!この漬物とご飯は確かによく合いますね!」
「昔ニホンに来た時のこと思い出します〜」
「拙者の手料理に賛辞いただき、感謝する」
五ェ門がヨルの料理に耐えかねて、自ら作った料理をヨルとロイドに振る舞っていた。
「しかし、私がニホンの料理が食べたいと言ったら作ってくれるなんて…相変わらず優しいですね、ゴエモンさん」
「某は何も変わってござらぬ。それはヨル殿も然り。未だに純真な心を持っておられる。それがロイド殿が惚れた理由でござろう」
「あはは、ゴエモンさん、口がお達者で」
「本心だ」
と、ロイドとヨルで食事を楽しんでいたその時…
「ただいまかえりました!」
アーニャが元気よく中に入ってきた。
「アーニャさん!おかえりなさい!」
「うい!」
ふと、アーニャは五ェ門を見る。
「…ちち、はは。このひとだれ?」
アーニャは五ェ門に指を差しながらロイドとヨルに聞いた。
「こら!人を指差したらダメですよ!この人は、私の古い友人で石川五ェ門さんです」
「いしかわごえもん…?」
「はい!五ェ門さんは遠い東の国にある『侍』なんですよ!」
「さむらい…」
アーニャは五ェ門をまじまじと見つめ始めた。
(…スパイ…ころしや…さむらい…わくわくっ!)
アーニャはいつもの好奇心を膨らませていた。
「しかしヨル殿…お主子供を授かっていたのか?」
「あ、その子は僕の連れの子なんですよ」
「ロイドの子であったか」
「えぇ。でもヨルさんとも仲が良いんですよ」
「なるほど…」
五ェ門は納得した様子でアーニャをジロリと見た。
アーニャはこの時にふと、いつもの能力が発動してしまった。
(この小娘…何やら匂う…ロイド殿の娘にしては似てはおらぬし…学校に通っているらしいが、そのような年にも見えぬ…)
アーニャはそれを聞いてしまったため、思わず…
「アーニャ、べんきょうがんばってますす!」
と叫んでしまった。
「っ!?」
五ェ門は呆気に取られた表情を見せた。
「アーニャさん?どうしたのですか?」
「あ、ええっと…なんかせんげんしたくなって…」
「ほう…?それじゃ今週はしばらく勉強頑張るんだな?」
「はっ!?そ、それは…」
「頑張るんだよな?」
「…うい…」
ロイドに詰められたことによって、アーニャは下手なことは言うべきではないと反省した。
一方五ェ門はというと…
(この子…やはり何か持っている…)
と、アーニャを訝しんでいた。
「すみません、ゴエモンさん。アーニャは時々おかしなこと言うんですよ。でもそれがたまにはっとさせられたりして楽しかったりするんですけどね」
「なるほど」
ロイドと五ェ門で話をしてる中、自分の失言で嫌なことをさせられることになったアーニャは、荷物を置いて着替えた後奥で休んでいたボンドに慰めてもらっていた。
「ボンド…アーニャ大ピンチ!」
「わふぅ?」
「アーニャ…べんきょうづけにさせられてしまう!」
「くぅん…」
「どうすればいい!?ボンド!」
と、アーニャがボンドに抱きついた次の瞬間である。
アーニャがボンドの心を見た先には…
(…どこかで…ばくはつ!?)
いくつかの建物で爆発している光景が見えてしまったのだ。
「ボンド!この建物どこ…」
と、アーニャがボンドを掴んで叫び出そうとした次の瞬間…
ドゴーン!!!!!
…大きな爆発音と地響きが鳴ったのだ。
「っ!?何事だ!?」
ロイドは急いで外を見ると…いくつかの建物で爆発が起きていた。
(あれは…バーリントの主要な機関の建物の近くじゃないか!?それに
ロイドに続いて出てきたヨルと五ェ門も驚きを隠せなかった。
「あそこ…市役所の近く…なんてことを…」
「誰が一体…」
驚いている3人の後ろで、アーニャはただ茫然と立ち尽くすしかなかったのだった…
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…同じくしてとある廃墟ビルの一角…
「…どうかな?ミス不二子、私の花火は」
クロウは爆発を見ながら静かに、興奮しながら不二子に話した。
不二子は驚きを隠せなかったが、すぐに冷静になる。
「…ほんと、悪趣味ね…私はお金を手に入れたいだけよ?こんなことわざわざしなくてもいいじゃないの?」
「ふっ…ここまでしたのには、獲物を誘き寄せるためなのだよ」
「獲物?」
不二子がクロウに質問しようとしたその時である。
「…クロウ様、大変です」
クロウの手下らしき男が後ろから現れた。
落ち着いた声だったが、慌てている様子である。
「どうした?」
「グレースが…いなくなりました」
「え?」
不二子はふとグレースがいたと思われる場所を見ると、そこにはただブランと垂れ下がっているロープだけが残っていた。
「…そうか…花火に夢中になってしまったかな」
クロウは自分の失態を悔やんだ。
「今回は私も見ていなかったことに起因する。気にするな」
「はっ、申し訳ありません。それでグレースはどうしたしましょうか?」
「見つけろ、そして殺せ」
「わかりました。全員に共有しておきます」
手下はクロウの言葉を聞くと、すうっと暗闇の中に消えていった。
「…さて、不二子くん。君の願いのことなんだが…我々の悲願を達成した後に約束を果たさせてもらうことにしてもいいかな?」
「私はお金が入るならそれでいいわ」
「よろしい…これで、我々『東西統一協力戦線』が本格的に動くぞ」
クロウは誰にでもいう訳でもなく、静かに戦争の宣言を行ったのだった…
いかがでしたでしょうか?
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