『SPY×FAMILY』×『Lupin the Third』〜輝く宝石はスパイと泥棒を呼ぶ〜 作:VOSE
…『黄昏』は、目の前のグレースを見てもなお、信じられなかった。
『黄昏』が掴んでいる情報と合わせても、かのマクラルーン家の令嬢がこんなボロボロな家にいるわけがない…
『黄昏』はただ困惑していた。
「…あなたが『黄昏』ね…情報は仕入れていたから顔はわかるけど、こうやって
前に会ったグレースとは全く違う雰囲気にも、『黄昏』の困惑はさらに加速を増していた。
「…おい、ルパン三世…これは一体どういうことだ?」
「何って…俺はただ保護してただけだ」
ルパンはそう言うと明るい窓の額縁に座った。
「保護だと?」
「あぁ、今服を着させているからわからないだろうが、こう見えて下は傷やアザだらけだ。歩くのもままならないくらいにな」
「そんなことが…」
『黄昏』は驚いてもなお、平静を保っていた。
「へぇ、さすが凄腕のスパイだ。顔からは何も読めやしねぇ」
「それがスパイだ」
ふと、『黄昏』はルパンに訊く。
「…ルパン、なぜ君はここに連れてきた」
「そりゃ、俺が持ってる情報を渡すためさ。信用するに値するものをな」
「なるほど…」
ルパンの言葉に、『黄昏』は静かにため息をついた。
そして『黄昏』はグレースと目線を合わせるために膝をついた。
「…グレース・マクラルーン…君が持っている情報を教えてくれないか?」
「断る」
グレースは即答した。
「…と言おうとしたけど…状況が状況だもの…いいわ」
そしてすぐに撤回した。
「それでグレース…君は何を知ってるんだ?」
「『東西統一協力戦線』の裏を握ってる人物よ」
グレースの言葉に、『黄昏』は表情を変えなかった。
「驚かないのね」
「君が絡んでる人物だ。1人しかいない」
「そうね…ショーン・マクラルーン…彼が『東西統一協力戦線』の首謀者よ」
やはり『黄昏』は驚かなかった。
グレースの告白はさらに続く。
「私は…父が足を踏み外していることに気付いたのは、2年前…彼が、黒ずくめの男と話していた内容を偶然聞いてしまったの…」
「男は誰だ?内容は?」
「男は『クロウ』…元々は中南米の軍事国家で傭兵をやってた男なの。素性は不明…知ってるのは、そのカリスマ性で部下をたくさん引き連れていることね」
「クロウか…」
「そのクロウってのが、俺を襲った男よ」
グレースの説明に、ルパンが追加して言った。
そこへさらに…
「あと、そこにいる彼女の拷問を指示した男ね」
『黄昏』の後ろから女性の声が聞こえた。
「あぁら、不二子ちゃん」
峰不二子…ルパンの仲間で…
「あれぇ?
先程までクロウのそばにいた女でもある。
「えぇ、彼は素性を知りたくなかったみたいだから、怖くて逃げてきたわ」
「峰不二子…」
「あら、そこにいるのが、かの有名な『黄昏』さんね?初めまして」
突然の乱入者にも関わらず、『黄昏』は表情を変えない。
「んで、何しに来たのよ、不二子ちゃん」
「グレースって子が心配だから来ちゃったのと、あんな陰気臭いところはもう嫌になったってこと…そして、彼の素顔を教えに来たのよ」
「やつの素顔…?」
『黄昏』はすっと立ち上がった。
「えぇ…彼は、ずば抜けた指揮官でありながら、自らも先頭に立って戦闘に加わることで周りを鼓舞するような素晴らしい人間だけれど…中身は極悪そのものよ」
「そこまで言う?」
不二子の言葉にルパンは反応した。
「えぇ…彼は、たとえ子供でも女でも、負傷して動けなくなってしまった人でも、何でもかんでも殺すような人よ」
「罪もない女子供までもか…?」
「残念だけれどね」
不二子の言葉に、『黄昏』は思わず唇を噛んだ。
「その証拠に…彼はグレースを拷問した…そういう男よ」
「全く、ひどいもんだぜ」
ルパンの言葉に、流石の『黄昏』も同意を禁じ得なかった。
「だから、彼は放っていてはいけないの…」
やがてグレースの口から、憎しみを込めた声が聞こえてきた。
「…私は…覚悟して彼の元へ行った…それなのに…なんでこんなに…悔しいんだろ…」
グレースの言葉に、その場にいた全員が口をつぐんでしまう。
「…私は…彼を許さない…彼から…この国を守りたい」
「それはどういうことだ?グレース嬢」
『黄昏』はグレースの言葉の意味を知ろうと訊ねた。
「それは…さっき言った話の内容に繋がるわ…」
「そういえば…それで、話の内容とは…?」
「『東西統一協力戦線』の援助の話よ。父はクロウと手を組んで、『東西統一協力戦線』に資金や武器を援助し、さらに情報操作までやることを約束したの。代わりに『東西統一協力戦線』は目的を果たすために動くことを約束していたわ」
「情報操作…!?そこまでできるのか!?」
『黄昏』は驚いたが、ルパンは驚くことはなかった。
「そりゃそうだろ。なんせマクラルーン家の商売道具ってのが『情報』だからよ」
「んなっ!?」
『黄昏』はルパンの言葉にさらに驚いた。
「その情報…〈WISE〉は知ってるのか!?」
「知らんだろうな。マクラルーンが抑えているってのもあるけど…
「どういうことだ…」
「〈WISE〉が仕入れている『情報』にはマクラルーンから買ったものもあるってことさ」
「そんなバカなことが…」
「あるんだなぁ。なぁ、次元」
驚きをずっと隠せない『黄昏』をよそに、ルパンは相棒の名前を呼んだ。
先程入ってきたドアから、次元…そして、五ェ門が入ってきた。
「ロイド殿…否、『黄昏』殿…お主、スパイを生業としていたのか」
「…あぁ…」
先に会っていた『黄昏』と五ェ門は静かに挨拶を交わす。
「なぁんだ、2人とも知ってたのか」
「あぁ…訳あってな」
「ふぅん…で、次元、例のやつは?」
「ほらよ」
次元はルパンにとある紙を渡し、その紙を今度は『黄昏』に渡した。
「それが証拠さ」
ルパンから渡された紙を、『黄昏』はまじまじと見つめた。
『黄昏』はそれを見終わったあと、静かに目を閉じてルパンを見た。
「〈WISE〉がマクラルーンから仕入れているのはほんの一部の情報だからズブズブの関係ではねぇが、これでハッキリしたろ?」
「あぁ…確かに、昔我々が仕入れた情報と一致する…使われているものもマクラルーン家の紋章が使われているしな…それに…」
『黄昏』が確信した様子であることに気がついた。
「この紙はマクラルーン家でしか使われていない紙だな…招待状でもらった時の紙と同じだ。厚さも質も…」
「さすが『黄昏』だな」
「おおかた、マクラルーン家から盗んできたんだろう?」
「そっちが本業だからな」
そして、ルパンはすっと立ち上がると、グレースの横に座った。
「さぁて、ここからが本番だ、嬢ちゃん?」
「なんでしょう?」
「…ショーン・マクラルーンの目的はなんだ?」
ルパンが先程までの声とは違った、本気のトーンでグレースに尋ねる。
グレースは寂しそうな表情になり、静かに話した。
「…父の目的は…かつて
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では次回お会いしましょう