『SPY×FAMILY』×『Lupin the Third』〜輝く宝石はスパイと泥棒を呼ぶ〜 作:VOSE
…ルパンと『黄昏』が協力体制を取り始めた頃…
マクラルーン家にて…
「…まだ裏切り者は見つからぬか」
ショーンはドスの利いた声で電話をしていた。
「…まぁいい。情報はこちらで仕入れる。お前らは各々行動して見つけ次第処分しろ」
そう言ってショーンは電話切った。
「…全く…あんなバカに育てた覚えはないぞ…」
ショーンはそう言うと、とある物を机から取り出した。
それはペンダントであった。
開閉式のペンダントで中には綺麗な女性の写真が写されていた。
「…我が祖母、姉、弟よ…そなたらの無念、晴らして見せよう…」
ショーンはそう言うと、ペンダントを強く握りしめ、今までの思い出を振り返り始めたのだった…
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…ショーンが生まれた頃、家はとてもいい環境とはいえず、毎日自給自足の生活を余儀なくされていた。
食べ物は十分ではなく、先に生まれた姉や弟などと均等に分けながら飢えを凌いでいた。
両親は共に出稼ぎに出ており、家にいるのはいつも姉。
ショーンとその弟の面倒を見ながら家事を日々こなしていた。
そんな姉の姿を見たショーンは少しでも楽にしてあげようと、家事の手伝いをしたり、小学に入りたての頃から仕事に勤しんでいた。
しかし、それでも貧しい生活は改善される様子はなく、出稼ぎに出ていたはずの両親は、ショーンが小学に入ってすぐ蒸発した。
そして姉は今までの過労がたたってしまい病に倒れてしまった。
ショーンと弟は、姉の介護をしながら家事や仕事を、まだ若干10歳の身でありながらこなさなければならなくなった。
しばらくして、
「姉さん!ウィル!こっち!」
若かりしショーンは病に侵されながらも懸命に逃げる姉と、まだまだ幼い弟の手を引っ張りながら街の中を駆け巡った。
しかし、戦争というものは残酷である。
程なくしてマクラルーン一家が逃げた先で砲弾が壁に着弾した。
その衝撃で壁は倒れ、マクラルーン一家の頭上に落ちてきたのである。
「危ない!」
そう叫んだショーン少年の声は届かず、3人は壁の下敷きになった。
ショーンは頭に衝撃を食らったせいで一瞬気を失っていたが、程なくして意識を取り戻した。
その目に映っていたのは…壁の下敷きになって身体が白く、人形のように動かなくなってしまった姉と弟の姿であった…
「…姉さん…ウィル…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
ショーンはその場で叫ぶしかなかった。
どうしようもない怒りを誰にでもぶつけるように叫んだ。
それからまた程なくして憲兵がやってきた。
ショーンは保護され、2人の遺体も回収された。
残されたショーンはただ1人、避難所で寂しく生活をしていた。
「…許せない…
と、ショーンが1人怒りを滲ませていると、目の前で1人の男が横切った。
スーツを着たその男は、一枚の紙を鞄から落としたが気づかぬまま歩き去っていった。
「…なんなんだ…?」
ショーンはその紙を拾い上げて読んだ。
「…『
ショーンはすぐにそのスーツの男が
ショーンは先程の男を軍に突きつけるために動き出した。
すぐに紙を提出するのではなく、落とした犯人を見つけ、怪しい行動をした瞬間をカメラに収めて軍に提出するように動いた。
避難所自体はそこまで大きいわけではなかったため、ショーンは一瞬の記憶を頼りに男を見つけ、爆弾を設置している様子もすぐに収めることができた。
ショーンはその証拠をもとに、軍の施設へ行き兵士に渡した。
「…これは…!?少年、ありがとう!」
施設の前にいた兵士は慌てて中に入り、すぐに何人もの兵を率いて男を捕まえに行った。
「…よく報告してくれた」
兵が行った後すぐに声が聞こえたため、ショーンは振り返ると、軍の司令官らしき男が立っていた。
「君、名前は?」
「…ショーン…ありがとう。君はいつか国のために大きくなれる。私が約束しよう」
司令官はショーンを褒めてどこかへと歩き出していった。
ショーン少年のこの出来事が、後に人生を大きく動かすことになるとは誰にも予想できなかった…
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…スパイによる爆破未遂事件が起きてから数年後…
ショーン少年は青年へとなり、悪知恵を働かせてコソ泥をしていた。
「…ちっ…こんなもんか…」
生きるためにスリを繰り返していたショーンは、この日も財布を掏って中身を確認していた。
「まぁ、しゃあねぇか…あの見た目だが、貧乏そうだったしな…」
ショーンは財布に入っていたお金を全部取り、財布は質屋に売って次のターゲットへと動いた。
「…ん?あの男…」
ショーンが目をつけたのは、シルクハットに燕尾服を着た男である。
手にはアタッシュケースを持っていた。
「あのアタッシュケース狙ってみるか…」
ショーンは気配を消し、男がアタッシュケースを置いたところで盗んだ。
男はすぐにアタッシュケースがなくなったことに気がつくも、ショーンはいつのまにか移動していたため気づかれることはなかった。
「ええっと…金目のものはと…」
ショーンがアタッシュケースを開き、色々物色していった。
すると出てきたものは…
「…『
「これは…保安局に言えばもしかして…!」
ショーンは金目のものはすぐに取り、書類を持って保安局まで行った。
書類を見た保安局は驚き、ショーンは燕尾服の男が持っていたことを言うも、当局は持ってきたショーンを拘束し、尋問を始めたのだった。
「おい!これどこで手に入れた!」
「俺は燕尾服を着てたなんか裕福そうな男からバッグを取ったら入ってたんだ!」
「盗んで手に入れたってことか!?でも、この書類はまだ国防省の中でしか回ってないものなんだぞ!?」
「そんなの知るかよ!その男が持ってたくらいしか知らねえよ!」
このまま堂々巡りになるものかと思われたその時だった。
「…何事か」
尋問室に1人の男が入ってきたのだ。
「ちょ、長官!」
「あなたは!?」
ショーンはその男を見て目を見開いてしまった。
その男は保安局の長官で、ショーンが昔スパイの証拠を持って行った時に対応した軍の司令官だったのである。
「はっ!この青年が妙な書類を持ってきたので尋問していたところであります!」
「そうか…それで?」
「青年は、燕尾服を着た男から盗んだと供述しております。しかし、書類は内部機密のものでして…」
「あぁ…その男なら、先程我々で捕まえたぞ」
「ちょ、長官自らですか!?というか…えぇ!?」
長官から出た言葉に、尋問していた男は目を丸くしていた。
「この子は私が預かろう。君らは業務に戻りたまえ」
「で、ですが…」
「長官命令だ」
「…わかりました…」
男は渋々部屋から出た。
「こっち来なさい」
ショーンは長官に呼ばれて尋問室から出た。
案内されたのは長官室であった。
「…色々と大変だっただろう?」
「いえ…」
長官室で椅子に座らせられたショーンは、長官と対峙した。
「それで…盗んだのは書類だけか?」
「それだけだ」
「本当か?」
長官の質問にショーンは嘘を言ったが、長官はその嘘を見破っている目をしていた。
それに気がついたショーンは、すぐに諦めた。
「…お金になりそうなものを少し」
「お金に困っているのか?」
「あぁ…」
ショーンは素直に打ち明けた。
「そうか…なら、今から報奨金を出そう」
「え…?」
「それが目当てだったんだろう?」
何もかも見破られていたことに、ショーンは驚きを隠さなかった。
「どうして…わかったんだ?」
「『情報』だよ」
「…『情報』…?」
「あぁ…今までの会話に出てきた『情報』と、今起きていることの『情報』を繋ぎ合わせただけだ」
「それだけで…」
「あぁ…『情報』ってのは、時にお金に変わる場合がある。今回の君の行動だって『情報』を得たからお金に変わっただろう?」
「は、はぁ…」
ショーンは困惑していた。
ただ、お金のないショーンにとっては、今の話はとてもおいしいものに感じていた。
「…そうだ」
長官はお金を出そうとした時ふと、とあることを思いついた。
「君、『情報屋』になってくれないかい?」
「…俺がですか?」
「そうだ。君がもし有益な『情報』を渡してくれたら、私はお金を出す。簡単な仕事だろう?」
ショーンはこんなうまい話はないと思った。
それを見た長官は、さらにもう一押しショーンに迫った。
「もし『情報』が十分に揃えられたら…西国の奴らを潰すことも出来る…出来るか?」
その長官の言葉に、ショーンは乗った。
「…あんた、前俺に『いつか国のために大きくなれる』って言ってましたよね…それが今ではないかと」
ショーンの目には、心を燃やす何かが宿っていたのだった…
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それから幾分の月日が経った…
『情報』の商人として活躍したショーンは、いつしか
そして、とある節で自身がかつて存在した『王国』の末裔であることを知り、その有り余る財力を持って、とある目的を果たそうとしていた…
「…このワシが…王国を…復活させる…」
ショーンの瞳にはまた、燃える何かが宿っていたのだった…
いかがでしたでしょうか?
もしよろしければ評価等してくれると嬉しいです
では次回、お会いしましょう