『SPY×FAMILY』×『Lupin the Third』〜輝く宝石はスパイと泥棒を呼ぶ〜 作:VOSE
…時が遡り、爆発事件があった翌朝のこと…
とある会議室にて…
「これより、緊急会議を行う」
軍服姿の男達が、長机に所狭しと座っている。
男達の所属する組織は『秘密警察』。
その手段は何も選ぶことなく、時には射殺することも厭わない、冷血な組織でもある。
そんな組織が、本来予定に入ってなかった緊急会議を行うということで、その場にいる男達のなかには異様な雰囲気が漂っていた。
「昨日、国の中枢機関がある建物の近くで爆発事件が起きた。しかも1ヶ所の建物ではなく、複数も起こされている。これは由々しき事態であり、同時に我々に対するテロ行為である」
長机の最奥にいる、司令官らしき男が昨日の事件の概況を軽く説明していた。
そんな中、非常に退屈そうにしている男が1人…
「…全く…なんで僕まで…」
「仕方ないだろう…全員召集の会議だからな」
黒髪のセミロングの男…ユーリ・ブライアが、隣の直属の上司に文句を垂れていた。
「今回のテロ事件に関しては、すでに表にもバレているが、我々の方でその犯人を突き止め、一刻も早く不安材料を潰しておきたいところである」
司令官はそう言い終わると、左手を少し上げた。
それと同時に、今回参加している全員に紙が一斉に配られる。
「今回のテロ事件は、いわゆる同時多発の自爆テロである。1人なら気の迷いで済む話であるが、今回は『同時多発』であるため裏に首謀者がいると予想している。今回配った資料には、自爆テロの当該者をリストアップしている。確認して欲しい」
男達は一斉にその資料を見始めた。
「…こんなことして何になるんですかね…間違い探しじゃあるまいし…」
「だが、国を揺るがす事件になっているんだ。これらの共通点から犯人を探して捕まえなければな…お前に置き換えたら、姉のためになるだろう」
「っ!姉さんのために…!」
『姉』というワードを聞いたユーリは、ピクリと身体を震わせた。
ユーリの姉はロイドの妻、ヨルである。
ユーリはヨルをひどく愛しており、姉のためならなんでもするような男で、時には理性をも消えるほどである。
「姉さんのため…姉さんが…幸せになるためなら…!」
スイッチが入ったユーリは、配られた資料を一気に見始めた。
その中でユーリは、とある人物の名前を見つけた。
「この男…」
どこか引っかかるその男の名前を、ユーリは一生懸命に思い出そうとするが、その場では思い出せず、次に職業欄の方を見た。
「『元新聞記者』…?」
「多分、
「…」
隣の上司は軽く笑っていたが、ユーリはまだどこか引っかかっていた。
「司令官に質問します。今回の件、《WISE》は関係していますでしょうか」
ふと、とある士官が質問をした。
「我々の方でも検討した。しかし、今回の場合、《WISE》の手口としてはあまりにも大胆すぎるため、今回は除外している」
「では、第三の勢力の仕業であると?」
「そうだ。そして今回は思い当たる勢力が一つある」
「というと…」
「今回我々の方で検討して出てきた勢力は『東西統一協力戦線』」
司令官がそう言うと、会場はざわめきを見せた。
「『東西統一協力戦線』って…最近出てきた新興テロ組織…」
「各地で不穏な動きをしているというあの…」
「そうだ」
周りのざわめきに、司令官はうんと頷く。
「今回の事件はその組織が動いていると睨んでいる。しかし、この事件だけでは断定できないことが多い。そこで、皆にはしばらく情報収集に動いてもらいたい。よろしく頼む」
こうして会議は終わり、ユーリは自分のデスクにへなへなになりながら辿り着いた。
「全く…情報収集って…死んだやつの情報集めてどうするんだって…」
と、愚痴を呟いていたユーリは、たまたま置いてあった新聞の記事をチラッと見た。
「…ショーン・マクラルーン…」
その記事のスペースはだいぶ小さいものであったが、ユーリはこれを見てハッと息を呑んだ。
「…この新聞記者…どこかで見たことあると思ったら…」
ユーリが思い出したのは、ヨルがショーンの屋敷に行ったという話をしたことだった。
その時、秘密警察でもショーンの屋敷の火災の件で動いていたため、色々と調べていたのであった。
その調査の中で現れたのが、今回の資料で自爆テロの当該者に名を連ねた新聞記者である。
「…待てよ…こいつが自爆したポイントは…」
ユーリは、新聞記者が自爆テロを起こした場所を調べると、その場所はショーンの屋敷より離れた、金融関係の建物の近くであった。
(…おかしい…確か、この記者はショーン・マクラルーンを追いかけている傍ら、担当していたのはスポーツだ…そんな男が何の脈絡もなく金融関係のところに行くなんて…)
さらに調べていったユーリは、当該者の共通項を見出した。
(…今回の当該の人たち…全員ショーン・マクラルーンと関わりがある!ショーンの恋人だったり、付き人だったり…これは何かしらあるんじゃ!)
ユーリはすぐに自分の上司にこの事を報告した。
「すみません!報告がありまして!」
「なんだ?」
「今回のテロ事件の当該者の共通項を調べていましたら、全員『ショーン・マクラルーン』と関わりがあったようです!」
「…ほう」
上司は顔を変えずにユーリの話を聞いた。
「ですので、今回の事件についてショーン・マクラルーンについて調べるのが良いかと…」
「わかった、上に話してみよう」
「ありがとうございます!」
こうしてまた一つ、手柄を増やしたとユーリは思った…
が、しかし…
「残念な話だ。君の意見は却下された」
数分経たないうちに、ユーリの提案が却下されたのであった。
「何故ですか!」
「上でもその話は出たようだ。しかし、今回のリストに上がっていた恋人は何年も前に別れ、付き人に至っては20年前に解雇されている。ショーンが関わるにしては年代がバラバラなのだよ」
「そんな…」
「それに…あの言わずと知れたショーン・マクラルーンだ。あの男に楯突いてみろ…秘密警察が潰されるぞ」
「…っ…」
「そういうわけだ…他の共通点を探し出せ」
「…はい」
ユーリは悔しそうに、自分のデスクへと戻っていったのだった…
いかがでしたでしょうか?
もしよろしければ評価等していただけるとありがたいです
では次回、お会いしましょう