『SPY×FAMILY』×『Lupin the Third』〜輝く宝石はスパイと泥棒を呼ぶ〜 作:VOSE
(…この男…当然というべきか…狂っている…!)
『黄昏』はショーンを睨むようにずっと見続けていた。
「…と、その前に…君が持っているその『
「…断ると言ったら…」
「君が本番じゃなくていいまでのことだ」
「くっ…」
『黄昏』はすぐに踵を返して脱出しようと試みた。
しかし、いつのまにか背後にいた3人の男に阻まれてしまう。
「…私は君のような男は欲しかった。しかし同時に、私の計画の邪魔にもなる…だから、これ以上は手を煩わさないでくれ、ロイドくん」
「くっ…」
『黄昏』は渋々、ポケットに手を入れ、そこから宝石を取り出して見せた。
「…そうだ。それをこちらによこしなさい、『黄昏』」
『黄昏』は苦い顔をしながらも、ゆっくりとショーンの元へ行き、宝石をショーンの手に渡した。
「ご苦労だった」
ショーンは小さく言うと、研究ルームの方を向いて何やら操作をし始めた。
操作をし終えると、ショーンの手元の引き出しが自動で開いた。
ショーンはその中に『
それと同時に引き出しが閉まると、研究ルームの中央のビジョンに『
「…よし…これで、ついに…私の悲願が…」
ショーンはひどく興奮しながらそこに映し出されるものに注視していた。
そして映し出されたのは…
『ここまでご苦労様。でもこれは偽物だよ。OTSUKARE ルパン三世より』
と、まるで予告状みたいな縁の飾り付きでメッセージが書かれてあったのだ。
「んなっ!?こ、これは一体…」
ショーンは思わず狼狽えていると…
「まぁったく…『氷の王』もやはり人間ってことだな」
今までの『黄昏』とは全く違う口調で話し始めた。
「お前…まさか!」
「ご名答〜」
『黄昏』は、誰かに似た様子でフラフラしながら話すと、来ている服をバサっと脱ぎ捨てた。
その中から現れたのは飄々とした風貌に特徴のあるサル顔…
「ルパン…三世!」
ショーンが憎たらしくその男の名前を言い、それに対してルパンはニヒルな笑顔を見せた。
「いやぁ、さすがの『氷の王』も、悲願を達成出来ると思ったら注意力が無くなるんだなぁ」
「貴様…なぜ…どうやって…」
「なぁに、簡単なことよ。俺は不審者として捉えられてわざと中に入り、どこかのタイミングでスパイと入れ替わったわけよ」
「『黄昏』とどこで…」
「んま、ご想像にお任せするよ。それにしてもまぁ、焦りすぎじゃしねぇか、ショーン・マクラルーンよ」
「何を言いたい…」
「かなり目利きのあるあんたが、俺様が作ったこの贋作と本物を間違えるなんてよ」
「くっ…このやろう…」
ルパンはいつものように不敵な笑みを浮かべた後、改めてショーンと対峙した。
「それでショーン・マクラルーンよ…これからどうする?俺をやろうってか?」
「そりゃそうだ…ここまで貶された上に、この秘密をバラされてしまったからな…どうせ、この会話は盗撮しているんだろう?」
「ありゃりゃ、こういう時の勘はまだ持ってるんだな…ま、それがショーン・マクラルーン…『氷の王』ってことはあるわけだな」
「ふん、察しがいいのはお互い様であろう」
「そうだな…」
ルパンはふと周りを見渡し始めた。
ショーンとルパンの周りにはいつのまにか『東西統一協力戦線』のメンバーらが囲っていた。
もちろん銃口を向けている先はルパンである。
「さぁ、どうする」
「心配してるのか?」
「心配はしとらん。あくまで君のはね」
「そうかよ。なら遠慮なくやらせてもらうよ」
ルパンはそう言うと、徐に左手を上げた。
そして左手に付けている腕時計をカチリと何かのボタンを押す。
すると、腕時計からワイヤーが射出されどこかに引っかかった。
「撃て!」
ショーンの掛け声と共にルパンは飛び上がり、そして銃が発砲された。
ルパンはそのままワイヤーを巻き上げながら壁を渡っていき、別のフロアへ逃げていった。
その先には敵の兵士がいたが、ルパンはワルサーP38をすぐに取り出して撃っていった。
そして開いた道をそのまま突き進んでいく。
ふと、ルパンは耳に手を当てた。
「おい、次元!そっちの方は順調か!?」
「あぁ、順調そのものだぜ」
ルパンが耳につけているのはインカムで、これは『東西統一協力戦線』の敵兵から取ったものである。
これでルパン一味は連絡を取り合っているのだ。
「それで、お目当てのものは見つけたか!?」
「あぁ、ここにたくさん置いてある」
「やはりな…それをすぐに回収してくれ!」
「了解だ」
敵兵を1人で相手しているルパンに、次元は静かに答えた。
警報音が響く地下室の中を、ルパンは颯爽と駆けていくが…
「…ちっ…やはり敵の数は多いもんだな…」
予想以上に敵が多くいたことに驚き、少しずつ活動範囲を狭められてしまっていた。
「こいつぁ厄介だな…早く次元と五ェ門と合流をしたいところだが…」
と、少しずつ焦るルパンの所へ、何人かの敵兵が走ってやってきていた。
(ちっ…どうする…)
ルパンが万事窮すとなったその時である。
ダンッ!ダンッ!
ふと、銃声が聞こえてきた。
ルパンは隠れているところから顔を覗かせると、敵が撃たれて倒れているのが見えた。
そして…
「全く…天下の大泥棒と言われているあなたが、こんなところで袋小路に合うとは…」
聞きなれたスパイの声が聞こえてきたのである。
「おいおい…こっちは結構な数とドンパチしてるんだぞ?『黄昏』さんや」
ルパンは助けてくれた『黄昏』に向かって手のひらを上にして近づいた。
『黄昏』はタキシード姿ではなく、どこかの特殊部隊みたいな装備にフェイスマスクを付けていた。
「こっちもかなりの人数と戦っている。これくらい造作もない」
「けっ、やっぱイケメンはイケメンだな…」
クールに言う『黄昏』に、ルパンは皮肉をこめながら褒めた。
「それで、そちらさんの用事は済ませたのか?」
「あんたのおかげで色々と情報を得られた。やはり『情報』を生業としているだけあって有益なものはいくつか得られた」
「そう言ってる割には、結構寂しそうにしているがな」
「今遂行しているミッションに繋がるものはなかったからな…」
「あぁ、デズモンドのあれか…」
「知ってたか…」
「俺は泥棒が生業でな。『情報』は欠かせないのよ」
「ふん…さすが天下の大泥棒だ」
ルパンと『黄昏』でしばしの会話を済ませ、いざ次の場所へ行こうとしたその時である。
「ロイド・フォージャーよ!」
徐にショーンの声が聞こえてきた。
スピーカーを使っていないが、中にいるルパンが聞こえるくらいまで響いていた。
「…ルパン」
「あぁ」
ルパンと『黄昏』はすぐに走り出し、声が聞こえた方は向かった。
そこは部屋の隅々まで見えるコントロールルームみたいな場所で、ルパンと『黄昏』は下の方から出た。
ふとルパンたちは上の方を見ると、ショーンが甲板の上で立っていた。
そして、そのショーンの左腕には…
「アーニャ!」
『黄昏』…ロイドの娘であるアーニャがいたのであった…
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もしよろしければ評価等していただけるとありがたいです
では次回、お会いしましょう