『SPY×FAMILY』×『Lupin the Third』〜輝く宝石はスパイと泥棒を呼ぶ〜 作:VOSE
…数日後…
フォージャー一家は、レンタカーでマクラルーン家の屋敷へと向かっていた。
(また
ロイドがそう思いながら乗っている車は、シトロエンDS。
見栄だけでもよくしようと借りてきたのだ。
また、格好もよくするためにいつもの仕立て屋さんでドレスコードを一式買い揃えたのである。
「楽しみですね!アーニャさん!」
「びーなっつ♪ぴーなっつ♪」
「ピーナッツはどこでも食べられるだろう…」
たわいもない会話をしながらしばらく走らせていると…
「…ここ…か…」
ロイドが、まるで絶句したような様子で話し始めた。
そうなるのも無理はない。
着いたのは門であるが、その先は道が広く整っているとはいえ、それはまるで山道のような先の見えない道が続いているのだ。
さらに言うなら、塀に囲まれているその先が、まるで森のようであったのだ。
先程まで街中を走っていたのだが、突如として現れた木の要塞に、ロイドたちはただ驚くしかなかった。
「す、すごい家ですね…」
「さすが
ロイドとヨルは家の規模に驚き、アーニャはダンマリとしているが目が点になっていた。
ロイドが車を走らせ、敷地の中に入り、しばらく走っていくと…
「…うわぁ…」
「なんだか…これって…」
「おしろだぁ…」
バロック建築ながら、とても大きい家が見えてき始めた。
その家の前は広い庭園となっており、噴水もドバドバと水を吐き出しながら動いている。
「いらっしゃいませ。どちら様でしょうか?」
玄関前に着いたフォージャー一家は、出迎えてくれた執事の人に訊ねられた。
「ロイド・フォージャーという者です。娘のアーニャが、グレース・マクラルーンさんに招待されたと言うことで来ました」
ロイドがアーニャから預かった招待状を執事に見せた。
「はい、確かにお嬢様のものでございますね。はじめまして、フォージャー様。マクラルーン家のパーティーへようこそ」
「ありがとうございます。車を、お願いできますでしょうか?」
「かしこまりました。鍵をこちらに」
ロイドたちは車から降り、ロイドが鍵を執事に渡した後、屋敷の中に入っていった。
「ちちー!ははー!おおきなキラキラ!」
アーニャがシャンデリアを指しながら、目を輝かせてロイドとヨルに話しはじめた。
「す…すごいな…」
「こ、こんなところにいてもよろしいのでしょうか…私たち…」
家の大きさに改めて凄さを感じたロイドたち。
そこへ…
「やぁやぁ、ようこそいらしました、フォージャーさん」
白い髭を蓄えた肉付きのいい男の人がやってきた。
「っ!?あ、あなたは!」
ロイドは既に情報は仕入れていたので、その男が誰なのかすぐにわかった。
「ショーン・マクラルーンさん!」
「フォッフォッフォ。いやはや、よくご存知で」
そう、この男がショーン・マクラルーン…マクラルーン家の主である。
「おじさん、すごいひげもじゃもじゃ」
「こらっ!アーニャ!すみません…うちの娘が…」
「いいのじゃよ。娘がお世話になったからの…と、噂していたら」
ショーンが話を止めると…
「アーニャちゃーん!」
赤い髪にとても似合うピンクのドレスで身を包んだグレースが、吹き抜けになっている2階からアーニャの名前を呼んだ。
そして、吹き抜けの2階から続く階段から駆け降りてフォージャー一家の元へ駆けつけた。
「皆さん、初めまして!グレース・マクラルーンです!今回お越しいただいて、ありがとうございます!」
「いえいえ、うちのアーニャがお世話になったそうなので…」
「いえ!こちらの方がお世話になりました!ありがとね、アーニャちゃん」
「それほどでも」
こうしてしばらくたわいもない会話をした…その時だった。
「通してくれ!俺は招待客だぞ!」
玄関の入り口で執事に止められている1人の男がいた。
(なんなんだ?)
ロイドは疑問に思って、すぐにその男の身なりを見始めた。
(…胸ポケットが盛り上がっている…おそらく拳銃だろうな…そして靴下にはナイフがある…ショーン・マクラルーンを恨んでるやつってことか)
ロイドが冷静に分析をしている一方、ショーンは執事に尋ねた。
「何事かな?」
「はっ。この男が、招待状を持って現れたのですが、招待状が偽物でございまして」
「そ、そんなわけない!これはれっきとした招待状だぞ!」
「うむ…まぁ、執事の君が見間違うわけないが、わしが見てみようか」
「はっ」
執事は男を取り押さえたまま、招待状をショーンに渡した。
ロイドはそれを遠くながら見ることができた。
(…その招待状…たしかに俺らがもらった招待状と同じだが…どこが違うんだ?)
ロイドさえも見てもわからない、普通の招待状ではあるが、ショーンは招待状を受け取るなり、すぐに…
「…偽物じゃな」
と、即答した。
「んな馬鹿な!これは…」
「まず、紙の厚さが違うのう。招待状に使う紙によく厚さを似せておるが、うちで使ってるのは特注なのじゃよ。そんじょそこらの紙で出来るようなものではない」
「なっ…」
「それに質感も違う。もっと酷いのは、招待状に書かれてるわしのサインじゃが…こんな不細工な字は見たことがない」
「そんなわけあるか!これはあんたの字を…っ!」
「ほう…わしの字から取ったのか。なるほどなるほど…たしかにわしの字に似せてはいるが、よくよく見たら、震えて書いてるように見えるぞい。おそらくわしの字を似せるために誰かに書かせたようじゃが、こんなのじゃ似ても似つかん酷い字じゃ」
自分の字すら分析して違うと判断できるショーンを見たロイドは思わず…
(さすがショーン・マクラルーンだ…デズモンドより緩いとはいえ、滅多に姿を現さないだけある…用心深い…)
と感心してしまった。
「それに、この事は執事には既に叩き込んでいる。執事がノーと言えばノーだ。ヘレス」
「はっ」
「こいつを『あそこ』へ連れて行け。二度と来させないようにしてやってくれ」
「承知いたしました」
ショーンは執事に、突然現れた男を始末するように伝えた。
何かの雰囲気を察したグレースは…
「…ロイドさん、アーニャちゃん、ちょっと連れて行きますね」
と、ロイドに断った。
「あ、あぁ…」
ロイドも察したのか、アーニャを現場から離れるようにお願いした。
「アーニャちゃん、行こ」
「りょうかいですす!ぼうけん♪ぼうけん♪」
アーニャは意気揚々とグレースと共にその場から離れた。
「くっ…このぉっ!」
男は咄嗟に執事から離れ、胸ポケットから銃を取り、銃口をショーンに向けた。
「あんたのせいで…あんたのせいで!」
男は銃の引き金を引こうとしたその時だ。
目の前に執事が現れた。
「っ!」
執事は男が銃を持っている方の手を持ち上げた。
「ご主人様には傷ひとつ与えません」
そして執事は、まず男の鳩尾に1発入れた。
「ぐほぁっ!」
男は痛みに耐えられず、手から銃を離してしまう。
それを見た執事は男を投げ、地面に突っ伏させた。
「ガハァッ!」
それから執事は、男に固技を決めた。
「く、くるじぃ…たす…たすけ…」
男はうめき声を出した後、気絶した。
それを確認した執事は、男を軽々と持ち上げ、どこかへと行ってしまった。
「…さてと、お見苦しいところを見せてしまったね」
ショーンの先程の雰囲気とは打って変わって、優しい声でロイドとヨルに声をかけた。
その声で、ロイドとヨルはハッとなった。
「い、いえ!なんか、圧倒されて…」
ヨルはすぐに慌てふためきながら言った。
「な、なんか凄いですね…訓練されてて…」
「長い間こういう世界にいると、こういう輩が現れるのでね…大変なのだよ…全く…」
ショーンはやれやれとため息をこぼしながら言った。
「さてさて、こんなところであれですから、どうぞ中へ。パーティー、楽しんでいってください」
ショーンはそういうと、ロイドとヨルを中へ案内した。
(…一時期、〈WISE〉でも標的にしていたが、なかなか上手くいかなかった…やはりマクラルーン家は恐ろしい…)
ロイドは謎の汗をかきながら、パーティー会場へと入っていったのだった…
いかがでしたでしょうか?
ストーリーの展開的にはちょっと遅いかもしれませんが、もうしばらくお付き合いください。
もしよろしければ評価などしていただけると嬉しいです。
では次回、お会いしましょう。