『SPY×FAMILY』×『Lupin the Third』〜輝く宝石はスパイと泥棒を呼ぶ〜   作:VOSE

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第4話〜楽しむスパイ。そして…〜

…ロイドとヨルから離れたアーニャは、玄関での出来事なんかそっちのけで、まるでお城のような屋敷の中を意気揚々と探検していた。

 

「おたから、あるかな?」

「ふふっ。この家自体お宝の山だから、色んなもの見つかるわよ」

「ほんとうに!?すごい!」

 

アーニャが楽しんでいる様子に、グレースはとても微笑ましく見守っていた。

 

(アーニャちゃんみたいな子がいると、退屈しないなぁ…)

 

と、グレースがふと思ったことを、アーニャは得意のエスパーで読み取る。

 

(アーニャ、たいくつしない…つまり、おもしろいこだと思われてる!)

 

アーニャは少しだけテンションが上がり、喜んだ後

 

(いや、ダメダメ…今日はこの子に"アレ"を渡さないと!)

 

そんなグレースの強い心の声を聞いたのだ。

それを聞いてアーニャの好奇心が湧かないわけはなく…

 

(“あれ"?なんだろう…わくわく!)

 

と、目を輝かせている。

グレースはそんなアーニャをよそに、持っていたバッグからあるものを取り出した。

 

「アーニャちゃん!これお願いしてもいい?」

 

そう言ってグレースが渡したものは、とても高級そうな箱である。

 

「たかそうなはこ!」

「お礼よ。本当はおじいちゃんからもらったものなんだけど、今は要らなくなって…だから、あげるわ」

「あざざます!」

 

アーニャは箱を持ちながら大手を広げて喜んだ。

 

「喜んでもらえて良かった。大事にしてあげて」

「うぃ!」

 

とても嬉しそうに喜んでいるアーニャを、グレースはまるで母親かのような、そしてどこか寂しげな表情を浮かべていたのだった…

 

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一方のロイドとヨルは、パーティーで様々な人と交流を深めていた。

 

「…そうなんですよ。今回はうちの娘がここのお嬢さんと仲良くなりまして」

「あらあら、そうなのですね。やはりグレース嬢はお優しいのね」

「ほんと、こんな庶民の僕らでも誘ってくれて嬉しい限りです」

 

ロイドは淡々と様々な人に声をかけられては受け答えをしているが、内心では…

 

(おいおいおい!この人、経済界ではものすごく有名な人のご婦人じゃねぇか!それでこっちは政財界の…!なんなんだ!?この社交場は!?)

 

と、かなりの興奮していた。

ヨルはそんなロイドのそばにずっとおり、しっかりと受け答えをしているロイドを見ながら…

 

(すごいなぁ、ロイドさんは…それに比べて私なんか全く話せてなくて…)

 

と、表情には見せないもののどこか落ち込んでいる様子を見せていた。

そんなロイドとヨルの元に…

 

「楽しんでおられるかな?」

 

ショーンが挨拶回りで来てくれた。

 

「ショーンさん!はい、楽しんでます」

「いやはや、ここに来る人たちは全員それなりの地位があるものだから、いささか緊張されているのではないかと思ったのだが…さすがイーデン校の親御さんだ」

「いえいえ、僕らはそこまで及びませんよ。うちのアーニャが頑張ってくれたおかげです」

 

ロイドはショーンの言葉に謙遜しながら話した。

それを見たショーンはニコリと笑顔を返す。

 

「それでは、引き続きお楽しみください」

 

ショーンはそう言うと他の人の元へと向かった。

 

「ロイドさん、すごく優しい人ですね」

「えぇ、そうですね」

 

ヨルの言葉にロイドは思わず肯定したが、内心ではかなり疑っていた。

 

(さっきの笑顔…どことなく不気味な雰囲気を醸し出してたな…何かを探るような…)

 

ロイドはショーンの笑顔にどこか得体のしないものを感じ取っていたのだが…

 

(…今は関係ないな…とりあえず、ここで交友を作っておくことが、オペレーション〈(ストリクス)〉で重要になるかもしれないからな…)

 

と、現在進行形で行っているミッションを円滑に進めようとすべく、様々な人との交流を続けていったのだった…

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

…一方、東国(オスタニア)バーリント中央警察署…

とある一台の車がその建物の前に止まった。

その車から降りてきたのは、茶色のソフト帽に茶色のトレンチコートを着た1人の男。

その男を、入り口で警戒に当たっていた警察官は敬礼をする。

トレンチコートの男は敬礼で返す。

そして、建物の中を歩き、とある部屋に入った。

その部屋の中には、荘厳な男の人が椅子に座って待っていた。

 

「アードルフ署長!失礼いたします!」

「ミスターゼニガタ。よくぞいらしました」

 

トレンチコートの男…銭形警部と、荘厳な男…バーリント中央警察署署長のアードルフ・シュルツはそれぞれ握手を交わして挨拶をした。

 

「しかし、ICPOのルパン専任捜査官のあなたがここに来たと言うのは…やはりかのルパンがこの国に来たということかな?」

 

アードルフは椅子に座るなり、ため息をこぼしながら呟くように言った。

 

「左様でございます、アードルフ署長」

 

銭形はそう言うと、ある資料をアードルフに提出した。

 

「すでに耳に入っていると思われますが、お隣西国(ウェスタリス)が海外の銀行に保管されていた半分にカットされている青色の宝石、通称『西国(ウェスタリス)の希望』が盗まれました。捜査の結果、ルパン三世が盗んだものとみて、我々が動いております」

 

銭形は今まで起きたことを簡潔に述べた。

 

「ふむ…ならば、なぜあなたがここにいるのかい?ミスターゼニガタ」

「それは、『西国(ウェスタリス)の希望』と同じような形である、『東国(オスタニア)の夢』が、今回ルパン三世の標的であると踏んだからです」

 

銭形は前もって調べ上げた情報を、アードルフ署長に報告した。

 

「なるほど…しかし、こんな国家機密なぜ君が知っているのかね?我々でも君達ICPOの説明がなければ知らなかったようなものを」

「ICPOの権限で様々な情報を仕入れたからです」

「なるほど…では、『東国(オスタニア)の夢』がどこにあるのかもわかるかね?」

「我々の調べでは、マクラルーン家が買い取ったとわかっておりますが…マクラルーン家はどのような家でしょうか?」

 

銭形はアードルフにマクラルーン家のことについて尋ねた。

 

「マクラルーン家は東国(オスタニア)一の富豪だ。戦争によって受けた被害で国家の予算が確保できなかった時に、マクラルーン家が援助をしてくれた。おそらく『東国(オスタニア)の夢』はその時の見返りみたいなものだろうな」

 

アードルフはマクラルーン家のことを話しながら、冷静に資料をみて分析した。

 

「なるほど…では、私はそのマクラルーン家に行って参ります」

 

銭形は早速、マクラルーン家の協力を仰ぐために行動しようとした。

しかし、それをアードルフは一旦制した。

 

「待ちたまえ、銭形警部。マクラルーン家はそんな易々と行くようなところでもないんだぞ」

「そうなのですか?」

「あぁ。何せ、今のマクラルーン家の当主、ショーン氏は…」

 

アードルフはさっきまでの荘厳な様とは打って変わって、少し気弱そうな顔を浮かべた。

 

「…噂ではあるが…『氷の王』と呼ばれている」

 




いかがでしたでしょうか?
まだこの調子が続きます。お付き合いください。
もしよろしければ評価などしていただけるとありがたいです。
では、次回お会いしましょう。
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