『SPY×FAMILY』×『Lupin the Third』〜輝く宝石はスパイと泥棒を呼ぶ〜 作:VOSE
…マクラルーン家のパーティーが最高潮となっている頃…
ロイドは様々な人と交流を重ねていたのだが、かなり多くの人と接したため、緊張も相まってかなりの疲労が溜まっていた。
そのため、ヨルと共に会場の脇にある椅子に座って休んでいた。
「やはりマクラルーン家…かなりの交流を持っているな…」
「わ、私もびっくりしました…まさか市長とも面会できるなんて思いもよりませんでした…」
ヨルも緊張していたせいか、疲れた様子を見せている。
「とりあえず休憩終わったら、もう一回色んな人と話をしてからアーニャと合流しますか」
「そうですね。アーニャさんもグレースさんと一緒に楽しんでいると思いますし」
と、ロイドとヨルで今後の話をしていた時だ。
2人の前を、1人の使用人が通った。
ロイドは一瞬ではあったが、どことなく違和感を感じた。
(ん?今の使用人…上半身と下半身に違和感が…)
ロイドはその使用人を注意深く観察すると、どこか挙動不審で、周りを気にしながら会場から出ていった。
(…あやしいな…本当なら無視したいところだが…どこか胸騒ぎがする…)
ロイドはいてもたってもいられず…
「ヨルさん、すみません。少々お手洗いの方に行ってきますね」
ヨルに嘘を言ってその場を離れた。
「あ、はい!気をつけて行ってくださいね!」
ヨルの返事を背に、ロイドは男が出た方へと向かった。
そんなロイドと入れ替わりに…
「ははー!」
アーニャがグレースに引き連れられながら、ヨルの元へトコトコと走ってきた。
「アーニャさん!探検、楽しめましたか?」
「うん!ぐれーすさんにいろんなところにつれていってもらったます!」
「それでしたらよかったです!グレースさん、ありがとうございます!」
ヨルはグレースに深々とお辞儀をした。
「いえいえ!私もアーニャちゃんと一緒に散歩できて楽しかったです」
グレースはヨルとアーニャにとびっきりの笑顔を見せた。
「そういえば、ロイドさんは?」
グレースはふと、ヨルのそばにロイドがいないことに気がついた。
「あ、ロイドさんでしたらお手洗いの方に行きましたよ」
「そうなのですね、それじゃ、ロイドさんが帰ってくるまでしばらく談笑しましょう」
「はい!」
ヨルとグレースは椅子に座って雑談をし始めた。
そんな2人をよそに、アーニャはというと…
(ちち…またスパイのにんむ?)
ロイドのことを心配していたのだった…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…パーティーの盛り上がりが少し落ち着いた頃…
マクラルーン家の前に、多くのパトカーが駆けつけていた。
サイレンをけたたましく鳴らし、パトランプを煌々と光らせながら1台目、2台目…と次々にやってくる。
「おい、なんなんだ、この騒ぎは」
玄関で見張りをしていた執事達が慌て始めた。
何が起きているのかさっぱりわからないからだ。
そんな困惑している執事達の目の前に、一台のパトカーが止まる。
そのパトカーから降りてきたのは、茶色のソフト帽に茶色のコートを着た男…銭形警部である。
「おい!あんたか!ここにパトカーを連れてきたのは!」
執事の1人が銭形警部に声を荒げた。
そんな怒り心頭の若い執事に、銭形警部は冷静だった。
「あぁ、わしだ」
「困るんだよ!こっちは今パーティーの最中だ!お客さんに気分を害されたらこっちに迷惑がかかるんだよ!」
若い執事は銭形警部に詰め寄るように迫ったが…
「それはそうだな。すまんかった」
と、冷静に陳謝した。
「それじゃ、さっさと…」
若い執事は銭形警部一行に引き取りをしてもらおうと言いかけたが…
「すまんが、我々はこの家の当主である、ショーン・マクラルーンに用がある。話を通してくれないか?」
銭形警部は冷静に、そして一方的に話を進めた。
「ショーン様?今はそれどころじゃ…」
若い執事が事情を説明しようした時…
「呼んだかい?」
ショーン・マクラルーンが、まるでその場にいたかのようにふっと現れたのだ。
「しょ、ショーン様!」
「おいおい、若造。まだ修行が足らんな。そんなすぐにカッとなったら執事は務まらんぞ」
「も、申し訳ございませんでした!」
ショーンは若い執事を軽く叱った後、銭形警部の前に出た。
「それで、あなたは?」
「はっ!私はICPOの銭形警部でございます!」
銭形警部は敬礼して自己紹介した。
「ICPOの銭形…なるほど…ルパン三世かい?」
ショーンはなるほどと言わんばかりに頷いた。
「私のことをお分かりで?」
「私の友人にICPOの者がいてな。それで中の事は色々と聞いているのだよ。もちろん、銭形くんの話題もね」
「あぁ…それなら話は早い」
銭形警部は早速、事の次第を話した。
「ショーン氏は、
「さぁ、知らないな」
「これなんですが…」
銭形警部は『
「うむ…不思議な宝石じゃな…」
ショーンはニヤリと笑いながら、まじまじと宝石の写真を見る。
「それで、この宝石がなぜうちと関わりがあると?」
「ショーン氏が所有している宝石の一つが関わっているのです。それがルパン三世が狙っていると踏んで、ここに来た次第でございます」
「ほほう…しかし、我々の屋敷はかなり厳重な警備を敷いておりますぞ」
「いや、ルパンはどんな手を使っても必ず盗みに来ます。そこで、私、ルパン専任捜査官の銭形警部が、必ずやあなたの宝石を守って見せましょう」
ここまで熱く弁を振るっていた銭形警部に、ショーンは少し目を閉じて考えた後…
「…それでしたら、我々の警備システムをご覧になりましょうか?」
まるで銭形警部を追い出すような口調で言い放った。
「ふむ…それは是非とも聴きたいのだが…」
「まずは…」
ショーンは、先程ロイド達が目の当たりにした手紙の秘密を銭形警部に伝えた。
さらに加えて詳しい警備システムも話した。
「私の金庫は、私と孫娘しか持っていない特殊な鍵を使っている。ピッキングではおろか、同じように鍵を作っても開かない特殊なものだ。もし無理矢理でもこじ開けようものなら警報が鳴り、金庫の前はあらゆるドアや通風口などが閉鎖されて特殊睡眠ガスを使用して犯人を眠らせる。これで文句はないだろう?」
ショーンは得意げに話していたが、銭形警部はいまいち腑に落ちなかった。
「しかしですな…その程度では、ルパンに…」
と、銭形警部が話そうとしたその時だ。
「これ以上、文句はあるかな?」
ショーンの本性が見え始めたかのごとく、冷たい目を銭形警部に見せた。
百獣の王すらもたじろぐような鋭く不気味な目に、正義感が強くどんな場面でも動じなかった銭形警部も冷や汗が出るほどだった。
「…さぁ、お引き取りを…まだパーティーは続いているのでね」
ショーンはそう言うと、会場の中へと姿を消した。
「…銭形警部、これでわかりましたでしょう?ショーン氏はあのようなお方だ」
銭形警部の隣にいた警察官が、ガクガクと震えながら銭形警部に声をかけた。
「あぁ…底知らぬ何かを感じたよ」
「で、でしょう?だからここは撤退を…」
「いや」
素早く撤退したかった警察の気持ちをよそに、銭形警部はある命令を出した。
「いいか!ショーン氏の敷地を囲むように配置しろ!ルパンは必ずこの館にいる!」
士気を上げるようなその声は、先ほどまで震えていた警察官を奮い立たせるのに十分だった。
「はいっ!」
マクラルーン家の前にいたパトカーが次々と出ていったが、その近くから離れることはなかった。
「…ルパン…今度こそ捕まえてやる」
そして、この銭形警部の勘が、この後見事に的中するのだった…
いかがでしたでしょうか。
もしよろしければ、評価などしていただけると嬉しいです。
では次回、お会いしましょう。