作者なんだがな!!
「で、なんで私が連れ出されてるの?」
「暇そうにしていたから」
「休みよ?」
「だから?」
あの事件から数日、私は風鳴さんの部屋に呼ばれて入り、開口一番に告げた
「何もなさすぎじゃない?」
「いや、実はな・・・」
「あぁ、奏と同じタイプか」
「まだ説明してないんですがそれは?」
寮に備え付けの洗濯機の周りを見てため息をつく
散らかりようが奏のそれとうり二つだったのだ
「呼ばれた理由は何となく察したわ」
「・・・」
呼んだ当人は部屋のベッドの上で体育座りで小さくなっていた
「苦手なんでしょ?」
「・・・はい」
目の前にいるのが大人気のアーティストと同一人物か一瞬疑った
だが残念なことに本当に同一人物である
「そこの阿呆と一緒にやりましょうか、見たところこの阿呆よりはスムーズに終わりそうだし」
「いま、2度も阿呆と言わなかったか?」
「事実でしょ痴女」
「痴女・・・!!お前なぁ!!」
「言われたくないなら、部屋の中で私くらいしかいないからと下着姿になるのをやめれば?」
ぐの音も言えなくなった奏はため息を付きながらも必要なものを持ってくる
学生寮は掃除道具も良いものを完備しているので楽だ
「洗濯は・・・量から見て2回でいいわね。面倒だから一階の大型洗濯乾燥機を使わせてもらいましょう。一度で済むから」
「寮母さんに言えば貸してくれるアレだよな?」
「えぇ、口の硬い人だから信頼できるわ」
「あいよ、私が持っていくわ」
奏がそう言って洗濯物を出しに行く。あいつ、逃げたな
「掃除の仕方は分かるよね?」
「上から下にかけていくのは知っている・・・」
「上からも大事だけど、生活動線を重視した方が良いわ、滅多に使わないところは不定期でもいいから」
たとえば、と一言入れて部屋を見渡して私は告げる
「風鳴さんの場合、冷蔵庫周辺と机とベッド、風呂とトイレ。生活動線はほぼここに集中しているわね」
「な、なぜそれを?」
「んー私も感覚的なところだから説明はしづらいのだけど、炊事スペースに使われた痕跡があまりないから」
冷蔵庫の中もお茶のペットボトルだ、飯は外で食べているのかな?
ゴミの方もあまりないし、片付け自体はすぐに終わった
でも、部屋を見て思う・・・飾り気が無さすぎると
「何もないのは・・・良くないわね」
「・・・?」
「質素すぎるわ・・・そうね」
奏がそこで帰ってきた、いいタイミングだ
「奏、ちょうどいいところに来たわね。このゴミよろしく」
「は・・・?」
「私はちょっと買い物してくるから」
「え?ちょ?まっ」
あとは聞かずに部屋へ戻り、リュックを背負ってダッシュを開始する
よく利用する生活雑貨の店までの距離から見て、急がないと門限時間に帰りが間に合わないからだ
「よし、買うか」
財布の中身を見る、相変わらず学生の持って良い金額ではないほど高額なものだ
諭○さんが10枚近くある、しかも生活費とは別で
「さて、と」
風鳴さんの性格からあまり派手なものは嫌煙するのが目に見えている
質素でありながら、飾り気もあるもの・・・そういったものをいくつか選び出して次々かごに入れて精算して帰ることにする
そしてその途中で・・・
「・・・なにしてんの?」
「うおぁ!?」
銀髪の少女が悩ましげな顔をしていたので声をかけてしまった
「迷子ではなさそうだけど・・・」
「関係ねぇだr」
腹の虫がなった、私ではなく相手の
「・・・」
「はい、これだけあれば飯食って帰るくらいは問題ないよ」
「お前・・・こんな額受け取れねぇよ!!」
「あぁ、それくらいなら大丈夫よ、お小遣いだし」
そう言って寮に帰るために全力疾走開始・・・する前に美味しいご飯が食べられる場所に連れて行くことにした
「あー、寮母さん少しお願いが・・・えぇ、お願いします」
寮母さんには見返りの代わりに口封じして・・・
「風鳴さん、明日部屋の飾りつけやるから夕方開けておいてね?横で聞いてる阿呆は自分のスペース片付けとけよ。帰るまでに終わってなかったら飯が激辛になると覚悟しろ」
「「は、はい・・・」」
さて、二人共聞いてくれたし・・・
「それじゃあ、行きましょうか」
「どこに行くんだよ・・・」
「レストラン」
サラッと言って、手を握り連行する形で近くのファミレスに連れて行く
幸い、行きつけになっている店が近くにあるため拉致るのだ
「何でもいいわよ、好きに頼んで」
「お人好しすぎだろ・・・」
「ツンケンしすぎるよりはマシね。雪音クリスさん」
その瞬間、相手の顔が警戒のそれに変わった
「どっかの回し者か?」
「いいえ、私を養ってくれている人が探している人物の顔写真にそっくりだからカマかけてみただけよ?あと奢るのは本当だから」
「敵かもしれねえんだぞ?」
「それであっても、目の前で困っている人を助けない・・・なんて選択はしないよ」
かつて自分はそうされた、あろうことか親戚連中全員にだ
挙句の果てには搾取までされた、知ったのは後になってだが・・・私はそんなゴミクズにはなりたくない
私が誰かを助けるのは、結局のところそんな自分のエゴイズムだ
「いつか牙を剥くとしてもか?」
「それが今であろうとも、よ」
「・・・」
店員さんが持ってきたパスタを頬張りながら、相手を見る
・・・ずいぶんと派手な食べ方だ
「ん・・・?」
人影に、誰かから見られている視線を感じた
「お迎えみたいね、また会えたらその時は話でもしましょう」
「・・・あぁ」
先に店からだし、金髪の女性と合流する所を写真にとり、アヤカさんとキアナさんに送りつける
この写真が役に立つと思われるからだ
「ん・・・?」
「あ・・・?」
カナタから送られてきた写真を見て、私とアヤカは思わずそんな声を出していた
そこの写っているのはいま現在マークしている人物の一人だったからだ
「おいおい、マジかよ・・・灯台下暗したぁこのことか?」
「リディアンの周辺地域に隠れていた・・・なんて普通思わないよ」
そこで疑問が浮かぶ、カナタはどうやってこの子の事を知ったのか
「アヤカ、一つ質問」
「その前に回答してやる、私の机に広がっていたものを見られた」
「おバカ!!」
「いやこの場合、カナタの記憶力に恐怖するとこじゃね?」
共に写る女性こそ、目下最大の警戒をしてる人物・・・フィーネ
アヤカの予測では、超先史文明期から度々蘇っては何かしらの事柄を成し遂げて休眠する転生能力を有した存在。とのことだ
なんか似たような人を知っているような気がしないでもないが、こちらもアヤカいわく似て異なる。とのことだ
まぁ、その人もフィーネの行動を知れば、激怒の表情を浮かべて戦いを仕掛けようとするだろう
あの
「で、増援の方は?」
「テレサと交渉したよ、なんとか人員を整えてくれるみたい。多分来るとしたら芽衣とブローニャね」
「ほんと!?」
「ただしキアナの一時帰還が前提よ。あなた、前の検診サボったそうね?」
「う・・・」
デコピンをくらった、軽い注意程度であるから甘んじて受ける
「今度の検診はしっかり受けてくること、良いわね?」
「・・・うん」
「その間はこちらで何とかするし、ぶっちゃけ芽衣が来てくれるだけで何倍も効率が上がるわ。ブローニャが来ると倍ね・・・あぁ、貴女がイラナイという意味ではないから安心しなさい」
「それは分かってるよ」
キアナが抜けた分の戦力はブローニャで十分に補える
芽衣にはそれ以外の面、頭を使う方をしてもらおう
「で、いつくらい?」
「8月初めが最短だって。色々と忙しいから仕方ないわ」
「送ってくれるだけ感謝だよ」
「そうね・・・」
その前に、一波乱来そうな予感がするのは気のせいだろうか・・・
何より、気がかりなことが一つだけある
「やっぱり、あの人が黒かな?」
「カナタが唯一、
おそらく、本能的な何かと思うが・・・他の人には握手を返していたのに、彼女だけには握手ではなくお辞儀で返した
見た感じ気づかなかったというシーンだが、私にはそれが気になる
あの子は先天的に悪意に関しての感覚が鋭敏だ、本能的にその悪意を感じ取って行動する事がたまにある
「彼女の動きは捕らえている?」
「怪しい事だらけだぞ、どうやら米国も絡んだ何かを仕出かすような動きもある」
アヤカのその質問に答える声がしたのは、今いる談話室の奥ではなく、入口近くのソファーからだった
「あら、珍しいわね。師匠がここに来るなんて」
「非番であの子の警備には緒川がついているから安心して帰ってこれるんでな」
そう言って森谷さんは談話室のソファーに横たわる
「部屋まで戻る体力回復したら戻るわ・・・それまで寝るから起こすな」
「うるせぇ部屋まで戻ってから寝やがれ、引きずってブチ転がすぞ」
「・・・それもありかな」
「キアナ、思いっきり冷えてる水持ってきて」
「嘘だからヤメろよ?」
森谷さんはそう言って立ち上がり、自分の部屋に戻っていった
「アヤカ、お前も定期検診サボるなよ?」
「分かってるわよ!!」
あぁ、そういえばアヤカも少し前に理由作って休もうとして強制連行されたクチだったな・・・そう思いながら、私は仕事に戻ることにした
半年間も放置されていたってマジ・・・?