米国に潜入して数日、秘匿回線で緊急連絡が入り、出ると受けた報告はなかなかに衝撃的なことだった
「キアナとの連絡が取れない?」
「あぁ、やられたな。下手人は米国政府特殊部隊だ」
「やはり、裏から手を回してきたか」
「アヤカ、お前もすぐに引き上げろ。次に狙われるのは」
次の瞬間、通信が切れた
圏外のマークが出て、通信が遮断されている
先ほどまではアンテナが3本立っていたのに・・・まさかと思い空を見上げると小さな光の玉が見える
「自国領土内でEMPだと・・・正気か!?」
行き着いたのはまさかの方法、EMPによる通信阻害
自国内でそれをやらかす暴挙に出たということは
「はは、マジか・・・」
軍用ヘリと戦車、戦闘機の反応がすぐに出た
私一人を倒すために軍を動かすか!!
「面白い、血で染め返してやろう!!」
技術の違いを見せつけてやる、戦力はたかが一個師団、撃破など容易い
「ダメです、通信回線の全てが遮断されています!!」
「多面打ちが裏目に出たな、相手が一枚上手だったか・・・通信終了、現在より指揮権限は俺が預かる!!」
「り、了解!!」
「慌てるなよ諸君!!急がず焦らず正確に事を成せ!!」
通信が切れたことで俺は即座に動くことにした
一時的に指揮権を俺が預かり、安全を確保するのだ
「特機部二の回線につなげ、通達する!!」
「駄目です!!本艦にもジャミングが!!」
「ちっ・・・!!アレが完成していたのが唯一の救いか!!ならいい、港湾部との回線は!?」
「生きてます!!ですがこちらもノイズが酷いです!!」
「信号を増幅して出港を通達しろ!!」
本部にいるスタッフは俺の指示を正確にこなし、一応の対策が完了する
「港湾部応答ありません!!」
「構うな!!もやい解け!!緊急出港、離岸開始!!」
「港湾部側から銃撃!!」
「無視しろ!!離岸完了とともに最大戦速!!過負荷運転7分、30ノットに90秒で達しろ!!相手は待ってくれんぞ!!」
この移動本部はこの時のために様々な対策をしている、今は通信を遮断されているが、そのパターンさえ掴めれば対抗できる機材もある
艦船としての性能も最新鋭であり、最新のイージス艦とも平等以上に渡り合える性能を有している
「通信回復しました、特機部二側には警戒するよう文書で通達してます!!」
「よくやった通信士!!これが終わったら俺の秘蔵酒のミニボトルをくれてやる!!もちろん皆も頑張れ!!まだ終わらんぞ!!」
「魚雷接近!!距離5500!!数は7本!?」
「カウンターメジャー2本撃て!!方向より射点推定!!」
艦が激しく揺れる、それを脚すら曲げずに耐えて指揮を続ける
「射点出ました、音紋解析の結果ですが相手はロス級原潜です!!」
「だろうな!!こっちが日本の中で撃てないのを良い事にたらふく食わせるのが相手の算段だ!!」
「対潜装備の限られている本艦では原潜を攻撃しても逃げられます!!」
「いいや絶対に逃さん!!対潜ミサイル準備、方位135および141、距離3500に向けて誘導!!深度設定は65!!俺の合図とともに撃て!!」
それからジャスト1分、俺は無言を貫いた、そして
「ミサイル発射!!」
「撃ちます!!」
「機関停止!!惰性航行で魚雷回避!!ミサイルはチャフとフレアで躱せ!!」
「了解!!」
再び襲う衝撃に耐え、俺はソナー員に質問した
「敵潜水艦は?」
「破壊音を確認、圧潰の音ではありません!!」
「ペラを狙ったからな」
攻撃が止んだのがその証だ、相手はもう一歩ですら撃ち込めはしない
「どういう意味ですか?」
「海図をメインモニターに」
俺の指示に海図に張り付いていた要員がすぐにメインモニターへ海図を出した。これは海図盤と連動している
「報告にあった攻撃地点はココ、本艦の停泊位置と横須賀との中間点だ。それでこちらの進路はこの青の線、相手はココに攻撃を加えるためどうしても移動する必要がある。最適点は今出した赤の光点、そのうち本艦に最も有効なダメージを与えられる地点が・・・」
「攻撃指示を出した二点、ということですか?」
「その通りだ。そしてこの二点は深度が浅く100mに満たない、その中で姿を出さずに波にも現れない深度が設定した数値だ」
「プロペラを破壊したのは?」
「ホーミングは音響だろう?搭載弾頭は97式*1だったはずだ」
「たしかにそうですが・・・」
「アレには俺の独自改良をしていてな、敵艦の尾部を狙うように音響画像化装置を追尾装置に後付で搭載している。それの効果でプロペラだけを破壊できるのさ」
無駄な人死は組織の目的に反するからな、と言ってメインモニターを元に戻すよう指示を出して告げる
「港湾部との回線を再度繋げ直せ、今度はすぐに繋がるだろう」
「隊長達は無事でしょうか?」
「アイツらならピンピンしているだろうよ。キアナも訳あって捕まったのだろう、そのうち抜け出してくるさ」
そう言ったら同時に二人から通信が入った
「カズマ、そっちは?」
「陸と海の中から危うくケチャップ多めのバーガーにされるところだったぞ、なんとか回避したがな」
「そんなの食べたくないね、食えない素材が一つ混ざってるもん」
「良くて食あたりか下手すると逝っちゃうわね」
「言うじゃねぇかお前ら・・・」
けが人は出たが死んだ人間は出なかった、普段からキチッと訓練を施してきた恩恵だ
それだけでもかなりの幸運だ、大国の特殊部隊に多面打ちされて逃げおおせたのだから
「こっちはいま低空でそっちに向けて高速飛行中、父島の北東250km地点で合流して」
「了解。キアナ、そっちは?」
「私はあの子の方に行くよ、カズマは?」
「悪いが少しばかりお客さんの接待をしなければならん。呼んでないんだが押しかけてきていてな」
「それは大変だね、お帰り願わないと」
「安心しろ、丁重な姿勢でお帰りいただくさ」
そう言って、この緊張下の中うたた寝してやがった阿呆・・・森谷闘真を艦長席に括り付けて後を任せる
正直、艦隊戦ならこの人の方が俺より情け容赦ない戦術をやるので質が悪いのだ
「本当にお一人で迎撃されるのですか?」
「あぁ、戦闘機の数はたかだか7機だろう?その程度なら俺一人で十分だよ、君はこれが終わったら忙しい部署の手伝いに行きなさい」
「了解しました・・・武装の準備は出来ています。試作品ですが、貴方なら上手く使いこなせるでしょう」
「おう、それじゃあ行ってくるわ」
対空高機動特殊装備を施した愛機、ブラックフレームを使い空を飛ぶ
戦闘機の高度に達した時、俺は挨拶代わりに敵機と平行に飛行を開始した
相手の驚く顔が見えると同時に微笑み、特殊装備の一つである25ミリ携行式速射砲でエンジンを撃ち抜き撃墜する
残り6機、2機目も同じくエンジンのみを破壊した
3機目の接近を速度で振り切り、反転しながら上を取って抜いた刀でエンジンを正確に貫いてこれも破壊
それと同時に残りの4機が撤退を選ぶが、それすらも正確な照準を可能とする特殊装備の一つである20ミリ超高初速電磁投射砲を構えて・・・
「悪いが、恨むなら上官を恨めよパイロット諸君!!」
逃さず全機撃墜した
全てエンジンを破壊するのみであり、死ぬパイロットはいない
相手をできる限り殺さず、かと言って生かすわけでもない・・・