「うー、さむ、コタツ入ろ・・・」
新年明けた翌日、1月2日
私はキアナさん達と一緒に保養所として借りている邸宅に居た
ここには地下に臨時として二課の本部を縮小して稼働させているエリアがある
本部は縮小したが機能自体はそのまま据え置きにされているため支障は起きていない
仮設本部として徴用した潜水艦が運用出来るようになるまでの臨時本部だから当たり前だが
「コタツで丸くなるのは猫だけじゃないのか?」
「奏、残念だけど人間も丸くなるのよ。ミカン取って」
「ジャンケンしようぜ、私も出たくねぇ」
「・・・」
無言でジャンケンして、一回で私が勝った
チィ!!と舌打ちしながら奏がミカンを取って来たので受け取り、皮を剥いて食べる
「しかし、アヤカさんには頭が上がらねぇな・・・ここの地下を貸してくれるだけでなく潜水艦まで調達するなんて」
「元々実験目的で仕入れていた潜水艦を転用する形だから心配ないって言ってたよ。確か
「マジかよ・・・良く無事でいるよな・・・」
「まぁ、計画が杜撰過ぎて目も当てられないって言ってたほどだから横槍入れて無駄を落とした代わりに双方が得になる情報でも与えたんじゃないかな・・・紅茶頂戴」
再びじゃんけんになった、今度は私が負けた
奏のよく飲むジュースをついで渡し、コタツに入る
「しかしその計画で作った船、相当の性能じゃなかったのか?大国2つがタッグ組んで作ったんだろ?」
「悪ければ初陣で撃沈。よくても拿捕で終わり」
「えっ・・・?」
「
奏が呆れ返っていた、大国2つがタッグ組んで情けない性能のモノしか作れないのだから
「それが巡り巡って日本の所有か・・・」
「日本じゃなくて今はまだウォルラスよ、あくまで譲渡前提の大幅改修を日本国内でしているだけだから間違えないように」
「お、おう・・・」
「さて、そろそろ呼ばれるわね・・・」
「ヴェーダの調子はどうかしら?」
「少しばかり無理して持ってきたからな、まだまだ本調子じゃねぇよ。だが1~2週間位あれば通常通りになるさ」
「そう、それは良かった。で、私がここに来た理由はわかるわね?」
「俺の仕事か?」
「えぇ、盛り付けは私がするから揚げ物よろしく」
「おう、任せろ」
二課に貸与した地下のさらに下層、そこには少し寒さすら覚える特殊な空間があった
それはヴェーダと呼称する超高速かつ大容量の量子コンピューターを設置した部屋だ
本来は運用していた艦艇に格納されていたそれを今回、日本国内でも一番人里から離れていた場所に建っていた建造物の地下深くに移設している
艦艇での運用に限界が来ていたことと、単純に今いる場所が制空権で見れば最も堅牢であり、地上からの侵攻でもルートが限られるほど険しい
「米軍の動きが気になるわね」
「まぁ、アレだけの事を他国の国内でやらかしたんだ、しばらくは迂闊に動けんだろうな。だが問題はそれじゃあねぇ、アイツラよりにも寄ってトンデモ企ててやがる」
メインモニターに出されていたのは現在、米軍の一部過激派将校たちが裏で勧めている計画、カエサルプロジェクトと呼ばれるものの概要であった
「人間そのものをフルコピーしたAIの開発、兵器化。その開発に違法な手段を講じてるのは間違いないだろう」
「しかしこちらも手が打てない状況よ?」
「なに、打てないなら相手から打たせれば良いのさ。仕込みは済んだからな」
「さすがは戦略を戦術でブッ潰す狂人は違うわね」
言ってろ、とカズマは告げて私の後に続いて地上の生活スペースに移動する
「お前はこれからどうする?」
「変わらないわよ。協力するなら守り、敵対するなら撃滅する。これは絶対的方針として揺るがないわ」
「それが聞ければ結構だ」
カエサルプロジェクトがどんなものか、カズマはおおよその予測が既に出来ている
だが、それはある意味で私達の目的であるこの世界の調査において有用な使い道があるかもしれない事から躊躇があるのだろう
だから私に先程の質問を投げかけてきた、私の回答が自分の進む道にとって間違いであればいいという思いを抱いて
「ただ、これだけは言えるわ・・・」
「未来は誰にも分からない、だろう?」
「えぇ、そうよ」
そう、未来は誰にも分からない
だから、今よりも少しだけ良い明日を、誰もが求めているんだ
新年からクッソ重いの・・・