それなのに主人公出番なし!!
「もっと早く進めませんか!?」
「無理だな、今が最速だ」
「くっそ!!これじゃ間に合わぇぞ!!」
「まぁまぁ落ち着け、現地にはちゃんとこっちの人員を潜入させてるからな!!」
<コンサートホール>
「と、でも言ってるのでしょうか、あの人は」
カズマさんが私を潜入させたコンサートホールで、彼の予測通りの事態が起きた
テロが起きると推定していた時間まで当たっているのは、控えめに言って恐怖しか無い
「貴女、何故逃げてないの?」
「あぁ、それは」
武装を纏い、相手を見上げながら私は告げる
「貴女方を自由にさせないためです」
そう言って最後に剣を握り、相手に向けた
「直ちに武装を解除し投降しなさい。継続するなら」
「するなら、どうするというの!?」
「実力行使で制圧します」
その瞬間、一瞬で敵の後ろに移動して剣を向けていた
首筋ギリギリで止め、背中越しに睨みつける
「そう、ならこちらも切り札を出さなくてはね!!」
「早い・・・!!」
「そこまで早くはありませんよ。達人なら斬り伏せているでしょう」
さもありなん、というように私は相手に対応した
おそらく切り札を持っている、それもカズマさんの予測内だ
あの人の予測はもはや予言の域に達していると言っていい
「切り札を切らせてもらおうかしら!!」
「そうきましたか」
現れたのは3人、予測より一人多いが・・・
「こちらも時間稼ぎが出来たので好都合ですよ」
睨み合ったのはおよそ1分、それだけ時間を稼げれば十分だ
「逃げるの?」
「役割は終わったので、帰るだけですよ」
シンフォギアとやらを纏った3人と、キアナちゃんから聞いていた子が現れたことを確認して後退する
もともと形勢が整うまでの足止めであり、整い次第撤退するようにとも言われていたからだ
「ご苦労さん、このまま上空待機だけどな」
「万が一となれば再突入します、そのときはお願いしますね」
「Ok,安全に降ろしてやるよ」
ヘリを操縦していたのはカズマさんだった。てっきりアヤカさんと思っていたけど・・・
「アヤカは今現在も書類と格闘中だよ。あいつはコッチの組織のトップにしたからな」
「そしてご自身は一番得意かつ出来てなかったことをエンジョイですか?」
「まさか、俺も戦力だよ。特記戦力だからな」
「私もでしょう?」
「それはもちろん、コッチじゃお前らの力はどんな言葉でも表現が足りないくらいだ」
カズマさんは至って真剣な顔でそれを言う、だが瞳には別の表情だ
「楽しんでますね?」
「まさか、楽しむよりは興味だ。この世界の人間がどのような選択をするのか。その選択の果てに突き付けられた現実を直視できるかね」
「その過程で流れる血の量がどれだけのものになるか分かっていますか?」
「最悪人類よサヨウナラだが、そうならないと確信している。というより俺が流し、流させた量よりは極限レベルで低いだろうな」
ケラケラと笑い、急に真面目な顔になった
「裏にクソ野郎がいるな。この一件」
「例の博士ですか?」
「あぁ、あいつの性格や思想はこちらの分析チームが反吐を吐いたほどだ」
「カズマさんやアヤカさんもですね?」
「とりあえず正拳突きしてやりたいくらいにはムカついたな」
それは多分やられた相手確実に死ぬだろうなと思いながらも会話を続ける
「装者の子達は大丈夫ですか?」
「たぶんなぁ・・・裏のクソ博士が変な事をしでかさなければだが」
「私も資料を見ましたが、追い詰められたら何でもしでかしますよ」
「そこが未知数だから怖いんだよなぁ・・・」
下では戦闘が繰り広げられていた、熾烈というよりは互角・・・僅かに敵側が押している状況だ
「行かなくていいぞ、そろそろあの子が大技をブチかます」
そう言われて再び視線を下に向けると、まだ写真でしか見てない子が敵を一挙に殲滅していた
「凄いですね、命中精度だけじゃない。あれだけの数を同時に操作するなんて」
「圧倒的高レベルの空間認識能力でなければ出来ない芸当だ、そして本来性質がサポート向けであるのも一因だろうな」
大量の刀剣を空間に配置しソレを速射砲のごとく斉射する。
私もやろうと思えば出来なくはない芸当だが、数の上ではあの子に劣る・・・
「模擬戦なら体力回復してからにしてくれよ?」
「当たり前でしょう?前から思ってますけど私を戦闘狂か何かと思ってませんか?」
「膝」
「うっ・・・」
8年も前のことを未だに言われてしまう、若気の至りと思ってくれてもいいのだけど・・・
「あ、あの時の事は私もキアナちゃんも反省してますよ!!」
「本当にぃ・・・?」
くっ・・・いいオモチャにされるのは嫌いなのに!
「そろそろ降りるぞ、回収だ」
「了解です」
そして全員を回収して向かうのは取り決めで降り立つ予定の基地だった
「え、くら・・・お通夜か何かかよ」
「カズマさん、冗談言える雰囲気ではありませんよ」
「いやだってさ、言われたんだろ?偽善とかなんとか」
カズマさんがそれを言うと一番気落ちしていた子が反応した
「なんで、分かるんですか?」
「普段から元気有り余ってるのがそんなんなってたら一番言われてダメ入る事言われたのは一目瞭然だわな?」
カズマさんがそれを言うとまた落ち込む、そこですかさずカズマさんは続けた
「言われた程度でそんな落ち込んだら相手の思う壺だぜ?直接的に排除されないだけマシじゃろ」
「そんな簡単に、出来ませんよ」
「できるさ、君なら。偽善がなんだ?やらねぇ善よりやる偽善だろ。行動に移したから守れるものがあって、行動しないから亡くしたものもあるわな?」
「なら、守れたものが多いほうが良いってのか?」
「当たり前だろ?ふと功績振り返ってなくしたものが多いものほどつまんねぇものはないぞ?」
時折計器を確認しながら会話を続けるカズマさんは徐々に笑いが消えていた
「お嬢ちゃん達がこれからどうしようとどうなろうと俺には興味が湧かねぇ、だけど俺はお前さんたちを守るべきものと規定している。降りかかる火の粉は振り落としてお膳立て程度ならしてやるわな」
「そこから先は私達の好きにしろ、と?」
「ザッツライト、大人が出来るんは所詮その程度が限界だ。あと一つだけ加えておく、これは俺の人生経験からくるものだ」
その発言に周りが息を呑む、私は以前聞いたことがあるので気にしない
「ウィナーザトゥルース。勝者こそが真理だ。君達の描きたい未来を信じて戦え。それが大人達の見せたかったものだ」
そういったあとにカズマさんは歌い始めた
澄んだ女性の声で優しく、それでいて荘厳さも併せ持つ歌だった
「ま、俺に出来るのはこの程度ってね」
「カズマさん歌上手いんですね。今知りました」
「いや何、こう見えて高校生くらいまでは君達以上にヤンチャでカラオケとか結構行ってたからな。歌唱力という点ならアイドルでもある風鳴ちゃんといい勝負できる程度だよ」
「いや、それの時点でおかしい!!」
そうかぁ?と疑問を浮かべているけど普通におかしい、現役でしかも売れっ子の歌手と互角というのだから
「あ、それと君達との模擬戦が組まれているから。今回の件でいよいよ技術指導することになったわ」
「なんだと・・・?」
風鳴さんが怪訝な顔でカズマさんを見ている、それを振り返ることなくカズマさんは続けた
「いやぁ、はっきり言うけど君達弱すぎ。だから最前線の戦場に立つ俺ら流の鍛え方で仕込んでやるよ」
口角が上がっていた、嗜虐的な事を考えているときのものだ
「程々にしてください、貴方はやりすぎるので」
「あ。伝えるの忘れてたけどメインの教官お前だぞ、芽衣」
「降りたらシバきます」
「ひぇ・・・」
私も聞いてなかったことをシレッと言ったのでしばくことにした
ただでさえキアナちゃんと一緒に任務出来ると聞いてたのにハシゴを外されてイライラしているところなのに重要な事を言ってなかったからだ
「そろそろ着くぞー」
「貴方の処刑もですね」
「殺す気マンマンかよ」
「カズマさん、私も訓練受けていいですか?」
「いいぞ、特例許可だ。装者組は強制参加だけどな!!」
少しだけ気が和らいだらすぐに緊張させてきたので黙らせるために軽く顔を殴っておき、私は装者の子達に振り返る
「ごめんなさいね、この人いつもこんな感じだから気にしないで」
「おい、あんまりだろ!!」
「次は本気が良いですか?」
「なんでもないですぅ・・・」
一言で黙らせつつ、皆を見る
私達の過去を見ているようでむず痒く思うところもあるが、それよりも・・・
「キアナさんから聞きました、自分の代わりに来るって。雷電芽衣さん、ですよね?」
「えぇ、そうよ。あなたは衛宮カナタちゃんでいいかしら?」
「はい、そうです」
写真で見たよりも可愛らしい子だった、キアナちゃんがいつも異常に甘々だったのもうなずける
「キアナちゃんから聞いてるわ、弓が得意なのね?」
「それなりには・・・芽衣さんは翼ちゃんと同じく剣ですか?」
「そうね。まぁ・・・」
「キレたら膝を顔面にぶち込んでくるヤベー奴だぞ」
カズマさんが余計なこと言った瞬間にノールックで鞘で小突いて黙らせた、余計なことは言わなくていいのにいうからだ
「キアナさんから大喧嘩の際にやられたと聞きました」
「大喧嘩(天変地異レベル災害)」
「余計ですよ、カズマさん」
「本当のことだろ!!えぇい何度も小突くな!!」
そうしてコンサートテロの事件は一応幕を閉じた
そして
「ほんじゃ、出向頼むぞ芽衣」
「やっぱり私が先ですか」
「あぁ、クソ師匠は遅れてくるそうだ。どうせパチ屋か飲みのどちらかだろうな」
「模擬戦で倒しても?」
「構わん、こってり絞ってやれ」
「了解です」
3日後、訓練が始まった
作注
本話中でカズマが歌った曲は モノクローム version de l'apprivoiser です
うん、荘厳だけどさぁ・・・?