「キアナ、ついに折れたか?」
「2年も頼まれ続けたら折れるしか無いよ・・・」
コンサート会場での事件から2年経った
あの時助けた子はそのままこちらで預かることになった
その理由は保護責任者がその義務を放棄したからだ、遺産も入らないのにガキなどいるかと本人がいないのを良い事にボロカス言いやがった
それでキレた弁護士があの子に代わって誅すると言ってマジで追い詰め始めている
「あの子は?」
「基本的な体術だけ教えてる、身体の方は私に頼みこみ始めた頃から自己流に加えて、所属してる子達から教えてもらっていたみたい」
「前提を整えてから来たか・・・ミスったな」
私の発言にキアナが怪訝そうな顔で見てくる
「まさかと思うけど、身体を鍛えてから来いとか言った?」
「そのまさか、言った」
私の告白にキアナは頭を抱えた
自分のところに来ていたのはそういうのがあったからか、と
「でも日常生活でもかなり凄い事しているよね、あの子」
「その中でも特に驚きなのは部活の成績だよ。あの子の弓道の腕、同世代を遥かに凌ぐって」
そう言って彼女の部活での成績をキアナに見せる
「これ、本当・・・?」
「目がいいのか、感がいいのか。おそらく目だろうけど」
そこには華々しい記録が残っていた、大会優勝がほぼ全てを占めている
珍しく大会に優勝してないときは本人が私達に大会で負けたといった時だけで、その理由も外れると分かってたけどやるしかなかったからというもの
つまり、それ以外は確実に当たる、当てられると確信した上でやったという事になる
「だとしたら相当どころの腕じゃないよ、時代が時代なら・・・」
「名手として重宝されたでしょうね。この間見てたけど、非番の隊員に要らなくなった木材を上に投げて貰ってそれを射抜いていたわよ」
「それは動体視力と弓道の腕を同時に磨いているということかな?」
いまの弓道は動かないものを射抜くものであり、その時あの子がしていたものは実戦向きと言える
ただ、そもそもの腕の良さから考えるとおそらく・・・
「その気になれば飛んできている卓球の球をぶち抜く、なんてことをしかねないわよ」
「それが出来たら天才どころの騒ぎじゃないよ」
そう言って一旦キアナは船内に戻る。多分自販機に飲み物を買いに行ったのだろう
「はい、紅茶」
「ありがと」
そして戻ってきたキアナから紅茶を受け取り、外を見る
「アヤカのところにも来ているんでしょ?」
「えぇ、後一年諦めずに続けるなら折れてもいいかな、って思ってるわ」
「でもあくまで自衛のため。そこから先は教えない、よね?」
「当然、教えるのはあくまで身を守るための方法であって戦うことではないわ」
今はとある学校の宿舎にいるあの子の事を思い、私はそう言った
それがまさか、あのような事になるとは・・・この時予測はしていなかった
次話にてやっと主人公登場・・・