シンフォギア Fake Ideal   作:アーヴァレスト

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それは憧れに目を灼かれた瞬間


モノローグ(2)

「・・・」

 

助けられたあの日から、ずっと心の奥底に抱いていた疑問が私にはある

あの人達は、なんのために戦うのだろう?と

治療を終えて、奏の住んでいる部屋を片付けさせてから数週間・・・私は思い切って質問してみることにした

 

「で、まずは私から質問してみることにした・・・と」

「はい、キアナさんは今日居ませんし」

「任務中だしね、うん」

 

朝早くで申し訳ないけど、ちょうど船にいたアヤカさんに聞いてみる

 

「私は、正義の味方になりたかったんだ」

 

そう言って、アヤカさんは自分の仕事部屋の窓を開けた

 

「諦め・・・たんですか?」

「うん。だってそれは期間限定で、大人に近づいていくと名乗るのが難しくなっていったからね・・・そんな当たり前に、もっと早く気がつけば良かったのだけど」

 

そう言って、アヤカさんは自分に紅茶を渡してくれる

そういえばアヤカさんが紅茶以外の飲み物を飲んでいるのをあまり見たことがない

 

「なんで、ですか?」

 

気がつけば、私の声が震えていた。

 

「自分以外の誰かを助けるのが正義の味方、でしょ?」

 

アヤカさんの質問に私は頷く

それにアヤカさんはだからだよ、と続けて私に返す

 

「誰かを助けるという事は、誰かを助けないという事。正義の味方っていうのは、とんでもないエゴイストなんだ」

 

その表情は苦笑いだった。たぶん、アヤカさんは自分の選択に後悔なんてしてない

 

「だから、私が戦うのは誰かのためじゃない。自分のために誰かを助けてるだけ。()()()()()でもない、()()()()()()()でも、そう()()()()()()()()()()()でもない。()()()()()()()()()()()()()()そうしているだけ。()()()()()()()ね」

「自己満足・・・」

「結局の所はそこに行き着いちゃんだよ、始まりが何であれ」

 

それでも、私は思った。自己満足だと語ったこの人も、自分の力で誰かを助けられる人だと、そうしてきた人なんだと

そして、そのあり方に敬意が生まれる

この人はきっと、誰かに間違いだと言われても、この生き方を絶対に変えないだろう

 

「お昼にはキアナも戻ってくるから聞いてみるといいよ、何かの参考になるかもね?」

 

そう言われたので待っていることにした。今は高校の入学前でやることもないからである

両親の遺産を管理していた人間も今は生前に契約をしていた弁護人の方に代わっていて、その人からの後押しもあって短期間でありながらも受験勉強もして無事に編入した

そこは奇しくも親友と同じリディアン音楽院だ、ちなみにピアノ専攻である

いやまぁ、ストレス発散にピアノとか売ってる店でゲリラっぽく高難易度の曲弾いてたけど・・・なんでその事を知っていたのか謎だが、ピアノ専攻で入れさせられた

ちなみに試験のときは楽譜を見ずにパガニーニによる超絶技巧練習曲集第3番(1838年版のラ・カンパネラ)をノーミスで弾いてやった(後日指と言うか腕全体が痛くなった)

 

「お久しぶりです、キアナさん」

「久しぶり、元気だった?」

「えぇ、もちろん」

 

そうして二人で移動したのは船内の一室、食堂の横にある歓談室だ

 

「アヤカから聞いたよ?私が戦う理由を聞きたいって」

「アヤカさんからはもう聞きました」

「珍しいな、アヤカがその手の質問に答えるなんて・・・」

 

キアナさんはそう言って歓談室の入口近くにある自販機で飲み物を買ってくれた

それを受け取り、キアナさんの話を聞く

 

「昔、()()()()()()()()()()()()()()()()()()の・・・でも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ。だから、()()()()()()()()()()()()()()()()(ひかり)になる。そう決めたの」

「夜を照らす(ひかり)・・・」

「それは希望と呼ばれるものだよ」

 

その声に振り返るとアヤカさんが入口で紅茶を買っていた

どうやら私達の会話を聞いていたようだ

 

「アヤカ、仕事は?」

「第一陣の書類は終わり、時間があるから来てみた」

「そう、それならいいけど、サボるのはダメだよ?」

 

そういうキアナさんに対してアヤカさんは笑いながらお前は衝動買い禁止か?と言っていた

キアナさんはうっ・・・と呻いたので多分今日もどこかで衝動買いをしたのだろう

 

「まぁ、それはともかくだ。私達に聞いたついでにもう一人聞いてみるといい。ほら、ちょうど都合よく向こうからやってきたぞ?」

「あ、俺ぇ!?」

 

アヤカさんが肩を鷲掴みして椅子に座らせたはカズマさんだった。カズマさんはまさか自分とは思ってなかったのか困惑している

 

「俺には話が見えないんだが?」

「戦う理由が知りたいんだと、私とキアナはもう話したから次はお前だ」

「マジかよ・・・勘弁してくれ」

 

そう言いながらカズマさんはキアナさんとアヤカさんを退室させ、私の対面に座り直した

 

「戦う理由を知りたい、だったな」

「はい」

「はっきり言うが、俺には無い」

 

知ってた、とは言わない

アヤカさんとキアナさんにはこの人が、隠している特記戦力の中でもとびっきりの戦闘能力を持っている人だと聞いている

 

「俺が戦場に立つという事はそれだけの危機に面しているか、俺の仲間と守るべき者達を殺そうとする輩が現れた時だ」

「そう、ですよね」

「だが、譲れないものはある」

 

カズマさんは私をまっすぐ見ていた。自信を持っている顔だ

 

「俺の仲間と守るべき者を、敵と定める者に殺させはしない。それは昔から変わらず今も続けていることで、これからも変わらないものだ」

「大切な人を守ること、それがカズマさんの戦う理由なんですね?」

「ま、ざっくり纏めればそういう事だな。ついでだからあの二人のも、俺の主観が入るが簡単に教えておいてやるよ」

 

そう言ってカズマさんは飲んでいたコーヒーの缶を空き缶入れに投げ入れた。その距離は7メートルほどであるが、キレイなコースを描いて入ったのに少し驚く

 

「アヤカは簡単だ、自分が動いて周りを動かすため」

「そうなんですか?」

「あぁ、アイツは正義の味方なんて幻想だと思っているからな。率先して動けば他の奴らも動く事を知っている、それこそ正義の味方がいなくてもな」

 

そう言われれば、たしかにそうだ

皆が自分から動けば、正義の味方という、先頭を行く人がいなくても戦える

 

「キアナは少し複雑だな、アイツは過去に大きなトラブルを起こした経験があるし」

「沢山の人に迷惑かけたと聞きました」

「そしてだからこそ、自分を支えてくれた人達から受け取ったものを守り、次の世代に渡すために戦っている」

 

次の世代に渡すため・・・継承のために・・・アヤカさんもカズマさんも、きっとそこは同じだと思う

そう思える心のある3人に、憧れを抱いた

だからこそ、思うことがある・・・

 

「私に、皆さんのようなことが出来るでしょうか?」

「さぁな、それはこれからゆっくり考えながら歩んで、探していけばいいさ。何も実際にぶつかり合うだけが戦いじゃねぇわけだし」

 

カズマさんはそう言って、今度はビールの缶を開ける。真昼間からお酒とはずいぶんと暇をしているようだ

 

「そう・・・戦うだけが、人生じゃないのさ」

 

一杯飲んでから、カズマさんはそう呟いた

 

「君には君にしか出来ないことが必ずある。今は見えず、そこに届かなくても、きっといつか君自身がそれに気づくだろう」

「まるで教会の神父様みたいなことを言うんですね?」

「俺自身は無宗派だけどな」

 

そこで話しは終わった、歓談室から出て、私は一路学校の寮に戻ることにする

まだ入学式は前だが、元保護責任者達の襲撃に備えるために前倒しして入れてもらった

だけどおまけもついてくるとは思ってなかった、そのおまけとは・・・

 

「おかえりー」

「ファンの人達が今のあなた見たら幻滅間違いないわね」

 

天羽奏である、マンションの隣室からそのまま私の寮の部屋に入り込んできた

ちなみに理由は私が退室してリディアン音楽院の学生寮に来ると分かったからというもの、お前は一体どこからその情報を仕入れてんだ

 

「せめて服はまともに着なさいよ、下着だけはだらしなさすぎよ」

「あっついし、今は私達しか居ないから良くね?」

 

その言葉に私は拳を構えて言う

 

「頭か腹、どちらがいいか答えなさい」

「果てしなくごめんなさい」

「よろしい、さっさと着なさい」

 

そう言って奏に服を渡して呟く

 

「一日いないだけで、コレ?」

 

部屋を出る前はホコリ一つ無いような場所だったのに、帰ったら同居人が生活感溢れる状態にしてくれてやがった

片付けくらいは自分だけでも出来てほしいものだ・・・




やっぱ主人公はママ属性あるな!!
でもコイツ作中でいちば(以下ネタバレになるため割愛)
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