まぁこの世界はモブに厳しすぎる世界なんですけどね!!
(原作以上に厳しい事は約束できる)
「♪~」
「朝から歌の練習か?と言わないほうがいいか?」
「ただの気晴らしよ」
入学式を終えて暫くした頃、私は朝の支度をしていた
ズボラな同居人が起きる前にアイロンを掛けた制服を用意しておく
その最中で歌っていたら起きたようだ
「相変わらずマメだよなぁ・・・」
「業者に頼むよりマシでしょ。意外と高いのよ、制服のクリーニング代」
コレは編入前の実体験だ
制服に酷い汚れが付いたからクリーニングを頼んだら、新品の3分の2くらいの価格になった事がある
危うく暫くの間もやし生活に入るところだった(世話しているお礼として奏にタカることで回避した)
その一件以降は出来るだけ酷く汚れないようにしているし、自分である程度のシミ落としを出来るようにしている
「しっかしすごいよな、お前がやるとまるで新品に見える」
「本職の人の見真似よ、私に出来るのは初歩的な所だけなんだから」
これでも、私のやっていることは初歩的な所だ
本職の人の見真似程度が限界だから、そこは仕方ないと諦めている
「朝飯・・・」
「冷蔵庫の中、春雨のスープとシーフードサラダ」
「やったぜ」
今の時刻は7:30、登校までには余裕がある
そうこうしているうちに奏の相棒が来る時間である8:00だ
「そろそろ来るわよ」
「ほんと正確だな」
「そうでもないわ、今日は少しだけ遅いもの」
そう言うと、部屋のチャイムが鳴った
来訪者だ、その相手は勿論、奏の相棒である風鳴翼さん
ツヴァイウィングの二人の後ろにいつの間にかいる私に、周りの目は興味のソレだ
まぁ、実のところ物を隠したりとか、除け者にするとかのイジメも起きているが対して気にしていない。そのような有象無象に構っている暇はない
その程度の事なら可愛らしい方だと思っている
「おはよう」
「おはよー」
さぁ、今日も勉強だ、とその前に机が中々悲惨なことになっている
「ねぇ、今日も?」
「懲りない連中がいるようね」
仲良くなった友人が私の机を見て質問してくる
汚された机を見て、呆れかえるしか無い。こちらを見ている三人が嫌な笑みを浮かべているが
奏は烈火の如くキレ散らかしている、ウルサイのでそれを無言の手刀で黙らせてカバンから出した秘密兵器で綺麗にしていく
秘密兵器と言っても、中身は油性ペンに有効なリモネンを大量に含めた重曹水だ。大量摂取すれば流石に命の危険を伴いかねないが有毒というわけでもない、そこらへんのドラッグストアで買い揃えられるし、お値段もかなり安い
「後で職員室に行くか・・・」
リディアン音楽院の校舎への入出は、生徒に渡されている学生証のIDで管理されている
今回のは流石に行きすぎだ、私が影から片付けるとしよう
この1件の下手人は朝早く、おそらく施錠が解かれて教師たちの見回りが終わる7:30~8:00までの間に入ったクラスメイトだ
そしておそらく単独犯ではない、複数犯だ。書体がバラバラすぎる
一回写真を取ってから綺麗にしたから、写真を出して筆跡を分析すれば誰かを大体絞れる
「なぁ・・・」
「奏は奏のやることに集中しなさい、私は
私も手伝うと言おうとした奏を制して自分の事に集中させる
「さて・・・やりますか」
放課後、先生に事情を事細かく説明し協力を得た
手元にあるのはクラスメイトの入出の記録、そして筆跡の分析に必要な紙
実のところ既に大まかには絞り込めているが、確実な証拠として用意しておきたい
「やっぱりあの3人だったか・・・」
朝から嫌な笑みを浮かべていた三人と、筆跡は一致していた
「やっぱりなぁ・・・」
「奏・・・」
いつの間にか後ろには奏がいる。気がついたら18:30になっていた、生徒は下校するよう告げるアナウンスがなっている
「暇が出来たから戻ってみればお前は寮の部屋に居ない。先生に聞いたらこの部屋だと言われてきてみれば、やってたのは筆跡鑑定ときた」
「貴女をコレには巻き込めないわ」
「と言われても私から好きに巻き込まれてやったからな」
「・・・?」
奏が言っていることが一瞬分からなかった、しかしすぐに事態を理解する
「奏・・・貴女まさか!!」
「おうともそのまさかだ、あの3人には少しだけ
「アイドルとしての自分を捨てるつもり!?」
「親友とアイドル人生天秤にかけろってか?ンなもんかけるまでもなく親友に決まってんだろが!!」
そう、奏は朝から既に3人がやったと目星をつけていたのだ
そして放課後に仕事で出るついでに3人におはなし・・・脅迫まがいの行為をしたのだろう
「お前は周りに気を使いすぎなんだよ!!」
「そういう貴女は自分から巻き込まれに行く性格どうにかしなさいよ!!」
「言うじゃねぇかこの!!」
しばらく二人で睨み合うが、それを止めたのは風鳴翼さんだった
「申し訳ないが私も巻き込まれに行った身だ、私にも同じ事が言えるか?」
「・・・!!」
風鳴翼さんは私がこれ以上強く言えないことを知っている。付き合いは短いが、私の性格をよく知ってくれたようだ
「はぁ・・・私だけで解決しようとしたのに台無しよ・・・」
「肉奢るからさぁ・・・」
「今日は魚の気分だしそもそも調理するの私だし」
「う・・・」
それから職員室によって全てのデータを渡し、3人で寮に帰る・・・前に閃いた
「奏、ちょうどいいわ、このまま街に繰り出すわよ」
「んあ!?街って、どこにだよ?」
「貴女の奢りで寿司屋に行きましょう、勿論、回らない方のね」
奏の手から財布が落ちた、それをすかさずキャッチして中身を見る
「ちっ・・・しょっぱいじゃねぇか」
「お前はどこぞのカツアゲ野郎か!?」
残念ながら財布の中身はほぼゼロだった、コイツめどこかで散財しやがったな?
「まぁいい、なら部屋に戻るか・・・食材の余りで何か作れるかな・・・」
仕方がないので部屋の冷蔵庫にある食材の余りを思い出しながらレシピを構築することにする
でもやっぱり足りないので・・・
「今からリスト作るから買いに行って、私は別の方角で買い物するわ」
奏をパシリにすることにした、日本で圧倒的人気を誇る二人のうちの片割れをぞんざいに扱う鬼畜がいるがそれは私だ
「容赦ねぇな!!」
「お使いくらい簡単でしょ?行け」
「・・・はい」
その間に風鳴翼さんには部屋に居てもらうことにした
体の良いアリバイ作りとネームバリューの悪用だ
「さぁて・・・」
二人を先に行かせたあと、私はしばらく歩き、頃合いを見て後ろに告げた
「そろそろ出てきたら?」
出てきたのは例によって朝の三人、二人から脅されて一ミリも懲りてなかったようだ
「コレはまた・・・」
見事、武装までしていたようだ。手にはバットを握っている
女の子が持つ武器ではないような気がしないでもないが、入手しやすかったのもそれしかなかったのだろう
「武道の心得もないのに、そんなの持ってても危ないだけだけど?」
「うるさい!!」
そう言って、一人がこちらに攻め込んできた。構えながら半歩下がり、バットを持っている手を殴ることで無力化と同時に武器をあらぬ方向に飛ばして喪失させた
「なっ!?」
「言ったでしょ、危ないだけだって」
そう言って一人目の腹に一撃を加えて沈黙させ、それにキレた二人目のバットを白刃取りの要領で握りしめ、がら空きの腹に膝蹴りをぶち込みながら引き抜く形で奪い取って取りに行けない場所に放り投げる
「あいにく様、こういうのは慣れてるのよ。例えば」
そう言って三人目が動くより先に、こちらが機先を制する形でその首に手刀を叩き込んで三人目も撃破する
「卑怯にも後ろから攻撃をしようとする輩が居たりもしたからね」
それらは全て過去に受けた虐待とイジメの経験からだ、だからこの3人のものは私にとってイジメにも当たらない可愛らしいものなのだ
「いい加減コレで懲りたでしょ?次は加減できないわよ?」
そう言って息をするのがやっとの3人を尻目に当初の目的である買い物に出る、奏は寮近くで品物は少ないが私は少し距離がある上に品物も多い
だが、私には特技がある・・・アヤカさんとキアナさんから教えてもらったパルクールで上手く障害を超えていけば特に苦労はなく行けるのだ
「ただいま」
「おかえりー」
「おかえりなさい」
帰ったら既に奏は帰ってきていた、予測よりだいぶ早いが・・・
「奏、貴女全力疾走したわね?」
「なんで分かんだよぉ!?」
「ただの感よ、お風呂上がったらふくらはぎと太ももの裏に湿布貼っときなさいよ?それで筋肉痛は緩和されるわ」
「あーい」
そして作ったのはお好み焼き、私が二人以上でご飯を食べるときにチョイスする料理だ
入れる具材は多いが全て事前に用意できるので、素早く調理して食べれるというお手軽さがいい
風鳴翼さんが美味しさに驚いていた、奏はそれを自慢したがアンタはただ焼いてただけでしょうがと言ってやりたい
油性ペンにリモネンが有効なのはマジ、作者の経験談
筆跡鑑定まがいの事していたけどこれはマジで有効な手になる。同じく作者の経験談
お好み焼きが手軽だとかふざけるなァァァ!!って思ったやつは挙手、作者も同じ事思ってたから