「流石は日本の誇る秘密組織、上手く偽装出来ている」
「感心している場合?」
ヘリはそろそろリディアンに着く頃合いになっていた
下を見ると巧妙に偽装されている事が分かる作りになっている
ところどころの違和感が空からでしか分からないようにうまく工作されているのだ
「よし、ご苦労!!」
「帰りはまたご連絡ください、いつでもお迎えに上がります!!」
「あぁ、頼むぞ!!」
ヘリの操縦士にそう告げて降り立ち、少し先の人物を見る
なんだか赤い服着た凄くゴツイ人物がいるか気のせいだろうか?
「出迎え感謝する、私はPMC・WALRUS代表、九条・アヤカ。横にいるのは第一即応部隊隊長のキアナ・カスラナだ」
「初めまして、俺は特異災害対策機動部二課の司令をしている、風鳴弦十郎だ」
「早速だが、我々から先にそちらが観測したであろうエネルギーについて説明を行いたい、どこか場所を用意できるだろうか?」
「あぁ、既に用意してある、一緒に来てくれ」
そのゴツい人物がまさかの代表者だった
ダンディな声だったのでさぞかしスーツが似合うのだろうかと思っていたら、スーツより野戦服が似合いそうなゴツさだった
「失礼だが、これまで実戦はどれほど?」
「生涯の7~8割は実戦と言っていいな、キアナはどれくらいだったっけ?」
「6割超えたところくらいかな?」
「なんと、それほどの経験が・・・」
まぁ、聞かれるであろうと想定していた
私はそもそも人生の7~8割は血と硝煙の匂いがある所に置かれていたと言える
キアナは6~7歳の頃に自らの意思で崩壊の力を使ったので、今が26歳だから6割超えたと言って間違いではない
「君達に言って分かるのは多分アレだな、うん」
「ロシアでのテロ未遂事件の解決協力だっけ?」
「君達の名が世界的に知れ渡った事件だな、我々も聞き及んでいる」
「裏ではそこそこ危ない橋も渡ったがね」
なにせあの時は非常に不味い立場に置かれた
テロを企てた奴らの中に日本人が複数名いたのだ、その人物達と関係がないことを証明した上でテロを行おうとしている連中のアジトに強襲をかけて制圧、ソ連軍に引き渡すという手筈にしてもらわなければ危なかった
「そちらの事は少しばかり聞いている、シンフォギアという代物でノイズを撃退しているらしいな?」
「我々にスパイを送り込んでいたのは驚いた、しかしいつの間にだ?」
「人の経歴など、偽装の仕方は何通りもあるものだよ、風鳴司令」
そう言って私はエレベーターの所で立っている経費を無駄遣いしたクソ野郎を睨みつける
「言っとくがアレは本気だからな、師匠」
「うへぇ、マジかよぉ・・・どうにか回避できないかねぇ?」
「なるか阿呆め!!小口取引でどうにか騙せると思うなよ!?」
そう言ってネクタイを思いっきり締め付け、ドスの利いた声で最後通牒を告げる
「次はまるごと没収だからな?」
「以後気をつけます」
「いつまで続くか見ものだな」
師匠といった私に目線が集まっている、キアナは知っているので呆れていた
「君達の関係は?」
「そこの阿呆が私を鍛え上げた師だ、ほぼほぼ反面教師くらいの役にしか立たなかったがな」
「俺としては成績優秀のお前が自慢なんだが?」
「ほう、その自慢の教え子が運営している組織から金をせしめているクソ野郎はどこのどいつだろうな?」
「地の果てまでごめんなさい」
「いっそ四国海盆に沈んでろ」
そう言うと師匠は小さくなっていた、いいザマである
「この間は日本海盆だったね」
「今回のはより深いからな」
「ひでぇ・・・」
そこで私はふと思い出した、師匠がこちらに出したデータのことである
「そういえばこのゴ・・・失礼、クソ野郎がそちらに出している年齢のことだが」
「アヤカさん、それ言わないでくれるとありがたいんですけどぉ・・・」
「23歳と言っているが実際は38歳だぞ、コイツ」
「なに!?」
「嘘ぉ!?」
師匠が遠慮がちに言わないよう言ってくるがシカトする
15も下にした理由は若く見られたいという欲望だろうが、若作りもしてないのに実際そう見えるのは少しどころかだいぶ腹立たしい
風鳴司令はおそらく自分以上の年齢に驚き、同行している研究者は年齢と外見の相違に驚いたのだろう
「んでもって、こいつもやっぱり人生の3分の2くらいは実戦環境にいたマジモンの実力者だ。その戦闘能力はうちでも特記戦力に入れているくらいのな」
「俺は
「お前の経費使い込みで無期限延期だ愚か者め!!」
「そんなぁ!?」
実際には嘘である、設立は秒読みまで来ているがこの馬鹿に反省させる為に灸を据えてやろう
「総隊長ぉ、そこをなんとかぁ···」
「おう、千島海盆に沈んでみるか?四国海盆よりは浅いぞ?」
「いえ、失言でしたなんでもありません、あと対して深度変わらんぞ」
「分かっているならいい、ついでに任務変更だ、お前これから連絡要員な」
「へぇい、職務はまっとういたしマース」
「しなかったら私とキアナでシバキ回してやるから覚悟しろ」
そういうと師匠の顔に何故か笑顔が浮かぶ
「やったぜ美女2人と鬼ごっこだ」
「ちなみにこっちはフル装備でお前は丸裸な」
「ファァァァァック!!」
どうせそう言うだろうとキアナは呆れ果て、私はその能天気さに頭を抱えた
「ま、こっちの愉快な変態が素だ。適度に扱き下ろしたらいい声で鳴いてくれるぞ?」
「あのぉ、それはやめて下さると助かるんですがぁ···」
「いま鳴かせてやろうか?」
「なんでもないですぅ」
そうしているうちに説明の場所に着く
席に座り、持ってきた資料を広げて説明タイムだ
「さて、説明しよう」
少しだけ馬鹿をやるのもここまでとして、ここから先は真剣な説明だ
「あの子が発動した力は、私とキアナの持っている力が変質したものだ」
「3年前のコンサートでのノイズの出現は覚えているよね?」
私が始め、キアナが質問する
それに相手が答えたのを見て、私がキアナの代わりに話す
「その時、彼女は致命的な損傷を負った、全身で無事なところを探すのが難しいくらいにな」
その時の全身をとったCTの画像を出す
四肢の骨が折れ、肋骨も2本がダメになり、内蔵も明らかにおかしくなっている部分があるものだ
普通の医者ならコレをとるまでもなく匙を投げる
「これは・・・絶体絶命ね」
「こちらの本部において緊急手術を行い一命をとりとめたが、その際に輸血が不足しキアナの血が偶然適合したのでコレを輸血に回した。同時に、明らかにダメになっている臓器と骨の移植を私のクローンを移植元に使ってな」
奇跡的な手腕を持っているカズマだからの成功だというのはあえて伏せておく
余計な情報を出して面倒になるのを避けるためだ
「君は自分のクローンを作っているのか!?」
「臓器と骨だけだ、全身ではないよ。万が一のために取っている」
その万が一のためが、あの子だった
あの選択は今でも後悔していない、キアナもそれは同じだ
「でも、血液は問題ないとしても臓器は拒否反応とかがあるはずだけど?」
流石は科学者、そこを突いてくるのは想定内だ
「私の細胞の構造は生体適合性が高くてな、意外にも拒否反応とかが出にくいんだ。コレは私から相手への移植にも言える事で、奇しくも今回のでそれを再実証してしまった」
実際、あの子には拒否反応による問題は一例たりとも起きなかった
「で、ここからが問題だ」
「と言うより、本題・・・じゃないかな?」
「まぁ、そうだな」
そう言うと、キアナが手元に銃を取り出す
自身の能力である虚数空間を掌握し、空間の狭間を生み出す能力で保有する装備を取り出したのだ
同じく私も、自分の能力で短剣を取り出した
「私達は今見てもらった超能力を持っていてな、コレが変質してあの子に受け継がれたと推定している」
実際には超能力などではないもっと禍々しい、崩壊の力だが、あえてコレも隠す
解析されて使われるのを防ぐために
「私のは今のように武器だけを取り出したり、空間そのものに働きかけて作用させたり出来るよ。体力は思いっきり使うけど」
「私のもそこは変わらないな、と言ってもキアナが自分のモノに特化しているのに対して私は兵器類に特化しているのが特徴だが」
キアナの場合は適当に突っ込んでも取り出せるのに対して、私のは構造を記憶したものしか取り出せない上、種類は決められても出てくるのはランダムである
今回も実際には取り出そうとしたのはペーパーナイフだったが出てきたのは短剣だった
あの子が発動した力はそれのいいとこ取りだろう。構造は理解できてなかったとしても記憶していれば外見だけのハリボテ程度は作り出せ、構造を記憶すれば真に迫るモノを生み出せたりも出来るものと思われる
勿論それも説明し、更に続ける
「あの子に関しては我々で経過観察を行う、なにせ適切な対処が出来るのが私とキアナと手術を執刀した医者だけだからな」
「対応できればこちらでも対応したいが、二人しかいないのでは仕方ないな・・・では、こちらが用意するものはあるか?」
「あの子の身の安全だな。他国に知れるのは不味いぞ、最悪モルモットにされてもおかしくはない力だからな」
私が危惧するのはまさにソレだ
シンフォギアのデータが取れない以上、狙うのは天然に見える形でノイズに対抗できる力を発現したあの子だろう
それこそ細胞単位で解剖・・・なんてことも平然としかねない。特に漢字で米と書きながら主食は米ではない某ヤンキー国家とか、中と書きながら世界の中心ではない某国とか、露と書きながら露出が出来ないほど寒い某国とかは
「一応こちらも身辺警護はしているがな」
「音楽院側にも潜入を?」
「あぁ、なにせそこにいる暇そうなヤツ、日中は音楽院側で
「暇そうにしていて悪かったな!!畜生めぇぇぇぇ!!」
そういうとこだぞ、とは言わず···と言うより無視して話を続ける
「森谷くん、君には後で色々と聞かないといけないみたいだな?」
「安心してくれ旦那、もう何も喋ることがねぇ」
「そもそもまともに仕事もしてないからな、喋ることも出来んわな」
「んー、総隊長?それはあんまりじゃあないかな?」
「事実だろ、お前何週間報告してないんだ?」
黙り込んだ。そりゃ言えないわな、丸1ヶ月サボってるなんて
「1ヶ月まともに報告してない人がいるなんて驚きだよ、どこの誰だろうね?」
「私が知る限り、金髪碧眼でいつも眠たそうなのに指示だけは妙に鋭く正確な年齢詐称のクソ野郎だな」
「それは間違いなく俺ですぅ!!すんませんしたァ!!」
もはや逆ギレの勢いで謝罪をかましたクソ師匠に私はビール瓶を1本放り投げた
それをキャッチした瞬間、師匠の顔が変わる
何せお気に入りの銘柄の瓶入りの限定商品である
「あざァス!!これからも着いてきまぁす!!」
「キアナ」
「言われなくても」
「あぁぁぁぁぁ!?」
やるとは言ってない、キャッチさせただけだ
すぐさまキアナに回収させ、同時に師匠が悲鳴をあげた
「嘘だドンドコドーン!!」
「誤字ってるぞ、正気に戻れ」
そう言って自分の空間しまい込み、代わりに安酒を渡す
ぶつくさ文句を言いながら受け取った師匠は、それに着いていたとあるものを見てすぐさま部屋を出ていった
「ちょろいもんよ」
「分かりやすいくらいグッズにひかれてたね」
その後色々話し合い、気がつけばあの子と2つ目のガングニールの反応を出した子の来る時刻になった
その際、歓迎会としてパーティーを開くという謎提案を実行した風鳴司令のご好意でご相伴にあずかる事になる
なお、キアナはこの発言を受けて目を輝かせていたが、1ヶ月ほど休日がなかったので今回は見なかったことにした
「さて、私は・・・」
そう言って胸ポケットから出したのはメガネ
ただのメガネではなく端末としての機能を有するデバイスで、昼間から呑気に酒をかっ食らっていたカズマをシバいて作らせたものだ
制作時にカズマは文句を言っていたが、追加でシバくと脅したら真面目に作った
それで溜まっている仕事の処理の効率的な処理の仕方を纒めて保存し、胸ポケットにしまう
さて、私もご相伴にあずかろう
漢字で米と書きながら主食は米ではない某ヤンキー国家・・・いったい何メカなんだ?
中と書きながら世界の中心ではない某国・・・おいそれは言ってはいけないぞ
露と書きながら露出が出来ないほど寒い某国・・・説明不要な気が・・・
ここのアヤカ氏は身内をシバきまくってんな・・・