審判を超えた先はダンジョン   作:日常自販機

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夢と選択と覚悟

 

 

 

夢を見た。

それは兄さんと最後の戦った時の夢を

 

「甘いぞ!ルドガー!そんな事で審判を越えられると思うな!」

 

逆手に持った双剣が何度もぶつかり金属音と共に火花が散り、今まで培った双剣術や体術が目に見えない速度で繰り広げられる。

すれ違い時の切り抜けや一刀の元に行われる連撃、雷を纏った技と、まるで鏡のように全てがそのまま二人の間で行われる。

 

「骸殻は人の欲望の糧によって変化する!ルドガー!お前の選択と覚悟を俺に見せてみろ!」

 

その時兄さんの骸殻がハーフからスリークォーターに変身することで更に力、速度、全ての能力が向上する!

 

祓砕斬!十臥!!!

 

凄まじい速度ですれ違い様に切り抜け、切り返しを行い溜めに溜めた双剣のマナを十字に繰り出す!

 

 

「ああ‥‥この夢か‥」

 

この光景を見てこの後の展開を思い出す。

 

「懐かしいか?ルドガー」

 

懐かしい声が後ろから聞こえバッと振り向くと白のコートを着た兄さんが立っていた。

 

「兄さん!?何でここに」

 

「なにもないだろ。あっさり気絶した弟を叱りにやって来ただけだ。」

 

――――なんだ?あのふがいなさは。

あう。と情けない声が自然と漏れる。

 

「全く。仮にも俺とビズリー、はたまたクロノスを倒したんだろ?あれぐらい何ともないだろ」

 

「あ‥はは‥面目ない」

 

「それともなにか?本気出せない事でもあるのか?まさか‥鈍っているとか言わないよな?」

 

「‥‥そのまさかです‥定職につけたのが嬉しくて結構サボってました。流石に全盛期には戻ってないかな‥」

 

「ったく。お前というやつは」

 

ガシカシっと頭を強く押さえつけられながら乱暴に撫でられる。

 

「まあ俺はともかくビズリーとクロノスを倒したのは仲間との連携があったからこそ出来たのかもしれない。でもな、異世界に飛ばされたからといって、仲間との縁が消えるとは思わないことだぞ」

 

―――――見てみろ。予想以上にお人好しみたいだぞ?お前の仲間は‥

 

兄さんが指を指した方を見ると、そこには嘗ての仲間が一同に会していた。

ジュード、アルヴィン、エリーゼ、レイア、ローエン、ガイアス、ミュゼ、そしてミラ。

身体が若干透けているためか声は聞こえないが意思は何となく伝わる。

 

そしてとうとう兄さんの姿も透けて見えてくる。

 

「おっと。そろそろか‥」

 

「‥‥お別れかな‥」

 

「いや‥お別れなんかじゃないさ。俺はいつだってお前と一緒にいる」

 

――――そうだ。最後に一言言っとくぞ。

兄さんは俺に背を向け真っ白な所に向かって歩き出す。

 

「ルドガー。これはお前だけの物語だ。誰の選択によるものではなく、お前が選択し答えた結果の世界だ。だからな、ルドガー‥後悔する選択だけはするなよ」

 

――――――お前はお前だけの世界を創るんだ。

 

その言葉と共に視界は白く塗り潰されていくことと共に、兄さんの姿が見えなくなる。

 

「ありがとう!行ってくる!」

 

目元に浮かんだ涙を拭い最愛の兄に感謝を述べその場を後にする。

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

「‥‥いい加減!起きろ!」

 

「グハッッッッ!?」

 

腹にとてつもない衝撃が走る!

そこにはさっきまで見てた白の景色とかではなく、焼け野原であり、遠くにはアルフィアとボロボロのアストレアファミリアとロキファミリアの面々が戦っている。

 

そして、起こしてくれたのが和服を着た黒髪の輝夜であり、どうやら全力で殴ることにより意識を戻してくれたみたいだ。

 

「‥ゲホッ‥コホッ!‥ああ‥起こしてくれてありがと‥でももうちょい優しくても良かったんじゃない?」

 

咳き込みながら感謝を述べると「あ゛ぁ!!?」と女性らしからない声が輝夜の口から出てきた。

 

「お前がいつまでたっても起きないから折角起こしてやったというのに!もう一度眠りたいのか!?」

 

「あ‥いや。すみません。ありがとうございます‥‥」

 

―――――戦況は?

と彼女に訪ねると表情がしかめっ面になり芳しくないらしい。幾ら攻撃しても有効打が与えられず、こっちがものすごい勢いで消耗していくだけの泥仕合になってるみたいだ。

 

「なるほど‥な。わかった。それじゃあ一発かましてくる!」

 

「ああ‥ってちょっと待て!お前一応さっきまで気絶して‥って早!」

 

両手にハンマーを持ちながらも走るスピードは衰えることなく戦闘中の上空に躍り出る!

 

その様相に気づいたアルフィアは全員を一度吹き飛ばそうと魔法を唱えるが、一歩遅かった。

 

「いくぞ![ジュード!]」

『OK!ルドガー!』

 

「『臥竜裂渦!!!』」

 

実体があるようで無い、半透明のジュードと共に地面を全力で穿ち抜き周囲に間欠泉のような水飛沫を発生させる!

 

「っ!!!」

 

それを辛うじて翻す事で回避したアルフィアはすぐさま距離を詰め攻撃に転じた。

 

「(その反応速度には惚れ惚れするけど!)」

 

ジュードと共に地面に闘気を広範囲に伝える共鳴技を発動する!

 

「『獅儘封吼!!!』」

 

「チッ!!」

 

技の厄介さをうっすら感じ取ったのか大きく後ろにジャンプすることで回避する彼女。

あのまま受けていたなら気絶なりなんやりするのにな。もうちょっと隙をつかなきゃ駄目か。

 

「貴様先程とは動きが違うな‥いや。正確には戻ったといったところか」

 

――――――おそらく同じメンバーで動きに付いてこれる輩がいない事から生じるソロでの戦いといったところか。

 

「そして、どうやら気絶したことで何かしら力に目覚めたか?まったく、本当に英雄の復活劇でも見ている気分だ」

 

その時、アルフィアの口元が微かに上がり笑みを見せたような気がした。

 

「ルドガー!?意識が戻ったのね!」

 

「ようやく復帰か!?この野郎!」

 

「ルドガーさん!ご無事でなにより!」

 

「ああ。皆待たせてすまない‥‥って凄いボロボロだな」

 

――――ルドガーが気絶してから酷いのなんの!もう容赦が無いのよ!ビックリするぐらい!

 

その言葉を発する彼女は若干涙目で申し訳なさが微かに沸いてきた。

 

「それじゃあこれで勘弁してくれよ!」

 

ジュードと共に治癒術を共鳴させ周囲に緑のオーラが広がり

 

「『リカバーヒール!!!』」

 

アルフィアを除く全員の傷が瞬時に塞がっていく。

 

「え!?凄!ルドガーやっぱり貴方も化け物じゃない!」

 

「誰が化け物だ!?」

 

「いや。充分ワシから見ても[静寂]にひけをとらんぐらい化け物だとおもうぞ!」

 

「すまないが、私も同意見だが味方ならこれ以上無いほど頼もしい存在ではある!」

 

傷が治り戦線に復帰していく冒険者達。各々が武器を構え眼前にいる冒険者を見据えていく。

 

「漸く本番か。せいぜい気張れよ。冒険者共」

 

その言葉を切っ掛けにそれぞれが自慢の武器、技、魔法を目の前の敵をぶちのめす為に放たれていく。

 

 





あれですね、戦いが終わった辺りにアイズに魔神剣は教えることは出来なくても[蒼破刃]を使えるようにしようかなって思ってたのを感想で使えそうって頂き、どうすっかなって迷った日常自販機です。

たぶん。戦闘はあと怪物含め三~四あれば多分終わるかなって思います。
まあ、もし終わんなかったらそれはその時考えます。
もしかしたらグダるかもしれませんがお付き合い頂けたら幸いです!

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