楽園にて生き抜く 作:no w here
――遥かな太古、神代と呼ばれる時代があった。
背景に流れるは、多様な民族の営み。それらに法則性は見受けられず、
――偉大なる神人達は後世に命を紡ぎ、その姿を消した。 時は流れ、神人の遺志継ぐ我々は彼らが願ったように地に広がり、そして大いなる命の流れを紡いでいく……
その営みを人造――否、
淡々とシステム的に響く声に反して、自身の視界は定まらない。まるで水を介したかのようにぼやけている視界に自分が泣いていることに
かの竜の心は理解しえないのかもしれない。だが、その慟哭は嫌に耳に残った。
――貴方の生きる意味は?
――一振りの剣に己が身命を託す?
――魔道の深淵を覗いて魔道の高みを目指す?
その言葉で、自分はどうしようもない勘違いを犯した。然しその勘違いを正す気にはなれない。自分が組み上げた――否、
然し、今は未だ肉体が存在しない――意識だけ、ふわふわと浮かんでいるような心地。
――あるいは戦いの道を選ばないことも出来る。その全てがここにある。その全ては貴方の中にある。さぁ、一歩踏み出して。 未知を、未来を、そして可能性を切り拓いて。それがこの地に生まれ落ちし、神代よりの子らに課せられた使命なのだから。
「――使命とは、随分な事を」
最後の一言が、どうにも気に食わず。小さくすねるように反論する。視界は徐々に白く染まっていく中、意味が無いと分かっていながらも言葉を紡ぐ。
「
その言葉を言いきる前に、自身の視界が完全に白に染まり――草履越しにざらついたものを踏みしめる感覚と共に、大きく視界が広がった。
先ず目に入ったものは生い茂った木々。自身が選択した生まれが異国の生まれ*1であることを考えると、恐らくは遭難した所なのだろう。鼻先が感じるのは潮の香、後ろを振り向けば船の残骸らしきものが転がっていた。
腰に差している脇差と打刀の鞘に意識を向けつつも、周囲を見回す。船である以上単独で密入国でもしない限りは同伴者、或いは船員が居てもおかしくない。意識して見回すと、船の残骸の中に3つの肉塊が力なく漂っていた。
「…、この世界ではどのように言うのかは分からないが…南無阿弥陀仏」
小さく祈るようにした後、生い茂った木々の方へと目を向ける。見た限り腐葉土に性質が近いように見える。手を突き込むと爪の隙間に土が入り込む感覚と共にざくり、と地面に手が突き刺さる。ある程度割り振ったSTRが役立っているようで何よりだ*2。ざ、ざ…と掘り続ける中、森の中から
「ブゥィイィッ!?」
「済まないが、手を出したのは其方だ――ここで犠牲となってくれ」
その声と共に
「グ、グゥブ…!」
砂を投げつけた方からはうめき声、そして切っ先から赤い残骸を散らした結果先程の場所から気配が失われた。意識すると少しばかり離れたところから茂みを踏む音が聞こえた。恐らく此方の異変に気付いたのだろう、確認の為に此方に向かってきていると見た。
故に茂みへと斧を蹴り飛ばし、軽く意識を誘導する。それに驚くような声を上げた場所へ目掛け大きく踏み込み、スピンラッシュで回転するように連続で斬りつける。狙いは先程のゴブリンの
それをすればどうなるか。単純、
「済まないが、此方も果たしたいことがあるのでな――来世はせめて安らかであることを」
すでに急所の狙いを定めた此方と、未だ目の利かないゴブリン。此処から何かひっくり返されることを警戒しながらも増援の阻止の為に容赦なく斬り潰した。
「…」
木片で作り上げた墓標3つ、そしてその下にある盛り土*3に小さく祈りを捧げる。ゴブリンから取得した道具*4を回収した後に作り上げたそれは、何処か不格好にすら見える。
「…我を此処まで届けてくれた事、有難う。先に払ったのか、後に払ったのかは分からないが」
インベントリから現金を出し、彼らの前へと供える。自己満足でしかないが、これで少しばかり気が収まり、海岸を沿うように歩いて行く。輸送に船を用いるというのはよくある話であり、もしかしたら港町があって本来この船はそこへたどり着く物だったのかもしれない。
その予感を信じ、歩き続ける。戦闘と採取を熟しながらも暫くすると、巨大な山を背に長閑な田舎町らしき場所が見えてきた。此方を見ながら、微かに警戒したような目を向けるのは出自の影響だろう。何れもフランスの民族衣装が見受けられる中、我の様な和装は嫌でも浮く。
「ようこそ、異国の開拓者様。此方はファステイア、旅立つ開拓者様方をサポートする街と相成ります」
「紹介有難い、案内人殿。我はジンという。早速で悪いのだが…」
「おや、何処かに所用でも?」
「…あぁ、これらの換金場所と…食事処を聞きたい」
その言葉の後、ぐぅ、と空腹を訴える。それにどこか微笑ましいような表情を向ける案内人から少しばかり目を逸らす。
そして、
「お手持ちは如何の程でしょうか?300マーニ程あれば十分な食事を提供できますが」
「どうにか、というあたりだ。先に食事処を案内してもらってもいいか?」
「えぇ、では此方となります…ああ、もしも和食がという事でしたら和食のある方へご案内いたしますが…」
「…そうだな、和食を頼みたい」
「かしこまりました。ではどうぞ、此方へ」
案内人の先導について行く。そんな中此方を見ている女性が居たが…まあ、気にしない方が良いだろう。そっと記憶の片隅から追いやった。
先ず原作改変点その1。
初期のファステイアの南北に海が微かながら広がっている。
主人公はそのうちの上部からやってきた。
アップデートを重ねて現在になったという設定で一つ(