楽園にて生き抜く   作:no w here

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此処よりオリキャラ登場。


商会

「――資料が、足りない」

 

 これだけ膨大な資料の中でリュカオーンという単語は確かにキョージュの告げた3冊以外()()()()()()()()()()()。我がせいぜい読み取れたのは、()()()()()()()()()()()()()()であり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()事位。此処に来る人間なら、ある程度は察せる内容だろう事なので話す必要はなさそうだ。

 

「もう少し、大規模な都市に向かうか…教授殿、ファステイアにはあったのか?」

 

「いや、残念ながらリュカオーンについては全く。どちらかと言えば()()()()()()についての資料が多かったが、本名ですら知れず仕舞だ」

 

「…そう言えば、あそこの蛇が全ての蛇の母の眷属だったな…そう考えれば、資料が多くなるのも違和はないか。サードレマは――」

 

「私は未だ四駆八駆の沼荒野を踏破できていないネ。時間が合う時、妻と共に攻略するつもりだ」

 

 少し考える。――此処でキョージュと共に来てもらうことは、できるのだろうか。そしてそれは相手が望む事なのか。

 …首を軽く横に振る。

 

「ふむ…どうしたんだい?」

 

「…まあ、少しばかり。だがそれに教授殿を巻き込むのもな。妻との団欒もあるだろう、沼掘り(マッドディッグ)との戦闘は」

 

「…そうだね。妻に誘われる形で始めた以上、初攻略は妻と共にするつもりだ。…その言い方だと、サードレマの資料を見る為に四駆八駆の沼荒野を踏破するつもりなのかな?」

 

 頷く。この図書館では貪食の大蛇・沼掘りによる被害が多いことが読み取れるほどに資料が存在し、読み解いていくたびに()()()()()()()()()()()()()()()()である事が察せられた。誰かと共闘する事を視野に入れ――現状キョージュ以外に頼める相手が思いつかなかった。

 

「ふむ…そうだね、これは私の推測だが――輸送を担当する商会に顔を出してみたらどうかな?」

 

「…商会、となると。ファスコア商会か?」

 

「うん。とはいえこの方法は昼に限られてしまうから、休日にやる事をお勧めするけどね――商会は輸送隊とそれを護衛する傭兵隊で成立している。傭兵隊は大体次の都市へ向かう際の運営が想定する最低必要レベルで統一されていてネ」

 

「資料を見る限り、その輸送の為の出発時間が11:40程…成程、そこで傭兵隊に志願すれば」

 

「いや、志願をするのであれば前日中にしないといけないよ。当日に頼んだとしても、商会とて傭兵に支払うだけの余裕があるとは限らない。前日であれば、報酬を準備するだけの時間的猶予が生まれる。とはいえ、これには少しばかり大きなリスクが伴うが」

 

 …思い付き、苦い顔になる。

 

「…()()()()()()()()()か?」

 

「その通り。この手段を思いついた人が、過去に居るけれど。その時に限って商隊は表舞台で処理される。開拓者が介入した以上、他開拓者の介入する余地が生まれてしまう」

 

「…気を付けるべき相手は?」

 

「まだ初めたばかりだから何とも。ただ開拓者の死亡ログを確認する限り、ジャンパン・ドラムによるものが多いね」

 

 …名前を聞いても思い当たらない。少なくとも後半の街のプレイヤーなのだろうか。指名手配を確認し、名前があったので装備を確認する。…着弾点が爆発する槌?遭遇したら一度、回避して様子を見た方が良いか。外見からして高HP、VITに見えなくもない以上、一撃で首を奪いに行けるなんて楽観はできない。

 

「確認できた。明日の昼に商隊と共に向かおう。…何から何まで世話になった」

 

「いやいや。君の旅路に幸多からんことを祈っているよ」

 

 キョージュへお辞儀をし、図書館より離れて広場に向かう。一度案内板で場所を確認し、そのまま商店に向かい――からんからん、とベルを鳴らして入店する。その音を聞いて少し慌ただしい足音の後――受付であろう一人の少女が伺えた。丁稚奉公?…否、この少女は開拓者か。

 

「い、いらっしゃいませッ。ファスコア商会に、ご来店有難うございますッ」

 

「…嗚呼。明日の商隊の護衛に参加したいが大丈夫だろうか?」

 

「えッ…と、少々お待ちくださいッ」

 

 先ほどと同じように慌ただしい足音で奥へと姿を消し。髭を蓄えた恰幅の良い男性が少女と共に現れた。

 

「ふむ。君が護衛に志願した開拓者かね?」

 

「嗚呼――いえ、はい。その通りでございます、ファスコア商会セカンディル支部店長殿」

 

「良い、良い。楽にしてくれたまえ、異国の剣客殿。君の名前を伺ってもよろしいかな?」

 

「我は、ジンという。サードレマへ向かう為に図書館で調べたところ、避けて通れぬモンスターが単独で倒すには向かない存在だと分かり、人の伝を探す為にファスコア商会を頼りたいと思い来訪した」

 

「…ふむ。酒場*1を利用するのではなく、我々ファスコア商会を頼ったのは?」

 

 …酒場というものがあるのか。それは盲点だった。

 

「酒場というのは初耳だった。だが、不特定多数の開拓者よりもファスコア商会には実績――サードレマとセカンディルを行き来している傭兵隊を雇っている事実がある。確実性を当てにしたい」

 

「成程。…雫時凛(しずくじりん)、R灰を呼んでくれ」

 

「はいただいまッ」

 

 どたどたどた。

 

「…慌ただしいな、彼女は」

 

「申し訳ない、先日弟子にとったばかりでね。なんでも服飾師になりたいらしい」

 

「…成程、指の肉刺(まめ)が多いと思ったが、装飾品を作っているのか」

 

「手慰み程度には。それらも商品として並べている、興味があったら見てほしい。――勿論、購入するのも構わないとも」

 

 商人としての顔に苦笑いを返し。

 どたどたどた、と足音が帰ってくる。続く足音は静かな――気配を彼女に紛らわせているような感覚。それが徐々に離れ――無精髭を生やした、いかつい男性をそっと目で追う。

 

「…旦那ァ、こいつ()()()()()()

 

「おや、見えていたのかい?」

 

「素晴らしい隠形技術だな」

 

「皮肉かよ、ったく」

 

 後ろ手に頭をかきつつ、店長の隣に男性が立つ。それに少女が「ほわぁッ?」と奇妙な驚きを上げた。彼がR灰だろう、セカンディル-サードレマ間の商隊護衛の傭兵長だろうか?

 

「お察しの通り、傭兵長である戦巧者のR灰(リグレイ)だ。お前は?」

 

「ジンだ。今日始めたばかりだが、宜しく頼む。店長殿、彼を呼び寄せたのは?」

 

「あぁ、彼に君の腕を見てもらうつもりでね。R灰、頼めるかな?」

 

「雇用主のお言葉は絶対、ってな。んじゃ表に出ようぜ、ジン」

 

 頷き、彼に続く。その後に続くように店長と少女が歩き――表に出たところで、魔法板(ウィンドウ)が表示された。

 

『R灰さんから決闘*2申請が来ました』

 

 それを受領し、インベントリから血昇と刃藍を抜く。初めはステータスの不足なのか鈍い重さを感じていたが――R灰を睨むことで相対者を認識し、血昇から鈍い重さが失われる。…最低でも15差はあるらしい。

 

「…致命(ヴォーパル)武器か?」

 

「さて、気にしたこともない故」

 

 刃藍を左逆手、血昇を右順手に構える。対するR灰は両手剣を正眼に。

 

「いざ」

 

「尋常に」

 

 勝負。その声と同時に自身は一足に踏み出し、R灰は姿を霞ませた。

*1
開拓者を中心とした情報交換及び交流の為の場。PT募集機能を始めとしたさまざまな機能を保有する。クラン形成にはサードレマ以降の酒場で手続きが必要。

*2
カルマ値が変動しないPvPシステム。このコマンドで戦闘時、決闘参加者のHPが1以下とならず、1となった地点で勝者が確定する。戦闘終了後、装備の耐久値及び決闘者の状態は決闘前に戻る




雫時凛(しずくじりん)
Lv:13 JOB/MAIN:裁縫師 SUB:考古学者
HP:D MP:B STM:D
STR:F DEX:B AGI:C
TEC:A VIT:D LUC:C
ダージリン。雫はダとも読めるらしい(変換で初めて知った)
容姿はワールドトリガーの三上歌歩の髪色を白くした姿。

R灰(リグレイ)
Lv28 JOB/MAIN:戦巧者 SUB:レンジャー
HP:A MP:F STM:B
STR:A DEX:C AGI:B
TEC:D VIT:B LUC:C
アールグレイ。
容姿は無精ひげが特徴のいかつい男性(思いつかなかったので各自イメージしてもらえれば)
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