楽園にて生き抜く 作:no w here
街から離れるように、悲鳴の聞こえた方へスタミナを消費しての全力疾走。その状態のままステータスを開いて全てのポイントをAGIへと割り振り、
「…、周りから見たら正気ではないのだろうな…ッ」
レベル差など考えたくもない。複数からの攻撃は何れも後ろへと置いて行き、悲鳴の聞こえた方へまっすぐに向かう。その先には――二足歩行の黒猫。
「黒猫殿、眼を塞げッ」
「な、にをー!?」
黒猫の返答の前に左手で二種類の粉を掴み、ぶん投げる。振り抜いた左逆手に引き続きインベントリから刃藍を引き抜き――甲高い金属音と共に火花が飛び散り、瞬間的に夜を薙ぎ払う。それに合わせて夜は光から逃れる様に距離を取り、黒い巨大な狼が左前脚で光を遮る様子が残された。
「助かったよ、見知らぬ誰かッ」
「それは目の前の
数瞬の対話と共に薙ぎ払われた夜が再度蝕む。それに合わせて刃藍で横合いから斬り弾いて自身の右へと蝕みを逸らす。ステータスの上り幅がおかしい以上、
それに合わせて、黒猫が
「随分とまあ、無茶苦茶をッ」
「生命としての格差が隔絶している以上、無理無茶は最低限の前提だろうにッ」
「違い、無いッ」
補填された夜へ次は此方から踏み込み、血昇を振り抜く。微かに刀身に赤が補填され――夜が、此方を警戒するように距離を取った。
「ふむ、成程――名も知らぬ武人よ、貴方が攻勢を」
「――無理だったら逃げろ、時間位は稼ぐ」
「歴戦の心、技なれど。体が雛の者を見捨てるような銃士団の矜持など持ち合わせておらぬよッ」
星のみを灯としたこの世界で、攻撃する兆候のある夜を探して流すは骨が折れる。そのリソースを黒猫殿が補うのであれば――確かに、血昇を振るう機会が増えるだろう。
黒猫の提案に頷き、絶え間なく来る蝕みを刃藍で流しながら黒猫の隣へ。そして黒猫が刺剣で二度弾き、空いた懐で回転する。それに反応し、蝕みは後ろへ退き。
――
「動いたッ」
「避けろッ」
「言われずともだッ」
血昇による牙突で
…だが
その後、視界が白く明け――黒猫と共に狼を睨んだ。此方を中心として円を描くように歩く狼。
「…勝負を急いだ?」
「…黒猫殿?」
黒猫の言葉に、狼の歩が一瞬止まる。
「…此方の話だとも、武人殿」
「把握した――ッ!」
月の光に狼が晒され――その体に、月の光が乱反射した直後。
「…これは」
「…骨が折れる、どころではないね」
…だが、ふと我自身の発言を思い出す。…
「…来るよ、武人殿」
その言葉に、意識を戻す。両目を別に動かし、それぞれの目に最低でも1体捉えるように意識をし。
「2対1を2つか、4対2を1つか」
「…
黒猫が意図を察し、嘯いた。これで、少しはましになればいいのだが。
「ぐるる…」
「がうぅっ」
「がぅがぅ」
「くるぉ…」
此方を囲むように4匹の狼は動く。物量は先程の2倍だが、月光のお陰で見晴らしは良い。その上で言うなら、
「"
レイピアの軌跡が伸び狼たちへと向かうと同時――1体が、潜り込むように躱し前脚を振るった。それを刃藍で止め――自身が余剰負荷を受けると感じ、半歩後ろへ見切る。
後ろから2つの金属音。見る事無く踏み込んで刃藍を返し、正面の狼を退かせる。
「…防御は任せるよ、武人殿――"
「任されたッ」
自身の脇をすり抜けるように、二本の刺剣がすり抜ける。向かう先は先程退いた狼――今後1と呼称する。1がさらに距離を取り、左右と正面から水音が響いた。正面から右へ目掛けて刺剣が軌跡を残す中、我は左から来る狼――今後2と呼称する――の左前脚の踏み込み目掛けて血昇を討ちこむ。
「神経断ちッ」
「ぎゃうッ?」
攻撃判定すら存在しない踏み込みがそのまま2へと突き刺さり――そのエフェクトにクリティカルを
「…大型だと、部位単位での怯みしかないのかッ」
顎の下を抜けるようにして踏み込み、二本を右へ掃う。その掃いを受けながらも鼻先で突き上げようとして、鼻先目掛けて
「くッ」
「助かったッ」
刃藍の蒼い輝きを1つ失いながらも、黒猫の後ろから来た狼――今後3と呼称する――の両前脚のひっかきを頭上へ弾く。そのまま頭上で十字に組んだ二本を思い切り振り下す。
「クロスエッジッ」
「がるぅぁッ」
此方の十字斬りに対して後ろ蹴りで迎撃し、3が距離を取った。そのまま動こうとして、かひゅ…と自身の口から声が溢れる。そしてごぼり、と口からあふれる感覚と内臓に感じる強い痺れ。…それはそうだ、仕方がない*3
「…ッ2秒だけ稼ごうッ」
二つの金属音。そして自身の正面から襲い来る3へ黒猫が刺突で迎撃した。その間に刃藍を地面に刺してポーション・MPポーション2本を踏み砕き散布する。徐々に痺れが引いて行く中、2と入れ替わりに狼――今後4と呼称する――が突っ込んできた。刃藍を持ち直し、黒猫の着ている服の襟を噛んで一緒に躱す。「ぐぇっ」という声に申し訳なくなるが、赦してほしい。躱した後に黒猫を下ろす。
「開拓者は、野生にでも帰っているのかいッ?」
「この二本を失った我等足手まとい以上の何物でもないのでな、許してくれ」
4に続く2からの噛付きに顎の下から蹴り上げる事で攻撃そのものを不発にし、黒猫の刺剣が身を捉える前に空を切った。
「…まあ、そのおかげで従剣劇を切らさずに済んだのは助かったよ。魔力も少々心なかったから殊更にね」
「やはり、それは魔法か。ただ回復の余力は然程ない故、燃費の良いものを頼む」
「難しい事を言ってくれるねぇ…でも」
「「やるしかない」」
支点作り後スピンラッシュ
イメージはモンスターハンターの空中回転乱舞
此処からは独自解釈複数です、とはいえ今回は明かしませんが