異世界でチート貰って魔王を倒した勇者の話   作:超高校級の切望

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上級魔王
クソ強い。これと戦えとか馬鹿じゃねえのと思っている。
仲間が全員死んだので一人で魔王城に侵入し打倒した。性別は雄


亜神
神だから馬鹿みたいに強い。正面から単独で殺すとか無理。戦う気がなかったのに自信作(上級魔王)を打倒した勇者に興味を持ち会いに来た。
万全な状態でも殺されかかった。命乞いして油断したところを背後から刺してそれでも死ななかったので滅多刺しにして漸く殺した。四つ目の四腕半蛇の女神。司る概念は『愛』。


水晶の国

「お客さん、見えてきたよ。あれが青水晶の国の首都、ブルールビーだ」

「ルビー?」

 

 家畜飼料を運ぶ荷車に乗せてもらった旅人は御者の言葉に首を傾げた。ブルーは解る、美しい青水晶で出来た城がここからでも見えるのだから。しかし青い宝石といえばサファイアでは?

 

「ふふん。まあそれは時間になればわかるさ………ところで………」

「ん?」

「あれ売った時の金、本当に五分でいいのか?」

 

 振り返った御者の目に映るのは、巨大な赤い蜥蜴の死体。魔法で馬車についてくるよう運ばれているが、本来なら文字通りの百馬力でも足りないだろう。それほどまでの巨大。それが今、事切れていた。

 

「構わねえよ、運搬魔法なんて俺持ってないし」

「それをいうなら俺だって魔法増幅装置を持ってなかったんだが」

 

 物を浮かせ動かす運搬魔法。商人、農家が扱う職業魔法。魔法式自体は簡単だが人が覚えれる魔法の数は個々人によって異なる。覚える必要がない魔法は覚えないのが普通だ。

 とはいえ魔法を覚えられる数に限界が個々人あるように、発動できる魔法の規模も個々人に差がある。国一つ運んだとされる伝説の運搬屋もいれば、木箱一つしか運べないものもいる。

 後者の者達に愛用されるのが魔法増幅装置。言葉の通り魔法の規模、効果を高める魔道具。魔法の資質に乏しいものでも強力な魔法が使える優れもの。

 攻撃魔法、戒律魔法、生活魔法、医療魔法など様々な用途に区別され、生活魔法以外は買うのに許可証が居る。

 これは許可証がいらないとはいえ、ここまで巨大な魔物を運搬できるのだからかなり高級品なのだろう。

 

「友人の手作りだよ」

「魔道具は開発者の? この規模となると、第一級加護持ちだよな。あんたどっかの貴族の子息だったり?」

「俺自身はただの流れ者だ。ハンターをしていてね、第二級加護持ちの魔女を含んだパーティーだ。空間収納系のアイテムもあったんだが、そっちは壊れちまって………」

 

 ハンター。

 これだけの強さを持つのだから等級も高かったのだろう。加護と同じく6から1の等級と、それらを二分し、その上に特級を付け加えた計13の等級がハンターの階級。

 アカオヤマフミトカゲを単独で、しかも一瞬で倒すとなると3級か准2級……2級以上ともなると顔も知れ渡る。ランカーと呼ばれ、毎年更新される冊子に名が記されるのだ。詳しいわけではないが、彼は見たことがない。

 まあ何千人分もあるし。

 任意でランクから除外してもらえるがハンターとして名がしれたほうがいいはずだし、見逃してたと考えるほうが妥当だろう。一般市民からすれば依頼できない、生で見れたら幸運、というような存在だ。帰って調べて居たらラッキー程度に思っておこう。

 

「お、騎士団のご到着だ。交渉は俺に任せてくれませんか?」

「どの道大金だろうに、ごうつくばりだな。ま、いいさ。俺も金があって困るのは荷物が嵩張るぐらいだからな」

 

 いっそ収納系魔道具でも買えたらいいのだろうが、高度な術式、高価な素材を必要とするそれ等は商国によって管理されており、上級商会か魔導国貴族ぐらいしか持てない。

 そんなことを考えながら駆けてくる馬を見る。

 

「止まれ! それはオヤマフミトカゲだな!」

「ええ、アカオヤマフミトカゲです」

「そうか、目覚めの際の地響きは観測されていた。討伐隊を出す予定だったが、無駄になったな。倒したのは君か?」

 

 と、隊長が旅人を見る。直ぐに納得したように頷きその国独自の礼を取る。

 

「感謝します。我が国の戦力では、間違いなく死者が出た。いや、道中の村々も、蹂躙されていたでしょう」

「こちらとしても襲われた身。我が身可愛さにやったことの、結果に過ぎません」

「いやいや。それでも多くの民が救われたのは事実だ」

「…………この国にはあれを倒せる者がいないのですか?」

 

 ただのでかいトカゲだぞ、と言いたげな目を見て隊長は恥ずかしそうに頬をかく。

 

「生憎、騎士団長がハンター等級にして5級でして………」

 

 勝てるかどうか、ということか。騎士団長になっているなら戦闘向きの加護だろうに、加護が弱いのか?

 

「もちろん討伐隊を組めば勝てるでしょうが………」

「集めるのに時間がかかるのか?」

 

 それとも国の戦力を使いたがらない貴族でもいるのか………。

 国の軍が動かずゴブリンの大群から砦一つを三日三晩戦い続け守った時のことを思い出し顔をゆがめる。

 

「許可自体は降りるのだが、かと言って街の防衛を疎かには出来ないからな」

「…………それもそうだな」

 

 許可が降りなかったと、たった数人で突撃し殺された騎士の最後の言葉を思い出す。この国は違うらしい。

 

「滞在時の費用は全てこちらで持ちましょう。どうぞ、お楽しみください」

「? 良いのか」

 

 そんな事勝手に決めて、文字通り首を斬られないのだろうか?

 

「『民の命あっての国。民が救われたなら必ず返せ』が王の言葉です」

「…………良い国だ。観光を楽しむとしよう」

「あはは。永遠に滞在するのなら、お金は払えませんからね?」

 

 そんな軽口を叩かれ、国営のホテルの地図と証明書を渡される。これがあれば国営の店は全てただで、物を売る際2割増しで買い取ってくれ、どんな店も後で国に請求してくれるらしい。

 

「暫くは街を挙げての宴ですよ。こんな大きな肉が入ったんですから!」

 

 

 

 

 

 

「来てる来てる来てる! おいあれどうすんだ!?」

「逃げろ! 兎に角逃げろ!」

 

 地響きを立て迫りくるムラサキオオヤマフミトカゲ。一歩一歩が馬鹿みたいに大きい。身体能力を上げる加護を持つ戦士と盗賊が魔法使いと神官を抱えそれぞれの補助術でさらに身体能力を上げて何とか距離を話していく。

 

「この先、確か崖だ! 引き付けて二手に分かれるぞ!」

「「おう!!」」

 

 と、崖の前で二手に分かれる。地面を下顎で削りながら進んでいたオオヤマフミトカゲはそのまま落下し………

 

「頭うっただけかよ」

 

 身体大きすぎた。ブルブル首を降り崖の上に戻ると勇者を睨む。でかすぎるために顎の範囲から離れるためだけに二手に分かれて数キロは距離を取らされたっていうのに。

 

「虚栄加護『剣神ウェスパルド』第1級、刻印起動」

「刻印起動! 『剣神』ウェスパルド第1級加護権限!!」

「『魔神』バーナイヤーガ第二級加護権限………」

 

 神の力の一部が顕現する。まだ魔界に入って2週間だというのに、いきなり使わされた。

 

 

 

「死ぬかと思った」

「これ、多分幼体だよな?」

「だろうなぁ、生殖器が未発達だ」

 

 神官の治癒を受けながら盗賊がいった言葉にゲンナリする一同。魔界の生物が人間界で本領を発揮できないように、人間も魔界では神の加護を十全に使いこなせない。

 神の加護に頼らぬ素の力を鍛えようと誓った矢先に、まだ子供の魔獣相手に加護を使う事になるとは。

 

「まあ久々に肉が入ったから良しとしようぜ。ここ最近虫とかしか食えてなかったし」

「食えたとしてもゴブリンの肉とかだしな………」

 

 早速切り分け焼いて食べる。

 

「これは…………まずい!」

「まずいわね」

「とんでもねぇ不味さだ!」

「昔食った腐った肉の味がする………」

「…………一応、解毒の奇跡を祈りますね」

 

 

 

 

 

 

「…………寝ていたか」

 

 久々のベッド。それも超フカフカの高級ベッドに寝転がり眠っていたらしい。起きたのはホテルの従業員が近付く気配を感じて。

 もうすっかり深い眠りにはつけず、周りの気配に警戒する習慣が取れなくなっている。

 

『いいか、眠る時も常に周囲を警戒しろ………え、出来ない?』

 

 とは深く眠れば大人に文字通り食われるような貧民街出身の盗賊の言葉だったか。あの時は習得理由からして習得したくないなどと思っていたが、魔界で過ごすうちに覚えてしまった。

 近づいてくる気配は一つ。足音、一般人。敵意なし。

 無意識に掴んでいた剣を起き、待つ。扉がノックされた。

 

「お客様、よろしければ展望風呂など如何でしょう。この首都の名の由来を見れますよ?」

「ほう………」

 

 興味ある。扉を開けるとホテルボーイがバスローブや洗面具を乗せたカートの前にいた。彼の案内に従い展望風呂に向かう。

 腐った肉は健常に偽る。これは加護ではなくただの魔法だ。

 わざわざ浴場とシャワー室とわけてあるらしい。体を洗ってから浴場に入る。

 

「おお………」

 

 城が見えた。街も一望できる。

 そして名の由来が解った。城として削り出された水晶や街に点在する水晶が夕日に反応して赤く輝いている。

 ただ染まっているのとも違う…………何か特殊な変化が起きているのだろう。

 

「綺麗だな」

「そうであろう?」

 

 と、一人の老人が声をかけてきた。座りなさい、と手招してきたので湯に浸かりながら段差に腰掛ける。

 

「ここの水晶は特別でね夕日や朝日を浴びるとより赤く輝くのだ」

 

 やはりそうなのか。科学には詳しくないから類似する概念はさっぱりだが、この赤さがブルールビーの名の由来。

 

「オヤマフミトカゲの討伐、心より感謝を………かの超獣が討たれるまでに、我が国の民にどれだけの被害が出たか」

「隊長殿に言ったように、結果論ですよ」

「…………驚かんのかね」

「王族とは対面する機会が何度かあり………独特の雰囲気を察せられるのです」

 

 嘘ではない。

 まあ他所の世界から来た幼い子供が他の世界のために戦うことを平然と受け入れてるような王などどいつもこいつも大嫌いだが。

 

「その髪と瞳………もしや勇者? あるいはその血縁か?」

「勇者だよ。もう、魔王討伐に向かう気はないけど」

「そうか…………」

「…………………」

 

 神のご加護を受けながら、とでも言われるかと思いきやそんな事はなかった。意外だ。

 

「つらい役目を押し付けた」

「………貴方のせいではないさ」

「だがこの世界のせいだ」

「…………………」

 

 申し訳無さそうに言う国王に、勇者はただただ目を細める。

 こういう人間がいるから世界を救う価値があった……なんて寝言を吐けるほど、たった人間一人を特別視はしていない。そうとも、この世界のせいだ。

 

「叶うならば、お主がこの世界で誰かと愛し合えることを願おう」

「愛、ね…………」

 

 

 

 

 

与えましょう与えましょう。貴方に呪い(祝福)を与えましょう。

私の心臓を貫いた憎き仇敵。

平穏を奪われた可哀想な奴隷。

この世界を受け入れられぬ愚かな人形。

()の愛を与えましょう。

何時かこの世界を許した時

何時か誰かに恋した時

何時か誰かを愛した時

()は全てを奪いましょう

()の全てを与えましょう

 

 

 

 

「………ごめんだね」

「そうか………」




オヤマフミトカゲ属
体高40メートル、体長300メートルの超巨大なトカゲ。
亜神の生み出した魔物ではなく神々の生み出した超獣(魔力を持ち、ただの獣を超えた力を持つ)。
名前の通り小山程度を乗り越える大きさを持つ。絶対数は不明だが意外と数は多く肉はよく取引される。冬眠期間が長い。鱗は金属の性質を持ち加工品に使われる。骨も同様。捨てるところはムラサキオヤマフミなどが持つ毒腺ぐらい。まあ錬金術師などは好んで使うが。
超獣の中でも強い部類。強さの振り分けは准4級(小国元帥、大国騎士隊長〜団長クラス。平均加護5級5人以上のパーティもしくは第准4級加護持ち実力者が必要)とされている。命名は過去の異世界人。


オオヤマフミトカゲ属
名前は似てるがこちらは魔獣。山のような体躯を持つ。
鱗は硬く、そのくせ素早く肉はまずい。等級2級。


討伐等級
基本的にはハンターの等級なら倒せるとされる等級。なので准4級は強さ的には5級程度。
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