また、この作品でカービィ熱が再燃した方、またはカービィに興味を持ち、シリーズを買った方が何人かいるみたいで、カービィファンの一人として嬉しい限りです。これからも応援、よろしくお願いします。
そして、みんなで声を揃えましょう。せーの…。
『こんな二面ボスがいてたまるか』!!
「うーむ…。見つからんなぁ」
えっちら、おっちら、となんとも覇気のない掛け声で夜空に浮かぶ雲。
その上には、やけに丸々とした体躯のペンギンが胡座をかき、その隣で中学生ほどの少女が寝息を立てていた。
ペンギン…デデデ大王は、眼下に広がる街を見下ろしながら、一人ぼやく。
雲…クラッコも同じように、下にある街並みへと目を向けながら、弱音を吐いた。
「大王さま、もう遅いですし、帰りましょうよ。サテンちゃんもオネムだし」
「くかー……はっ!?ね、寝てない!寝てないよ!?寝てない…、寝てな…くかー…」
少女…佐天涙子は、ばっ、と顔を上げてかぶりを振るも、即座に眠気が襲ったらしく、再びうつら、うつら、と首を遊ばせる。
まだ夕飯どころか、入浴すらも済ませていないというのに、余程眠たいらしい。
少女とは思えないいびきをかく佐天に、デデデ大王らは眉を顰め、起こそうと奮闘する。
「おいサテン、お前が寝るな!!
お前がうっかり逃した『アレ』を探してるんだろうが!!起きろ!起きろっ!おーきーろーっ!!」
「…ふごっ」
デデデ大王が捜索しているのは、彼らの部下ともう一つ、特大級の爆弾であった。
ある騒動の産物を取り込み、学園都市の一角を焦土に変えた、黄泉からの審判者。
デデデ大王と佐天の奮闘によりなんとか打倒し、彼らは危険性を憂慮して、その化身とも呼べる存在を虫籠に捕獲した。
が。今朝方、佐天がボールを踏んづけてすっ転び、虫籠を壊したため、中身に逃げられてしまい。
結果、デデデ大王らは丸一日学園都市を駆けずり回り、『中身』を捜索する羽目になったのだ。
その疲労が溜まったデデデ大王は、こめかみに青筋を浮かべながら、寝こける佐天をがくがくと揺らす。
それに対し、クラッコは呆れたようにため息をついた。
「考えすぎじゃないですか、大王さま。
前に倒したAIMバースト並みの思念の強さじゃなきゃ、まず覚醒はしないって大王さまが言ったんでしょ?」
「考えてみろ!オレさまたちがここに飛ばされてる時点で、なにかヤバいものが裏にいるのは確定してるだろ!!」
「あっ…。あーっ…、あー…」
その可能性に至ったクラッコは、遠い目でデデデ大王から目を逸らす。
デデデ大王は「まったく…」と呆れつつ、ふと、ある場所を見下ろすと。
「……あ゛ーーーっ!?!?」
瞬間、デデデ大王は目をひん剥き、視界に入ったソレを指差して叫ぶ。
クラッコは何が何やらわからず、わたわたと目を動かした。
「ど、どーしたんです?」
「クラッコ、あそこ見ろ!!」
「……あ゛ーーーっ!?!?」
デデデ大王が指す方向に目線を向けると、クラッコもまた同じように叫ぶ。
そこには、探し求めたモノと共に、接点が見当たらない友人二人が、何かを覗いているのが見えた。
「くかー…」
尚、佐天は完全に寝落ちしていた。
♦︎♦︎♦︎♦︎
その頃。上条当麻と一方通行の戦いは、佳境に差し迫っていた。
能力の開発にかまけて、全くと言っていいほどに体を鍛えず、摂生もしていなかった一方通行。そんな彼が、ロクに喧嘩などするはずもなく。
結果、肉つきもなく、ほっそりとした体で食らう打撃の数々にダメージが蓄積され、フラフラになっていた。
当麻は数発、投擲を体に喰らった程度で、普段絡んでくる不良たちの一撃よりかは遥かに軽い。
「どうした、最強。さっきまでの余裕が消えてるぞ」
最強。無敵の力を手に入れると謳っていた自分が、幾度となく地に叩き伏せられた。
一方通行の自尊心は、既にズタボロだった。
訳の分からない宇宙人を助けようとしたバカを相手にした、と言う認識を改め、心底苛立ちを込めて当麻を睨め付ける。
目の前にいる人間は、この都市においては最底辺の劣等生だろう。
しかし、最強の能力を持つ一方通行にとっては、不倶戴天の天敵であった。
「ッソ…!あの、ピンク玉ァ…!!」
そもそもの話、一方通行がここまで苦戦を強いられているのは、とある理由がある。
能力の本質である解析能力が、マホロアをもってして「存在自体が意味不明」などと言われるカービィに触れたことで著しくエラーを吐いているのだ。
だからこそ、細かな操作に集中力を割かなければならず、その間に当麻に殴られる…というのを繰り返していた。
本来であれば、風力操作によりプラズマを形成してぶつけるつもりでいたのだ。
「…いや、待てよ。くかっ、かかっ…」
と。フラつく頭に、なにやらインスピレーションが走ったのだろうか。
一方通行は不敵な笑みを浮かべ、手を掲げる。
当麻が殴りにかかろうとした、まさにその時だった。
「や、やめて!!そんなに無作為に夢のチカラを集めたら、『悪夢』が出ちゃう!!」
エフィリンの焦った声が響いたのは。
一方通行が操っているのは、夢のチカラ。あらゆる不可能を可能へと変える、まさしく万能のエネルギー。
しかし、そのチカラにはたった一つだけ、大きな欠点があった。
『悪夢』さえも呼び寄せてしまうという、あまりにも大きすぎる欠点が。
「悪夢ゥ…?くかっ、かかっ…!俺が呼ぶのはンなモンじゃねェよ…!
来い…!俺の願いを叶えろォ!!究極の願望機『ギャラクティック・ノヴァ』!!」
一方通行が叫ぶと共に、夢のチカラが歪なほどに膨れ上がっていく。
ここで、一つの疑問が浮上することだろう。彼が操っている夢のチカラは、一体全体どこから生まれたものなのか。
答えは単純。一方通行の抱く、『絶対的な力への渇望』から生まれているのだ。
そのエネルギーの総量は、こうしてたじろぐ間にも増えていく。
軈て、集った夢のチカラに呼応してか、空が歪むのが視認できる。
当麻らがそれに絶句していると。
いつの間にやら出現していた異空間に繋がる穴から、ズタボロになったマルクがバウンドして転がった。
「くか、かかかっ…!邪魔者の退治ご苦労ォ、星のカービィ…!!」
「ぽよ!?」
マルクを打ち倒したカービィは、不敵に笑う一方通行を前に当麻らと同じように狼狽える。
一方通行を恐れたのではない。膨れ上がる夢のチカラの危険性を、なんとなく察してしまったのだ。
皆が目を白黒させていると。マルクもまた、不敵に笑い、集まる夢のチカラへと近づく。
「クク、ククク…。こちらこそ、ゴクロウさまなのサ…。バカみたいに夢のチカラを集めてくれて」
「あァ…?」
一方通行が何かを言う暇もなく、マルクは凄まじい速度で御坂妹へと迫り、彼女を蹴り飛ばす。
何が起きたかわからず、御坂妹は目を白黒させながら、夢のチカラの塊へと突っ込んだ。
「────あっ」
どぷん、とまるで液体に突っ込むような音を立て、その姿が消える。
当麻らはソレを目の当たりにして、マルクを睨め付けた。
「…マルク…!テメェ…!!」
「クク、ククク…。
一方通行、キミは気づけなかっただろうけど…。ボクの言葉には、ある決定的なウソが含まれていたのサ…」
マルクはケタケタと笑い、紅に染まる夢のチカラの塊へと目を向ける。
その中心には、当麻が買い与えた髪飾りにソックリの蝶が佇んでいた。
「ギャラクティック・ノヴァは、莫大な夢のチカラに反応するワケじゃない。それはあくまで、召喚の衝撃のクッション材なのサ。
ホントはなぁ…、『ミルキーロードが繋がった特殊信号』によって呼び出されるのサ…!」
「……は?」
ずぁああ、と音を立てて、蝶にエネルギーが集中する。
そんな中、茫然自失となった一方通行に、マルクが嘲笑を浮かべた。
「つゥ、まァ、りィ…。キミがしてたコトは、マーッタクのムダだったってワケなのサァ!!
ひゃひゃ、あひゃひゃ、あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」
ゲラゲラと笑うマルクをよそに、審判を下す者はこの場に姿を現す。
ふぁっ、と羽ばたくような音と共に、光が霧散すると。
そこには、カービィによく似た体躯の、紅の騎士が佇んでいた。
「この際だから、ゼンブ教えてやるのサ。
ボクがホントーに狙ってたのは、『バルフレイナイト』の降臨!
ハナッからギャラクティック・ノヴァを呼び寄せる気なんてサラサラ無かったんだよバァアアアーーーーカッ!!!」
瞬間。嘲笑うマルクの体に、ぱりっ、と雷が走る。
皆がなんだ、と思った矢先。凄まじいまでの雷撃が、マルクを焦がした。
「がはっ…」
ボロ雑巾のようになったマルクは、口腔から黒煙を吐き、その場に倒れ伏す。
騎士…バルフレイナイトはソレを一瞥すると、紅の剣を手に、地面へと降り立った。
「ば、バルフレイ…、ナイト…?」
「詳しいことは、ボクたちも知らない…。
でも、確実に言えることは…、アレは、ボクたちの敵だよ…!」
夢啜る極蝶、バルフレイナイト。彼が啜るのは、共に吸収した御坂妹『たち』の夢。
弄ばれ、ゴミのように吐き捨てられた生命の叫びを聞き届けた審判者は、ある一角に目を向けると、天高く飛び上がる。
当麻らがソレを止めようと駆け寄った時には、既に遅く。
その方角に、バルフレイナイトが放った、雷炎纏う斬撃が直撃した。
バルフレイナイトはその先にて起きる悲劇に目もくれず、ゆっくりと彼らの前に降り立ち、剣を構える。
と。完全に踊らされていた一方通行が、凄まじい形相でソレに迫った。
「……っ、がァァアアアっ!!」
が。悲しきかな。
『存在するはずのない存在』が放つ一撃に、ベクトルなどという物理法則など、存在するはずもなく。
バルフレイナイトは一方通行の体を切り裂いた。
「……あ?」
一方通行は斬られた感覚がよくわからなかったのか、熱を感じた腹部を見遣り、目を見開く。
そこからは、とめどなく血が溢れ、焼け付くような痛みがじんわりと広がっていった。
その痛みと、先ほどからの消耗に耐えきれず、崩れ落ちる一方通行。
バルフレイはまるで、通学路でも歩くかのように、一方通行を一瞥することもなく通り過ぎた。
当麻らはそれに目を見開くも、即座にあることに気づく。
「…御坂妹は…、御坂妹はどうなったんだよ!?」
「吸収されちゃった、と思う。
少なくとも、アレを倒さない限りは、ミサカ妹は解放されない」
熱波と共に、ゆっくりと歩みを進めるバルフレイナイトに、ごくり、と唾を飲み込む当麻。
ダークリムロなど、比ではない。
相手は一切の声を発しないというのに、生命の叫びを叩きつけられるような感覚が、当麻を襲う。
今、黄泉より返った極蝶が『災来』した。
バルフレイナイト…マルクプロデュースバイトテロ。帰ってくれ。
夢のチカラと御坂妹を吸収して、新たに超電磁砲並みの電撃を手に入れたぞ!やったね!頼むから帰れ。
…なぁ、信じられるか?コイツ、この小説じゃ二面ボスなんだぜ…?
ちなみに、AIMバーストを吸収した前科持ち。佐天のところから逃げ出せたのは、マルクの策略によるもの。
黄泉の法則を把握しないと、ベクトル操作がただのお荷物になるとかいうクソ仕様。死なねー限りわかんねー法則とか解析できるワケねーだろ。
マルク…ハナッからギャラクティック・ノヴァを呼び出す気なんてなかった。そもそも、コイツのいたずらに目的もクソもなく、「ただ自分が楽しかったらそれでいい」なので、より迷惑になるだろうと考えてバルフレイナイトを召喚した。
だいたい、マルクがいたずらに同じ手を使うわけがないと思うのは、決して私だけではないはず。
実験を中断させたのは、一方通行が夢のチカラを集めたところに御坂妹を突っ込むことができる状況を作り出すため。もし、蝶がその場にいなくても、莫大な夢のチカラと、妹達の生命の叫びに引き寄せられるはずと考えていた。
それに加え、一方通行が自分から全てを投げ捨てるサマと、それに気づいた時の絶望顔を見て、腹の底から笑いたくなったからとかいうクソみたいな動機もある。
ホントお前マジでどのツラ下げてフレンズとか名乗ってるん?
木原一族…邪悪を感じ取ったバルフレイナイトの斬撃が直撃。いろんなものがアボンした。ご愁傷様。
御坂妹…吸収された個体以外は、意識だけを纏めて吸収された。絶島ドリーミー・フォルガのような、混沌とした夢を見ている。その中には、当麻やカービィたちとアクセサリーショップで買い物をする夢も…。
御坂美琴…何が起きてるか全く知らないので、ガルルフィのお腹を吸ってる。
ギャラクティック・ノヴァ…命拾いした。やったね。