まんまるピンクとウニ頭   作:鳩胸な鴨

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まぁ、バルフレイナイトよりデタラメな訳ないわな。


STAGE:2 襲撃

「宇宙の危機…なんて言われても、あんま実感ねぇな」

 

ハルバードベースにある食堂にて。

メタナイトとの話し合いを終え、当麻はグラタンをスプーンで掬い、呟く。

 

ハルトマンワークスカンパニーの復活。

それが意味するのは、至上のマザーコンピュータにして、最悪の欠陥品…「星の夢」の復活、とのことだった。

「星の夢」は、はっきり言えばギャラクティック・ノヴァの模造品である。

「ネガイを叶える」と言う点はどちらも合致しているが、「星の夢」には、ある致命的すぎる欠陥があった。

 

あまりにも自我が強すぎるのだ。

 

カンパニーの繁栄の為に、全ての生命を不要と判断するくらいにはネガイを曲解し。

口にしていないのにも関わらず、勝手にネガイを叶えるべく動き出し。

ネガイを叶えることを重視し過ぎて、その先に迫るであろう、大きすぎる損害すらも考慮せず。

挙句の果てには、造物主たるプレジデント・ハルトマンを取り込み、全生命体の抹殺のために、主人の記憶とココロを破壊する。

これを欠陥品と呼ばずして、なんと呼ぶのだろうか。

 

そんなコンピュータが復活し、学園都市で動いている。

ワドルディたちの尽力によって突き止めた事実を前に、当麻はいまいち実感が持てないでいた。

隣に座るカービィは、「星の夢」の脅威なぞ頭から抜け落ちているのか、はたまた深く考えていないのか、おいしいゴハンに舌鼓を打っていた。

 

「ぽぉよぉ!」

「…お前はいっつも呑気だなぁ」

 

あしたはあしたのかぜがふく。

そんな言葉があったっけかな、と思いつつ、口の周りを汚すカービィの口元を拭く。

宇宙の危機なんて、実はそうそう驚き、戦慄くものではないのかもしれない。

ここ一ヶ月で、すっかり楽観的な思考が根付いてしまった当麻は、この後の予定を組み立て始めた。

 

「探そうにも、俺たちは学園都市を追い出されてるしなぁ…」

「ミサカ妹に頼んだら?電話あるでしょ?

全員が…受け入れ先?…ってのが決まるまで、学園都市にいるって言ってたよ」

「や、でも、相手はコンピュータなんだろ?筒抜けになる可能性も考えたら、あんま得策じゃないと思うぞ?」

「んっと…、つまり、電話はまずいってことかな?」

 

特段、科学に明るいわけではないエフィリンには、当麻が何を危惧して電話をしないのかがわからない。

エフィリンのなんともシンプルな答えに、当麻は苦笑を浮かべながら頷いた。

 

「そういうこった」

「わかった!じゃあ、電話じゃなきゃいいんだよね!」

 

エフィリンは言うと、「むむ…」と体に力を込める。

何をするのだろうか、と思っていると。

天井に星型の穴が開き、そこから落ちてきた御坂妹が、空いていた当麻の左隣の椅子に、すとん、と収まった。

 

「…ここはどこですか?」

「ね!電話じゃないでしょ?」

「確かに電話ではないけども!!」

 

確かに電話ではない。電話ではないが、それ以上に面倒な事案である。

下手すれば、能力を使った拉致に見えなくもないのではなかろうか。

当麻は学園都市に帰った時の後始末を考え、「不幸だ…」と嘆いた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「……」

「あの、お客さん?ご注文は…?」

 

その頃、学園都市にあるファミリーレストランにて。

珍しく一人の時間が取れた少女…御坂美琴は、メニュー表を前に考え込んでいた。

普段であれば、少女趣味をどう誤魔化すかを悩んでいたのであろうが、生憎と今はそんな気分ではなかった。

注文を聞きに来た店員が、思わず困惑してしまうほどに難しい表情を浮かべる彼女。

暫しの沈黙が続く。

数秒経った頃にようやく店員の存在に気がついたのか、びくっ、と肩を震わせ、慌てて口を開く。

 

「……えっ!?あ、えっと…、日替わりランチセットで…」

「日替わりランチセットですね。かしこまりました」

 

言って、厨房へと去っていく店員。

その後ろ姿を見届け、美琴は再び頭を抱えた。

 

────実験はマルクという未知の生命による介入に一方通行の裏切り、そして、それを打ち倒した上条当麻他数名の妨害により再開不能とされ、凍結されました。

 

先日出会った、母が産んだ記憶のない妹。

自身のクローンがいるというだけでも寝耳に水だったというのに、それが一万近くも『実験』と称して殺されていた、と知った美琴の心境は最悪だった。

気づかずにのうのうと生きていた自分が、ひどく恨めしくなった。

何より許せないのは、とうの昔にその実験を阻止した人間がいたということ。

その人間の名前は、聞き覚えがあった。

自分の能力が一切効かず、生意気で、デリカシーがない、可愛らしいピンク玉を引き連れているツンツン頭。

いっそのこと、全く知らない人間であれば、ここまで悩むこともなかったのに。

 

顛末に関しても気に食わなかった。

AIMバーストを取り込み、顕現した黄泉の騎士…バルフレイナイト。単身では手も足も出ず、圧倒的な速度で電撃を掻い潜り、死を覚悟させた存在。

此度顕現した際にも、学園都市最強を呆気なく切り伏せたという。

そんな存在を相手に、無傷で勝利を収めた…実際は一撃必殺もいいところなデタラメ火力だったため、必死こいて避けていた…上条当麻一行。

 

一方、自分はどうだろうか。切り傷に火傷まみれで、満身創痍でなんとか一撃を喰らわせるので精一杯だった。

学園都市のトップ3としての矜持など元から持ち合わせていないが、それでも多少のプライドくらいはある。

自分の不始末の産物に立ち向かい、挙句の果てには、自分がいいようにやられた相手を圧倒した当麻。

これで厚顔無恥にも「ありがとう、ご苦労様」などと宣うほど、御坂美琴の顔は厚くはなかった。

 

「…わかってるわよ。もう終わっちゃって、どうしようもないってことくらい」

 

誰に言うでもなく、呟く美琴。

確かに分かってはいる。分かってはいるのだが、それに納得できるかと問われれば、首を横に振るだろう。

何もできなかった自分に腹が立つ。

そんな思考のループに陥っていると。

 

がしゃん、とガラスが割れる音が響き、破片が散乱した。

 

「何!?」

 

慌てて美琴は机に乗り出し、なにが起きたかを確認するべく目を凝らす。

瓦礫と埃に隠れたシルエットは、モノアイを煌めかせ、揺らめく剣を振るった。

斬撃。トラウマに思わず身構えるものの、あれに比べればはるかに劣る一撃を避け、電撃を放つ。

しかし、シルエットには全く効いていないのか、微動だにせず。

尾のように伸びたアームが、美琴の体を薙いだ。

 

「がっ…!?」

 

美琴は派手に吹き飛ばされ、ファミレスのガラスを突き抜ける。

ここまで派手に暴れたのならば、白井黒子を始めとした風紀委員が駆けつけるだろう。

 

「なめんじゃ…ないわよ!!」

 

美琴は磁気を操作して、なんとか受身を取ると、シルエットの両翼から放たれたミサイル群を雷撃で撃ち落とす。

バルフレイナイトほど素早くはない。むしろ、あれに比べれば、遥かに鈍重だ。

これならば、当てることは訳ないだろう。

美琴はポケットからコインを取り出すと、右拳の親指に密着させ、簡易的な砲台を作り出す。

 

「これでも…喰らえぇ!!」

 

超電磁砲。

御坂美琴という人間を象徴する一撃が、埃を薙ぎ払いながら、シルエットへ迫る。

しかし、シルエットは手に持った剣を回転させ、その一撃を叩き切った。

 

「……は?」

 

あまりの光景に、美琴は目を丸くする。

そこに立っていたのは、まんまるのシルエットに、むやみやたらと兵器を取り付けたかのような歪な存在。

モノアイが怪しく煌めく仮面に、両肩に積まれたミサイル。

背にはアームがたたずみ、その不気味さに拍車をかけていた。

 

「な、なによ、コイツ…?ワドルディに似てるけど、何かが違う…?」

 

彼女は知る由もないが、その目の前に立つ存在は、かつてカービィらに牙を剥いたハルトマンワークスカンパニーの尖兵が一機。

その名も「強化量産メタナイトボーグ」。

純然たる科学のみで形成された、ココロ持たぬ兵器。

機械であるが故に、電撃対策はバッチリなのに加え、インプットされたメタナイトのデータから、オリジナルには劣るものの、超電磁砲程度であれば切り裂けるほどの性能を誇っている。

 

ざっくばらんに言えば、美琴の手はほとんど通用しないのだ。

 

そのことを薄々ながらに察したのだろう。

美琴は砂利に紛れる砂鉄を操り、刃の弾幕としてメタナイトボーグへと迫る。

しかし、メタナイトボーグもそうあっさりとはやられない。

メタナイトボーグは体に力を溜めると、エネルギーを身に纏い、それによって、襲いくる砂鉄を払う。

が。それが煙幕となり、メタナイトボーグの目の前から、美琴の姿が消え失せた。

 

「よそ見してんじゃないわよ!!」

 

三度の轟音と共に、メタナイトボーグの右半身が吹き飛ぶ。

美琴が三発同時に放った、背後への超電磁砲は、鈍重なメタナイトボーグでは対応できなかった。

メタナイトボーグは暫し足掻くべく、モノアイに光を溜めていたが、悲しいかな。

既に機能の殆どが死んだ機体では思うようにいかず、直後、派手に爆散した。

破片が飛び散る中で、喧騒が戻っていく。風紀委員たちが駆けつける中で、転がった仮面を見下ろし、呟く。

 

「……なんだったの、今の?」

 

御坂美琴もまた、この復讐劇に巻き込まれていく。

この闘いは、その序章に過ぎなかった。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「…なんだァ?この樹木モドキ」

 

スクラップになったロボを前に、とある少女を庇うように立つ一方通行が呟く。

襲われていたから、などという単純な理由で助けたものの、明らかに軍事用に作られた兵器を前に、訝しげに眉を顰める。

一方通行が打ち倒したのは、「Re:ウィスピーボーグ」。

本来であれば、「ウィスピーウッズ」と呼ばれる人面樹を素体に作られる兵器なのだが、このウィスピーボーグは純然たる機械であった。

随分とふざけた見た目だが、使われている技術は、学園都市のレベルを超えている。

となれば、考えられるのは、ただ一つ。

 

「…また宇宙関連かよ、クソッタレ」

 

一方通行は悪態をつくと、ガンっ、とウィスピーボーグの残骸を蹴る。

と。そんな彼に、助けた少女が近づいた。

 

「あの、あのっ!ありがとうって、ミサカはミサカはあなたにお礼を言ってみたり!」

「あァ?」

 

ヒーローに憧れる悪党の英雄譚が、復讐劇と共に動き出す。




御坂美琴…なにげに初登場。落ち込んでたところにメタナイトボーグをぶつけられ、トラウマが再発しかけている。バルフレイナイトの凄まじい剣技がトラウマになってるらしい。
闇堕ちの危機からの脱却は果たせておらず、今なお病みまくってる。
単独なら強化量産メタナイトボーグをなんとか倒せる程度。クローンデデデもなんとかいけるが、クローンダークマターとクローンセクトニアに余裕で負ける。歴代ラスボスのクローンに勝てる訳ねぇだろ。

打ち止め…ウィスピーボーグに襲われていたところを、一方通行に助けてもらった。意識だけバルフレイナイトに吸収されていたので、彼の腹に傷をつけたことを後悔してる。恩返しと贖罪を込めて、一方通行に付き纏うようになった。

一方通行…ヒーローを目指す悪党。暗部を探ってたらウィスピーボーグに襲われてる打ち止めと遭遇した。罪悪感で苛立ってる。
星の夢からすれば、いい感じに手のひらで踊ってる状態。本人もそれを自覚してるため、足掻けるだけ足掻くつもり。
強さで言えば、クローンダークマター、クローンセクトニアに善戦できるくらい。ハルカンドラ魔術がわけわからなさすぎて、反射だけで戦うのは無理。

メタナイト…みんなに内緒で学園都市に向かってる。とある人物をスカウトしに行くらしい。途中、コア・カブーラーに襲われたが、呆気なく返り討ちにした。アッパーキャリバー強し。「お前なんであん時捕まったん?」ってくらい今作のコイツらは強い。
俊敏な動きが強さの秘訣だというのに、メタナイトボーグに改造された時は内心ボロクソに文句を垂れていた。

御坂妹…髪飾りを付けた個体が飛ばされた。今度はこちらが恩返しをする番だとみんなが乗り気。上条さん人徳パワーはすごかった。

星の夢…手始めに、キカイ兵器を数体放逐した。これは学園都市の戦力を測るための布石。次の狙いは一体どこになるというのか。
クローン兵器はまだ温存してる。ラスボス級も量産してるから、コイツらまで放逐されたら、カービィも上条もデデデ大王もいない今の学園都市に勝ち目ないぞ。頑張れ。

暗部…完全にいいように使われてる。今回であれば、暴れた後のデータ収集。本人たちはこのデータによって、樹形図の設計者の再建を企ててるつもりだが、星の夢はそんなつもりはない。というか、樹形図の設計者というコンピュータプログラム自体が全部乗っ取られてる。踊る暗部、いとおかし(by星の夢)

???…スージーと「ある一派」に接触しようと、拠点から離れた。コイツ自身にとってなんの益もない事態なので、今回に限っては完全に味方サイド。やったヨォ!
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