まんまるピンクとウニ頭   作:鳩胸な鴨

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あ、相手が悪すぎる…!


STAGE:3 無力

「もぉ、いきなりのことですっごくびっくりしたんだから!って、ミサカはミサカは驚愕をあらわにしてみたり!」

「うっせェ。耳元で喚くな」

 

一方通行はとてとてと付いてくる少女…自らが殺してきた妹達の末妹たる「打ち止め」に悪態をつき、足を早める。

振り切ろうと思ってはいるのだが、なんとか日常生活を送れるようになった程度で、傷は完治していない状態にある一方通行。

そのためか、多少の無茶をするだけで走る苦痛が、その動きを鈍らせる。

結果、一方通行は渋々、この少女と歩みを共にしていた。

 

「で、なンで狙われたかわかるか?」

「たぶん、ミサカがミサカネットワークの中核を担ってるからだと思う…って、ミサカはミサカは推測してみたり」

「…成る程。むやみやたらと放逐してるわけじゃねェってこったな。

しっかり狙う対象は決めてるワケか」

 

誰の犯行かは知らないが、随分と周到だ。

今、学園都市は混乱の渦中にある。

風紀委員やら警備員などの治安維持部隊がそこらを駆け回り、武装無能力集団がココロないキカイを前に無駄に足掻く。

事件が常に起きるとは言え、ここまでの混乱は史上初だ。

一方通行は襲いかかるメタナイトボーグの顔面を掴み、スクラップへと変える。

 

「…チッ。これで五体目だぞ…?

どンだけ放逐してやがンだ…?」

「んっとね、ミサカたちが把握してる限りでは、現在163機が暴れ回ってるみたい…って、ミサカはミサカは絶望的な事実を突きつけてみたり」

 

スクラップにした分を除いて、160機前後が暴れ回っているらしい。そこらじゅうで悲鳴が轟き、爆炎が上がるワケだ。

自分以外のレベル5が対応していないとは考えられないが、それでもここまでの混乱が巻き起こっているあたり、対応は遅々としていると考えていいだろう。

 

「オイ、妹達はどォいう状況だ?」

「ミサカたちは全員が交戦せずに、襲撃の犯人を探してるみたい。

『星の夢』…っていうコンピュータなんだけど、何か知ってるかなってミサカはミサカは望み薄だけどあなたに聞いてみたり!」

「知らねェよ」

 

星の夢。反吐が出そうになるほどにロマンチックな名前だ。

そんなことを思ったものの、ふと、一方通行は違和感に気づく。

 

「犯人のことを把握してンのか?」

「んっとね…、なんて言ったらいいのかな?

知ってる人…いや、人かどうかは怪しいけど、誰かから聞いたみたいって、ミサカはミサカは端的に答えることにしてみたり」

「…『星のカービィ』か」

 

どうやら、ヒーロー達もひそかに動き出しているらしい。

一方通行は苛立ちを吐き出すように、大きく舌打ちした。

 

「『星のカービィ』ってなんなの…って、ミサカはミサカは好奇心のままあなたに聞いてみたり!」

「…全宇宙が足をむけて寝れねェ、無敵のヒーロー様だよ」

 

一方通行は適当に返すと、形容しようのない感情に顔を顰める。

漫画に出てくる主人公のように、運命に愛された存在。彼が勝つことが元から決まっているかのように、自身が警戒していたマルクがあっさりと敗れたことから、マルクが言っていたことは事実だったのだろう。

どうせ、この騒動も彼らによって解決に導かれることだろう。

全くもって気に入らない。

 

「…『星の夢』だったか。場所がわかったら教えろ。俺が潰す」

「残念だが、貴殿単独では到底不可能だ」

 

突如として投げかけられた言葉に、一方通行は反射的にそちらを見やる。

そこにあるのは、街灯。その先頭には、先ほど壊したロボによく似た、仮面を被った一頭身…メタナイトが佇んでいた。

メタナイトはそこから降り立つと、一方通行の無事を喜ぶ。

 

「どうやら傷は治ったらしいな。

面会も許されないほどの重体と聞き、心配していたのだ」

「…お前、バルフレイナイトを倒した…」

「メタナイトだ。以後、よろしく頼む」

 

言って、メタナイトは手を差し出す。

十中八九、こちらの能力を知っているだろうにも関わらず、だ。

以前会った時に見せた善性から見るに、少なくとも、マルクよりは信頼に値する。

一方通行は暫し考えた後、その手を取り、軽く握手を交わす。

 

「…で、俺が単独で動いても倒せねェ…っつーのは、一体全体どォいうワケだ?」

「その説明の前に、少しばかり頼みがある」

 

言って、メタナイトは降りかかってきたキカイ兵器…計10機を一瞬にして切り刻み、スクラップへと変える。

あまりの早業に一方通行と打ち止めが目を丸くする中で、メタナイトは告げた。

 

「我らに力を貸してほしい。

この星に…否。この宇宙に、危機が迫っている」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「が、学園都市が…!?」

「ぽよ…」

 

学園都市の動乱をテレビ越しに目の当たりにし、当麻らは戦慄く。

ウィスピーボーグ、メタナイトボーグが街を蹂躙するのを目の当たりにして、冷静でいられるわけがない。

追放された身であれど、この事態を黙って見ていられる程、冷酷な人間になれない当麻は、慌てて支度をする。

 

「カービィ!ワープスターで向かうぞ!」

「ぽよぉ!」

「待て、トーマ、カービィ。今は動くな」

「何言ってるんだ、デデデ!

学園都市が…、俺たちのともだちが危険に晒されてんだぞ!!」

「ぽよ!ぽよっ!!」

 

デデデ大王の制止に、当麻が食ってかかる。

カービィもまた、今すぐにでも行こう、と言わんばかりに抗議した。

が。それをデデデ大王は悔しげに一喝する。

 

「わかっておるわ!!あそこには、今なおオレさまを探してるだろう、かわいいかわいい部下達がおるんだ!!

オレさまだって今すぐ向かいたい!!

だが、『星の夢』がそれを見越しておらんはずがないだろうが!!」

「で、でも…」

「…今、メタナイトたちと作戦を立てておる。カービィがいるからと言って、無策で突っ込んで勝てるような相手ではない。

ヤツは壊れているとはいえ、学び、進化するコンピュータだ。確実に、オレさまたちを止めるための手段を持ってるハズ。

オレさまたちに今出来ることは、『星の夢』を叩くために、牙を研ぐことだ」

「その通りだ、トーマ」

 

パルルもまた、槍の手入れをしつつ、動こうとする当麻を止めた。

 

「そもそもの話、相手はキカイだ。キサマの右腕は役に立たんぞ。

無策で突っ込んでどうやって勝つつもりだ、愚か者め」

「あ」

 

そう。相手がキカイである以上、上条当麻の右腕は使い物にならない。

殺すべき幻想が無いのだから当たり前なのだが、当麻は焦るあまり、そのことすら頭から抜け落ちていたようだ。

頭の冷えた当麻は、しかし悔しそうに歯噛みして、テレビの画面を見やった。

と。カービィはふと、あるかどうかもわからない首をかしげる。

 

「……ぷぃ?」

「どうした、カービィ?」

「ぽよっ!ぽよぉ?ぽよっ!」

 

カービィは身振り手振りで疑問を表現するが、当麻には一向にわからない。当麻もまた、カービィの疑問に疑問を抱き、エフィリンへと視線を向ける。

すっかり通訳が板についたのか、エフィリンはスラスラとカービィの真意を汲み取った。

 

「メタナイトがここにいないことが気になるみたいだよ。

さっきから見ないけど、どこ行っちゃったんだろう…?」

「…そういやそうだな」

 

メタナイトの所在が何処か、と、皆が探るようにハルバードベースを見渡していると。

話を聞いていたのか、作業を終えたメイスナイトがこちらに駆け寄った。

 

「学園都市に助っ人を探しに行ってるだス。

もうちょっとで帰ってくるって入電があっただスよ」

「助っ人?誰のことだ?」

「それは…」

 

と。その時だった。

 

「敵襲!敵襲ーーーっ!!『ンギュア基地』に酷似した空中艦がこちらに向け、計6機接近してます!!」

 

船員ワドルディの逼迫した声が響いたのは。

繰り返し述べられる事実を前に、全員が困惑を露わにする。

 

「な、なにっ!?ハルバードもまだ直ってないというのにだスか!?」

「カービィ、行けるか?」

「ぽよぉ…」

「…どうした、カービィ?」

 

ンギュア基地のことをよく知らない当麻がカービィに確認を取ると、彼にしては珍しく、首を横に振る。

どういうことか、と疑問に思っていると、呼吸を整えたメイスナイトが解説を始めた。

 

「ンギュア基地の装甲は非常に硬く、デカくてタフで、カービィでも壊すのに時間がかかるだス。

そんなのが大量に向かってるという状況は、ハッキリ言って絶体絶命なんだスよ」

「はぁあああっ!?じゃあ、前はどうやって倒したんだ!?」

「カービィが敵のアーマーを奪って戦ったんだスが…、今回はそれを警戒されて、製造されてないみたいなんだス」

 

万事休すにも程がある事態らしい。

ハルバードベースに走る絶望感の意味が伝わった当麻もまた、冷や汗を流す。

佐天も同じようにデデデ大王に聞かされたようで、「どうしようもないじゃん!」と叫んでいた。

実際に、打てる手はほとんどない。

こうしている間にも、ンギュア基地が刻一刻と迫る中で、ある声が轟く。

 

「欲しがってたのはコイツよね!!」

 

当麻たちがそちらを向くと。

カービィによく似た、少し巨大なシルエットが佇んでいた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

『すみません、御坂さん…!白井さんが…、白井さんが、あのロボットたちに攫われてしまいました!!』

「………は?」

 

時は少し進み、夕方。

友人たる初春飾利の報告に、足元が崩れるような感覚に陥っていた。

電話の向こうでは、キカイ兵器を殲滅し、街が復興へと向かう中で、行方不明者が多数出ている、という報告が飛び交う。

その中には、自身の後輩である白井黒子の名前もあったと言う。

行方不明者は全員がレベル2以上の能力者。

彼らと行動を共にしていた人物からは、「ロボットに捕まり、どこかへ運ばれていった」という証言があった。

現在、風紀委員、警備員も総力を挙げて捜索しているが、結果は芳しくないらしい。

 

『いつ再び襲撃があるかわかりません。

御坂さんも、警戒を怠らないでくださいね』

「……わかったわ」

 

通話を切った美琴は、崩れ落ちるようにベッドに倒れ込む。

あまりに無力だった。多勢に無勢、という言葉がしっくりくるような戦力差。

鍛え上げた自慢の能力をもってしても、後輩一人守れなかった。

更なる無力感がのしかかり、空気ですらも圧力を感じてしまう。うまく呼吸ができないような閉塞感が、美琴を襲った。

 

「…なにが、レベル5よ」

 

美琴は悔しげに吐き捨てると、仰向けに寝転がり、天井を睨め付ける。

常盤台の寮内でも混乱が続いているあたり、学内でも多数の行方不明者が出たらしい。

犯人も勿論のことだが、自分の無力さにも腹が立つ。

そう思っていると。

 

「……お、お姉様…」

 

先ほど、行方不明だと聞かされた、白井黒子の声が部屋に響いた。

美琴は慌てて起き上がり、声の聞こえた方向を見やる。

そこには、空間移動で逃げて来たのだろう、傷だらけの黒子がいた。

 

「黒子、無事だったの…!?」

「え、えぇ…、な、なんとか、逃げられ、ましたわ…」

 

息も絶え絶えに答える黒子は、そのまま膝から崩れ落ちる。

無力感に打ちひしがれている場合ではない。早く手当てをしなければ。

美琴は黒子に駆け寄り、彼女に肩を貸した。

 

「ほら、立てる?医務室に行くわよ」

「え、えぇ…、ありがとうございます…」

 

────騙されてくれて。

 

瞬間。美琴を取り巻く空間が一変した。




白井黒子…残念、既に操られてましたー。最後のセリフじゃかなりのゲス笑顔晒してた。星の夢にとって優先して攫い、改造する予定だったため、心折れるレベルでフルボッコにされて連行。頭部に制御装置を付けられ、操られることに。
彼女のココロは抵抗を続けているが、その支配から逃れるにはあまりにも弱すぎた。そもそも、フェクト・フォルガの洗脳を跳ね除けるメタナイトですら操られてたのだから、抵抗しようもない。結果、御坂美琴の闇堕ちフラグを決定的なものにしてしまった。
尚、本人の意識はバッチリあるので、こちらも病みまくってる。

御坂美琴…黒子の変態性が薄かったことに気づけていたら攫われなかったが、弱りすぎて悟ることができなかった。星の夢がつけ込んだのは、そのココロの弱さ。敗北を重ね、さらには友人も守れなかった無力感でボロボロのココロを利用することなど、ココロがない星の夢には簡単なことだった。
現時点でどう考えても闇堕ち一択です本当にありがとうございましたこのやろう。助けて上条。

ガルルフィ…二匹ともアニマルセラピーとして駆り出されていた。部屋に戻ったら美琴もいなかったのでギャン泣き。なんとか無事だったみさきちが頑張って慰めてる。

星の夢…実力を測るのと同時に、白井黒子、及び打ち止めの二人を目的としてキカイ兵器を暴れさせていた。この襲撃で置いた布石は一つじゃなかったんだぜ…?
そのほかにも能力者を多数攫い、掌握。アレイスターもまさかこんなことになるとは思っておらず、この最大級のガバを後悔してるが、動くに動けない状況にまで陥ったので、ヒーローの助けを待っている。

秘書スージー…カービィの「キカイのともだち」を引っ提げて合流。
???に寄るところがあると言われ、別行動を取ることに。彼女もまた、リレインバーでンギュア基地との対決に臨む。

???…「ある一派」と接触。星の夢が利用するだろう、とある魔術の発動を止めに向かった。
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