まんまるピンクとウニ頭   作:鳩胸な鴨

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カービィの逆襲って、語呂良くないな。


STAGE:5 逆襲

その日、学園都市は恐怖に包まれた。

キカイ兵器が蹂躙を終え、数時間後。『改造能力者』らが襲撃したのだ。

暗部らも漸く目が覚めたものの、既に遅く。実にその半数が改造され、その尖兵へと成り下がった。

能力者、無能力者、警備員、風紀委員、暗部などの確執を問わず、残った者たちは徒党を組み、それらに応戦。

しかしながら、学園都市が誇るレベル5は7人のうち、二名が行方知れず。残った5名も、そのほとんどが改造能力者として街を破壊する始末。

 

学園都市は既に、砂上の楼閣に等しかった。

 

「わーっ!?わわっ、大王さまを探しに来ただけなのにぃー!!」

 

崩れゆく常盤台中学にて、なんとも間の抜けた悲鳴が轟く。

校庭にて、泣き言を吐きつつ、改造能力者に立ち向かうのは、青いバンダナを巻いたワドルディだった。

彼の名は「バンダナワドルディ」。非力なワドルディらの憧れであり、最強のワドルディと名高い、カービィのともだちである。

デデデ大王を探すべく、意を決して学園都市に訪れたというのに、あんまりな仕打ちだ。

ワドルディはバイザーで顔も見えない少女を前に槍を振るい、能力で作り出したであろう水の弾幕を打ち消す。

 

「なんでハルトマンワークスカンパニーの兵器がいるのー!?」

 

態度だけ見ればなんとも情けないが、繰り出す槍術はあまりに洗練されている。

どれだけ相手が機敏に動こうとも、的確にキカイの部分のみを攻撃し、その破壊を目指すバンダナ。

デデデ大王曰く、これで自信さえあれば一人前なのだが、非力なワドルディであった期間が長かったためか、自己肯定感が極度に低いのが玉に瑕。

襲いかかる水の弾幕を華麗に避け、バイザー部分を刺突し、軽く破損させるバンダナ。

と、そこへ、新たな刺客が訪れ、バンダナの顔面に蹴りを叩き込もうと迫る。

 

「ゥガオッ!!」

 

が。それは、剛腕により吹き飛ばされた。

吹き飛ばしたのは、バンダナと共に行動していた獣王レオンガルフ。

彼らは背中合わせに立つと、挟み撃ちの形でこちらを睨む刺客らを真っ直ぐ見やる。

否、挟み撃ちの形ではない。次々と改造能力者らが現れ、あっという間に幾重にも重なった包囲網が敷かれてしまった。

 

「わ、わわっ…!?ウソでしょ…!?こんなにいるのぉ…!?」

「むぅ…、キリがない…」

 

バンダナは弱音を吐いたものの、すぐさま持ち直し、槍を握る手に力を込める。

レオンガルフもまた、己を奮い立たせるように軽く爪を擦り合わせ、「ガルルル…」と唸り声をあげた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

ハルバードの艦橋にて。

戦士たちが戦いに向けて牙を研ぐ中で、非力なワドルディ、ビースト軍団らが、「せめて自分達にできることを」と言わんばかりに、作業に勤しむ。

重々しい音を立てながら、ハルバードベースを隠す岩が割れ、月明かりを取り込んだ。

 

「リアクターver.9、出力良好!」

「バランサー調整0003だス!」

「反重力プラントチェック…、オールオッケーです!」

「セイル解放!ソーラレベル288!」

「いつでも離陸可能です!」

 

乗組員たるメタナイツらが動作確認をとると、主人たるメタナイトへ、指示を仰ぐように目を向ける。

メタナイトは軽く頷くと、剣を抜き、艦橋の窓に見える空を指した。

 

「戦艦ハルバード、テイクオフ!!」

 

一瞬の浮遊感。この艦橋からは決して見えぬだろうが、海水浴場にて、今夏最後のバカンスに来ていた観光客らは目をひん剥いたことだろう。

あまりにも巨大すぎる黒色の戦艦が、空を飛んでいたのだから。

復活した戦艦ハルバードは、風を巻き起こしながら、学園都市へと方向を修正する。

数秒もしないうちに学園都市の方角を捉えると、ハルバードは後部にあるノズルから火を噴き出し、真っ直ぐ進み出した。

 

「くぅーーー…。この一ヶ月、本当に長かったですねぇ…っ!」

「ああ、ああ…っ!この艦橋からこの星の空を見ることができるとは…!」

「お前ら、感動するのは後だ!今は星の夢を倒すまで、気を抜くんじゃない!」

「バル艦長が言っても説得力ないだス。誰よりはしゃいでたくせに」

「な、なにおーーう!?」

 

なんとも緊張感のないやりとりが繰り広げられる中で、無理矢理ついてきた打ち止めとインデックスが、艦橋から見える空を見渡す。

ガラス越しではあるものの、星が見えるなんとも幻想的な空間を前に、二人はきらきらと目を輝かせていた。

 

「とうま、カービィ!星が空いっぱいなんだよ!満天の星空なんだよ!」

「学園都市じゃ永遠に見られなさそうな絶景だよって、ミサカはミサカは興奮のままにあなたに見ることを勧めてみたり!」

「ぽよぉっ!ぽよっ!」

「緊張感のカケラもねェな、テメェら」

「まぁ、こういう奴らだし…」

 

まだポップスター特有である究極の楽観的思考に慣れてないのか、一方通行がこめかみに青筋を浮かべながら威圧する。

が。カービィらはそれに一切動じず、流れる星空に見惚れていた。

デデデ大王も同じように、ガラス越しの星空を見て、豪快に笑う。

 

「がっはっはっはっ!ポップスターの星空もいいが、こっちの星空も見ものだな、お前たち」

「そーですねー…。サテンちゃんやウイハルちゃんたちにも、ポップスターの夜空を見せてやりたいぜ」

「そんなに綺麗なの?」

「おうともさ!この星とは違って、どこにいても満天の星空が見れるんだぜ?」

「へー…。食べ物も美味しいし、景色も綺麗だし、住んでる人はみーんな優しくて…、天国みたいな星だね」

 

クラッコが自分のことのようにポップスターの絶景を自慢すると、佐天はその景色を思い描き、呟くように溢す。

と。デデデ大王は笑いながら、ばん、ばん、と佐天の肩を叩いた。

 

「だからこそ、ポップスターは『きせきの星』と呼ばれておる!

この星の部下第一号のお前には、オレさまの城がある『マウントデデデ』から見える、デーリシャスでデーンジャラスでデーラックスな星空を見せてやろうではないか!!」

「おー!デデさんのお城も見てみたーい!」

 

皆が遠足前の子供のようにきゃいきゃいと騒ぐ中で、思考を巡らせていた一方通行は苛立ちを込めてつぶやく。

 

「お気楽なバカしかいねェのか、この船は」

「お気楽なバカだからこそ、なんの関係もないこの星のために命張ってくれてるんだ。いいヤツらだろ?」

 

そこそこの付き合いを続けてきた当麻が、一方通行に問いかける。

善意など向けられたことの無い一方通行は、拗ねたように顔を逸らし、悪態をついた。

 

「…反吐が出るほど善人ヅラしやがる。気に食わねェ」

「いいじゃねぇか、善人ヅラ!悪人やってるよか、よっぽど気分がいいぞ?

お前も、これを機にやってみるか?」

「………今さら過ぎンだろォが。一万も殺してんだぞ」

「だからって、『善人』を諦める理由にはならねーと俺は思うぞ」

「……調子狂うから話しかけンな、劣等生」

 

当麻のあまりにめちゃくちゃで、身勝手な感情論を前に、一方通行は背を向ける。

当麻はこれ以上何を言っても、一方通行が聞く耳をもたぬことを悟り、「それじゃあ、頼むな」とだけ告げ、側を離れる。

以前までは、学園都市に渦巻く闇の渦中にいたというのに、たったの数日で、周りが随分と明るくなったような気がする。

柄にもなく、そんなことを考えていると。

けたたましい警報音が鳴り響いた。

 

「何が起きた!?」

「学園都市を覆い隠すように、『ハートフル・シェル』が張られました!

学園都市まであと2分!このままいけば進入は不可能!作戦が大きく狂います!!」

 

ハートフル・シェル。星の夢が展開する、あらゆる物理的干渉を断絶するバリア。いくらハルバードとは言えど、それを破る程の設備は整っていない。

しかし、焦ることはない。

そのために、最高の戦力を整えていたのだから。

 

「頼むぜ、最強。ドンとかましてくれ」

「言われるまでもねェ」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「そ、そんな…。なんだよコレ!?」

 

理事長たるアレイスターの生命維持装置のみが機能するだけとなった学園都市にて。

あまりに急激な崩壊から逃げ惑う彼らは、外界へと向かったものの、そこに聳え立つ絶望に戦慄いた。

桃色のガラスのようなバリアが、学園都市と外界を断絶していたのだ。

その光景を見上げ、一人の少年が飛び上がり、渾身の力を込めて拳を放つ。

 

「『すごいパーンチ』っ!!」

 

彼の名前は削板軍覇。学園都市に存在する能力者の最高峰…レベル5の末席に座す少年である。名前通りのパンチという、なんともシンプルな一撃であれど、その威力は聖人すらも殴り倒すことが可能な程に強大である。

しかしながら、『ハートフル・シェル』を破るには、あまりにも弱過ぎた。がぃぃ…ん、と固い音が反響すると共に、削板の体が少しばかり震える。

彼はそのまま落下すると、真っ赤になった右拳を押さえて叫んだ。

 

「いっ………てぇえええっ!?!?」

「そ、そんな…、嘘だろ…?レベル5ですら破れないのかよ!?」

 

まさに絶望。削板が高く飛び上がっていたがために、この絶望の伝染は早かった。

その場に呆然と立ち尽くす者もいれば、ヤケを起こしたようにハートフル・シェルをひたすら殴りつける者、果ては逃げ場もないと言うのに、何処かへと逃げようとする者、蹲って現実から逃げ出す者など、阿鼻叫喚が広がる。

しかし、削板軍覇の辞書に、「諦める」などという言葉はない。彼は再び飛び上がり、何度も、何度もハートフル・シェルを殴りつける。

だが、悲しきかな。一切の亀裂も走らず、絶望はそこに佇んでいた。

 

と。そんな時。彼の目に、なにやら小さな点が見えた。

点が段々と接近し、人の形をしていることを悟った次の瞬間。

 

「怪我したくなきゃァ退きやがれェ!!」

 

ハートフル・シェルが轟音と共に破裂した。




戦艦ハルバード…満を辞してテイクオフ。ウィリーたちが行方不明…警備員で雇われている…であったことから、問題視されていた動力は、ザン・パルルティザーヌの魔力によって賄われている。二連主砲はスージーによる大幅な強化が為されており、歴代最強の戦艦ハルバードが爆誕した。

レベル5たち…一人が行方知れず、一人がハルバードに乗り込み、一人がガルルフィを慰めながら全力逃亡、三人がボーグ化した結果、残った削板さんのみが、巻き込まれた無能力者たちを逃そうと奮闘していた。

バンダナワドルディ…キカイ兵の襲撃があったあたりから、学園都市に侵入し、デデデ大王を捜索。大王さまは佐天もろとも追放されていたので、すれ違いになっていた。ワドルディらしく、非常に弱気な性格だが、繰り出す槍は改造された能力者を翻弄するほど。

食蜂操祈…ボーグ化した能力者に能力が効かず、全力で逃亡中。尚、同行しているガルルフィ、及びワドルディらが怖くてギャン泣きしているので、必死に慰めてる。未だ常盤台から出れておらず、絶体絶命だったが、途中で追手がバンダナに標的を変えたので、九死に一生を得た。
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