まんまるピンクとウニ頭   作:鳩胸な鴨

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戦犯がまだ発覚してないんだよなぁ…。

クラッコの二つ名は「隻眼の雷雲」らしいので、クラッコの単眼を「隻眼」と表現してます。

後書きを修正しました


STAGE:6 ヒーローズ

「ハートフル・シェルの破壊を確認!

30秒後、学園都市領空に突入します!」

「総員、救助の用意を急げ!

ケミトリィ、ビビッティア、コックカワサキ部隊は治療の準備!バグジー、ボンカース等のチカラ自慢部隊は担架の用意だ!」

『『『はっ!!』』』

 

メタナイトの指示に従い、なんともファンシーな見た目の救助部隊が慌ただしく動く。

そんな中、パルルは小さく詠唱を組み立て、何人かのワドルディらの協力のもと、儀式を行なっていた。

 

「ドーム式バリア完成までの時間は!?」

「パルル殿曰く、残り45秒です!

学園都市突入に間に合いません!」

「遠距離部隊、迎撃用意!ヘビーロブスターver.2の全機投入も惜しむな!15秒、なんとしてでも持ち堪えろ!!」

 

今回の作戦を立てたのは、生粋のお人好し集団、ポップスターの住人らと、学園都市のヒーローたちである。重要視されているのは、なにも星の夢の破壊だけなわけがない。

日常を奪われ、逃げ惑う学園都市の住人らの救助もまた、優先すべき事項であった。

生命がそこらのぺんぺん草の如く復活し、どんな重傷も食べ物を食べるだけで治るポップスターとは違い、この星において怪我は数日…酷い時は残りの一生ずっと引きずるようなものである。

ソレを聞いたお人好し集団の頭に、怪我人を捨て置くなどという思考は最初から存在しなかった。

 

「スージー、あとの指揮は任せた」

「ええ。任されましたわ、剣士様」

「背筋が凍る。やめてくれ」

「あら。緊張をほぐそうと思ったのに。ザンネン」

 

かつて改造されたトラウマが蘇ったのか、珍しく食い気味で懇願するメタナイト。

ソレに対し、スージーは軽く肩をすくめ、マイクを手に取った。

 

「作戦通り、現時点より本艦の指揮権はこの私、美人秘書スージーに移りますわ!!

あらゆることにおいて思い通りに行く…なんて奇跡はあり得ません!

総員、気を引き締めてくださいまし!!」

「「「はいっ!」」」

 

いきなり指揮権が他人に移れど、それが敬愛する主人の意志ならば異論はない。

裏切り(何処ぞの道化師や魔術師は除く)や軋轢などといった、どろどろとした人間関係のトラブルとは無縁の彼らだからこそ成せるチームワークである。

スージーも少しテンションが上がっているのか、かつてのキャリアウーマンが如きビジネス口調でテキパキと指揮を取り始めた。

 

「これより、私はカービィらと共に学園都市内部に突入し、星の夢の元へと向かう!

我が剣が…などと傲慢なことは言わない!

私たちがヤツを打ち倒すまで、なんとしてでもこの戦艦ハルバードを死守してくれ!!」

 

メタナイトは言うと、マントを翻し、その場から姿を消す。

残されたのは、詠唱を続けるパルルとスージーのみ。

二人は視線を合わせると、互いに不敵な笑みを浮かべてみせた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

その頃、甲板にて。

デデデ大王とその一味が立ち並び、各々の獲物を手に取る。無論、デデデ大王と佐天、クラッコを除く全員がフレンズハートによる強化を受けており、準備は万端。

デデデ大王は隣でハンマーの調子をチェックする佐天に、大声で喝を入れた。

 

「ハンマーの手入れは怠っておらんな!?」

「もちろんです!」

「ミサカやクロコが操られておったら!?」

「ぶっ飛ばしてから考えます!」

「サテンちゃん…。立派になって…」

 

ものの見事にデデデ大王の英才教育に染まり切った佐天を前に、付き合いの長いクラッコは隻眼に感涙を浮かべる。

ずぴっ、と、ここにいる殆どが鼻もないのに鼻を啜る音が響き、皆が感涙を流す中。

デデデ大王がハンマーの柄を地面に叩きつけた。

 

「お前たち!ジャクハイの成長を喜ぶのはアトにしろ!!今は何をするべきか、声を揃えて言ってみろ!!」

「「「操られてるヤツをカタッパシからぶっ飛ばします!!」」」

「OKだお前たち!オレさまに続けぇーーっ!!」

 

デデデ大王は佐天を背におぶると、そのまま甲板から飛び降りる。

部下たちもまた、滝のように甲板から飛び降り、阿鼻叫喚の学園都市へと降り立つ。

しかし、そんな格好の的が狙われないはずもない。

目敏く気づいた改造能力者たちが、デデデ大王に続く滝目掛けて弾幕を張る。

いくらフレンズハートで強化したと言えど、カービィやデデデ大王ほどのタフネスはなく、有体に言えば雑兵にすぎない彼らにとっては、手痛い一撃となろう。

しかしながら、ここにいる誰もが、カービィと戦い続けた歴戦の戦士であることも事実。

パラソルワドルディらがアイアイパラソルを、ネスパーとロッキーらが力を合わせ、フレンズ技…『ポルターガオブジェ』を発動させ、その弾幕をあっさりと受け止めた。

 

「損害は!?」

「ナシです!」

「よーし、上出来だ!『あの時のお返し』も含めて、地上にいるヤツラを全員ぶっ飛ばすぞ!!」

「「「おーっ!!」」」

 

今、6年越しのデデデ大王たちの逆襲が始まった。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「力技なら右に出る者はいないな」

 

艦橋から飛び立ったメタナイトは、滝のように落ちていくデデデ大王の部下を横目に、宝剣ギャラクシアを構える。

迫り来るのは、遠距離攻撃手段を持たない、改造能力者たち。

備え付けられた反重力発生装置で飛んでいるのだろう、彼らはメタナイトにも目をくれず、ハルバードへと真っ直ぐに向かう。

内部に侵入して破壊する腹づもりなのは、透けて見えた。

 

「この私が、それを許すと思うか?」

 

しかし、メタナイトはソレを牽制するように、装置に軽く切り傷を入れる。

こんな場所で倒してしまっては、落下死は免れないだろう。

しかしながら、敵がまんまとこちらの思惑に乗って追いかけてくるなどということは、万が一にもあり得ない。

ならば、強制的に地上に移動させるまでだ。

 

「生憎だが、私とて余裕がない。

傷の一つや二つは覚悟してもらおう」

 

メタナイトは言うと、音を置き去りにして、改造能力者たちに迫った。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「どういう風の吹き回しですか、と、ミサカは複雑な心境であなたに問いかけます」

「こっちが聞きてェ」

 

改造能力者を相手に鎧袖一触…否。袖すら振らずに薙ぎ払う一方通行は、『たまたま』助けた御坂妹を横目に悪態をつく。

蝶の髪飾りを付けた彼女は、かつてバルフレイナイトに取り込まれた個体。一方通行にとっては、打ち止めに次いで相手にしたく無い個体である。

殺さない程度に出力を調節し、洗脳装置を片手で破壊する一方通行。

一方で、御坂妹は手も足も出ないのか、相手の攻撃を避けるので精一杯だった。

 

「お前みたいなザコにゃァキツいか」

 

一方通行は御坂妹に迫っていた改造能力者の腹に蹴りを叩き込み、くの字に曲がった影響で近づいた頭を鷲掴みにする。

流れるように地面に叩きつけると、装置だけが器用に破壊され、改造能力者だった少年が解放された。

 

「…礼は言いません。あと1万回の援護をお願いします、と、ミサカは至極真っ当な権利を主張します」

「そォか。そりゃァ…、あっという間に超過しちまうかもなァ!!」

 

一方通行は吼えると、地面のベクトルを操作して天然の槍を作り出す。

せり出たソレが改造能力者のバイザーを次々と破壊するが、ソレを補充するように、一方通行たちを更なる脅威が取り囲む。

しかし、相手が機械で制御された能力者である以上、彼に敵は無い。

望まない形ではあるが、一方通行は今、確かに無敵の称号を冠していた。

 

「…っ!」

 

が。その快進撃を阻止するべく、送り込まれた刺客の一撃が、一方通行の頬を掠める。

つぅ、と以前のトラウマを再起するに、切り傷から血が滴る中で、一方通行は目の前に立つ改造能力者を見やった。

明らかに、他の能力者とは毛色が違う。

機械ですっぽり目元が覆い隠されているため、顔はわからないが、その能力には覚えがあった。

 

「第二位…。オイオイ、随分と落ちぶれたモンだなァ。

あんまりにも哀れすぎて……く、くかかっ、くく…、笑っちまうぜ」

 

一方通行はおかしくて仕方がないと言わんばかりに、これ見よがしに笑って見せる。

しかし、相手は機械に支配された能力者。煽りに怒り狂うココロなど、とうの昔に捨て去っている。

相手からのアクションが無いことに、気が萎えた一方通行は、先ほどとは打って変わって、怖気がする程に凄絶な表情を浮かべる。

 

「来いよ、三下。テメェの目ェ、ぶん殴って覚まさせてやらァ」

 

御坂妹には、その姿に上条当麻が重なって見えた。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「どぇええっ!?こ、こんな無茶苦茶理論を30分で理解しろって言うんですかぁ!?」

「イーカラはよヤレ!キミのアタマならホンキ出しゃあソク終わるダロォガ!!」

 

その頃、学園都市郊外に隠された空色の帆船…ハルカンドラの遺物『ローア』にて。

初春飾利はローア船内に広がったプログラム理論を前に、激しく困惑していた。

理解できないことはないが、どう言う発想力があれば、こんなことを思いつくのだと思うほどには出鱈目が過ぎる。

あまりに大き過ぎるカルチャーショックを前に、初春は脳がパンクしそうだった。

 

「…僕は科学のことは一切わからないぞ。

何故、ここに呼ばれたんだ?」

 

背後で様子を見守っていたステイルが、作業を続けるマホロアに問いかける。

マホロアは猫をかぶっている間は一切見せない、苛立った顔でステイルの方を振り向いた。

 

「アレは魔術的アプローチがクソみたいにゼージャクなんダヨォ!!ダカラ、ハッキング用の魔術を二人ガカリのソッコーで完成させようと呼んだんダヨォ!!

デモ、ヤツのコンピュータ内で魔術を作るニハ、まずは科学でヤツのプロテクトをコジ開け、マルハダカにする必要がアル!!

今死ぬ気でプロテクトを破ってるケド破っても破ってもキリがネーンダイチイチ聞いテジャマすんナ黙っテ見てろジョージャク!!」

「……あ、ああ、うん。すまない」

 

捲し立てるような説明だったのと、ステイルが科学に無知なために言ってる内容はよくわからなかったが、どうやら上手く行ってはないらしい。

マホロアはギリっ、と、口も見えないのに歯軋りのような音を立て、吐き捨てた。

 

「クッソ!アイツ、データを更にプロテクトが強固な本体に移しやがッタ…!マタ1から作業し直しダヨォ…っ!

サイアクってノハ、1秒ゴトに更新するみたいだネ…!」

「…わ、私、頑張って覚えます!」

「頑張らナクてモ覚えロブッ飛ばスゾ!!」

「ひ、ひゃいっ!!」

 

ステイル曰く、マホロアたちの戦いは、なんとも地味な絵面であった。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

空に浮かぶハルバードを落とそうと、さまざまな能力が飛び交う中。

弾幕に隠れるようにして、桃色の無骨な…しかしながら何処か愛嬌のある機体が、五芒星のような形の物体に乗って移動していた。

機体と共に五芒星…ワープスターに乗った当麻は、なんとも言い難い表情を浮かべる。

 

「…なぁ、カービィ。なんで俺と『一緒に行こう』って思ったんだ?」

「ぷぃ?」

 

機体に乗るカービィが、当麻の問いに無い首を傾げる。

当麻は今回の件に関しては、悲しいほどに役に立たないだろう。それは当麻も自覚しているし、揺るぎようのない事実だ。

しかしながら、カービィはそんな打算を抜きにして、当麻をワープスターに乗せた。

その理由がわからない当麻は、カービィの答えを待たず問いかける。

 

「俺は多分、お前の足をすごく引っ張る。

前の二件みたいに、この右手が機能しない以上、逆転の手立てなんて何も持ってない。

…なのに、なんでお前は俺を連れて行こうって思ったんだ?」

 

その問いに、カービィは本気で何を言っているのかわからない、と言ったように、しきりに首を傾げるばかり。

 

「ぽよ、ぽよぽよっ!ぷぃー、ぽよ、ぷい!ぽよぉ!」

 

暫くして、カービィは「ぽよ」やら、「ぷぃ」やらの喃語モドキで構成された文章を繰り広げる。

慰めている…というよりは、説明しているような口調だが、残念。カービィの言葉がわからない当麻には何も伝わらない。

と。当麻の懐に入っていたエフィリンが、口を開く。

 

「だって、トーマはナットクしないでしょ?

ともだちが困ってるのに、なにもしないなんて、トーマがトーマを許さないんじゃないかって思ったんだって」

 

眩しいほどに優しい言葉に、当麻はきょとんと目を丸くした。

たしかに、上条当麻はヒーローである。しかし、彼にとってのヒーローもまた、ここに存在していた。

当麻はカービィの優しさに応えるように、飛んできた流れ弾を右手で打ち消し、笑って見せる。

 

「…っし!行こう、相棒!

学園都市をこんなにしやがったポンコツマシンを、『四人』でぶっ壊してやろうぜ!!」

「ぽよっ!」

 

ぎぃ、と駆動音を立てて、カービィの「キカイのともだち」が頷く。

ヒーローたちが学園都市に降り立つまで、あと数秒。




星の夢…本体が完成。マホロアが重要なプロテクトを打ち破るすんでのところで、『樹形図の設計者』の残骸から完全に逃げ出せた。あとはアクシスアークスを完成させるだけとなった。急げ、星のカービィに上条当麻。

ヘビーロブスターver.2…ヘビーロブスターの改良機。ハルトマンワークスカンパニーの技術が導入され、以前よりも固く、強大となった。また、生産コストも以前の半額に抑えられ、量産が可能となっている。

デデデ大王・メタナイト・一方通行チーム…とりあえず沢山敵をぶっ飛ばす陽動。一部を除いて全員がフレンズハートの加護を受けているおかげで、なかなか倒れない。デデデ大王からすれば、カービィのチカラを借りるのはシャクだが、背に腹は変えられない精神で頼み込んだ。無論、カービィはそんな心境など知らずに引き受けた。

救助チーム…思いつく限りのヒーラー能力持ちで構成されたチーム。もちろん、こちらもフレンズハートの加護を受けている。カービィがフレンズハートを出し終えるまで、結構時間がかかった。

マホロアチーム…星の夢の弱体化を図ってるが、うまく行ってない。今戦力として機能してるのがマホロアだけだから当たり前だが。
星の夢の凄まじい自己進化に追いつけず、マホロアもタジタジ。その自己進化の速度は、能力者の演算能力を利用してるのが原因だと気づいてるが、どうにもできないとメタナイトたちにぶん投げた。急げ、デデデ大王、メタナイト、一方通行。星の夢のパワーアップは、お前たちが全員を倒さない限り終わらないぞ。これなんて地獄?
尚、初春が一部掌握できる段階は、とうの昔に終わってる。具体的に言えば、美琴と黒子が改造されたあたりから。

星のカービィチーム…「キカイのともだち」、そして「ニンゲンのともだち」と一緒に、星の夢との決着を付けるため、ワープスターで空を飛ぶ。これが終わったら、みんなでたくさんお昼寝して、ゴハンをお腹いっぱい食べよう。

ハルバード…星の夢が完全復活を果たした時の対処のために、全力で迎撃に当たっている。感想で墜落を望む声が多数あるが、どうなるかはわからない。

???…今回の引き金となった戦犯たち。学園都市に全員いる。
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