まんまるピンクとウニ頭   作:鳩胸な鴨

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今、戦犯が判明する…!!

後書きを修正しました


STAGE:8 真相

「よっと!…結構進んだな」

 

死屍累々。改造能力者がロボボアーマーの前に倒れ伏す惨状の中、当麻が流れ弾を打ち消しながら呟く。

両腕に展開する刃を振るう「ロボボアーマー:ソードモード」によって、迫り来る能力者がまるで紙吹雪のようにそこらに吹っ飛ぶ様を見て、当麻は苦笑を浮かべた。

 

「百人力どころの騒ぎじゃないな、コレ」

「ぷやぁい!」

「ボクも聞いてただけで、初めて乗ったけど…、『フェクト・エフィリス』の時に使われてたらって思うと…」

「何だ、その強そうな名前?」

「んー…。ちょっとややこしいから、今度話すね」

 

オフィスを縦横無尽に駆け回り、鎧袖一触を体現するかのように猛威を振るうロボボが、かつての自分と対峙したことを考え、エフィリンは身を震わせる。

ロボボアーマーは一騎当千のチカラを有しているが、その素体となった「インベードアーマー」がそうであったかと言えば、否であった。

インベードアーマーには、搭乗者の能力によって機能を拡張するプログラムが組み込まれている。そこにカービィという「理解不能」という言葉がそっくりそのまま歩いているようなヤツが搭乗することによって、星の夢すら想定し得なかった脅威の出力を叩き出しているのだ。

夢も見なければ、ゴハンも食べない。ココロを奪われた能力者たちはもはや、星のカービィの敵ではなかった。

と。ロボボアーマーが足を止め、その場に立ち尽くす。

当麻がなんだ、と前方を見ると。

赤く染まり、ハルトマンワークスカンパニーのロゴが刻まれた扉が、どっしりとその場に構えていた。

 

「…なんか、いかにもな扉が出てきたな」

「ぽよっ!」

「大丈夫、怖がってねぇよ。…行こうぜ」

 

当麻の言葉に呼応するように、そこらじゅうから煙を噴き上げ、扉が動き出す。

扉が開き終わると、その奥には、なんとも幾何学的な紋様が走るキューブの集合体で形成された空間が広がっているのが見えた。

ロボボアーマーでその奥に進むと、ずんっ、と音を立て、立っている床がエレベーターのように降下していく。

なんとも不気味な空間を見渡し、警戒していると。再びの衝撃で、三人がロボボアーマーの上でバランスを崩した。

 

「うぉっ!?…ったく、とんでもなく不親切な設計だな、オイ…」

「ぽよっ!ぽよ、ぽーよっ!」

 

当麻が呻く隣で、カービィが騒ぎ、眼前を指差す。

そこには、謎のキューブが菱形に揃った集合体が佇んでいるのが見えた。

一体なんだ、と構えていると、キューブが静かに変形し、奇怪な形の扉へと作り変わる。

その奥には、ドラマで見るような社長室としか思えないガラス張りの空間が広がっており、不気味なほどに静寂が包んでいるのがわかった。

 

「…ここに、星の夢がいるのか?」

「多分だけど、いかにもってカンジがするね」

 

ロボボアーマーが、ずん、ずん、と音を立て、扉をくぐる。

急襲を警戒するも、通じないとわかっているのか、はたまた相手の余裕なのか、攻撃は飛んでこない。

皆がキョロキョロとあたりを見渡していると。ぱちぱちと、拍手の音が響いた。

しかし、何故だろうか。規則的なリズムを発するソレに、一切の生気が感じられない。

当麻が気味の悪さに身震いしていると。その拍手の主であろう、少しばかり体が紫がかり、表面が粘性の液体で塗れた卵型の男が、椅子をこちらに向けた。

 

「ようこそ、我がオフィスへ。

ワシの名はプロダクトナンバーPH-8610、『クローン・プレジデント・ハルトマン』。

『Re.ハルトマンワークスカンパニー』の代表取締役社長であーる」

「…ご丁寧にどうも。上条当麻、ちょっと不幸なくらいの高校生だ」

 

恐ろしいほどに起伏がない。

御坂妹と同じクローンとは言え、あまりに超然とした態度を前に、ごくり、と生唾を飲み込む当麻。

クローンハルトマンは「あー、オッホン」とわざとらしい咳払いをし、つらつらと言葉を並べた。

 

「フム。この星は文化どころか、礼節すら弁えていない、低レベルにも程があるヤバンジンどものソウクツであるな」

「テメェが言うか、侵略者」

「侵略…?ナニを言う」

 

────「星の夢」を招き入れたのは、この星の住民であろう?

 

「…………は?」

 

あまりに衝撃的な一言に、当麻は呆然と思考を止め、力を抜いてしまった。

今、クローンハルトマンは何と言った?この惨状を生み出したキッカケは、「星の夢」ではなく、この星の人間だというのか?

そんな考えが浮かんでは消え、結局のところ、答えは出ない。

ただでさえ出来の悪い頭が、上手く機能しない。

それに苛立ちを感じながらも、当麻はクローンハルトマンに問いかけた。

 

「…どういうこった?」

「フム。自覚もない、と。マッタク、規律を守らず、統率も取れていないヤバンジンのアイテは時間のムダであるな」

 

いちいち鼻につく言い方だ。以前に打ち倒したダークリムロのことが頭をよぎる。

自覚がないも何も、殆どの地球人が「星の夢」の襲来に関して、全くの無関係。それをまとめて考えているあたり、どうしようもない価値観の隔たりを感じた。

一応は生き物の形を取っているのだろうが、その実はただのキカイ。プログラムの中で、狂った結論しか導き出せない、壊れたマシンの一部なのだ。

立ち向かうべき相手への悍ましさを痛感し、顔を顰める当麻。

クローンハルトマンは椅子を移動させると、ガラスの向こう側に飾られた「ある物」へと指差す。

そこには、ショーケースに入りそうな程に小さいカケラが埋め込まれていた。

 

「コレは、『星の夢』を呼び寄せたキカイのカケラである。

名は…『樹形図の設計者』と言ったか。掌握する直前に破壊されなければ、器としての利用価値は十分にあったのである」

 

上条当麻は頭が悪い。

だがしかし、度を超えたバカでは決してない。情報さえ揃っていれば、理論を組み立てることが出来る。

ゆえに、結論に至るのは早かった。

 

「おいおい…!?ワープスターがぶっ壊す直前に『樹形図の設計者』を『星の夢』が乗っ取りかけてたのかよ…!?」

「マッタク忌々しい…!あと数秒さえあれば、スムーズに復活できたものを…!!」

 

肯定はなかった。しかし、それが事実だとして、クローンハルトマンは愚痴を吐いた。

もし、ワープスターが『樹形図の設計者』に直撃していなければ、現時点よりも侵攻は劇的に進んだことだろう。

最悪の場合、マルクの計画とブッキングした可能性だってある。

なんという奇跡だろうか。

しかし、悲しきかな。そんなことなど知る由もなかった学園都市は、十分にあった時間で備えができなかった。

それを責め立てるような真似はしない。気づく方法などなかったのだから。

この惨状を止める手立てがあったと今更ながらに気づき、無力感に打ちひしがれる当麻。

そんな彼を慰めるように、カービィが背を撫でた。

 

「…なんで、『樹形図の設計者』が『星の夢』を呼び込んだんだ?」

「個体名『ザン・パルルティザーヌ』の解析が『樹形図の設計者』のみでは不可能だったからである。

『樹形図の設計者』は既に残骸となったハルトマンワークスカンパニーのネットワークにアクセスし、『星の夢』の砕かれたデータの一部を発見。それを己と統合することで、その修復を図ったのである」

 

あまりに出来すぎた繋がりに、当麻は軽く眩暈がするのを感じた。

つまるところ、『絶対能力進化計画』のチームがパルルを発見し、『樹形図の設計者』にそのデータを打ち込んだことが、今回の事件のキッカケとなったらしい。

ロボボアーマーに付け足されたカメラ機能により、ハルバードにもこの会話は伝わっていることだろう。

今頃、目を白黒させて戦慄くパルルを思い浮かべ、当麻は心の中で合掌した。

 

「さて、ムダ話はここまででいいかな、ヤバンジン諸君。

ワシはキミたちと違い、この宇宙に蔓延る生命のハイジョのため、忙しい身なのである」

 

彼は言うと、ぱん、と柏手を一つ鳴らす。

すると、駆動音と共に床が開き、キューブで形成されたフィールドが現れた。

四人は慌ててそちらに飛び乗ると、あたりを警戒する。

と。天井からも駆動音が響いていることに気づき、上を見上げた。

 

「安心したまえ。キミたちのアイテは、しっかりと用意しているのである」

 

そこにいたのは、見覚えのある少女。

常盤台の制服に、バイザーから垂れる、切り揃えられた茶髪。

羽衣と無骨な機械に四肢を包まれた彼女は、ずんっ、と地面を揺らすと、怪しい光をバイザーに映し、こちらを睨め付けた。

 

「み、御坂…?」

 

いつものように、ビリビリと軽口で揶揄することは出来なかった。

肌さえもピリつく威圧感の中、クローンハルトマンは笑みを浮かべ、告げた。

 

「本製品は先ほど完成した、改造能力者のマスターピース…。

24時間休むことなく、星を破壊する天体制圧用兵器…、プロダクトナンバーRG-666『レールガンボーグ』である」

「テメェ…っ、御坂はそんな名前じゃねぇし、兵器でもねぇ!!能力がちっとばかし強いだけの、ただの中学生なんだぞ!?」

 

当麻が激昂してクローンハルトマンに食ってかかるも、彼は聞かない。

あまりに痛々しい姿となった少女を前に、当麻はロボボアーマーから降りた。

 

「ぽよっ!?」

「トーマ、危ないよ!?」

「アイツとの喧嘩なら慣れてる。カービィ。お前は『星の夢』をぶっ壊してくれ」

 

二人の制止を聞かず、キューブで構成された戦場へと立つ当麻。

彼はクローンハルトマンに指を向け、カービィに告げる。

カービィはそれ以上、引き止めなかった。

こくり、と頷き、去りゆくクローンハルトマンへと向かうカービィたち。

その後ろ姿を見届けることなく、当麻はカービィたちに襲いかかる電撃を右手で払い除け、笑みを浮かべる。

 

「こっちは任せろ、相棒!」

 

機械仕掛けの女神を前に、人は拳を握った。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「トーマを置いてっちゃってよかったのかなぁ…?」

「ぽよっ」

 

きっと、彼なら大丈夫だ。

そんなカービィの返事に、不安げに轟音が響く背後を見やるエフィリン。

社長室から出て、オフィスをさらに降下する中で、ともだちのその姿は、すっかり見えなくなってしまっている。

正直に言えば、カービィも当麻のことは心配だ。

しかし、ともだちである彼が「任せろ」と言ったのだ。疑うと言うことを知らないカービィにとっては、それだけで信用に値する。

カービィたちがクローンハルトマンを追いかけていると、彼は見覚えのある機械を前に立ち止まる。

 

「どうだ、星のカービィ?じぃ、つぅ、にぃ、スバラシイであろう?」

 

そこに佇んでいたのは紛れもなく、以前破壊した「星の夢」であった。




絶対能力進化計画関係者…大戦犯。コイツらが居なければ、ここまでややこしい事態に発展しなかった。

ザン・パルルティザーヌ…なんか知らん間に元凶になってしまった。とばっちりもいいところである。

ワープスター…感想欄でほとんどの人に戦犯扱いされていたが、普通にファインプレーだった。しかし、そのファインプレーはほとんど意味をなさなかった。

御坂美琴…レベル6に近い状態。自壊のリスクを最大限に抑え、星の夢が直接演算処理を請け負うことで、星一つを破壊できる兵器と化している。クローン技術によって量産態勢も整っているので、急いで星の夢を破壊しなければならない。頑張れ、星のカービィ!
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