西暦2145年6月14日の午後。この日におけるゲイ・ボルグ特統戦隊の隊員たちが食す夕食作りを担当することになったのは、ゲイ・ボルグ特統戦隊の母と呼ばれるロングランス戦隊員【
「ねえ
イズミは料理の準備をしながら、ふとした疑問をシェリーラスにこぼした。特統戦隊のメンバーの約半数は育ち盛りの子供、そして大人の中に人並み外れた大食いが何人かいるという状態である。
このような胃袋事情であるがゆえ、ゲイ・ボルグ特統戦隊が編成されたばかりの頃は食料用の倉庫に保管されている糧食が一月持つか持たないかだったのだが、ここ二週間食料庫の兵糧の減り具合がめっきり少なくなりまだ半分近い量の穀物の袋や調味料、嗜好用飲料の瓶が入った箱が倉庫に眠っているのだ。
「そう言われてみればそうですね!みんな少しずつ食べる量を減らしてる気がします!」(生活の微妙な変化に気付けるってすごい!流石主婦だわ!素敵!)
シェリーラスは内心でイズミへの行きすぎた敬意を叫びながら答え、特に疑問を持つことなくフライパンと水がたっぷりと入った特大の鍋をコンロに置き、その隣でルーの調味を始める。
ちなみにこの日の夕食の献立は味以外の理由で嫌いだと言う人間などこの世に存在しないであろう、カレーライスである。
「今日は
「まあ、カレーライスを嫌う人間は私の知ってる限り一人もいないね。あんたもカレーは好きだろ?」
笑いながら手際よく野菜と肉を刻むイズミを横目に、シェリーラスは湯の沸き具合を確認しながらルーの調味を始めた。今回は辛めに作るようで、すでにカレー粉や味噌と言った調味料を混ぜたルーの
「好きと言えばイズミさん!最近
「強引な話題の変更だね…………まあ、あの
唐突な話題の切り替えながら、イズミは興奮気味に話すシェリーラスのテンションに併せて答えた。
野菜はあらかた刻んだらしく、今度はジャガイモの芽を除く作業に入り始める。
「良いわ~無垢な女の子が
乙女チックなロマンを語るシェリーラスはすでにルーの調味を終えており、イズミが刻んだ野菜をフライパンで
「そうかい?私も旦那一筋だけどそのあたりはよく分からないんだ」
芽を取り除いたジャガイモを刻むイズミは、少し
「じゃあ、シンくんはクレナちゃんに振り向くと思いますか?」
炒め終わった野菜と肉を水で満たした鍋にどかどかと落とし入れ、コンロに火をかけて温め始める。そしてルーの味を確認しながら、シェリーラスはまたイズミに問いかけた。
「それは……さっき言った通り難しいだろうね。あれは
刻み終わったジャガイモを炒めるシェリーラスの代わりに鍋の様子を眺めながら答える。確かに、年齢不相応に達観した感性、幼少期から戦場で生きて来たゆえの精神構造の
「そうですか……まあそうですよね。誰もシンくんの笑顔を見たことがありませんから」
ジャガイモを炒めながら、シンエイが笑顔を見せた記憶がないことをぽつりと呟くシェリーラス。楽しい雰囲気で始まったはずの料理は、いつの間にか哀愁漂う雰囲気に満たされていた。
「…………悲しい
「はい!フィアルマさんのお説教、長引いてないといいですね!」
イズミはカレーの具を温めている鍋をシェリーラスに任せ、調理場を後にした。
イズミが調理場を出ようと鍋から離れた頃にようやくフィアルマとの追いかけっこから解放されたチャコールは、疲れきってはいるがどこか嬉しそうな足取りで調理場の方へと向かっていた。
(今日もフィアルマさんに追いかけ回された……自業自得だけど……)
フィアルマに追い回されている途中からカレールーの匂いを嗅ぎ取っていたチャコール。今回彼がフィアルマに殺されることなく走りきることが出来たのは、カレーライスの匂いでフィアルマの殺意の匂いを
「ああ、コール。ちょうどよかった」
「あ、イズミさん」
調理場の方から自分に近付いてくるイズミの姿を視認し、呼び掛けられたチャコールも返事をした。
「米は
「任せて
「悪いね、疲れてるのに一番大変な仕事を頼んじゃって」
先ほどまでの疲れはどこへやら、チャコールははきはきとした態度で調理場の扉へと向かって行く。ちなみに炊飯器などという便利な家電は存在しない。
(なんて…………コールが炊いた米が一番
イズミはどこか安心したような笑みを浮かべながら、ある人物たちがいる部屋へと向かった。
イズミ・カーティス(Izumi Curtis)
出展:鋼の錬金術師\イズミ・カーティス
黒色の髪と瞳の女性。
人種は
シェリーラス・ミエラ(Ciereylaz Miellat)
頭髪が桃色、毛先と瞳が緑色の女性。
容姿は[鬼滅の刃]の甘露寺蜜璃。
人種は