サンマグノリア政府主導の
彼らはサンマグノリアの政策に対する抗議も兼ねて、足腰の立たない老人から生まれたばかりの赤ん坊までもが真っ黒な服に身を包み、四方八方に向かい長蛇の列を成して行進していた。
その異様な光景はまさしく喪服に身を包んだ音楽隊の行進。彼らにとっては最初で最後の、横断幕を掲げてのデモ行進である。ちなみに横断幕には「滅びよ悪魔の国」、「白い肉塊に死を」、「魂なき脱け殻は地獄へ向かえ」、「我ら人なり。されど肉塊にあらず」などと書かれている。
「いくら
サンマグノリア共和国大統領は、86区に繋がる大通りを進む
その軍隊の一割強を独占する民族である将兵たちの更に95%以上が一斉に辞表を叩きつけて、そして家族や非戦闘員を引き連れて自ら国外に逃げ出すのだから、共和国民にとっても政府の上層部にとっても頭が痛い案件である。
「有史以前…………十万年以上に渡って住み続けた土地から、自ら離れるという形で追い出されるか…………」
迫害された
彼は共和国に残ることを選んだ1927人という決して少なくない人数の
「今後、
クガンドの、
同じ頃の86区北方。雪が降りしきる寒空の中、グラン・ミュールに程近い地域にある第109強制収容所。ここはさすがの当局も扱いに困ったらしい
そこにいるのは被差別民の中でも
「バルさん、フェルさん。あんたたち箸の持ち方間違えてるよ」
収容所の食堂で昼食を取るフェルベールとフェルディナンドは、白系種の最大多数派
「いや……俺たち和食食べるの初めてだし」
「ペンを持つ要領って言われてもなぁ」
皿に盛り付けられた鮭の塩焼きや卵焼きを、箸で器用に切るネイリスとは対象的に茶碗に盛られた麦飯さえも掬えないフェルベールとフェルディナンド。
外交官夫妻の娘として両親に連れられて様々な国に
「まあ、ゆっくり慣れるのが先決だから」
二人にそう言って、ネイリスは梅干しを一つ箸で麦飯とともに口いっぱいに頬張る。
(
少食であったこともあり一足先に食事を終えたフェルベールは、ふと思い出した雪中行軍をテーマとした軍歌を歌いながら食器を洗い場に戻しに向かった。
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そして、彼が気紛れで唄った歌はその場にいた全ての
その日よりフェルベールには“軍歌のお兄さん”という愛称が着き、フェルベールが歌った軍歌が瞬く間に86区の住民たちに広まったことで、全国のプロセッサーたちは出撃前、起床直後、就寝前に必ず軍歌を歌う習わしができたという。
どうせ、
登場曲名:雪の進軍
作詞・作曲:永井建子