ノーマンに対して告げられた、余りにも難解かつ無情な問い。幼少期を共に過ごした友人たちを助けて今自分を養ってくれている家族を見捨てるか、今の家族を守るために被差別民として生きることを強いられているかつての友人たちを切り捨てるのか。
「…………非情な二択問題ですね」
顎に指を当てて少し考え、力無く静かに返答せざるを得ない。この国が切羽詰まっている状況であることを容赦なく再確認させられる。少なくともノーマンにとってはそのように感じてしまい、有耶無耶な答えしか返せないほどに厳しい問いなのだ。
「そうだ。俺は
やるせなく
時には危険を承知であえて間違った選択をしなければならないこともあるし、後から選択を変えるという決断を迫られることさえある。
「辛いですか?」
ノーマンは場を支配する哀愁に満ちた雰囲気に
「当たり前だ」
悲しみと
目の前の、ほんの四歳程度しか歳の変わらない青年は、
「誰が
窓から入り込む日光に、拭いきれずに
ノーマンと過ごしたしばしの語り合いの時間の後、クガンドは去り際に渡された一通の手紙を眺めていた。ノーマンの血の繋がらない義理の父からの、感謝と懺悔の手紙だった。
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拝啓 クガンド・ウィザリア大佐殿
雪と寒空の季節も折り返しに至り、また一段と澄んだ星空が広がる時期に短いながらこの手紙を、この場を借りて詫びさせて頂きたくお送りします。そちらはいかがお過ごしでしょうか。
私と家族は息災です。
まず血の繋がらない私の養子を、貴殿に押し付ける形で補佐に付けた手前勝手をこの手紙を通してお詫び致します。
今の私には10歳になったばかりの娘一人の相手をするので手一杯であることもあり、どうかよろしくお願い申し上げます。
前置きが長くなりましたが、本題である86区視察の件をお伝えさせて頂くためにこの手紙をお届けした次第でございます。
翌2月28日から3月2日にかけて単独で第86区の視察のため自宅を空けることになりましたので、この三日間を私の家族と共に過ごして頂けますか?勝手は承知していますが、重ね重ねお許しください。
どうかそちらも息災にお過ごしください。
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時間がなく急ぎながら書いていたのか、それとも手紙を書く上でどんな言葉を綴るべきかを思案しながら綴っていたのか。内容が極端に少ない上、文章自体も数十年を生きたとは思えないほどに拙い。
クガンドは手紙を畳んで、三度呟いた。
「……………………貴方は三年と待たず死ぬ。どちらを生かすか選べ、ヴァーツラフ。
ノーマン・“グレイシス”・ミリーゼ(Norman Glacis Mollise)
背が高いミディアムの白髪を持つ少年。
容姿は[約束のネバーランド]のノーマン。
人種は後天性の病で瞳が薄い青色に変色している