破壊神のフラグ破壊   作:sognathus

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ウイスの瞬間移動で一行を何の変哲もないススキが生い茂る平原へと連れ来た。
そこは特に見るものもない春日領の一部でしかなかったが、そんな何の変哲もない場所に誰よりも思い入れがある物が一人だけいた。


第5話 衝撃の事実

「はい、到着です。此処でご説明致します」

 

「おおっ、ここはぁ!」

 

しんのすけが驚いた声をあげる。

 

「どうしたしんのすけ? この場所がどうかしたのか?」

 

「ここ、おらがオマタのおじさんと初めて会った場所だよ!」

 

「なに? ああ、そういえばここで……」

 

自分が種子島で撃たれそうになっていた所をしんのすけに助けられたのだった。

又兵衛はしんのすけとの出会いのきっかけとなった時の事を思い出して、見慣れた風景でありながら懐かしいものを見るように目を細めた。

 

そうだ、自分はあの時死んでいたかもしれない。

そして先の大蔵井との戦では確実に死んでいた筈だ。

そんな自分の命を天は二度も奇跡を起こして救ってくれた。

一度目は今自分の足元で楽しそうに走り回っている我が朋友たる少年。

二度目はなんと恐れ多い事に天そのものである御神自ら。

 

「そうか。知っていたのか。なら理解するのもそう難しくないかな」

 

ビルスはしんのすけの言葉を聞いて全て納得がいったという顔でウイスに先を促した。

 

「えー、では皆さん、よくお聞きください。突然このような事を言われて戸惑ってしまうかもしれませんが、実はこの世界は何らかの影響によって所々に時空の歪みが発生しています」

 

「時空の?」

 

「歪みぃ?」

 

案の定、ひろしとみさえが戸惑った表情でウイスの言葉を反芻した。

他の面子はウイスの言葉自体理解でず、何の事を言っているのか解りかねている様子だった。

 

「ひろし、時空の歪みというのは?」

 

直接、神の付き人に質問するのは無礼だと考えた又兵衛がひろしの方を向きウイスの言葉の意味を訊いてきた。

 

「えーっと、それはぁ……つまり……」

 

ウイスの言った単語自体は何となく理解できるし説明はできる。

だが、肝心のその言葉が意味するところが理解できていなかった為ひろしは上手く説明できなかった。

 

「マタベーさん、時空の歪みというのですね。本来繋がってない筈の世界同士が接触してしまう事によってできる異変の事ですよ」

 

「異変……? むぅ……」

 

ウイスの親切な説明にも理解が及ばなかった又兵衛は、ただひたすら心から申し訳なさそうな表情をビルス達にするしかなかった。

 

「マタベー、しんのすけ達と君たちの生きている世界が違うというのは知っているだろう?」

 

又兵衛の困った表情を見て少し面白そうな顔をしたビルスが又兵衛に助け舟を出してきた。

神の手を煩わしてしまった事に恐縮しながらも、その言葉に又兵衛はようやく理解したと言った様子で答えた。

 

「はっ、確かしんのすけ達は未来から来たと……」

 

「そう。あなた達からすれば『未来の世界』から来たしんのすけ君達と、しんのすけ君達からすれば『過去の世界』にいたマタベーさん達の世界が触れ合ってしまった事によって異変が起こったのです」

 

「その異変が時空の歪み?」

 

学生時代SF研究会に所属していたひろしは、その時の経験を今こそ活かすべきだと言わんばかりに自信に満ちた声とシリアスな表情でウイスに自分の答が合っているかを確認した。

その顔は若干自分に酔っていた。

傍らにいた妻のみさえと幼い娘のひまわりは2人揃って胡散臭そうなモノを見る目で小さく「へっ」と呆れた息を吐いた。

 

本当に面白い家族だな。

ウイスはそんなひろしの心の内をしっかり読んでいたが、そんなつまらない事を指摘する気にならないくらい野原一家の事を面白く思っていた。

 

「その通りです。そしてその歪みというのが」

 

「タイムパラドックスですね?」

 

「ありていに言えばそうですね」

 

「やはり私もそうだと思っていました」

 

「ねぇ、父ちゃん何を言ってるの?」

 

「さぁ」

 

「たー」

 

「ひろし殿は頭脳明晰なのですね」

 

話に着いていけないながらもひろしの聡明さを褒める廉姫。

 

「はっ、誠に。大したものですな」

 

又兵衛も心から感心した様子で廉姫に同意を表してひろしを褒め称えた。

 

「ほー、そんなに凄いもんなのかの? いや、流石はしんのすけの御父上じゃの!」

 

「ひろしの旦那やりやすね!」

 

「ちげぇねえ!」

 

仁右衛門や彦蔵達も惜しみない賞賛を送る。

 

「いやー、はっはっはっは。これくらい大した事ありませんよ!」

 

元の世界でもここまで褒められた事がなかったひろしは、周りの賞賛の嵐に喜びの感情を抑えることができずつい有頂天になってしまった。

 

(俺、この時代に来て良かった!)

 

ひろしは心の底からそう思った。

 

「あの、それでういす殿。その、たいむなんとやらが拙者の身に起こった事と何か関わりが?」

 

「ええ、そうです」

 

又兵衛の質問にウイスがいつもの調子で軽く答えたが、続いて出て来た彼の思わぬ言葉に、その場にいた一同はショックで押し黙る事となる。

 

「マタベーさん、貴方はどうあってもここでお亡くなりになる運命だったんですよ」




えーと、確か最後の運命って劇中では又兵衛さんは悟っていた様な気がするのですが......今作では九死に一生を得たという事で、その事を改めて理解するという展開とか有りかなぁって。

今回ビルス様には明確な敵は存在せず、寧ろ既にあるものを破壊をしてしまっています。
それは彼の意図に関係なく偶然破壊してしまったわけですが、果たしてそれは......?

何とかそれっぽく説明できるよう文を練っています(汗)

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