破壊神のフラグ破壊   作:sognathus

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ビルスの介入によって通商連合の総督はあっけなく捕縛された。
ジェダイと元老院議長のヴァローラムは彼の協力に心から感謝と敬意を表し、厚く遇した。

その待遇に気を良くしたビルスは、ほんの遊び程度のつもりで、逮捕したヌート・ガンレイ総督から得た恐るべき情報の真相の究明する為にジェダイに再び協力を約束したのだった。

それから数日後……。


第2話 暗黒卿の愚痴

惑星コルサント。

自然が一切ない『街』のみで構成されたその星の、ある建物の中でシスの暗黒卿ダース・シディアスは沈鬱な表情で思い悩んでいた。

 

悩みの発端はこれだ。

部屋の中央にあるテーブルの上には、購読用のデジタル新聞の投影機が置いてあり、その機械からはこんな記事が映されていた。

 

『通商連合、惑星ナブーへの威嚇包囲を解く。そして更に衝撃の事実! 通商連合の総督ヌート・ガンレイ、なんと滅亡したと思われていたシスの暗黒卿との関係を自白!』

 

何もかも最悪だった。

これで自分が忍耐に忍耐を重ね、気が遠くなる程の年月をかけて張り巡らしてきた陰謀は全て水泡と帰してしまった。

 

失脚を狙っていたヴァローラム元老院議長の権威は復活し、元々正義感の強かったこの男は、持ち前の器量と人脈、そして世論をも味方に付けて汚職議員を一掃したのだ。

そう、自分を含めて。

 

もう白状してしまうが自分は元老院議員としてパルパティーンという顔を持っていた。

その立場を利用して今まで陰謀を進めてきたわけだが、その企みはあの事件で霧散してしまい、更にはヴァローラム議長の動きに呼応したジェダイの電撃的な一斉捜査によってあっとう言う間に逮捕されてしまったのだ。

しかし逮捕されたとはいえ彼はシスの暗黒卿。

しかもシスの歴史の中で最も優れているといっても過言ではない器を持つ男だった。

彼は逮捕された後も粛々と罪を認めるふりをして自らの正体を隠し通していた。

 

状況は悪くなったがここで耐えればまだ機会はある。

持ち前の恐るべき忍耐力で次の機会を独房で窺っていたときだった。

何やら青い顔をした人間と、耳の長い紫色の亜人がジェダイに伴われて自分の前に来たのだ。

 

「こいつシス」

 

一体何故此処に来たのか。

何故ジェダイはあいつらを連れてきたのか。

その理由は全てが謎だったが、この一言で自分の正体は暴かれてしまい、今では彼はジェダイによって用意されたシス専用の幽閉管理室などというとんでもない部屋に閉じ込められてしまっている。

何故あんな根拠もない一言をジェダイどもは信じたのか……。

それもまた謎であったが、恐らくあの影響力は、少し前からシスの思想に共感し、彼と行動を共にしていたドゥークー伯爵の裏切りにも影響したのだろう。

 

理念思想は立派だが、年甲斐もなく強い者に憧れる童心も僅かに併せ持っていた伯爵は、あの事件の後に独自にあの妙な二人組に接触し、すっかり魅了されてしまったらしい。

今では自分との共謀やクローン計画まで暴露して自分の罪を告白し、改めて偉大なジェダイとして活躍しているらしい。

自分はこんなところにいるというのに何たることか。

 

そういえばその伯爵と、彼の弟子であるクワイ=ガンはどこかの惑星で優れた素質を持つ少年を見つけたらしい。

ただ歳が少々行き過ぎていて不安な要素があったらしい。

だがその問題も、あの二人組の青い顔の方が妙な術で時間の進みが遅い異空間を作りだし、その中で血反吐が出なくなるほどのクリーニング(修行)を受けさせる事によって解決したらしい。

その結果、今ではその少年は自分の悪い点も認めたうえでまともな思考ができるジェダイ史上最高の騎士に生まれ変わったのだとか。

 

モール……そういえば、モール卿はどうしたのだろう。

怒りの塊のようなあの男、我が弟子……。

彼はジェダイを牽制する意味においては最高の布石だった。

ナブーの包囲の時、彼を使って計画を推し進める予定だったのだが、あんな事が起きてしまってはそうもいかず、行動の方針を決めかねている間にジェダイが動きだしそして……。

ああ、そうだ。

あいつ、最後はいてもたってもいられなくなって一人ジェダイテンプルに特攻していったんだっけ。

ここに連行されてこないところを見ると、恐らく返り討ちにあったのだろう。

モール、あいつはフォースの力こそ自分には遠く及ばなかったがその技量は、若い事もあって伸び代もあり目を引くものがあった。

弱点は若さゆえに偶に心より体が先に動いてしまう事くらいだ。

その弱点さえなければ狩人という点においては彼は非常に有能だった。

 

「あれだけ我慢しろと言ったのに……」

 

暗黒卿は溜め息を吐いた。

ここの監視は最悪な事になんとあのジェダイ評議会の議長であるメイス・ウィンドゥと長老的存在であるヨーダが自ら交代で定期的に務めている。

現存するジェダイマスターの中で最も厄介とされる男がなんと二人も自分の為だけに。

おかげで自分は脱出どころかフォースを使って周囲の人間を惑わすことも叶わない始末だ。

 

自分はもうここまでかもしれない。

シス史上最も忍耐のある男の心は既に折れる寸前だった。




いろいろ端折ってなんとシディアス卿の登場です。
彼にはビルスが来た後に起こった出来事の語り部になってもらいました。
本人は大変不満な役だと思いますがw

次は再びビルスが登場する予定です。
何とか予定通り3話で終わりそうです。
濃い内容を期待されていた方がもしいらっしゃったらこの場を借りてお詫びいたします。

短くてごめんなさいw

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