破壊神のフラグ破壊   作:sognathus

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メインの女性キャラが3人しかいないのはその方が話を作り易かったのと、この3人が序盤の女性キャラの代表格っぽいという印象を筆者が持っていた為です。


「異世界はスマートフォンとともに。」編
第1話 まだ知らぬ神


「破壊神?」

 

「そう名乗る恐ろしい魔物が出まして」

 

「そいつが皆さんに迷惑を?」

 

「詳細は私もよく存じ上げていないのですが、なんでもその魔物と誰かが争いを起こしたらしいのです」

 

「はぁ」

 

「それで、怒った魔物は争っていた相手ごと周辺を砂漠に変えてしまったとか」

 

「え?」

 

あまりにも突拍子もなく内容が掴みにくい話に冬夜は目を点にした。

 

(争っていた人ごと周りを砂漠にした? それって魔法か? 生き物を含めた物を砂に変える力があるって事か? だとしたらその魔物がその力を使う前に抵抗できる補助魔法とか掛けておいた方が良いな。一応砂に変えてしまう魔法があるかどうかも調べてみるか)

 

冬夜はある程度考えを纏めると助けを求めてきた人にその魔物がいるとされる場所を教えてもらい早速一行を連れて出発するのだった。

 

「ねぇ冬夜、何処へ行くの?」

 

「うん、ちょっとね。厄介な魔物が出て皆を困らせているみたいでさ」

 

「なるほど。それで冬夜殿に討伐の依頼が来たと」

 

「うん、そういう事」

 

冬夜はエルゼと八重に応えつつスマホを操作をして先程考えた通りにまずは物を砂に変えてしまう魔法があるかどうかを調べていた。

流石異世界に対応したスマートフォン。

一見ただのブラウザに表示された検索サイトであっても文字の入力欄に調べたい事柄を入れて検索すると関連の情報が山程出て来きた。

 

「冬夜さん、魔法について何か調べているのですか?」

 

「ああ、うん。物を砂に変える魔法とかそういう方法があるのかなって」

 

「物を砂に?」

 

エルゼがリンゼの言葉を聞いて後ろから冬夜のスマホを覗き込む。

密着しながら覗き込んだので冬夜は彼女の柔らかい胸の感触を背中に感じた。

そのことに対して密かにに幸福感を感じつつ彼は仲間外れにしない為に八重にも訊いた。

 

「八重、魔法に限らずそういう技術とかスキルに心当たりがあれば教えて欲しいんだけど」

 

「物を砂に……でござるか。申し訳ない、拙者は特には……。ただ砂になるということはつまり物が風化する現象と同じという事なのでしょうか?」

 

「ああ確かに。風化による砂化なら魔法によって乾湿の操作をある程度できれば実現でき……るのかな?」

 

リンゼは冬夜の言葉に口元に手を当てて考える。

 

「乾湿の操作……火や水属性の魔法を上手く扱えばできそうですけど、かなりの技術と魔力が必要な気がします。しかし風化までとまでとなると……」

 

「難しいの?」

 

「エルゼ殿、ただ乾湿させるだけなら拙者たちでも簡単にできます。ただ濡らして乾かすだけですからね。しかしそれを魔法で操作するとなると、先程リンゼ殿が申されたように、拙者でも繊細な技術や場合によってはかなりの魔力を費やしそうだということは何となく予想できるというものです。ですが風化とは物の形が崩れて塵にまで至る事。そこまで魔法で実現させるとなると……」

 

「ふーん、ならそれって時を操ることができればどうにかなるって事でしょ?」

 

「それだ」

 

エルゼの単純にして核心を突く言葉に冬夜は合点がいったといった顔をする。

 

(そうだ。エルゼの言う通りノルンみたいな時間を制御する力や時空神のような存在なら……)

 

『時空神』

 

冬夜はここに来て今から討伐しようとしている相手が多分あり得ないだろうが、神クラスの力を持つ強大な相手であるかもしれないという考えに至った。

 

「……少し用心した方が良いかもな」

 

いつも余裕の態度を崩さない冬夜は久しぶりに目を鋭くして真剣な表情をすると、スマホの電話機能を使い早速神様に電話をした。

 

 

「……話はよく解った。しかし時のう……。まぁ確かに時を扱うとなると神に近い存在やもしれぬという君の予想は解るが……」

 

「勿論僕の予想が確実に当たっているとは思っていません。先程もお話ししたように強大な魔力を使えば現象そのものは実現できるかも。でもそれが周りを砂漠化させてしまう程の規模となるとやっぱり……」

 

「うむ、うむ、解った。いざというときは儂も協力するから安心しなさい」

 

「有難うございます! また神界(そちら)を訪れるときは何かお土産を持って行きますので」

 

「おー、それは楽しみじゃ。うむ、では頑張っての」

 

「はいっ、失礼します」

 

「どうだった? 冬夜」

 

エルゼの問い掛けに冬夜は笑みを浮かべて返す。

 

「うん、大丈夫。何とかなると思う。だけど注意しないといけない事には変わらないからね。エルゼ達はなるべく僕の側を離れないように。いいね?」

 

「はいっ」

 

3人の麗しい少女達はは己が惚れた男の頼もしくも嬉しい言葉に心からの信頼を込めて元気よく返事をした。

 

 

 

――――と、いうやりとりがあった時から遡ること1日ほど前の昼時のとある場所。

 

「今回も地球に似た場所に来たは良いけど降りる場所誤ったな」

 

「だから最初に私が申しましたように人が集まっていそうな街にしていれば。この世界はビルス様のように人外の姿をした知的種族もいるみたいですし」

 

「降りたところでこの世界で使える金とか持ってないだろう。だったらなんか適当に困ってる奴に恩を売ってご馳走してもらった方が早いというもんだ」

 

「ビルス様、それはあまりにも神様として威厳が……」

 

「……うるさいな。まぁ最近似たことをよくしてきた所為なのは認める」

 

「一応自覚はあったのですね。でしたら私からはこれ以上は特にもう申しません。にしても……」

 

ウイスは己が使える神と降り立った地の周りを見渡しながら言った。

 

「……何もない所ですね」

 

「ただの谷間だからな」

 

「しかし地面自体は邪魔な雑草や石があまりないところを見ると人の往来がそれなりにある所ではあるみたいですね」

 

「だったら簡単だ。適当にぶらついていれば誰かとであ……」

 

パシッとビルスは何処からともなく自分に放たれた矢をなんなく掴み取る。

 

「……」

 

 

「ちっ、なかなか厄介そうな魔物みたいだな。だが見世物として中々高く売れそうなあいつらを逃す手は手はない」

 

谷の上からビルス達を覗いていた名もなき山師の集団のリーダーらしき男はは弓矢を使った奇襲を諦め、後ろに控える仲間たちに号令をかけた。

 

「おい、囲んで一気に捕らえるぞ」

 

 

恐らく恐怖による混乱を誘うためだろう。

集団で雄叫びを上げながら谷を滑り降りてくるならず者の集団を見てビルスは言った。

 

「大丈夫だ。面倒だからここら辺まとめてちょっと破壊するだけだ」

 

「なら結構」

 

ウイスは野蛮で無礼としか評価できない人間たちに小さく溜め息を吐くのだった。




他の作品にも言えることですが滞りが酷いので、できるものを思いついたときにやるというスタンスでの投稿です。
まぁこの作品は以前から題材にしたとは思っていましたが。

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