乙女ゲー世界は悪役令嬢の身内にも厳しい世界です   作:りーおー参式

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学園祭はこれにておしまいです。


第20話 お忍び学園祭(後編その2)

ジルクを始めとしたあの乙女ゲーの、元々の攻略対象5人とそいつらをわずか数ヶ月で誑かして逆ハーレムを作り上げた謎の女マリエが営業するホストクラブ風喫茶店を後にした僕であったが、リオン君やアンジェのいる隣の教室に繋がる廊下では3人の亜人が僕を待ち構えていた。

鉄パイプを持っていた亜人のこんがり焼かれた顔面を見て僕への憎悪をたぎらせている。

ただ、その中の1人、エルフ型の亜人が僕の顔を見て表情を変える。ん?こいつ、どっかで見たような気がするな。そして、僕に向かって飛び掛かろうとする残りの2人の肩を押さえると、慌てた様子で口を開く。

 

「おい待て!さっきは髪色が違うから気付かなかったが、こいつはヤバい!」

「何言ってやがる!仲間がここまでやられたんだぞ」

「だったらお前らだけでやれよ、”爆炎の顔玉潰し”の相手なんて俺は御免だからな」

 

”おい待て”は僕の台詞だよ。なんか不名誉な二つ名がまた増えてないか?

前半部分はほんのり厨二病感があって悪くないが、後半の下品すぎて酷くないか。

だが、僕の感想などお構いなしに亜人達の会話は続く。

 

「お、おい。それってまさかアトリーに買われた連中を半殺しどころか、この商売を引退に追い込んだクソ野郎のことか!?」

「間違いない、俺はあの時に手を出さなかったから助かったが、アトリー家の家臣連中が連れてきたアイツにケンカを売った奴らは全員廃業になるまで焼かれたんだぞ」

 

あ~思い出した、クラリス嬢の貞操危機事件というか、ツインマーライオン事件のときにいたねえ、ボコボコにした亜人どもを回収していった奴が。

嫌なことを思い出してしまった。見覚えがあると思ったら、あのときのエルフだったか。

 

「じゃあ、それこそあいつらの仇を討てばいいだろ」

「馬鹿!アトリーと繋がりがあって、しかも、俺達使用人を躊躇なく攻撃してくる貴族なんてヤバい奴に決まってるだろ!金払いだけが取り柄のオフリーの報復なんかに付き合ってられるか!さっさと逃げるぞ」

 

そう言ってエルフ型亜人に連れられ、3人ともこの場から撤収してしまった。

あ、手元で気を失っている奴を回収してもらえばよかった。まあ仕方ないから、雇い主のところに返品してやろうかな。

亜人の髪を持ってズルズルと引きずりながら、リオン君達がいる喫茶店のある教室の扉を開くと、教室内では最初にいた亜人達が縛り上げられている。

さらに、残ったオフリーのドーナツ頭令嬢とその取り巻きに向かって、リオン君が王妃様の権威を背景に煽り倒していた。

 

「族滅、根切りは覚悟しろよ!そうじゃなきゃアロガンツでお前らの実家を蹂躙してやるよ!はははは!!」

「それは面白い!ぜひ僕も混ぜてもらおうかな?」

 

僕もここまで派手にやられたのだから、参加させてもらってもいいだろう。ぜひ、初めての共同作業といこうじゃないか。リオン君との親密度が上がって、オフリー家を潰せれば一石二鳥だ。

 

「兄上!?どうしてここに?」

「学園祭で何やってるんですか、ギルバートさん?しかも、そのケガ・・・」

 

ある程度は拭ったが、頭部その他の細かな傷は残っているので、それを見たリオン君が若干引いている。

まあ、リアクションとしては当然だよね。やはり説明は必要か。

 

「そこのドーナツ頭が囲ってるヒトモドキが団体さんでこの教室に雪崩れ込もうとしていたのでね。やめろと言ったら喧嘩売ってきたから血祭りにしちゃった☆サービスで顔か下半身を焼きつぶしておいたよ~」

 

そう言いながら、首をかしげながら舌を可愛く出しておどけてやると、オフリーのドーナツ頭が怒鳴り込んでくる。

おいおい、僕の子分(予定)や可愛い妹、それにこの世界の主人公様がおわすこの場所を荒らしてくれたってのは、僕の縄張りを荒らしたのも同然だぞ。

 

「ふざけんな!私の使用人達によくも・・・!」

「喧嘩売るなら相手を選んだほうが身のためだよ?僕がこの国の貴族だって伝えたのに手を出してきて、タダで済むとは思ってないだろう?使用人に腰を振ること以外を教えてないなら、監督不行き届きもいいところだね」

 

ここまで引きずってきた、鉄パイプで僕を殴った亜人を、力任せにオフリーの令嬢ことドーナツ頭の足元に投げ付けると、亜人の体が膝にぶつかったドーナツ頭令嬢はバランスを崩して転倒してしまう。

 

「クソが・・・!」

「好き勝手やったようだが、腹は括っているだろうね?」

「待ちなさい、ギルバート君!」

 

指をポキポキ鳴らす安っぽい威嚇ムーブをしながらオフリー家の令嬢に近付こうとする僕を止める声が上がった。

その主は言うまでもなく、この場にどういうわけかわからないがお忍びで来ている王妃様に他ならない。

ふぅ、とわかりやすいため息をつきながら、僕はその方向に体を向けて恭しく口を開く。

 

「これはこれは・・・王妃様がご無事のようで、何よりです。この部屋に踏み入ろうとした賊どもは、僕が丁寧に焼き払っておきましたので、どうぞご安心ください」

「やりすぎな気もしますがいいでしょう、ご苦労でした。ですが、それならば決着はついたのでしょう、この辺りでやめておきなさい」

 

さっきまでの、大暴れなリオン君に可愛らしくテンパっていた姿はもう影も形もない。

いつものように僕を睨みつけてきている。為政者モードが再起動したようだね。

ちなみに、リオン君は不思議そうな顔をしながら僕と王妃様を交互に見ている。自分がどう対応するのがいいか考えているのだろう。

 

一方で、アンジェや主人公ことオリヴィアさんは、それぞれ別方向を見ながら、浮かない顔でうつむいている。

もしかしたら、オフリーのドーナツ頭に何かを言われたのかもしれない。

高校生くらいの年代なら、クリティカルな一言で、大きく傷つくことも珍しくはないだろうからね。

本来なら、2人を慰めるような言葉をかけたいところだが、ひとまずは数年来の宿敵の相手をせざるを得ない。

何せ、相手は、この国を事実上統治運営している、この国のナンバー2だ。

 

「ずいぶんと奇妙なことをおっしゃいますね」

「どういうことかしら?」

「雇い主も飼い犬も、正面切ってずいぶんと公爵家に挑んできたのを返り討ちにしているのに、このまま五体満足に帰したとあっては、舐められたままになってしまいます」

 

やられたからやり返したところを、ここでやめろとは、それなりに考えての発言でなければ、こちらもパパ上を引っ張り出してやろうか?

・・・我ながらここで、パパ上だよりというのがボンボンクオリティだな。

「相変わらず過激ね。それに使用人のほうはずいぶんと焼けているようだけど・・・ならば後日、こちらから沙汰を伝えます」

「それは結構です、既に別のお方に現場をご確認いただいておりますので、王妃様のお手を煩わせる必要はありませんよ?」

 

王妃様の眉間に皺が寄り、目元がピクリと動いた。

 

「ギルバート君、まさかあなた・・・」

 

僕の一言で、陛下がこの学園に来ていたことを察したのだろう。更に表情が険しくなる。

 

「まったく・・・あの人も、ここで何をしていたのかしらね」

「ご安心ください、既に護衛の者達がここから離脱させております。それに王妃様、その言葉、そっくりお返ししますよ。そもそもアンジェの婚約解消の件、そちらの派閥から誠意のある提案があったと聞いておりませんが?いや、精算が済んだとしても、貴女がよく僕の妹の前にのこのこと顔を出せましたね?」

 

僕と王妃様が、正面切ってお互いに視線をぶつけ合う。

漫画的表現をするのであれば、きっと目から出た火花どうしがぶつかりあっているだろう。

どういう経緯でこの学園に来ているのかは知らないし、一国の王妃様相手にはギリギリな発言かもしれないが、兄として、家の跡取りとして譲りがたい部分がある。

 

「そこは公爵と話をしていますから、後を継いだわけでもない貴方が心配しなくても大丈夫よ?」

「それもそうですねえ!まさか、ご自分の腹から産まれた男の不義理の始末も付けてないのに、アンジェのところに恥ずかしげもなく顔を出すなんて真似はしませんよねぇ」

「本当に嫌なところが誰かさんに似てきたわね、ふふふふ」

「生き様の師と仰ぐ方に似てきたというのであれば誉め言葉ですね、はははは」

 

互いに乾いた笑いを教室に響かせ合いながら、ギリギリ睨まないくらいの強さで相手を凝視する。

もう目線を逸らした方が負けみたいな状態になりつつあり、まばたきもしずらい空気になってしまった。

 

(ねえアンジェ、ギルバートさん、不敬とかにならないの?)

(そもそも不敬に当たるかというのは微妙な場合が多い上に、当事者の私が言うのも嫌なんだが、落ち度のある王家の側から不敬だとは言いにくい。兄上も、それをわかってるんだろう)

(やっぱり公爵家はまだ怒ってるんだね)

(家、というよりも、王妃様と兄上は色々とあって元から仲が悪いのさ。その分だけ陛下と親しい。王家の側も、公爵家も、お互いに距離感が難しいんだよ)

 

リオン君とアンジェがヒソヒソ話をしているのが聞こえる。

というか、僕と王妃様に色々あった、って言い方やめて!色恋がこじれたみたいに誤解する人が出てきそうじゃないか!

ヒソヒソ話が続く中、沈黙を破ったのは僕・・・というか、僕の頭部だった。

頭部から一筋の流血が僕の顔をつたって教室の床に落ちる。しまった、傷口が開いてしまったか。イライラで血圧が上がっていたのかもしれないな。

王妃様は驚いて体をのけぞらせ、アンジェとリオン君が僕のところに駆け寄ってくる。まずい、少し頭がくらくらしてきたぞ。

そうだ、オリヴィアさんに回復魔法をお願いしようと思ってたんだった。王妃様のせいですっかり忘れてしまっていた。

 

「ごめん、オリヴィアさん、回復魔法をお願いしてもいいかな?」

 

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王妃様と僕を近くに置いておくと教室内が緊迫した空気に支配されるのを嫌がったアンジェの発案で、僕は教室の奥のほうに移動させられて、オリヴィアさんの回復魔法を受けることになった。

 

僕達だけ遠ざけられているうちに、オフリーのドーナツ頭は王妃様の指示で解放されてしまい、リオン君と一緒にいた男子二人も壊された備品等を捨てるためにこの場を外している。

 

それにしてもすごい力だな、回復魔法というのは。痛みがみるみるうちに消えていく。白衣とか着てたら、主人公様が天使に見えてしまったかもしれない。うん、テンションが上がってきた。

しかし、僕とは対照的に、主人公様はずいぶんと物憂げな表情をしている。少し話をしてみるとしよう。

 

「かなり荒らされたみたいだけど、オリヴィアさんは怪我とかしてないみたいでよかったよ」

「リオンさんもそうですけど、ギルバートさんも暴れすぎです」

「男の子っていうのは暴れてなんぼのものさ」

「そういうところ、リオンさんみたいですね。学園にいる貴族様とはちょっと違う感じです」

 

別の世界の人間の人生の記憶があります、この世界はゲームの中の世界です、だなんて言えないが、やっぱり随所で前の人生の価値観に引きずられた行動をしてしまうことは否定できない。

リオン君もロストアイテムを見つけるまでは側室生まれの三男で貴族らしい教育を受けてきたわけでもなさそうだから、感覚が平民に近いのかもしれない。

そこらへんがオリヴィアさんには似ているように見えたのだろう。

もっとも、僕の方といったら、現時点では大貴族様だけど、このままでは落ちぶれていくか否かの瀬戸際の家の跡取りだから、うかうかしていられない。この辺りをうまく伝えて誤魔化すか。

 

「将来の王妃様候補だった子の兄っていうのは苦労が多くてね。ふんぞり返っていればいい連中が羨ましいくらいさ。それに、偉そうにしていたら、平民や騎士家の女の子にモテないからね」

「え?だって貴族の人って同じ貴族の人と・・・」

 

オリヴィアさんの表情が固まってしまう。学園の上級クラスの男子生徒達からすれば、現時点では平民のオリヴィアさんは彼らにとって、愛人や側室には成り得ても、結婚対象とならない。

オリジナルの攻略対象5人は別の女に誑かさせているし、リオン君以外の男子との接点がほとんどないのだから、貴族社会の結婚の話はよくわからないのだろう。

平民の価値観であれば、恋愛と結婚は基本的には同一直線上にある話だろうから、僕の言っていることに疑問を持つのは仕方ない。

 

「貴族同士の恋愛って、お互いの家とか関係者のしがらみが色々と面倒臭いのさ。だから僕は騎士とか平民の子を口説くことにしている」

「じ、じゃあ結婚はどうするんですか?リオンさんもそれが大変だって・・・」

「アンジェのことがあって今はそれどころじゃないけど、その辺りはいずれ父が相手を見つけてくると思うよ?うちの実家とお近づきになりたい連中なんてごまんといるだろうから。僕個人が大事にしたいのは恋人や愛人さんさ」

「でもそれなら奥さんになる人が可哀そうなんじゃ・・・」

「クラスの女子達を思い出してごらん。きっと意見が変わるよ?」

 

結婚するためには仕送りやら、王都での暮らしの面倒をみろとか、愛人も含めて養えとか、何かと酷い条件を付けてくる女子生徒ばかりなのが、我が学び舎国立ケモナー学園だ、全員が全員そうだとは言わないけどさ。

オリヴィアさんが沈黙したまま何かを考えているが、少しして心情を語り出した。

 

「私・・・学園に通うことになっても全然話す相手も見つからなくて・・・でもようやくリオンさんやアンジェとお話できるようになったんですけど・・・私はアンジェの友達になれたんでしょうか」

 

男子の側には、口説く余裕がなく、女子生徒の側も自分を高く売り込みたいから、平民のオリヴィアさんと接するつもりなどないのだろう。

そんな中で、おそらくゲームのシナリオどおりに運命的にお近づきになったリオン君と接するようになり、さらに、あの決闘騒動を経て、リオン君経由でアンジェと接するようになったものの、

貴族社会の縮図であるこの学園にいれば、彼女は相応に嫌な思いをすることは多いはずだ。今回もあのドーナツ頭が3人の関係に楔を打ち込むようなことを言ったと推測するのが妥当だろうな。

 

全く違う世界にいた二人と紡いできた絆が、ゲームそのものであればステータス等によって可視化できただろうが、実際には、どれだけ強い結びつきとなったのかを数字で示すことなんてできない。

オリヴィアさんが欲しがっているのは、何か形か言葉になった結びつきなのだろう。

 

悩ましいな。

しょせん僕はネームドなモブにすぎない。答えを示すのはメインキャラクターの役割であり、僕が手を出すべきではない。

ただ、主人公様を放置して何もしないわけにはいかないし、むしろ何かはしてあげたい。性格よさそうだし。

あとは、これを機に、攻略対象との親密度を上げてもらえれば、なおのこと良しだろう。

そして、ついでに言えばもう一つ。こんなに、地味なのにおっぱい大きくて可愛くて性格のいい子が目の前で弱っている。相手が主人公様でなければ、本当に口説いて、あわよくば愛人にしていただろう。

いや、いかん。主人公を攻略対象から寝取る間男なんて役割、アンジェ並みに破滅フラグが立ちかねないな。

気を取り直して、大人の余裕を示しつつも、リオン君との親密度アップを促さなければ・・・

 

「オリヴィアさんが欲しい答えは何となくわかるよ。でも、僕はアンジェのお兄ちゃんだから、どうしても身内びいきな意見になりがちだ。だから、君の中の悩みや苦しみがあるのなら、ちゃんと身近な人に伝えてごらん」

 

悪戯っぽい笑顔でウインクしながら、僕はリオン君の方を指さした。

こんな仕草は今世のSSRレベルな顔面偏差値でなければ許されなかっただろうが、生き残るためなら、あるものは全力で有効活用する。

 

「今は貴族とか、平民とかでなく、彼も君も同じクラスの人間じゃないか。あ、それとオリヴィアさんのちょっと物憂げな表情は男の庇護心をくすぐるから、上手く使うといいよ」

「ふふふ、ありがとうございました。そうやってちょっとずるいところもリオンさんに似てますね」

「いや、お礼を言うのは治療してもらった僕の方だよ」

 

そう言ってオリヴィアさんはリオン君のほうへ歩いて行った。よし、これで二人の距離がまた縮まったな。

将来的には、君の方が聖女という俗世の階級とは別次元の存在になっちゃうから、それを乗り越えられるくらいに、今の内からできるだけ二人の関係を親密なものにしておいてもらわないと困る。

 

温かい気持ちになりながら二人の様子を見守っていると、後ろから凄い力で頭を掴まれた。

 

「ところで兄上、愛は愛人や恋人と育むそうですが、形ばかりの妻にもなれなかった私はこの場合どうすればよかったのでしょうか。何か言い残したことはありますか?」

 

ちょっと待って、怒らなくたっていいじゃないか。というか、言い残したことって僕を抹殺することは既定路線みたいな言い方になってるよ!?

どうやら、無意識のうちに、そのセリフは私に効く、をやってしまったようだ。

というかアンジェ、頭を攻撃するのは止めて!せっかく塞がった傷が開いちゃうから!

 

「や、やだなぁ。地雷ばっかりなのは子爵、男爵階級の話じゃないか・・・いや、伯爵もたいがいか」

 

 

最近だけでも、アトリー、ローズブレイド、それにオフリーと伯爵家の女も酷いのばかりに思えてきた。

そして、必死にアンジェの手を振り払って話題を逸らす。

 

「じゃあ僕はそろそろ帰るとしよう。オフリーが何か仕掛けてくるかもしれないから用心しておくんだよ?」

 

そう言ってダッシュで教室を離れて、校舎の外に出ると、一人の男性が僕の横から静かに近付いてきた。

僕も面識のあるこの男は、普段とは異なりスーツに身を包んでいるが、普段は陛下の護衛をやっている騎士で、今日もお忍びの陛下のガードをしていた中の1人だ。

しょっちゅう陛下の夜遊び相手をしていたときから、いつも苦労して護衛をしていた人だからすっかり顔見知りになっていたりする。

 

「陛下は無事ですか?」

「既に王宮にお戻りです。ギルバート様、しんがりを務めていただきありがとうございました」

「差別主義者ではないつもりだけど、いい加減、亜人どもはどうにかしたほうがいいだろうね。オフリーも無茶をするものだ」

「その辺りは陛下からのご伝言があります。説明はしておいたので、王都の公爵家屋敷に一度戻るようにとのことでした。既に王宮内で陛下が公爵様と接触済みです」

 

相変わらず、自分が主体的に動くときのフットワークが軽すぎるな。

だが、王命とあっては仕方ない。父上から何を言われるか、考えるのは悩ましいが、屋敷に戻るとするか。

 

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僕が屋敷に着いてからしばらくして、父が王宮から戻ったので、諸々の報告を僕の口からもしようと思ったのだが、屋敷内の執務室に座った父は、どこか困ったような顔を浮かべていた。

そして、僕が説明のために口を開こうとするのを、手を正面に突き出して止めると、悲しげな目をしながら言った。

 

「なあギルバート。話は聞かせてもらった」

「色々と申し訳ありません」

「私も、好みというのは人それぞれだと思う」

「え・・・?」

「だがな・・・いくらなんでも裸エプロンはよくないだろう」

 

あんのクソ陛下あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!

あの人、よりにもよって、実の父親に性癖をぶちまけやがったあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!

説明済みってそういうことかよぉぉぉぉぉ!!!!!!!

母親に隠してたエロ画像とか見つけられた時の気まずさの比じゃねえぞ!!!!!!!!

 

つづく

 

【最後だけ嘘な次回予告】

 

陛下の裏切りによって、色々とぶちまけられた結果、多大な精神的ダメージを食らいながらも、王都の屋敷でしばしの休養をしていた僕のところに、アンジェが駆け込んできた。

あのドーナツ女、よくもオリヴィアさんを!

え?父上、いっそのこと空賊を消して来いって、僕がですか?

次回 乙女ゲー世界は悪役令嬢の身内にも厳しい世界です 「初陣」

ボンボンの修羅場が見れるぞ!




というわけで、次回より空賊編ですがというか、兄上様達レッドグレイブ家の艦隊が現地に着いたときには・・・
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