乙女ゲー世界は悪役令嬢の身内にも厳しい世界です   作:りーおー参式

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幸か不幸か、最新刊でも兄上の婚約者というか、親族関係は不明のままですか


第39話 主人公様と敵対?真っ平御免だ!

たいして、否、ほぼ嬉しくもないラッキースケベというか事故のせいで、凶器のトレイの底が抜けるような勢いでド突かれた後は、腹黒陰険眼鏡メイドことコーデリアによる説教タイムが続いていた。

公爵家の跡取りなんだからもうちょっと落ち着け、とか、戦場に出るとしても最前線に突っ込んで行くな、とかまるでパパ上が言うのを諦めたことを未だに言ってきている。

君はオカンか!?

怒り過ぎると皺が増えて老けて見えやすくなるよ、というツッコミは、なんとか喉元に抑え込んでいる。

怒った女はエネルギー切れになるまで距離を取り、ガス欠になってから対応するのがベストだ。

・・・ただし、個人的経験に基づく主観的なもので客観的な効能を保証するものではないけどね。

「ですから・・・!毎回、毎回!若様が先陣を切る必要はないでしょう!」

よし、だいぶエネルギーを消耗したようだ。まぁ、一応はこいつも僕を心配してくれているのはわかる。

公爵家の中でアンジェガチ勢筆頭兼僕アンチではあるが、まぁ付き合いも長いから腐れ縁みたいなものだ。

色々理由はあるんだけど、しょうがないじゃないかぁ!」

まるで前世の国民的ドラマに出ていたイガグリ頭の子役出身の俳優のようなセリフを心の中で吐きながら、言い訳を続ける。

「アロガンツ・ブロスは他の騎士には使えないからね。性能がずば抜けた機体で敵の戦力を削ることで味方の損耗を減らせる。派閥内での支持基盤が弱い僕にとっては、公爵家直属の貴重な戦力を大事にしたいのさ」

「お嬢様の取り巻き連中のことをお考えなのかもしれませんが・・・うちの実家は裏切る真似はしません」

たしかに、アンジェの婚約破棄騒動以後、公爵家の派閥は大きく弱体化して離れていった家は多い。リオン君とのつながりを得られていなければ、うちの実家はより厳しい状況に置かれていただろう。

そんな中でもコーデリアの実家は、いまだに娘に公爵家でメイドをさせている。本来なら政略結婚をさせて、自分の家の強化に使ってもいいはずなのに、だ。

そのくらいには、コーデリアの実家が、うちの派閥に重心を置いていることは理解できる。

「君の実家はともかく、君自身から地味で小さな嫌がらせを定期的にされてる気がするんだが?今回だって、扉の裏に隠れていたのも、おおかた、僕を驚かせてやろうという悪だくみだろ」

「あの程度で嫌がらせだなんて、相変わらず若様は器が小さいですね」

全く、ああ言えばこう言う、小うるさい腹黒陰険眼鏡メイドだな。

「前にも言ったが、お前をクビにしない時点でそれなりの器の広さはあると思うんだけどね」

「そういえば驚かせるで思い出しました。こちらをご覧ください」

僕の反撃をまるっとスルーした腹黒陰険眼鏡メイドは、先ほどから手に持っていた分厚い紙の束を渡してくる。

手に取ってパラパラとページをめくると、すぐに、アンジェが巻き込まれた公国との戦闘に関する詳細なレポートであることがわかった。

おそらく、僕が留守の間に、父が調べさせた公国との戦闘やその前後の状況等の調査記録の写しを用意していたのだろう。

さすが、性格は陰険だし、オッパイが大きいわけではないし、地味だが、僕が欲するものが何かを的確に理解しているサポート能力は高い。さすが公爵家の上級メイドだと言わざるを得ないのが少し悔しい。

「寄子を信用できないから、ご自分で味方を作るというのは、学生時代の頃からですが、若様が特待生に目を付けていた理由は、これを見越していたからだったんですね」

そう言うと、コーデリアは、僕の手元にある紙の束の中から、付箋が貼られたページを開いた。

そこはオリヴィアさんの行動について書かれた部分である。

修学旅行の豪華客船を包囲した公国軍の人質になろうとしたアンジェを止めようとしたり、その際に袋叩きになったリオン君を守ろうと他の生徒と乱闘したり、戦闘の負傷者を回復魔法で治療したこと等が記載されていた。

さすが主人公様・・・というか、アンジェと本当に仲が良いよね。

本来、君達はあの馬鹿王子を奪い合う宿敵同士、という関係だったはずだろうに・・・ただアンジェのために乱闘してくれるなんて、これはいずれしっかりと恩を返さなければ。

そして、しばらく読み進めていくと、「特記事項」と書かれた項目があり、コーデリアもここを指さした。

「正直に言って、私もこれを読んだときは驚きました」

色々と詳しく書かれているのだが、簡単に言えば、公国の艦隊からの一斉砲撃を、一人で展開した魔法障壁で完全に防ぎ切ったということが書かれていた。

おいおいおいおいおい!これは一体何の冗談だ!?この異常さはリオン君にも劣らないぞ。

リオン君の戦果は、彼が発見したロストアイテムの性能によるところが大きいが、オリヴィアさんの場合は、生身の人間が単独で出した結果だ。

というか、これって人間に出せる力と言っていいのか?・・・いや、僕はまだこの事象を理解できるほうだろう。

僕は、あの子がこの世界の主人公様だと知っているのだから。

主人公様に秘められた、ゲームという物語を進めるために必要な、都合のいいスーパーパワー。

しかし、現実を目の当たりにした中で、ここまでのものとは思わなかった。

さっきは、パパ上にリオン君の処遇について、抜かりなく進めるよう釘を刺されたが、オリヴィアさんだってウカウカしてたら魔の手を伸ばす貴族連中が出てくるのは時間の問題だ。

今までオリヴィアさんが無事だったのは、彼女自身が何か戦果をあげたわけではなかったし、リオン君が近くにいたというのもあるだろう。

「僕がオリヴィアさんに注目する理由がわかっただろう?」

「あれこれと、それっぽい理屈を付けながらも、結局は優れた容貌と後腐れのない身分目当ての愛人候補だと思っていましたが・・・まさか本当に隠された鷹の爪を見抜いていたのですね」

「僕が色ボケしているように聞こえるんだけど?」

「安心してください。ご自分の保身を念頭から外さないあたり、あの愚物5匹よりはマシだと思っています。むしろ、バルトファルト男爵と特待生を一挙に取り込もうとする先見の明には感服していますよ、残念ながら」

「あの5人と比べるところに確かな悪意を感じるが、まあいいか。それよりも1つ、頼めるか?」

「特待生に愛人になるよう説得するのでしたらお断りします」

「あの子はリオン君とくっつけるって言ってるだろ!?オリヴィアさんの関係者、家族や友人周りを急いで保護する。手が空いてる騎士を何人か急いで送ってくれ」

「それでしたら、似たような指示が来るだろうと鎧部隊にはこっそり伝えてありますので、すぐにでも動けると思いますよ」

「さすが、ずいぶんと手際がいいじゃないか」

「若様の特待生へのご執心と、今回の公国との戦闘結果からすれば想像の範囲内です。それにお嬢様とも非常に仲がよろしいようですので」

「結局最後のが本音じゃねえか」

さすがアンジェガチ勢の筆頭だ。

まあ、最後のは置いておくとしても、さすが主人公様だ、というほかない能力の高さに、敵対したときの恐怖を考えると冷や汗が出てくる。

リオン君以外の貴族が今までオリヴィアさんにちょっかいを出していなくて本当に良かった。

主人公様の能力の高さがこんなに高いものだとは知らなかったとはいえ、もっと早期に公爵家で取り込んでおかなかったことが僕の落ち度だったかもしれない。

「特待生とはいえ平民1人相手に、警戒しすぎでは?」

「学生の時点で、人一人で、艦隊の砲撃を短時間でも無力化できるほどの魔法が使える人間だぞ?自分以外の勢力にいたらそれだけで脅威だろ」

コーデリアから渡された紙の束を持つ自分の手が少し震えているのがわかる。

「あら、手が震えていますよ?」

「リオン君ともども、それだけの価値があるということさ」

「公爵家の跡取りともあろうお方が、情けないのではないのですか?」

「煽るなよ・・・たまたま生まれた家が公爵家で、そこで生まれた順番が最初だったというだけさ」

主人公様ことオリヴィアさんの秘められた力の一端を知っただけでなく、先のオフリー領で魔装に追いかけ回されたことを思い出して、

改めて自分個人は特別な人間なのではなく、たまたま生まれた家がとんでもなくチートレベルのスペックだっただけ、その実家パワーを使ってロストアイテムを手に入れて暴れ回っていただけなのだということを再認識していた。

僕のことを見ている腹黒陰険眼鏡メイドは、何かを思いついたのか、口角が上がり、意地悪そうな笑顔を浮かべて口を開く。

「若様が弱気になるなんて、珍しいこともあるものですね。手でも握って差し上げましょうか?」

どうやら腹黒なりに、僕を励まそうとしてくれているらしい。珍しいこともあるものだ。明日の王都には雪か槍でも降るんじゃないだろうか。

とはいえ、手を握るって・・・思春期の子供じゃあるまいし、もっと他にあるだろうと内心でツッコミを入れながら、だが、それ以上になると責任が伴うのでマズいか、という理性も働く。

というか、この腹黒陰険眼鏡メイド相手に、僕の下半身に鎮座する公爵家の跡取りのジュニアがオーバードライブするとは思えないし、イグニションするだけでも嫌だ。

とはいえ、僕とほぼ同じくらいの年齢で、婚約者どころか、恋愛経験すらなさそうなコーデリアにからかわれたままでいるのも癪だな。どうせ本当に握ってくれなんて言われるとは思っていないのだろう。

なので、紙の束を脇に置いて意地悪く笑うコーデリアの手を即座に握ってやった。

「え・・ちょ、若様?」

思ったとおりだ。突然の出来事に驚き、言葉を紡げなくなって、顔が真っ赤になっている。

人は、他人が慌てふためいている姿を見ると、自分自身は落ち着くものだというが、

いつもは表情筋が職務放棄をしているが如きポーカーフェイスが赤くなっている腹黒陰険眼鏡メイドの姿を見ていると、面白くなってきて、少し気分が上向いてきた。

「僕を色恋っぽいことでおちょくるなんて10年早い」

「ね、年数は関係ないじゃないですか!」

「そりゃそうだ。だが、それでも場数が足りてないぞ」

「そんなに場数を踏んでるなんて、さすが若様は女の敵ですね」

「・・・コーデリアなりに気を使ってくれたことには礼を言うよ」

「アンジェリカ様のついでにお支えするくらいはしますよ」

相変わらず口の減らない腹黒メイドだ。

あ、そうだ。すっかり忘れていたが、アンジェにも話を聞かないと不味いな。修学旅行前にはリオン君と少し距離があったようだが、今後を考えると、それなりに友人関係には戻ってもらっていないと困る。

ひとまず、アンジェとも、一度話をする必要があるな。

「そうだ、アンジェを明日こっちに来させてくれ。やっとオフリー領から戻ってこれたんだ、顔を見ておきたい」

「・・・かしこまりました。ですが・・・シスコンはほどほどにしてくださいね」

「失礼だな、僕は妹が大切なだけのお兄ちゃんだ」

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「失礼します」

王都に戻ってきた翌日の午後、僕の部屋をアンジェが訪れていた。

「呼び出してすまなかったね。僕がオフリー領に行っている間のことは聞いたよ、何はともあれ、アンジェが無事でよかった」

「兄上こそ、色々と表沙汰にできないことがあったと聞きましたが・・・」

今回、僕がオフリー領でラーシェル神聖王国からもたらされた可能性の高い魔装というロストアイテムと交戦した件は、どうやら一部事実を伏せて、部分的な情報のみが開示されることになったらしい。

まぁ、オフリーがラーシェルともつながっていた、という物的証拠はないし、直接ラーシェルのスパイとやり取りをしていた人間も魔装の腹の中だ。

結局、オフリーとつながってた空賊を、オフリーともども滅ぼした、という結果だけが生じたことになったらしい。王国としても、公国とのイザコザ以外を深く掘り下げる余裕はなかったのだろう。

「王宮にデカい貸しができたと思えばいいさ。ま、オフリーの性悪女とジルクと一緒に敵のロストアイテムに追いかけ回されたときはさすがに命の危険を感じたけどね」

笑いながら、オフリー屋敷で起こった三つ巴レスバ追いかけっこの一部始終を話したのだが、妹の眉間には皺が寄り、怪訝そうな表情を浮かべている。

「た、大変でしたね・・・すみません、あまりに突飛な内容と、私の常識では想像できなかった組み合わせに思考が・・・」

大丈夫だ、妹よ。僕だってあんな笑いの神が降臨したかのような組み合わせが誕生するとは思ってなかった。

「あの場であの性悪女を処刑できなかったのは遺憾だが、藻が繁殖している湖にぶん投げてやったし、これからオフリー家の唯一の生き残りとして、厳しい追及を受けるだろうから、あとは司法に任せるさ。あの女にケンカを売られたアンジェとしては、まだ足りないかな?」

「いえ・・・あの女が拠り所にしていたものは全て失ったようなものですから十分ですよ」

おやおや、うちの妹は悪役令嬢なのに優しいね。

「とはいえ、今回はさすがに危なかった。リオン君からもらったロストアイテムがなかったら、僕も命はなかっただろう。お互い、彼には感謝しないとね。ところで、リオン君とはどうだい?」

「・・・どう、とは?」

妹は質問の意味を読みかねているようだ。

「修学旅行の前・・・というか、空賊討伐の後は彼と少し距離を置いているようだったけど、今回の件でちゃんと仲直りしたのかな?」

「そ、そうですね」

「それならいい。ところで、彼の結婚相手が決まったという話・・・というか、浮いた話を、一部を除いて、聞かないんだが、何か知らないか?」

「女子には嫌われていますから」

「そうか・・・そもそも黒騎士に勝っただけで十分なのだが、彼の功績に着目する貴族連中が増えてきたようでね・・・正直に言うと、我が家としては、下手な相手と結婚されると困ると思っていた」

「最近は、黒騎士に苦戦したのを気にしてか、鍛錬にも精を出し、ダンジョンにも足繫く通っています」

「亜人を侍らせてご満悦な馬鹿女どもが動かないのは好都合なんだが、リオン君が子爵になるに当たって、一部・・・僕も見過ごせない大物が動き出したのが気になってね」

「子爵!?まさか今回の公国との戦闘で?」

「ああ。うちだけでなく、王妃様に加えて、フィールド、セバーグ、アークライト・・・おまけにアトリーとローズブレイドまで昇進の推薦を出してきた」

「つまり、兄上は、爵位上、クラリスとディアドリーがリオンに問題なく手を出せる状況になったことを気にしているということでしょうか」

「アトリーは既に家ぐるみで動いている。僕にも探りを入れてきたよ」

オフリー領に向かう途中でも、大臣が自らリオン君のことを色々と聞いてきたことを思い出して頭が痛くなってくる。

パパ上が言っていた、目端の効く連中はリオン君を見逃さないという台詞が、まさか閣僚級までを含むとは思っていなかった。

いや、見逃さないからこそ閣僚級のポジションなのかもしれないが、そんな大物が成り上がりのリオン君に目を付けるなんて思わないじゃないか!

「兄上は、やはりリオンを取り込むつもりで?」

「僕はこの家の跡取りだが、王宮や辺境の監査で暴れ回っていることが多かったから、家の派閥内での確たる支持を築けていない。将来的に派閥をまとめていくためには、僕直轄の力を派閥の連中に示す必要がある」

「そのためにリオンが必要だと?」

「この国の貴族は忠誠ではなく、力によって王国に従っていることは理解しているだろう?それは派閥内でも同じことさ。だから、リオン君をしっかりと取り込みたいんだが、それにはやはり結婚相手を世話するのが手っ取り早いし確実なんでね」

「それは・・・おっしゃる通りだと思います」

アンジェが視線を一瞬だけ僕から背けて、少し間を置いて答えた。

いや、これは、たまたまかもしれない。そうであってほしいという僕の願望も込みだが。

「正直に言うと、僕が昔、結婚相手を世話した辺境の誰かの家に、オリヴィアさんを養子にさせようと動いている。手続きが終わったら、リオン君とくっつけて、二人とも僕のところで保護するよ」

「あの二人を取り込めれば得られるものは大きいですが、兄上が派閥内で支持を構築してからでは遅いのですか?」

「リオン君の婚約の先延ばしにするメリットは何だい?」

「・・・性急に取り込んでは、うちの派閥内で、兄上お気に入りのリオンを排除したり、貶めようとする動きが出るおそれがあります」

なるほど、さすが我が妹。王妃教育を受けただけあって、しっかりと知恵が回る。派閥内での主導権争いのリスクはたしかにある。

だが、僕にとって大きな問題なのは、妹がリオン君の婚約を先送りにしようとしたことだ。

「アンジェの言うことも正論だ。だが、アトリーとローズブレイドなんていう大物、しかもそこの当主クラスまで動き出したのでは、僕にも荷が重い。父上は派閥の再編成に専念している以上、連中に時間を与えたくない。品のない話だが、一服盛って既成事実を作られてゲームオーバー、なんていう事態は避けたい」

「そこまでするでしょうか・・・いや、しますね」

「同意してもらえてよかったよ。アトリーは、一度、婚約破棄を経験しているからなりふり構わず仕掛けてくるだろうし、ローズブレイドも・・・ほら、その・・・個性的な家だろう?きっとこの先、リオン君やオリヴィアさんの周りは騒がしくなる。あの二人に最も近いところにいるアンジェにフォローしてもらいたいんだ、友人なのだろう?」

「はい・・・わかりました」

「まぁここまで色々と言ったが、リオン君の表彰が終わったら諸々落ち着くだろうから、そうしたら一度領地でゆっくりしよう」

「そうですね、ありがとうございます」

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アンジェが退室した後、僕は嫌な予感が的中したことに頭を抱えていた。

リオン君とオリヴィアさんをくっつけようとすることに関して、アンジェの回答の歯切れが明らかに良くなかった。

表だって嫌がってはいないが、あの二人をくっつけるメリットの大きさは十分にわかっているはずだ。

普通であれば、家のためにすることには前向きなはずなのに・・・

そうだとすれば、導き出される答えは・・・

考えながら、手元のティーカップに入ったお茶を口に含むと、既に冷めてしまっている。

冷たい喉ごしを堪能しながら、このお茶を淹れてくれた腹黒メイドの言葉を思い出す。

リオン君は、姫を救った騎士のような見方をする人間もいる、というものだ。

思い返してみると、今回の公国との戦闘で、リオン君はエアバイク単機で公国の艦隊に突撃を仕掛けてアンジェを救出してくれたらしい。

それ自体は非常にありがたい。家族として、感謝してもしきれない。

しかし、リオン君が成し遂げたことが、はたから見ても格好良すぎる。

僕の妹があの馬鹿王子と婚約を解消して間がないことや、愚かな男に簡単になびく女ではないとは思っているが、それでも決闘騒動から、続けてまたしても窮地を救われたんだ。

しかも、今度は命のかかった危機的な状況だ。公爵家の関係者達も、リオン君のことを真の騎士だともてはやしている人間が多い。

メタ的な言い方をすれば、悪役令嬢の攻略フラグが立った、などと言えなくもない。

リオン君はおそらくDLCで追加された攻略対象なのだろうから、彼はオリヴィアさんの獲物だ。

アンジェにそんなフラグが立つのは困る。

せっかく、あの馬鹿王子をめぐって対立する宿命から解き放たれたというのに、どうしてこうなった!?

DLC用のライバル令嬢のデザインとかシナリオを開発会社がケチって、アンジェを流用したとでもいうのか?

兎にも角にも、主人公様と男を取り合った令嬢の末路はロクなものではないだろう。

悪役令嬢の攻略フラグは、アンジェにとっての破滅フラグにもなりかねない。

せっかく王都に戻ってきたというのに、家の外ではフランプトン派閥への対策、家の中では妹に立ったフラグへの対策に動かなければならない。

あ、それよりまずオリヴィアさんの地元を調べて、あとアロガンツ・ブロスを修理に出さないと・・・




悪ノリしてみた、場合によっては消します
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最近、よく夢の中で前世にあった巨大掲示板みたいなやつが出てくる
せっかくなのでちょっと書き込んでみるか

101:悪役令嬢の兄 ID:◯◯◯◯
に転生しちまったことに気付いた
なお、妹は婚約済み
これ、詰んだ?

102:名無しさん ID:◯◯◯◯
没落待ったなし

103:名無しさん ID:◯◯◯◯
主人公寝とれ
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