乙女ゲー世界は悪役令嬢の身内にも厳しい世界です   作:りーおー参式

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ブレイバーンが最終回前にスパロボ参戦だと!?
それは早い!(褒め言葉

パパ達によるレスバが始まる、、、!


第48話 フランプトン侯爵の憂鬱

その日、王宮内の会議室では、国の重臣、関係者らが集まっている。議題は、少し前に神殿が聖女と認定したマリエの親衛隊についてであった。

参加する面々が、神殿に毒づいているのだが、それには理由がある。

「神殿の奴らめ。金がないと泣きついてきて運営費でもせがんでくるのかと思ったら、聖女親衛隊の予算まで王宮に出させるつもりか」

「仕方ありますまい、欲をかいた生臭神官どもが、怒らせてはならない男の逆鱗に触れたのですから」

「だからと言って、聖女にはユリウス殿下らが付いている。扱い方を間違うと、それはそれで厄介になるぞ」

王国の中枢にいる者達にとって最も厄介な女、それが、王国の将来を担うはずだった王太子ユリウスその他有望な若者4人を短期間で誑かした魔性の女、マリエである。

そして、この度、そのマリエが、よりにもよって神殿から聖女と認定されてしまった。

さらに間の悪いことに、聖女が身に付けていた伝説の道具の所在を掴み、確保しようとした神殿勢力の一部が、

王国の中でも有数の武闘派レッドグレイブ公爵家と、中立派の大物アトリー家と衝突し、両家の猛烈な怒りを買い、莫大な額の賠償金を支払わされてしまった。

権威はあれども、金と力がない神殿は、王宮に泣きつき、金の無心をしてきたのであるが、その要求の中にあったのが、聖女親衛隊の予算と人員であった。

派閥を問わず、貴族達の共通認識は、神殿の政治への介入防止だったのだが、問題は聖女親衛隊の隊長を誰にするか、という点である。

そして、現状、王宮では、フランプトン侯爵の派閥が最大勢力となっている。

そのため、他の派閥の面々は、当日は、候補者リストのようなものが出てきた上で、”それっぽい”議論を経た後に、フランプトン派が都合よく動かせて、かつ、神殿を牽制できる人物が選ばれるだろう、と考えていた。

だが、当日の会合の場で、最大派閥であるフランプトン派が聖女親衛隊の隊長候補として提示した人物は、同派閥とは関係がないものの、

直近の公国との戦闘で、その艦隊をほぼ単機で退けるという驚くべき功績をあげたリオン・フォウ・バルトファルト子爵であった。

フランプトン派が掲げた理由はおおむね2点で、まず、リオンが、マリエを囲うユリウス達を2度も決闘で叩きのめしたことから、両者の関係は悪いものと見込まれ、誑かされる可能性が高くないと想定される点、

次に、今回の聖女親衛隊隊長としての務めをもって、強力なロストアイテムを保有する資質の有無を判断する機会にしたい、という点である。

当然ながら、後者は、資質が無いと判断できれば、ロストアイテムを強制的に接収する、という見込みも含まれており、結論ありきの考えであることは明らかだった。

そこにレッドグレイブ公爵であるヴィンスが噛みつく。

「資質の有無の判断を誰がするかも、判断基準も有耶無耶のまま進めるのでは、茶番でしかないな。王国を、宝を横取りするハゲタカにするつもりか?」

「この場にいる多くの人間が、歴史に残るほどの速度で成り上がったバルトファルト子爵について不安に思っている。よからぬ野心など、ありはしないか、とな。それとも、公爵家で彼の強力なロストアイテムを独占するつもりか?お前の息子、娘とも、子爵と親しいようだが」

ヴィンスの娘、つまりアンジェリカが、婚約破棄騒動から連なる決闘騒動でリオンを代理人にしたことに加えて、公国との戦闘の際にも、捕虜になりかけたアンジェリカをリオンが救出したことから、

多くの人間が、双方の関係は近しいものだと考えるのは自然である。

また、ヴィンスの息子、つまりギルバートが、リオンからロストアイテムの鎧の譲渡を受けて、ともに空賊退治をしたり、ことあるごとに接触しているのであるから、こちらの関係の見え方も同様となる。

「・・・好きにしろ」

「これも王国のためだ、理解してくれて嬉しいよ、ヴィンス」

アンジェリカの婚約破棄騒動で力を落とした公爵家が、リオンとの接触を重ねるにつれて、力を回復させつつあると見えることは否定しがたく、これ以上ゴネたのでは、よからぬ野心を疑われかねないとヴィンスは判断した。

一方、ここまでの様子を眺めていた王宮の大臣であるバーナードは、フランプトン派とは元々距離を置いており、出来レースのような展開を面白くないものと感じていた。

そんな中で、ヴィンスの顔を見て、聖女親衛隊隊長の適任者として、一つの妙案が浮かぶ。

「確認しておきたいのだが、まず大事なのは神殿や聖女様に取り込まれないこと、という点でいいかな」

「神殿側に寝取られて、寝返られては元も子もないからな」

「その上で、強大な力を見せつけたバルトファルト子爵の資質を確認したい、ということでよろしいか?」

「・・・何が言いたい?」

フランプトンは、ここまでの流れをわざとらしく繰り返すようなバーナードの発言に苛立ちを覚えていた。

「それなら、私としては、王国のために、ギルバート君を推したい」

「な、何!?」

突然提示された名前に、フランプトンだけでなく、周囲の貴族達も驚き、会議室内がざわつき始める。

フランプトンがこの流れを潰させるために、派閥内の面々に目を向けるのだが、彼らも予想外の展開ゆえに、とっさに否定する理屈を紡ぎ出せずにいた。

(この役立たずどもめ!)

フランプトンは心の中で毒を吐きつつも、ここは最大派閥の長として、余裕のある振舞いをすべきであろうと判断し、面白がっているような表情を浮かべて口を開く。

「ずいぶんと大胆な意見だな、大臣。正直に言って、驚いたよ」

バーナードも、楽しそうな口振りで、これに対応する。

「ギルバート君は、つい最近も、うちの文官達を巻き込んで神殿と一悶着を起こしたばかりだ」

「それについては、アトリー家に心から同情する」

「自分達のやらかしたことを棚に上げて、予算をねだってくる神殿を牽制するのには、うってつけの人選だろう。それに、彼も、バルトファルト子爵と同型の、強力なロストアイテムを保有して、オフリー討伐作戦を成し遂げている」

「だが、公爵家出身ということで名門の男好きな聖女様の餌食になるんじゃないか?」

「報告によると、彼が神殿に激怒したきっかけの1つは、その聖女就任の報を聞いたことだそうだ」

「それより前に、神官どもが舐めた振舞いをしていたとも聞いているぞ」

「ついでに言えば、ギルバート君は陛下の夜遊び仲間だ。良くも悪くも、色恋の類については、場慣れしている。まだ学生の若者達とは違ってね」

(ええい!しつこく食い下がってきおって!そもそも、お前の娘の元婚約者だって、そこそこ遊んでいたと聞いているぞ)

ここまでで、リオンよりも、ギルバートのほうが、神殿を牽制できて、誑かされる危険も小さいかのように論破されてしまったフランプトンだが、まだ切り返すカードは尽きていない。

「言いたいこともわからなくはないが、その意見だと、公爵家の意見を聞かざるを得ないな」

そう言って、フランプトンは、会話のボールを自分からそらす。いきなり自分の息子の名前を挙げられたヴィンスは、腕を組みながら、バーナードを睨んでいる。

「当家にあの女の面倒を見ろと言いたいのか?」

(よし!ちょうどいい機会だ、ここで両派閥の関係が悪化すれば儲けものだ)

「侯爵が王国のため、と言うものですから。確率の問題ですよ。それに、私のところにも、彼の人となりや、好んで口説く女性のタイプ等の情報はそれなりに入ってきているのでね。バルトファルト子爵よりも適任ではないかと」

「実の息子の女性関係を、このような場で大っぴらに話されるのは、いい気分はしないな」

「お家騒動や貴族の家どうしの問題にならないように、絶妙にうまく遊べる能力があると褒めているつもりなんですけどね。侯爵も、ギルバート君について調べているみたいだけど、面白そうな話はあったかな?」

(さすがに王宮内で嗅ぎまわると、大物の宮廷貴族の耳には入ってしまうな)

「そんなものがあったら、とっくにどこかで使っているよ、大臣」

「その気持ち、彼に振り回された僕にはよくわかるよ。遊ぶ相手が小物ばかりで、遊び方が割と綺麗だからスキャンダラスに見えにくいんだ」

ここでバーナードは一つ嘘をついている。

非常に小さいネタだが、ギルバートがバーナードの下で役人をやっていた頃に、騎士家出身だと騙されて子爵家の令嬢に手を出しそうになったところを、アトリー家の文官達が手を回して未然に防いだことがある。

だが、クラリスが婚約破棄のショックで亜人を囲い出した後、最後の一線を超える直前で、それを防ぐためにギルバートを暴れさせて、貞操の危機を救った際に、アトリー家の家臣達は、このネタを使ってしまっている。

要するに取引材料としては使用済みという状態だ。

一方、息子の夜遊び事情を会議の場で堂々と議論されて、父親としてはなんともいたたまれない気持ちになっているヴィンスであったが、この流れを断ち切ろうと、低い声でバーナードに話しかける。

「大臣は、何かあったら当家に責任を取らせるつもりで、言っていると理解していいのか?」

それを聞いたバーナードは、口元をニヤリとさせる。

ヴィンスの口から言わせたかった言葉を、まんまと引き出せたからだ。心中の言葉を言うのであれば、待ってました、とでも表現することになるであろう。

「ギルバート君と公爵家なら、有事の際の始末の付け方まで含めて、”うまく”やれると思うもので」

バーナードの表情と、台詞を聞いて、ヴィンスはその狙いが何なのかについて、勘づくことができた。

要するに、ギルバートがうまくそれっぽい理屈を用意した上で聖女であるマリエを始末し、それを公爵家の権力であれば、今は弱体化しつつあるとはいえ、それなりに責任の所在を有耶無耶にしてしまえるだろうと、バーナードが言っているのだと。

最初に、自分の息子を聖女親衛隊の隊長に推すと言い出したときに、ヴィンスは怒りに震えたが、よく考えてみれば、アトリー家もマリエのせいで娘の婚約を台無しにされている。

良い機会があれば、その元凶を消したいと思うのは、自然な発想だろう。

「なるほど、ずいぶんと愚息も買い被られたものと思ったが、話は理解した。そういうことなら、この話に乗るのも吝かではないな。せっかくの機会だ、当家の跡取りが、次期公爵として色々な意味で相応しいかを確認してもらうのも悪くない」

(こ、こいつら、この機会に、因縁のある聖女を抹殺したまま開き直るつもりか!)

レッドグレイブ、アトリー両家の思惑を察して、フランプトンは慌てだした。

王宮内における政治的なパワーを最も多く有しているのがフランプトン派閥だったとしても、国王や力のある王族の権威までも持っているわけではない。

予算付けや人員配置などの面から、聖女親衛隊の話を上手く転がして、神殿に恩を売り、宗教組織の力も取り込もうとしていたフランプトンにとっては、今の流れは都合が悪い。

リオンであれば、忌々しいくらいの強大な力を持っているものの、政治的な影響力は小さく、王宮の最大派閥の力を持ってすれば、聖女親衛隊の隊長として、うまく利用できるだろう。

だが、それがギルバートになると、実家や国王とのつながりを駆使し、その目的を達成しようとするだろうから、うまく操るどころか、神殿との関係まで決定的にご破算となりかねない。

「ヴィンスの息子だと、神殿側から難色が示されるのではないか」

「その神殿を牽制するのが役割だったはずだぞ、マルコム」

「それに、子爵の野心を疑うなら、ギルバート君だってなかなかのものだと思うよ。学園在学中から国境近辺出身の、結婚難民状態だった男子達に結婚相手をあてがったり、

監査に乗じて国境の家々に巣食っていた悪妻を駆除してきた彼を密かに慕う領主は多い。彼らを上手く使えば外国の勢力を招き入れるのだって難しくない。

侯爵の理屈で言えば、ギルバート君こそ野心がないかを確認したほうがいいんじゃないかな?」

形勢が逆転したとばかりに、ヴィンスとバーナードが畳みかける。

対するフランプトンであるが、配下の貴族達は、リオンを貶めることを見越して親衛隊の隊長に据えるための理屈を、まんまと利用されたことで、応戦できずにいるため、舌戦に参加できるのは自分だけであることに気付く。

(おのれぇぇぇ!数で勝るのはこちらとはいえ、露骨に数で押し切ったのでは、後々に響きかねん!)

ここで、何も反論せずに押し切ったとした場合、後日、リオンに難癖をつけて追い詰めきれなかった一方で、ギルバートが何か大問題を起こしたときには、

当然ながらギルバートを軽視してリオンを聖女親衛隊の隊長にゴリ推しした責任がフランプトンには発生する。

(ヴィンスの息子め、存在するだけで迷惑なやつだ。オフリーにしても、神殿にしても、要所要所で邪魔な活躍をしおって・・・ん、活躍?)

心の中で呪詛の言葉を連ねていたフランプトンの脳裏に、一つの可能性が浮かんだ。

現在、レッドグレイブとアトリーがギルバートを聖女親衛隊の隊長に推すのは、見る角度によっては、色々な面で将来の公爵として不適格と見られる余地があるからだ。

逆に言えば、現時点で、公爵家の跡取りとして相応しいとなれば、資質を確認する必要はなく、原案どおりリオンを選べばいいということになる。

(私があやつを肯定せねばならんのか!よりにもよって、バルトファルト以上に目障りなヴィンスの息子を!!いや、だがしかし、バルトファルトを陥れるためには・・・クソ!)

政治的な影響力の大きさは、社会的な攻撃力の強さであり、防御力の強さでもある。

急速に成り上がったとはいえ、リオンの影響力は大きくはない。そして、そのリオンの不手際や不祥事が、彼を取り込もうとしている公爵家やギルバートにとってのダメージとなる。

フランプトンの本懐は自分の権力を確実なものとすることにある。

そのためには、レッドグレイブ家の影響力を完全に排除することが必要になる。

だが、当時王太子であったユリウスとの婚約解消を経て弱体化したとはいえ、レッドグレイブ家の政治的な影響力は目障りな程度には残っている。

そのため、いきなり馬に乗る将を射ることはできないのだ。だとしたら、地道にその力を削いでいく他ない。そのための一丁目一番地がリオンを陥れることだ、というのがフランプトンの理屈である。

(まるで踏み絵を踏まされたようで気分が悪い!だが・・・ヴィンス、今回は痛み分けに終わるだろうが、この次はそうはいかんぞ)

「ヴィンス、お前の息子が、空賊とつながっていた逆賊オフリーを、アトリー家等の他派閥とも連携して、殲滅した手腕は見事だ。これを見ても、一軍を率いる将の資質がないとは言えぬ。それに、陛下とそれだけ親密なら、逆にあの陛下を出し抜くこともないだろう」

「辺境出身の男子達に結婚相手をあてがって、勝手の利く駒を揃えたこともか?」

(貴様がその話題を振るのか!そのせいで、王妃の逆鱗に触れたのは、その馬鹿息子だろうが!!)

「・・・学生の頃から、寄子とは別の勢力を自分で作る手腕がある証拠だろう」

「僕ら宮廷貴族にとっては、国境の貴族達と結集されるだけでも脅威なんだけど、彼らに対する影響力があってもいいのかい?」

「影響力といっても、貧乏な子爵、男爵をいくらか集めたくらいで、王国が大きく揺らぐことにはならん。それにな大臣、ここまで色々と言ってくれたが、お前の方はバルトファルトに隊長になられては都合が悪いんじゃないのか?」

フランプトンの怒りは、徐々にギルバートやヴィンスだけでなく、自らの口でギルバートが有能かのように言わざるを得ない状況を作ったバーナードにも向き始めていた。

中立派をいたずらに刺激するつもりはなかったが、ここまで自分のプライドに関わるところまで踏み込まれたならば話は別だ。

「どういうことかな?」

「お前の娘がバルトファルトに懸想しているという噂を聞いたぞ。まさか、ユリウス殿下の乳兄弟に続いて、バルトファルトまで聖女に寝取られて娘が傷付くのを避けようとしてるのではあるまいな」

「・・・根拠のない誹謗中傷は止めてほしいな」

「人の内心など具現化できるわけがなかろう」

クラリスのことについては、バーナードにとっても突っつかれたくはなかったことのようで、反論は出てこない。

ヴィンスは、フランプトンに、口にしたくもなかったであろう息子への褒め言葉を言わせた、別の言い方をすれば、相応に恥をかかせたことで、留飲を下げたようで、ニヤついたまま沈黙を保っている。

多数派の力でリオンを聖女親衛隊の隊長にすることを妨げられなかったとしても、敵対派閥のトップであるフランプトンのプライドに傷をつけることはできたし、

そのトップの口から、これまでのギルバートの行動が王国にとって脅威ではないという言質まで取れたのだから、成果としては上々なのであろう。

メンタルをごっそりと削られたフランプトンは、怒りに震える自分を抑えるかのように大きく息を吸ってから、会議室内の貴族達を見渡して、口を開く。

「議論も出尽くしたようなので、リオン・フォウ・バルトファルト子爵を、聖女親衛隊の隊長に任命することとする。以上だ」

(これ以上、この場にいても気分が悪くなるだけだな。だが・・・あの小僧は必ず地獄に叩き落してやる!!)

会議の結果に、少なからぬ人間が不満を漏らしたり、感想を言い合っているところには目もくれずに、派閥の配下の貴族達が声をかけてくるのも無視して、フランプトンは部屋を後にした。

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「・・・ということがあってだな」

「父上も大臣も、重臣が集まった会議で僕を肴に盛り上がるとかやめていただきたいんですが」

「そう言うな。いやぁ、マルコムのやつが、あんなにお前のことを買ってくれているとは思わなかったな。化粧までして顔色の悪さを隠そうとしていたのに、最後は疲れ果てたのか真っ青な顔をしていたからな」

「本当に買っているわけではないでしょうに」

 

王宮から父上が帰ってくると、僕は、すぐに屋敷内の父上の執務室に呼ばれて、会議の結果を聞かされていた。

父上の口振りからして、なかなかに愉快な会議だったのだろう。

ネタにされたことは気分が悪いし、聖女親衛隊などというものを作ることにも、それを王宮の予算で結成することも面白くないのだが、

神殿が王宮に金を無心したということで大きくメンツを傷付けられたということであれば、悪い気もしない。

聖女になったのが、二度も僕の野望を打ち砕いたマリエ・・・僕とは別の転生者、つまり、この世界のイレギュラーでさえなければ、良かったのだが。

しかも、タチが悪いことに、その親衛隊のトップになるのが、DLCの攻略対象とおぼしきリオン君、オリヴィアさんとくっつくはずだった、強力なロストアイテムの保有者なのだ。

「バルトファルト子爵や彼を取り込もうとしていたお前には悪いが、公爵家としてはマルコムのやつにあそこまで言わせただけで成果は上々だ」

リオン君が、この乙女ゲー世界の中においては、馬鹿王子やジルクなどの攻略対象と同じくらいの重要人物であろうことを知る由もない父上が、公爵家の利益確保を図ったことは非難のしようがない。

これまで、アンジェを2度も助けてくれたとはいえ、リオン君1人切ることで、大きな利益を得られるのであれば、公爵の立場からすれば、むしろ合理的というほかないだろう。

父はリオン君をいったんは切らざるを得ず、大臣はリオン君をマリエから遠ざけることに失敗し、フランプトンはプライドが傷付いた。

3者それぞれ痛み分けということで、当面の政治的な妥協に至ったということになる。

 

だとすれば、ここから先の場面で動くのは僕の役割だろう。

婚約破棄だけでなく、聖女が誰になるかまで、もはやゲームのシナリオは完全に崩壊しているか、これが僕の知らないDLC版のシナリオなのかはわからない。

しかし、神殿側に僕と同じくイレギュラーであるマリエがいるんだ、同じくイレギュラーである僕が動いたって文句を言われる筋合いはない。

「リオン君にはどう説明するのですか?」

「親衛隊の件は、これまでの付き合いもあるから当家から伝えるべきだと思うが、明日にでもアンジェを呼び出して、伝えさせようと思う」

「・・・それであれば僕が学園まで行きましょう。侯爵や他の面々が足を引っ張ろうとしているということを伝えるべきでしょうし」

次回予告

リオンに聖女親衛隊の隊長への就任が内定したことを伝えるために、あのケモナー学園にやってきた僕は、学園の生徒達が、一人の女子生徒に嫌がらせをしているのを目撃する。

そして、僕は、その場に現れた宿敵との再会に心を震わせることになる。

さあ、レッドファイトの始まりだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!




原作最終巻が店頭に並ぶのは水曜日頃ですかね、、、
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