乙女ゲー世界は悪役令嬢の身内にも厳しい世界です 作:りーおー参式
え、ブリキ大王がスパロボ参戦ってマ!?ブレイバーン参戦より驚いたww
しかもバベルノンキックのカットインがくっそかっこEEEEEEEEE!!!!
「若様!現在、集落の中では東西二か所で戦闘が起こっているようです!」
「くそ、部隊を2つに分けるしかないか・・・」
王都を追放になったエルフの元専属使用人を集落に送り届けるという名目で、エルフの浮島に冒険に出掛けたアンジェの様子を確認するために、
僕と公爵家の第3騎士団もエルフの浮島にやってきたのだが、そのエルフの集落に向かう道中、というか森の中で僕らは謎の怪物の襲撃を受けていた。
森の中の草木に紛れて攻撃をしてくる怪物の始末に業を煮やした僕は、怪物どもに手加減無しのファイヤランスをぶち込んで、森ごと焼き払い進軍を続けた。
べ、別に、環境破壊は楽しいZOY♪とか思ってはいないんだからね!?
とにかく、やや強引にではあるが焼け落ちる森の中を突っ切ったおかげで、ようやくエルフの集落の入り口にたどり着いたところだったのだが、
入り口から見る限り、集落の中では2か所で戦闘が続いてるようであったために、冒頭のセリフを吐くに至っている。
両地点でも、定期的に魔法によるものと思われる爆発が起こっており、妹がそのどちらにいるのかはわからない。
王国の中でエルフの専属使用人を愛人として囲うクソ女どものことを思うと、感情としては、ここの連中がどうなろうと・・・という考えが頭をよぎるが、
圧倒的に何ら悪いことをしたわけじゃない一般人のほうが多いだろうし、亜人とはいえ、仮にも王国の民の一部ではあるエルフを全く助けないというわけにはいかない。
そうだとしたら、非戦闘員の保護を、僕や公爵家の騎士団でやらざるを得ないか。
くそ、なんか、こう・・・妹はこっちにいそうだ、というような電波を受信できるものじゃないのか、異世界というやつは!どっちにいるかがわかったら、そっちに全戦力を振り分けることができるのに。
「二手に分かれるぞ。アンジェの保護が最優先だが、怪物に襲われてる民間人がいたら、見捨てず救助しろ」
「了解!」
騎士達を率いる団長に指示を出し、結局、僕が率いる部隊は西側、団長が率いる部隊は東側の戦闘地域に向かうことになった。
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一方、ギルバートがエルフの集落に到着した頃、アンジェリカは、オリヴィア、ジルク、グレッグらとともに村に入り込んだ怪物の迎撃に当たっていた。
ジルクが樹上からライフルで怪物を狙撃しつつ、撃ち漏らした怪物をグレッグが槍で、アンジェリカが魔法で攻撃するとともに、有志の聖女親衛隊の男子生徒らも、近接戦又は魔法で戦いに参加し、オリヴィアが負傷者の治療を行う形で戦線は維持できている。
しかし、先ほどから森の中で連続して起こる大爆発は、森の木々を焼き払いながら集落に近付いている。その爆発の威力から、今現在、集落を襲撃している怪物とは比べ物にならないほどの脅威に思える。
(遺跡の地下に落下したリオンを捜索に行かなければならないというのに・・・!)
リオンが遺跡の地下に落下したことだけでも気がかりなのに、間の悪いことに、マリエもともに落下したということがアンジェリカを大きく不安にさせていた。
マリエを毛嫌いしていた様子のリオンがマリエに誑かされると思いたくはない。だが、何せ相手はあのマリエだ。
自身の元婚約者であったユリウスを始めとした、王国の将来を担うはずだった5人の貴公子達をごく短期間で誑かした、ある意味でとても輝かしい実績がある。
リオンが少しでも早く、無事に戻ってくることを願いつつ、目の前の戦闘に意識を向けていたのだが、集落の入り口の方向から見慣れた装備に身を包む騎士の一団がこちらに迫ってくるのが見えた。
「お嬢様ぁぁぁ!!!」
「こっちが当たりだったぞ!」
「よかった、これでコーデリア様に説教されずに済む」
騎士達は、野太い声を上げ、立ちはだかる怪物を数の力で蹴散らしてアンジェリカのところまで辿り着くと、歓喜の声を上げる。
アンジェリカとしては、実家からの増援が来て安堵するのと同時に、なぜ実家の騎士団が、このエルフの集落に来たのかという疑問が浮かぶ。
「お前達、どうしてここに?」
「はい、実は若様が・・・」
質問に答えた騎士から、事情の説明を受けて、アンジェリカの脳裏に里長の言葉がよぎる。
業火の金鬼の怒りに触れて、里が焼き払われる、という予言。
騎士達の説明のとおりであれば、自分を助けるために怪物ごと森を焼き払って進軍したのは兄によるものなのかもしれない。
(浮島の安全管理は、そこを治める者の責任だ。来訪者である王国の貴族に危害が及びそうなら、それに反撃したとしてもよほどのことがない限りお咎め無しだろう。
しかも、謎の怪物を撃退し、妹であり、公爵令嬢である私を助けるためだということなら、森を焼き払うくらいならセーフ、ということなのだろうが・・・どうして毎度毎度こんなに派手な暴れ方になるんだ!?)
相も変わらずな暴れん坊兄上の行動に、軽度の頭痛を覚えながらも、アンジェリカは別のことに気付く。
村の中の2カ所で戦闘が行われていた。そして、公爵家の軍勢は二手に分かれ、兄がいないほうのチームがこちらに来たということは、兄達が向かったのは・・・
「・・・ギルバートさんが本当にここに来ていて、村の中のもう一方の戦場に行ったのであれば、まさにこれから”里が焼き払われる”ということになっても不思議ではありませんよ」
不穏なセリフを口にしながら、アンジェリカが内心で不安に思ったことを代弁しながら近付いてきたのは、樹上から降りてきたジルクだった。
「遺憾ながら、私も同感だ。戦闘しているのが、村の自警勢力という可能性もあるが、我々と別行動している集団が戦闘しているとしたら、その一団は・・・」
「ええ、ヘルトルーデ殿下とその護衛兼監視の騎士達という可能性は高いでしょう。」
「となると、少々まずいかもしれないな。父上も兄上も、せっかく捕虜にした公国の王族を、王国内で留学させる扱いにすることに憤慨していたからな」
「むしろ修学旅行の際に、公国軍がアンジェリカさんを拉致しようとしたことの報復を、このドタバタした機会に乗じて、ギルバートさんが仕掛ける心配をしたほうがいいでしょうね」
アンジェリカとジルクの表情が一気に曇る中で、それまで話を黙って聞いていたオリヴィアが口を挟む。
「で、でも、いきなり何か仕掛けたら国際問題になってしまいますから、さすがのギルバートさんだって、早まったことはしないんじゃ・・・」
オリヴィアとしては、ギルバートは自分にも優しくしてくれた、少々過激なシスコンくらいの認識だ。
そこにリオンを将来的な公爵家の勢力に取り込もうとする思惑があり、そこにオリヴィア自身も利用されつつあることは聞かされているが、少なくとも学園にいる生徒達と比べればずっと親切にしてくれたことは間違いない。
「特待生にしては考えが甘いですね。あの方の性格や行動パターンからして、ヘルトルーデ殿下達から何か言われても、”アンジェリカさんを拉致しようとした時点で、既に国際問題になってるんだ”とか言い出しかねません」
「そうだぞ、リビア。兄上は大義名分さえ揃えてしまえば、好き勝手に暴れ回っていいと思ってる節があるんだからな!?」
「さすがにそこまで乱暴じゃないような・・・平民の私にも優しくしてくれましたし」
「それはあなたが平民だからです。むしろ機会さえあれば、平民であるあなたを愛人にしようと考えてる可能性だってあります」
3人の持つギルバートに対する認識について議論が交わされる中、前線で怪物と戦っていたグレッグもその場にやってくると、あることに気付いたようにつぶやいた。
「俺としてはマリエが無事ならいいんだけど・・・あれ?そういえばカイルのやつはどこにいったか知らないか?」
ユリウスとジルクが買い与えたマリエの使用人であるカイルはエルフであり、この浮島の出身でもある。
4人が思い返すと、ちょうどリオンとマリエが遺跡に地下に落下した頃から姿を見ていない。
そして、カイルは、いつもは積極的に感情を露わにはしないのだが、この浮島に来てからは、母親と揉めたりして、何やら普段とは様子が異なっていた。
「さっきまで、私は狙撃をするために木の上から辺りを見渡してましたが、姿は見えなかったですね」
「おいおい、もしもギルバートさんが向かった方に、母親を探しに行ってた、なんてことだったらマズいぞ」
「・・・兄上なら、マリエの使用人というだけで、すぐにファイヤーボールを投げつけても不思議ではないな」
「カイル君、マリエさんと揉めてるギルバートさんにいい感情は持っていないですよね」
ここまで話して、十秒ほど沈黙した状態になったところで、4人は目を合わせて、静かに頷いた。
「カイル君を探しましょう」
「カイルが何かやらかす前に止めないとな」
「あのエルフが兄上を爆発させなければいいんだが・・・」
「カイル君を助けてあげないと」
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部隊を分けて、村の中で戦闘が行われているもう1カ所に向かった僕だったが、しばらく進んだところで怪物の群れと何者かが戦っているのが遠くに見えてきた。
所々で魔法が繰り出されたりしてうまく迎撃に当たっているようで、怪物どもは目の前の戦闘に夢中となり、背後から接近する僕らに全く気付いていないらしい。
そうであれば、不意打ちを背後から喰らわせて、一気にカタを付けてしまったほうがいいだろうな。
「ファイヤランス!!」
僕の背後に浮かべた6本の巨大な炎の槍が、怪物達に向かって放たれると、その群れの中心やその周囲の個体に突き刺さり、大きな炎をあげながら爆発が起こり、怪物達は爆炎の中に呑まれていく。
運良く爆発から逃れた個体も数匹はいたものの、そこは公爵家の騎士達が隙を突いて仕留めていくため、効率的に駆除することができたと言えるだろう。
僕の魔法によって発生した爆炎が収まり、煙が晴れてくると、怪物達と戦っていた者達や現地住民と思われるエルフらの姿がぼんやりと見えてくる。
そして、最初に僕の目に入ってきたのは、奥に控えた黒髪の女を囲みながら剣を構えている騎士達の集団と、建物から崩れ落ちた、家の資材に足を下敷きにされて立ち上がれなくなっている若いエルフの女だった。
まず目が合ってしまったのは、黒髪をツインテールにした細身の女だ。
・・・目が合った瞬間、僕は本能的にそこから目線を動かし、目線を下に移した。
僕が目線を逸らそうとたのは何故かって?
そりゃあ、ここで見かけなかったことにしたほうがいい相手であると、瞬時に脳が判断したからである。
視線を泳がせて誰とも目線を会わないようにしながら、周囲にいる騎士達の武具も見ると、案の定と言う他ない家紋が描かれている。
え、どこかって?そりゃあ関わり合いになりたくない派閥だよ!
続けて、エルフの女に目をやると、半ばうつ伏せに倒れ込み、近くの建物を構成していたと思われる資材によって足を覆われているせいで、身動きが取れなくなっているようだ。
僕はすぐにそちらに足を運び、エルフの女の足に覆いかぶさった資材を片っ端からどかして救助活動を開始する。
女がうつ伏せになって倒れ込んでいる結果、その胸部にそびえる巨大で豊かな2つの連峰が自重によって潰された結果、巨大な2匹のスライムのような形へと姿を変えていたことに釣られたわけでは決してない。本当だよ?
足にかぶさっていた資材をどかし、起き上がったエルフの女の服、特にトップスは、古い布を継ぎ合わせたもので、だいぶ年季が入っている服のように見える。
そして、服の中に収納したメロンほどの果実に圧迫された山々のせいで、布地は内側から強烈な圧力をかけられ、継ぎ目近くの布地は限界まで内側から伸ばされている。
エルフの女の来ている服が自分の胸部のサイズに全く合っていないのだろう。
このまま放置すると、衣服が豊かなおっぱいに押し出されてはち切れてしまうかもしれないね。そうなったら大変だ。
敵国の王族(絶望的崖)と思しき女の相手なんかより、こちらの対応をすべき緊急性のほうが高いだろう。
「足のお怪我は大丈夫ですか、お嬢さん?」
「わわわ、私ですか!?」
「ええ、お怪我をされているようですが、歩けますか?怪物は駆除しましたのでもう大丈夫ですよ。私はこの国の騎士で、ギルバートといいます」
金や権力という実家の太さと並ぶ、僕の数少ない転生特典の1つである、超高い顔面偏差値による微笑みを繰り出しながら、上着を脱いでエルフの女の肩からかぶせてやる。
「あ、ありがとうございます・・・私はユメリアと言います」
少し顔を赤くしながら、驚いたリアクションをして慌てる姿が純朴で可愛いな。王国の貴族の女ならしないような仕草が僕の心を癒してくれる気分だ。
「回復魔法を使える人に心当たりがありますので、よろしければそこまでお連れしましょう」
跪いてエルフの女の手を取ると、彼女のあわあわと困惑する姿が眼前で繰り広げられる。まるで乙女ゲーの世界で追放された悪役令嬢に手を差し伸べる異国の王子様のようなムーブだね。
う~ん、それならば、このまま口説いて愛人にして囲いたいくらいだ。
ひとまず、飛行船で待機している医師か、この浮島に来ているであろうオリヴィアさんと合流して治療魔法を使ってもらうとしよう。そうすればアンジェとも合流できて一石二鳥だ。
いや、これまでエルフをはじめとした亜人を焼き潰してきた僕が、エルフに親切にする様子を見せることで、別に僕が人種・・・いや種族差別をする貴族ではない、ということを示すいい機会にもなる。
よし、ここはお姫様抱っこでもして、このユメリアさんを運ぶとしよう。
そんなことを考えていると、後方からズカズカと足音をたてて、こちらに誰かが近付いてきた。
「ちょっと!いくら関わり合いになりたくないからって、目を逸らして無視したあげくに、目の前で亜人を口説きだすってどういうことよ!?公爵家なら取り繕うくらいしなさいよ!!」
目を大きく開き、ヒステリックな声を上げながら僕に正論をぶつけてきた、黒髪ツインテールの女。
服装も黒を基調とした冒険者ルックな服を着て、小奇麗にまとめているが、膝上のスリットからむき出しとなった太ももがちっともそそらない。
なお、アンジェとは異なり、僕自身は、会うのは初めてだったりするのだが、顔そのものは知っている。
「これはこれは・・・公国のヘルトルーデ王女殿下ではありませんか。お目にかかるのは初めてですね、僕のようなボンボンのことまでご存じとは光栄ですね。御身がご無事だったようで、残念です」
「この場を助けてもらったのは事実だからお礼くらいは言おうと思ったのに、ずいぶんな言い草じゃない。それに、国境、辺境一帯で色々とやってくれた相手を知らないわけないでしょ」
「あれ?僕、何かやってしまいました?」
「諜報部が目の敵にしてたわよ。あなたが婚姻や監査で関わった浮島では工作の難易度が跳ね上がるって」
どうやら、あのケモナー学園時代に結婚相手を見つけるのが難しい辺境出身の貴族の男子に相手を見繕ったり、監査の仕事をしているときに、国境周辺の領地を食い物にする悪妻どもを駆除していたときのことのようだ。
「光栄ですね、そんなに想ってもらえるなんて」
「公爵家の跡取りがやることじゃないって言ってるのよ。それに、監査から手を引いたと思ったら、今度はロストアイテムを見つけた成り上がりとあちこちで暴れ回るって信じられないわね」
「意外性があって面白いと思いません?」
「公国としては、ちっとも面白くないわね」
顔をぷいと横に向けて拗ねたような仕草をするこのツインテール女こそ、つい先日、艦隊とモンスターと黒騎士を引き連れて王国の領空内に侵入し、
修学旅行中の王国の生徒達が乗る飛行船を襲撃して、僕の妹を監禁、人質にしようとしたファンオース公国の第一王女ヘルトルーデだ。
リオン君の手によって、返り討ちにあい、捕虜となったはずが、フランプトン派が掌握した王宮の判断として、王国内で留学する、という甘々すぎる措置になったことは、公爵家でも非常に不満の大きいトピックだ。
今回、不慮のトラブルで妹に被害が及ばないよう、僕が公爵家の戦力を引き連れて、このエルフの浮島に来ることを決意させた遠因の1つでもある。
「ついこの前、うちの大事なアンジェを人質にしようとしておきながら、僕らに丁重に扱ってもらえると期待しているわけではありませんよね?」
「だからって、まるで会わなかったかのようにスルーされるとは、さすがに思わなかったわ」
「そちらが、後ろめたく思っているだろうと考えたので、見なかったことにしたのは優しさだと思いませんか?」
「目の前で下心丸出しにして亜人を口説こうとしてるから、それ止めようとしたことは公爵家から感謝されたっていいと思うんだけど!?」
「人の恋路を邪魔して楽しいですか?」
「さすがに他国の王族対応より、エルフを口説こうとすることを優先されたら、むかつくから、邪魔してやることが楽しいと思えるわね」
「昨今の出来事を考えれば・・・どちらを優先したいか、迷う必要はありませんねぇ」
わざとらしい溜息をつきながら、僕の上着で覆いきれてないユメリアさんの、爆発寸前の風船のような胸部の山々と、食ってかかってくるツインテール王女の滑落しそうな断崖絶壁を見比べて、鼻で笑う。
「い、いやらしい目で見ないで頂戴」
腕を組んで顔をそらす公国の王女様だが、もちろんそんな目線で見たことなんて1秒足りともない。むしろ憐れんだ目で見ていたくらいだぞ。
今の発言は、僕の男としての尊厳を貶める発言だ。しかも、事実無根ときたものだ。
あらぬ事実を根拠にした誹謗中傷には、即座に断固とした反論が必要よね。
「僕は、希望のない絶壁の崖に欲情する癖(へき)を持ち合わせてないのですがねぇ」
「ど、どういうことよ!?」
顔を赤くして抗議してくるヘルトルーデ王女だったが、ここで僕らのレスバに乱入してきたのが、彼女の護衛兼監視をしている騎士達だ。
「いくら公爵家の方でも、それは不敬でしょう!」
「女性の身体のことを嘲笑うなんて騎士として恥ずかしくないのですか!」
「やはり落ち目になると、品性まで劣ってくるのですかね」
ヘルトルーデ王女を取り囲む騎士達が男女問わず、僕の発言を咎めてくる。
まあ、こいつらは敵対派閥であるフランプトン派の家から派遣されてきた連中だから、同じ王国所属であったとしても、僕に敵対的な発言をしてくることは想定の内だ。
それこそが無礼だと、暴力で叩きのめす口実にすることも考えたが、レスバがお望みなら、レスバで叩き潰してやるのも一興だろう。
「はて・・・君達は自分が何を言ってるかわかっているのかな?」
すっとぼけた仕草をしつつ、鼻で笑いながら騎士達へ言葉を向ける。
「そちらこそ、なんなんですか!?
「て、敵対派閥だからって身分を笠に着て暴力を振るうつもりですか!?」
「兄妹そろって野蛮な・・・こんなのが公爵家だなんて情けない」
おい、お前ら。派閥云々関係なく、うちの妹をディスるとはいい度胸じゃねえか。
僕の後ろに控えている、公爵家の騎士達も剣を抜いて、怒りの表情を浮かべながら、王女の護衛の騎士達を睨みつけている。
ここで暴力どうしの衝突をしてやるのも吝かではない。だが、ここは、さっきも言った通り、レスバに対しては、レスバで返してやろうじゃないか。
「フランプトン派閥は、まともに部下の騎士達の育成もできないようだ。王宮で政治ごっこにかまけてばっかりな弊害だね」
「我らだけでなく、侯爵様まで侮辱するおつもりか!?」
「僕が馬鹿にしているのは君らだけだよ。さっき、僕が何と言ったか、もう忘れちゃったようだね。頭の中の出来が可哀そうすぎて泣けるよ」
護衛の騎士達は戸惑いながら、僕の発言がどんなものだったか思い出そうと、ヒソヒソと話を始める。こういったとき、僕は親切だからすぐに答えを教えてしまうんだよね。
「僕は、僕の癖の有無・・・好みの問題を言っただけだよ?胸が大きいから優れている、小さいとか劣っているだなんて一言も言ってない!」
「そんなことを外で大声で・・・」
「大きいおっぱい、小さいおっぱい、どちらが優れているかと、どっちが好きは別だろう!あの5股クソ聖女と誑かされた5人のことを思い出してみろ!」
「・・・」
顔を赤くしながら言葉を失う王女の護衛の騎士達だったが、まだ僕のターンは終わってないぜ!
「ようやく気付いたかい?君らは、僕が、ヘルトルーデ殿下の身体的特徴を侮辱したと思い込んで難癖を付けてきたが、それを侮辱だと言うところが、既に、殿下の謙虚なお身体が優れていないと言ってるのとイコールなんだよ、わかるかい?敢えて言ってあげよう。君らの方がよっぽど不敬だよ?」
顔色が赤くなったり、青くなったりと忙しく変化しながら、騎士達は言葉を失っていた。
言葉尻をとらえた屁理屈を言っている自覚はあるが、レスバとはこうやるものだ。
後ろにいる公爵家の騎士達のほうからも、くすくすと笑いが起こり、我慢しきれずに噴き出す者もいる。
「ちょうどいい機会だ。後でこの浮島に来ているマーモリアとセバーグ家のボンボン2人にも、侯爵派は、王女殿下やクソ聖女のような慎み深い胸部は劣った存在だと考えている、と伝えておいてあげよう」
「・・・」
怒りと悔しさで震えながら騎士達は、これ以上の言葉を紡げずにいるようだ。勝ったな。
「き、今日言われたことは絶対に忘れないわよ、覚えてなさい!」
こちらは、顔を赤一色、涙目になっているヘルトルーデ王女だ。自分の胸部が絶壁であることを前提に、大々的にレスバを繰り広げられたのだから、まぁ無理もない。
別に好みの問題なのだから、堂々としていればいいのにね。
もしかして、最近、胸部の大きさでプライドが傷付いたイベントでもあったのだろうか。
それに揉めないパイなら大きいほうがいいだろうが、揉めるパイなら話は若干異なってくる。
前世の社畜時代の先輩が言っていたよ、大きいからってベッド上の濃厚接触が楽しくなるとは限らない、触れるパイで大事なのは感度だ、ってね。
それを聞いたときは、自分がそれまで意識していなかったことが言語化されて感激の涙を流したものだ。
・・・その先輩は、この発言を会社の飲み会でした結果として僻地に飛ばされたけどね。
さて、邪魔者も沈黙したところで、再び視線をエルフの女性に移し、手を差し伸べる。
「お怪我の治療に行きましょう。立つのが難しければ、私がお運びしますよ?」
「え?え?」
いまだに驚きの表情を浮かべるユメリアさんの手を取り、引き起こすと、足がやはり痛むのか、かすかに表情が曇る。
仕方ない、お姫様抱っこで運んで差し上げるとしよう。しょうがないよね、足を怪我してきっと歩くのも大変なんだろうからね。
困っている女性を助けようとするのは騎士の役割だよね。そして、僕は優しいから平民だろうが、亜人だろうが、心身とも魅力的な相手の力になってしまいたくなるんだ。
「さて、いきましょうか。僕としては、このまま一晩の思い出を作ることも吝かではありませんよ」
相手の女性が、わりとふわふわした系の女性だったときに、我らの偉大なるローランド陛下が口説き文句として使うフレーズを口にしつつ、
お姫様抱っこをするために、膝の裏に腕を通そうとしたときだった。
「その人から離れろおぉぉぉ!」
聞こえてきた声と共に、僕は後ろから首根っこを引っ張られて、引きずり倒されてしまう。
地面にぶつかった衝撃が背中に走るが、不意打ちを受けたと気付き、魔力で強化した体を急いで起こすと、僕とユメリアさんの間に、少年のエルフが両手を広げて立ちはだかっている。
このエルフのガキ、見覚えがある・・・そうだ、マリエの子分をしている、あの7代目火影のような声をしたガキだ。たしか、名前はカイルといったか。
肩で息をして、荒れた呼吸を整えようとしているが、両手、両足も震えている。少なくとも、僕が誰なのかをわかってはいるようだ。
それならば、話は早い。僕と同じ転生者であり、この乙女ゲーの世界のシナリオを大きく改変し、僕の野望を2度に渡って妨げた、あのクソ女の子分ならもはや言葉を先にかわす必要もない。
無言のまま一気に距離を詰めて、両手を広げた結果としてがら空きになったカイルのボディに蹴りを入れて吹き飛ばす。
小さな体はあっさりと吹き飛ぶが、マリエの子分なら手加減の必要はない。起き上がる前に、仰向けになって天を見上げる状態になっているカイルの顔面を掴み、そのまま地面に力いっぱい押さえ付ける。
「おい、ガキ・・・誰にケンカ売ったか、わかってんのか?」
口説くのを邪魔されて、つい地が出てしまった。
カイルは両手で、顔面を掴んでいる僕の腕を外そうとするが、魔力で強化した僕の腕はそう簡単には外れない。
両足をバタつかせて、なおも拘束から逃れようともがくが、それを易々と許すほど僕は甘くない。
「あのクソ女ともども、忌々しいやつらめ」
痛みゆえか、苦しさゆえかは不明だが、カイルは目に涙を浮かべながら、もがき続けている。
「その人に・・・手を出すな・・・!」
なんだ、ユメリアさんの知り合いなのか。2人の容姿からすると、カイルにとって憧れの、近所の綺麗なお姉さんといったところか?だが、邪魔されるのも面倒だな・・・焼くか。
モブせかアニメの2期発表は、漫画版の王国編終了後と予想
ヘルトルーデさんの胸回りトラウマイベントは、コミック9巻の巻末SS「ヘルトルーデとフランプトン侯爵」をご参照あれ・・・
リオンきゅんを苦しめるフランプトン一派の苦悩が見られるレアな場面が見れるぞw