乙女ゲー世界は悪役令嬢の身内にも厳しい世界です 作:りーおー参式
告知ページに載ってる共和国編の作画を見ましたが、ノエルのソックスからはみ出た太ももから、新作画担当の方の脚フェチを感じる・・・
レスバは電子空間上の口論なので、生身での言い合いはレスバに含まれないというご指摘がありましたね
レスバの定義を見ると、たしかにそういった括り方をされていることのほうが多かったです
推しの子で、重曹ちゃんがレスバ強いな、と言われているシーンがあったので生身での言い合いもレスバに含まれていいと思い込んでました(単純)
何か他にいいフレーズあるといいのですが・・・
【前回のあらすじ】
アンジェの無事を確かめるためにエルフの浮島に殴り込んだ僕だったが、森の中でモンスターとも違う正体不明の化け物と交戦しただけでなく、その化け物は数こそ多くないものの、エルフの集落にも入り込んでいた。
そいつらを早々に駆除し、エルフとはいえ、とてつもなく豊満な胸部装甲を備えたユメリアさんという女性を口説こうとしたのだが、邪魔者が次から次へと現れる。
集落の中には、以前に僕の妹を誘拐しようとした憎き公国の王女とその護衛兼監視の騎士連中もいて、そいつらとの罵り合いを制したと思ったら、
今度はさらに憎っくきマリエの世話をする使用人で、カイルとかいう、螺〇丸とかをぶっ放してきそうな声をしたガキがユメリアさんを口説こうとしていた僕を引きずり倒してきた。
喧嘩を売ってきた相手に容赦をする理由もないし、ここでこのガキを焼いておけばマリエにも嫌がらせになるかと思い、カイルの顔面を掴んで地面に押さえ付けたまでは良かったのだが・・・
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「その人に・・・手を出すな・・・!」
顔面を僕に掴まれたまま、地面に後頭部を押さえ付けられながらもカイルが声を絞り出す。
「僕を引き倒してユメリアさんを口説くのを邪魔したんだ。それに、君もあのマリエの従者なんだ、覚悟の上のことだろう?」
カイルを掴む掌に魔力を込め始めると、収束した魔力が発光し始める。せっかくマリエの子分を焼けるんだ、たっぷりと威力を高めてやろう。
「ま、待ってください!」
悲痛な声とともに背中に柔らかな2つの感触が押し当てられる。背後から僕の手を掴んでカイルから引きはがそうとしているが、力が込められるたびに柔らかなものがより強く僕の背中を圧迫する。
つい本能で、感触を少しでも多く感じ取るために神経と意識を背中に向けてしまうが、このままだとユメリアさんが巻き込まれてしまう可能性もある。
「ユメリアさん、危ないですから離れてください」
「お願いです、その子はまだ子供なんです、どうか許してはいただけませんでしょうか!」
「子供だろうが大人だろうが、売られたケンカは買うのが私の主義でしてね」
「でしたら子供のしたことの責任は母親の私が取りますから・・・!お願いです、この子を許してやってください!」
「ガキであっても取るべき責任は自分で取らなければなりませんよ。母親だからといって・・・・母親あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!??!」
驚きのあまり、思わず声が裏返ってしまった。振り向きながら、目を大きく開いてユメリアさんの顔をじっとみる。
目を赤くし、その端には涙がほんのりと溜まっていて、その涙が頬を伝って顔から落ちると、胸部の豊かな山と山の間の谷へと落ちていく。
いや、ちょっと待って。母親?母親ってあれか?近所に住んでいた小さい頃から面倒を見てきたガキだから、母親代わりってことだよね?
「はい、その子は私が産みました」
「え!?このガキをユメリアさんが!?いや、それにしては、こいつの姿と成長速度が・・・」
エルフは長命の種族と言われていて、年齢と容姿の関係が人間の基準とは異なる。
だが、ユメリアさんの容姿から想像できる年齢と、前世で言えば中学生前後の年齢に見えるカイルの容姿からすると、本当に親子なのかには疑問が生まれる。
「母さん!お願いだからこいつから離れて!こいつはエルフを何十人も焼いてきた危ないやつなんだよ!」
カイルが悲痛な叫びを上げ、ユメリアさんは僕に強い目線を向けながら、僕の腕を掴んでいる。もしかして、本当に実の親子なのか!?
「お二人の容姿からはにわかに信じがたい気がしますが、本当なのですか?」
「・・・この子は・・・私と人間との間に生まれた子供なんです・・・」
え・・・?またしても衝撃的な発言が僕を襲う。
ユメリアさんとカイルが親子だったことだけで驚きだったのに、カイルが人間とエルフのハーフだなんてもっと驚きだ。
というか、この発言は大きな疑問が残る。
人間とエルフの間には子供は生まれない。これはこの国においては広く常識的な事柄であると認識されている。
エルフという種族は、外見の美しさが貴族階級の女達の中で評価され、貴族の女達がエルフの専属使用人と肉体関係を持っても繁殖に繋がらないという生物的な事情から、高い経済的な価値を持つ。
「ユメリアさん、人間とエルフの間には子供はできない、というのがこの世界の共通認識です。残念ながら、貴女のお話には信憑性がどうしても欠けてしまう」
「・・・そうですよね、お話しします。この子が生まれた理由を・・・」
彼女の話を要約すると、かつてこのエルフの浮島を飛び出したユメリアさんは、貴族の男と愛し合うようになったが、自分が妊娠したことを告げるとあっさりと追い出されてしまい、
この浮島に戻ってきてから、カイルのことを産んだらしい。
・・・待って。インパクトの強い情報をジェットストリームアタックのような三連打で打ち込んで来ないで。
ユメリアさんとカイルの親子関係、カイルがハーフエルフというだけでもお腹いっぱいだったのに、ユメリアさんが妊娠したから貴族に捨てられたってどういうことだよ。
あんまりにも繊細な事柄だからドストレートに聞くのが難しいが、おそらく愛人、妾的な位置づけだったのだろう。
とはいえ、妊娠した愛人を追い出すというのは、それだけ聞けば、一般的には無くもない話なのかもしれないが、前世由来の価値観がある僕からしたら、控えめに言ってもクズだ。
まあ、相手が貴族だったなら、ユメリアさんの不貞を疑ったという可能性もあるけどね。
例えば、形式的な妻である貴族の女が専属使用人としてエルフの男を囲っていて、ユメリアさんの相手の男がユメリアさんを囲っていたのだとしたら、
その専属使用人がユメリアさんとデキていたと貴族の男が疑ったとしても、これまた、無くもない話だ。
僕目線だから若干偏りがあると言われるかもしれないが、エルフの専属使用人の男は、女尊男卑なこの国の下級貴族社会の中において、子爵、男爵クラスの貴族を明らかに見下している。
そんな奴が多いからこそ、ユメリアさんが妊娠した、ということを知らされた貴族の男は、妻との間に愛は無かったとしても、信じていたユメリアさんに裏切られたと感じ、追い出したというのであれば、辻褄は合わなくもない。
とはいえ、この話、上手く使えば、少なくともこの王国内でエルフの専属使用人としての価値を徹底的に叩き落すことができるカードになるかもしれないね。
何せ貴族の女がエルフの専属使用人と関係を持った時に妊娠する可能性があるのだとしたら、エルフの専属使用人を囲う女から産まれた子が、夫である貴族の男ではない、という確かな可能性が生まれる。
もちろん、別の人間の愛人との子を、貴族の男との子供だと偽る托卵クソ女もいるし、獣人系の専属使用人もいる。
だが、少なくともエルフを囲った時点で生まれた子が常に嫡出性が疑われたのでは、いくら女尊男卑な下級貴族の社会においても、エルフを専属使用人にしようとする者は減り、その結果、エルフという種族の経済的な価値は大きく下がるはずだ。
ふっふっふ、悪だくみをしていたら、なんだか、もう頭の中から、新宿の種馬のような〇ッコリ下心も、カイルを焼く気も消え失せてしまったね。
溜息をつき、カイルの頭を握りしめていた掌をほどき、自由にしてやると、すかさずユメリアさんはカイルに抱き着いて、息子の無事を喜ぶあまりに泣き始めてしまった。
カイルのほうも、僕に押さえ付けられていた恐怖から解放されて気が緩んだのか、母親の涙のもらい泣きなのか、わんわんと泣いている。
・・・ユメリアさんの特大メロンに包まれているこのガキへの嫉妬心が浮かぶのと同時に、その光景を見て、僕の中でも前世のことが思い出されてしまうよ。
前世では、たぶん世間でいう平均的な程度の愛情はきちんと親から受けていたと思うし、だからこそ、親よりも早死にしてしまったことには、罪悪感がある。
しかも死因が、女との別れ話が拗れた結果、刺されたというものだから、その話を聞かされた前世の両親は何を思ったのだろう。
別れ話に伴う口論は上着のポケットに仕込んだICレコーダーで記録していたから、それが見つかっていれば、僕が悪いということにはなっていないだろうが、
息子が痴情の縺れで女に刺されて死んだなんてことで葬式をしても、親戚やご近所さん達からどんな目で見られるのだろうか、後ろ指を指されてはいないだろうか。そんな申し訳なさがある。
まあ、それで言ったら、今世のパパ上も、息子は学園を卒業しても暴れ回って結婚相手を見つけようとする気配すらなく、娘はこの国の王妃候補だったのに王太子との婚約が破棄された、と言う意味で
ものすごく後ろ指を指されて一気に老け込むくらいのストレスを味わっているのかもしれない・・・うん、ごめんよパパ上。
「はぁ。これでアンジェと合流できれば一件落着なんだけどなぁ」
「愛人にしようとしたエルフを口説きそこなって残念だったわねぇ」
振り向くと、ユメリアさんを口説きそこなった僕のつぶやきを逃さずに、ヘルトルーデ王女がこれ以上ないくらいのニヤケ面を浮かべ、あざけ笑っていた。
先程まで、遠巻きにこの女の絶壁な胸部をディスっていたから、報復をするいい機会とばかりに、さぞ喜んでいるのだろう。
「世知辛い世の中を生きてるんでね。たまには無償の親子愛を見て心が和むことだってあるというものです」
「貴男のことだから、エルフなんて種族ごと滅んでもいいくらいに考えてると思ってたわ」
「下級貴族達の王国に対するヘイトを買わないのであれば、わざわざ積極的に根絶やしにするほどの執着なんてありませんよ」
「条件さえ整えば根絶やしにしてもいいってことじゃないの」
「不遇な境遇に置かれた貴族達が、どこぞの誰かさん達に寝返ったりしたら困りますので」
「あら、他国の調略なんてどこの国だってやることじゃない?」
「ふっふっふ、一国の親玉が言うと説得力が違いますね」
僕とヘルトルーデ王女は、互いに嫌味をぶつけ合いながら、乾いた笑い声をあげる。
ちなみに、王女の後ろにいる護衛の騎士達は、僕の後ろにいる公爵家の騎士達と睨み合っている。
向こうは敵対派閥であるフランプトン派の家から選出された連中だから、うちの騎士達と敵対的な行動をするのはある意味で当然だ。
睨み合いがいつまで続くのかと思っていたところで、後方から大勢の人間の足音が聞こえてくる。
振り向くと、レッドグレイブ家の騎士達を引き連れてこちらに走って近付いてくるアンジェの姿があった。その後ろには、オリヴィアさんやジルク、それにグレッグの姿もある。
「アンジェ!無事なようでよかった!化け物どもやクソ聖女とかクソ公国の関係者から何もされてないかい?」
「兄上もご無事でよかった・・・私は特に何も・・・兄上こそ、まだ何もしていないようで・・・?」
妹よ。まだ、というのはどういう意味だい?しかも意外そうに言っている。お兄ちゃんはちょっと悲しくなっちゃうぞ。
「聞きしに勝る過激派っぷりを見せてくれたじゃないの。まさか敵対する亜人とはいえ、子供まで手加減無しで焼こうとするとは思わなかったわ」
両腕を組み、僕とアンジェをジト目で見ながら話に割り込んできたのはヘルトルーデ王女だ。
「兄上!どういうことですか!?」
「・・・マリエの子分のエルフのガキが僕を引きずり倒してきたから、顔面を地面に叩きつけて焼こうとしただけだよ。未遂だよ、まだ焼いてない」
「それはあの泣きじゃくった親子の様子を見ればわかりますが・・・」
「
「ところでどうしてヘルトルーデ王女と?」
「アンジェを探してたら、不幸にも出くわしてしまってね。会いたくて会ったわけじゃないさ」
「仮にも一国の王女なんだけど・・・?ずいぶんな言い草じゃないの」
ヘルトルーデ王女が目元をピクピクさせながら反論してくる。
「人の大事な妹を誘拐して人質にしようとした国が相手なら、これでも甘いと思いますがね」
「あら、私だって、貴男からずいぶんと失礼なことを言われた気がするのだけど?」
「だったら、ここはお互い様ということでどうですかね」
「じゃあ、貴男がそこのエルフを愛人にし損ねたことは、大事な妹さんに伝えなくていいのかしら?」
「兄上!?」
この性悪王女!人の恥部を身内の前で暴露しやがった!!
アンジェはそれを聞いて僕に向けて、まるでゴミを見るような目で見ている。人の家族仲を切り裂いて楽しいか、この人でなしめ!・・・いや、まあ楽しいのだろうが。
「こっちも未遂だから!美しい無償の親子愛を見たら、そんな気もなくなったから!」
「愛・・・ですか?まさか兄上の口からそんな言葉が出てくるとは思いませんでした」
「愛した女くらいはいたさ、振られてしまったけどね。それに、あのユメリアさんに涙ながらに頼まれてね。心優しい僕は、その愛の美しさに毒気と殺意が抜かれてしまったよ」
「・・・あのエルフの胸を見て、嫌われないようなムーブに切り替えただけだと思ったわ」
「失礼なことを言うんじゃない。大いなる母の愛は、種族を超越するというだけだ」
「愛する気持ちを知っているなら、早く婚約相手を見つけて父上や私を安心させてください」
「はっはっは、アンジェも冗談が上手くなったね。貴族の結婚、特に爵位が上になればなるほど、そこに愛が伴うことのほうが珍しいというのに」
アンジェが複雑そうな顔をしている。まぁ、アンジェはあの馬鹿王子のことを愛そうとはしていたからね。
それにしても、この胸部が絶望的絶壁な性悪王女め、随所でアンジェの地雷を踏み抜くようなセリフをぶっこんできやがって。まるで我が家の性悪メガネメイドが思い出されてしまうじゃないか。
ニヤニヤとしているヘルトルーデ王女と睨み合い、周りを囲う公爵家の騎士達と王女の護衛をしているフランプトン派の騎士達の睨み合いも続いている。
何か発端となり得ることがあったら、武力衝突にも発展しかねない空気になったのだが、その時、突然、強い光が空高くから放たれるとともに、
続けて、浮島の中にある遺跡の方角では、途轍もないほど大きい爆発音が響いて、大地を大きく揺らす。
空を見上げても、太陽と雲以外には何も見当たらず、爆発をもたらしたと思われる光の正体は不明だ。
爆発によって生まれた煙が、空に向かってもくもくと上がり続け、一瞬、何か巨大な物体らしき影がかすかに見えたような気もするが、きっと気のせいだろう。
この世界の兵器に光学迷彩のような装備は開発されていないし、ロボットアニメに出てくる戦艦のようなフォルムの飛行船だって、まだ開発されていない。
それに、そんな戦艦がエルフの浮島の遺跡を攻撃する理由だって見当たらないからね。
ただ、その爆発があった現場がどうなったのかは確認したほうがいいだろう。
「ヘルトルーデ王女、我々は遺跡の方に向かいますが、貴女を護衛するための戦力をこちらが残していく必要はありませんよね?」
「そうね、残す必要はないわ。あの爆発は私も気になるから、現地まで一緒に行ってあげる」
「・・・遠慮しておきます、別々に行きましょう」
「お断りするわ。一緒に行けば、貴男がすごく嫌そうな顔をするんですもの。うちの国の工作を散々邪魔してきた張本人の苦々しい表情をぜひ眺めていたいわ」
・・・別に好かれたい訳ではないのだが、このお姫様、よほど僕のことが嫌いらしい。マリエにしても、ヘルトルーデ王女にしても、胸部装甲が絶壁な女にはとことん嫌われる宿命なのだろうか。
すいません、今回ちょっと短めです
あと、コメントの中に、カイルのこと焼かないかマジめに心配してくださった方がいらっしゃいましたが、さすがにまだ今後の出番がある本編キャラは焼かないよ!?