乙女ゲー世界は悪役令嬢の身内にも厳しい世界です   作:りーおー参式

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某〇ックぱいせんのところにいるダンディな大臣とは別人のようですね


第7話 手遅れな人って案外幸せそう

ジルクを夜のお店に連れて行ってどんちゃん騒ぎをした日から数ヶ月が経った頃、そろそろランチタイムという時間帯に、大臣の執務室に呼ばれた。

 

「突然に呼び出してすまなかったね」

「上司の呼び出しに駆け付けるのは部下の使命のようなものです」

 

無駄にイケメンスマイルを放ちながら、軽く頭を下げるのだが、果たしてどのような用件なのだろうか。

ひとまず心当たりがあるところを片っ端から上げていこう。

 

「前回の監査の報告書でしょうか。草案にフランプトン侯爵の派閥が横やりを入れてきました。先に陛下に伝えて、後は上から話を下ろしていく形で進めてよろしいですか」

「わかった。同じようなことを繰り返してくるなら報告してくれ、あそこは行儀のよくない寄子が多いから、文官衆にも注意喚起しておくように」

「かしこまりました。次は”森”の連中ですが、まだ尻尾をつかめずにいます。表面上は上手く取り繕っているのがやっかいですね。いっそのこと法規違反以外の側面からアプローチしたほうが早そうです」

「そうだね。この件も合わせて君から陛下に伝えておいてくれ。他人が嫌がることをルールの枠内でやることにかけては、あの方の右に出る者は少ないよ」

 

呆れ顔を浮かべながら語られる、我が国の陛下に関する大臣の認識が酷いの一言に尽きる。

ただ、全くもってそのとおり。そのせいで困っている人が多い。父とか、バーナード大臣とか、王妃様とか。

仕事から夜遊びまで世話になっている僕が言うのは恩知らずかもしれないが。

ちなみに、ここまで話をしても、大臣の表情を見る限り、用事が終わったようには見受けられない。う~ん、何を聞きたいのだろうか。

 

「来年度の予算獲りに向けた折衝ですが、まだ財務セクションから指針や単価の提示がなく、資料作成が止まっています。担当ラインの中に当家の縁者がいるので、そこから探りを入れようと思います」

「いや、それは私の派閥で動こう。君には悪いが、公爵家に必要以上に借りを作るのは避けたい」

「失礼しました。あとは・・・陛下の新しい女性関係ですか?お手付き済みか否かでまだ確証を得られていません。もう少し裏取りの時間をいただきたいのですが」

「君はよく働くね!仕事大好き人間なのか!?」

 

どうやら用件はこれでもないらしい。

となると、本当に用件はジルク絡みなんだろうか。それだとこっちから切り出すのも気が引ける、というか切り出すなんてできない。

そんなことを思っていると、ここで背後から声をかけられた。

 

「すみません、私がお聞きしたいことがあってお呼びしました。お忙しいところ申し訳ございません」

 

声が聞こえたほうを見てみると、部屋の入口から執務机までの動線から死角になっている場所に置かれたソファに一人の女性が座っている。

肩の先まで伸びた、艶のあるオレンジ色の髪に、モデルのようなボンキュッボンなフォルムをした、いかにもいいとこの令嬢、といった雰囲気を纏っている。

大臣の部屋に我が物顔で居座っている、役人でも女給でもないこの女性は、アトリー家の令嬢、つまり、大臣の娘であり、先日、夜遊びデビューさせた攻略対象のジルクの婚約者だ。

 

「これはアトリー家の御令嬢殿。お目にかかるのは久しぶりですが、ずいぶんと美しくなられましたね」

「クラリスでかまいませんよ。それにしても、令嬢嫌いと名高いギルバート様にそう言ってもらえるとお世辞でも嬉しいものですね」

 

驚いた。まさかジルクの婚約者本人が直接殴り込んでくるとは。

大方、婚約者が夜遊びに目覚めた原因に文句の一つでも言いたかったのだろうが、そのきっかけを何故知っているのか。

それに、その原因となる僕は、大臣の部下なんだから、令嬢自らが出張ってくることもあるまいと思っていた。

ジルクの話を疑っていたわけではないが、どうやら相当ご執心が強いらしい。

 

「女性の美しさというのは、内面も含めてのものという信仰を持っているものでして。あの学園での生活で学んだことです。クラリス殿には関係ないでしょうが、お気を付けください」

「なるほど、だから学園の外でご活躍されているんですね」

 

このお嬢ちゃん、柔らかな笑顔を浮かべながら、割とチクチク刺してくるな。

 

「女性の価値に身分は関係ない、というのが我々の偉大な陛下の教えですので」

「あら、ずるい言い方をされるんですね」

「身に余るものもございますが、良くしていただいております。ところで、本日はどのようなご用件で?」

 

お貴族様ごっこが続く。面倒くさいんだよな、こういう微かな嫌味のぶつけ合い。

だが、

 

「単刀直入に申しますね。私の婚約者のジルクなのですが、ギルバート様と食事に出掛けた頃から、色々と行動が派手になってしまったんです。それに、ギルバート様も、陛下とご一緒に彼を何度か連れ出してますよね」

 

さて、どこから突っ込んでいくべきか。

なぜ僕とジルクが食事に行ったこと、しかも陛下も含めてサタデーナイトでフィーバーしたことを知っているのだろうか。一応はこっそり出掛けたはずなのだが。

まあ気持ち悪いほどにジルクの行動をチェックして、欲しいものを先回りしてプレゼントするくらいだから、監視くらいはしてるんだろう。

婚約してるくらいで、四六時中、相手の行動を監視するなんて、重いよね。

というか、これ、もうストーカーだよね!?この世界にもストーカーっていたのか・・・

つまり、クラリス嬢はこの世界におけるストーカーの開祖とも言えそうだな。

 

「彼は、殿下の乳兄弟として、将来のことを悩んでいたようですよ。内容を私の口からお話しすることはできませんが」

「そんな話、私だって聞いたことありませんけど・・・!」

 

綺麗な顔が、悔しそうな表情で歪んでいる。

自分が知らなかったことを僕が知っていたことが面白くないんだろうね。

それにしても、大臣室に娘とはいえ、仕事に関係のない人間を入れるのはどうかと思うよ。

そうだ、仕事に関係ないなら、会話の主導権を奪い返してみよう。

 

「ところで、この話ですが、勤務時間が終わってからでいいですか。クラリス嬢には申し訳ないのですが」

「え・・・?」

「いや、だって今、勤務時間中ですので・・・業務に関係ない話を長々としていたらまずいですよ。大臣だって部下に示しがつかないでしょう」

 

大臣とクラリス嬢がわかりやすく固まった。

そりゃ大臣の娘に、そんなことを言う役人なんて普通はいないだろう。

前世だったら、そんなことを言うやつがいたら空気嫁って蹴りを入れているかもしれない。

しかし、今世の僕は、ある意味で、とっても立派なボンボンだ。喧嘩を売られたのなら買ってやんよ!

あ、でもジルクに夜遊びを教えたのは僕だから、喧嘩を売ったのはやっぱり僕だったかも。めんご。

 

「そ、そう言わないでくれ。少しの時間ならかまわないだろう」

「稟議の回付が僕のところで止まっているのですが・・・少しでよければ」

 

苦笑いする大臣にイケメンスマイルを再びぶつけてやった。

よし、場の流れをこっちに引き寄せたぞ。

ちなみに、クラリス嬢から明らかに負の感情の込められた視線が向けられているが王妃様や父上に比べれば可愛いものだ。

 

「どうやら色々とジルクの行動を調べているようですが、まさか不貞がありましたか?」

「いえ、それはなさそうなのですが、あちらこちらで機会を作って女性と食事をしたり、買い物に出掛けたりしているようです」

 

ジルクのやつ、ずいぶんと女性にアクティブになったものだね。僕の知らないところで何かに目覚めてしまったのかもしれない。

たしかにあの顔、それにエアバイクのレースにも出ているらしいし、モテ要素は多いのだろう。

そんな環境で一気に場数を踏んでいるのか。

 

「僕としては、まず何故彼が僕と食事に行ったことを把握しているのか気になりますね。あの店、陛下に教えてもらった、隠れ家のような店なんですけど」

「将来嫁ぐ相手のことですもの。よく知っておきたいと思うのは淑女のたしなみです」

 

顔を赤らめながら、恥ずかしそうに両手を両頬に当てている。

可愛らしい仕草であることは認めよう。だが、やっていることのえげつなさ、ジルクの苦悩を聞いている人間からしたら、引きつり笑いが出てくるのを抑えられない。

 

「別にクラリス嬢を蔑ろにしろ、だなんて言ってませんよ、ただ、エアバイクみたいな高価なものをいきなりプレゼントされたら男は驚きますよ」

 

いずれは婚約破棄に至ってもらおうと思ってましたが、今の段階では、まだ、二人の間に楔を打ち込んで愛情ゲージを下げようとしただけなんです!

うん、我ながら、安定の屑ムーブです。

心が痛まないわけじゃないんだよ。

でも僕だって妹や実家を破滅されるわけにはいかないんだ。落ち目になっていく実家の責任者になりたくないんだ。

とはいえ、ジルクが今の時点でアトリー家の逆鱗に触れて社会的に抹殺されては、あの乙女ゲーの主人公とくっつくどころではなくなってしまう。フォローは入れておこう、

 

「あいつは、距離感に悩んでいると言いますか、貴女の気持ちの受け止め方を悩んでいたので、色々経験して自分のキャパを広げてはどうかと助言したんですよ。不貞がないなら、そんな中でも伯爵家に配慮しているのでしょう。僕だったら手を付けているでしょうからね」

「で、ですが、どうしてそれを私に言ってくれないんですか・・・」

 

はい、論破!不貞さえなければ、勝ち負け、白黒をつけることは難しいですよ。

ノックアウトとまでいかなくても、判定勝ちくらいには持ち込めたのではないだろうか。

だが、ここでバーナード大臣が思わぬ角度からカットインしてきた。

 

「いやいや、それはいけないね。娘もはしゃぎすぎたのかもしれないが、ジルク君のためを思い、彼にとってプラスになるように動いていたはずだ」

「しっかりとした教育を娘さんに施したからそんな風に言えるんでしょうね、大臣」

「恥ずかしながら実体験だよ」

 

え?実体験?

 

「私も妻と結婚する前には同じようなことがたびたびあったんだよ。当時は僕の行動を逐一把握していたりしたから驚いたこともあったけど、今ではどれだけ妻が僕のことを愛してくれていたかよくわかる」

 

大臣がなんだか恍惚とした顔を浮かべ始めている。おいおい思わぬ方向から雲行きが怪しくなってきたぞ。

 

「その他にも、昔はもう少し痩せていたんだが、妻に言われたとおり恰幅をよくして、妻から言われたとおりに仕事をこなしてご褒美をもらい、また妻のアドバイスどおりに仕事をする。この繰り返しでここまでくることができたのさ」

「あら、お父様ったら娘の前でのろけないでくださいよ。ギルバート様も言葉に困ってらっしゃいますよ」

 

おいいいぃぃぃぃ!うちの国の大臣、完全に調教済みじゃねーかぁぁぁぁぁ!!

しかも、太らせて他の女を寄ってこなくさせるって独占欲が強すぎるだろ!

乾いた笑いを浮かべながら、どんより曇った目をしちゃってるよ、見えない首輪がガッツリと嵌まっちゃってるよ!

男としての牙が完全にへし折られているどころか、一本残らず抜歯されちゃってるよおお!

何て恐ろしい女なんだ、大臣の奥さん。学園にいたケモナービ〇チどもとは全く異質の恐ろしい女だよ。

クラリス嬢がやばい女なのは母親譲りだったのか。

や、やばい、ジルクルート作戦を続けるのはもうちょっと慎重にしたほうがいいかもしれない。

 

「ま、まあジルクも乳兄弟とはいえ、実家は子爵家です。プレッシャーも大きいでしょうから、あんまり追い詰めないでやってください。そろそろ戻ってもいいですか?」

「ああ、仕事に戻ってくれ。クラリス、ジルク君についてはまた対策を考えよう」

 

まったく、自分は被害を受けていないとはいえ、酷い目にあった気がする。主にメンタル面で・・・

しかし、ジルクのやつ、ある意味ではしっかり成長しているようだ。

一見すると優しそうなやつって、一皮むくと恐ろしい顔があるんだね。

そんな感じでこの先主人公のことを落としちゃってくれれば、妹も安心なんだけど・・・

 

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大臣令嬢の潜入殴り込み事件からしばらくの時間が経過し、何件かの長期監査案件を終わらせて久しぶりに実家の屋敷に戻った日のことだ。

父や妹と食事をするのも久しぶりな気がする。妹が食事を取る仕草と言うか、所作はとても上品だ。

王妃教育の賜物だろうか。

仕事上、早飯で済ませてしまう僕は、ついつい、行儀が悪いと言われてしまうから情けないところだ。

 

そして、妹は兄の贔屓目かもしれないが、とても美しく育ったと思う。主人公の敵役にふさわしいスペックという言い方かもしれないけど、暴力的な魅力というかフォルムというか。

気の強さは相変わらずだが、やっぱり悪い子ではない。

今は一役人、しかも長期出張ばかりでサポートできることは少なかったが、その分、数年間、辺境のあちこちを見回って状況を把握することはできた。

今持っている案件が落ち着いたら、妹の手助け、というか、ユリウスルート回避に向けて、動く時間を増やしたい。

主人公が攻略対象とくっつかなくても、攻め込んでくる公国軍を撃退してゲームクリアとなるなら、本当に僕のところで囲い込んでしまいたいところだ。

この辺りは、前世の妹がプレイしている画面をいくらか見たことがあるだけで、自分であの乙女ゲーをプレイしていなかったことが悔まれる。

こんな感じに思考を整理していたところで、家族の会話がないことを若干気にしたのか、父が食卓に話題を振ってくる。

 

「ところで少し前に、ダンジョン攻略者が新たな浮島に加え、財宝やロストアイテムを発見したことは聞いたか?」

「はい、王宮でも上から下までずいぶんと話題になっていましたね」

 

この国の貴族は、冒険者の末裔らしい。

前世の価値観からしたら、貴族と冒険者って反対概念に近いような気もするが、この国の建国に携わったのが冒険者たちであったことから、成功した冒険者が尊ばれる風潮がある。

王宮のでっぷりとしたメタボ貴族達も先祖は冒険者だったのかと思うと、笑えるね。

前世で培った社畜魂に加えて、今世で身に付けた役人根性が組み込まれている僕にとっては、冒険者って不安定な収入に依存する一発屋、よく言ったとしても夢追い人にしか思えない。

 

「しかもロストアイテムの中には、飛行船や鎧もあったらしい。見てみたいものだな」

 

パパ上がいつになくご機嫌だ。これも冒険者の子孫ゆえのものだろうか。

ロストアイテムというのは、主にダンジョンや遺跡等で発見される現在のテクノロジーでは再現できない飛行船や鎧、その他の機械的構造物の総称だ。

名前だけ聞くと、180度ひっくり返ったAやXのようなモ〇ルスーツが浮かんでしまう。

ただ、∀〇ンダムと違ったのは、発掘された鎧等は現在の技術で再現できないというだけで、絶対的なスペックが現在の鎧や飛行船より高いとか限らないというところだろうか。

僕も、ロストアイテムで戦力増強と言う手を考えなかったわけではないが、コストとリターンの釣り合いが取れない上に、ケモナー学園で虐げられて王国へのヘイトを高める貴族の子弟をフォローするのに精一杯だった。

 

「でも戦力にならないなら、そこらの美術品と価値は変わりませんよ。国境での防衛に使えるかもわかりません」

「うん、まあお前ならそういう反応をするかもしれないとは思ってた。もはや相変わらずだな、と安心するようになってしまった父のことを哀れだとは思わないか?」

「辺境の貴族達の悲惨な境遇を学園以上に見てばかりですからね。そんな連中から将来の王妃である妹を守るために働く僕を、家族だけでなく愛国心にあふれた騎士だと誇ってくれていいですよ」

「辺境と言えば、ダンジョンを攻略したのは、辺境貴族の三男坊で、アンジェと同い年らしいぞ」

「辺境の、しかも三男ですか・・・」

「兄上、気になる点はそこなのですか」

 

妹が理解できない、という顔をしている。

父や妹がさほど気にならない様子だが、僕の見解は異なる。

可能性の1つは、家督を継ぐ長男とその予備となる次男がいるから、気楽な冒険者稼業に身を投じているボンボンというパターンだ。きっと父や妹もこのパターンを想定している。

2つ目の可能性は、その家の中で冒険者とならざるを得なかった事情がある、というパターンだ。

女尊男卑なこの世界の辺境貴族の中には、家督継承要員以外の男をゴミのように扱う女達がいたりする。辺境のドサ周りをしている中でもたまに見かけることがあった。

社会の中で虐げられてきた彼らが抱える王国へのヘイトは強い。そんな彼らが実家の防衛上の穴を突いて、敵国を招き入れる可能性というのを僕は気にしている。

 

「その三男坊だが、浮島発見等の功績を学園卒業後は実家から独立した男爵位を与えるそうだ」

「男爵位なんて可哀そうなことをしますね、準男爵くらいにしてあげればいいものを」

「「え?」」

 

父と妹の反応が被る。

 

「偉大な功績を称え、地位と名誉を与えるのはごく自然なことだろう」

「男爵位だったら、学園では上級クラスに入らされますよね。何もしなければ普通クラスで心穏やかに過ごせたでしょうに。学園で獣臭いアバズレどもに搾取されてすり潰されないか僕には心配です」

「お前が学園の管理をしている部署に配置されなくてよかったと、私は心から思っているぞ」

 

それ面白いな、今の仕事が落ち着いたら大臣に相談してみよう。

先王弟であらせられる公爵だって教員として所属しているんだから、ボンボン息子の1人や2人いたっておかしくない。

ただ、ここからは、妹の断罪ルートを回避することも重要になってくる。

 

「アンジェ、次の調査は長引きそうで、王都に戻るのも夏季休暇の頃になるだろうから、先に言っておくよ」

「は、はい兄上」

 

急にシリアスな顔になった僕に妹が少し驚いている。普段強気な妹がテンパる姿は可愛いな。

 

「学園には僕達のような人間だけじゃなく、下級貴族、騎士階級まで様々な人間がいることはわかっているね」

「ええ、もちろんです」

 

そして、この中にはあの乙女ゲーの主人公が、平民でありながら特待生という扱いで入学してくる。

おそらく依然に王妃様が言っていた国の体制移行に向けた第一歩なのだろう。

 

「相手の身分が自分より下だからって、相手を侮辱するような振る舞いが正当化されるものではないことを

忘れてはいけないよ」

「もちろんです、私がそのようなことをすると思ってるんですか」

「普通ならしないと思うけどね。僕達兄妹は怒るとプッツンしちゃうからね」

「・・・兄上と一緒にされるのって、複雑な心境です」

「アンジェ、父上に似てきたね。ただ、学園で貴族に嫌がらせをされた騎士が王宮で役人になってから、その貴族に関する案件をどうしたか知っているかい?」

「王宮の役人といっても、貴族の申請を不当に潰すなんてできないと思いますが」

「当然だ。でも、処罰されないギリギリの範囲で、案件の処理を片っ端から遅延させたんだよ。何回も、事細かに書類不備を指摘して、資料を出し直させるんだ」

「ずいぶんといい性格をしている役人ですね、国のためにならないなら罷免すべきでしょう」

「今のは極端な話だけど、恨みを買うなら覚悟はしないといけないよ。それに、今年は平民の特待生が入学するなんて話もあるが、そんな異例の案件に、王宮の誰かがバックにいないほうがおかしい。不用意に近付かないほうがいい」

 

そう、あの乙女ゲー的には、ここからがスタートなのだ。

 

「近づくな、といって遠ざけるということは、まさか兄上、自分で囲うつもりじゃありませんよね」

「魅力的な相手なら考えるかもしれないな」

 

パパ上がめっちゃ睨んでくる。

いや、主人公ですから!なんかすっごい力持ってるらしいですよ!?

きっと囲えばレッドグレイブ家にプラスになりますよ!

 




さてようやく本編の時間軸に到着
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