ガルパンサウナ部   作:いのかしら

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やっぱ原点はかるまる


つくば温泉喜楽里別邸の裏技(そど子)

 

 

 

 

年末年始

 

 

ゆく年をまとめ、新たに来る年に向けて行く

 

そんな大切な時期だったら、せめて家族に会っておきたい。そう考える人間が、学園艦には多くいる。大体が一人暮らしの学生なのだから

 

そしてそういった人たちのために、特に冬休みの時は母港近くまでは向かう

 

特に県民出身が多い公立校では当然だ

 

 

 

だがそのような人間が全てではない。生徒や住民の一部は学園艦に残る

 

家庭の都合で残る人もいれば、部活、そして仕事の都合で残る人もいる

 

そしてそのように学園艦に残る人がいるならば、残る人の生活を守るために残る人もいる

 

 

 

 

 

私の所属する風紀委員会という職は、その守るための人、の側に該当する

 

学園艦の人々の風紀と暮らしを守る、その責務を考えれば、本来は学園艦に残っているはず

 

そして学園艦に残った人が休みにかこつけて、夜中に騒いだりしないように、パトロールを重点的に行なっているはず

 

だが私は今、正月三ヶ日を過ぎた段階で実家に帰ってきている

 

 

 

 

 

 

 

風紀委員会にも代替わりがある。学生主体であるから当然のことだ

 

そして委員会の運営はほぼ最上級生が担うことになっている

 

だがどこかで下級生にも組織運営の経験を積ませておかないと、翌年度以降に不安が残る

 

 

 

 

そこで人も少なく風紀委員会としての仕事も軽減される冬休み。この時期は高一の世代によって組織が運営されるようになっている

 

それより上の世代は受験だなんだと忙しい、といった理由もあり、この形は自分が聞いた限り結構長い期間の伝統になっている

 

自分も去年は仮の風紀委員長として力を尽くした

 

 

 

 

 

 

 

だが今年からその勤めが無くなった今、私に残るのは一定量の勉強と実家の生活、そして幾らかの暇な時間だ

今までそうそう実家に帰ってこなかった人間が急に帰ってきたら、実家としても扱いが難しい

 

年始の挨拶回りなどを済ませれば、朝から晩まで勉強漬けでもしない限り、時間ができる

 

そして親からは休みとはいえゴロゴロしてないで出かけてきたら、と外出を求められる。そして私はそれに乗っかる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究学園

 

 

地上の高架上にある駅なのだが、頭にどこかしらの地名をつければ学園艦の一つとして浮かんでいそうだ

 

ここに電車で来たわけではないが、この駅をくぐっていくのが目的地への近道なのだ

 

 

 

 

このガラス張りの透明な駅舎の南口は、まず出てから木々が目に入る

 

 

そして駅周りにいつの間にか増えてきていた高いマンションを左手、木々の続きの河原を右手に道沿いに進む

 

そうして角を曲がれば、次は左側にド◯キ、右側には何か大きな工場が広がる

 

左側のド◯キは親が時々世話になってるところだが、右の工場は土を掘りそうな大きな機械などが置いてあるだけで、何者なのか未だによくわかっていない

この地は地上の学園都市、という性質からか、そう言った工場、研究所は多く並んでいる

 

 

 

 

 

 

 

学園艦での生活を経て変わったことの一つに、歩くようになったことがある

昔は駅すら建設中で、建設中の高架を潜って向こう側に向かうときは、だいたい親に車を出してもらっていた

 

それが学園艦生活では基本的に移動は徒歩。車を運転できないので当然だ

一応学園敷地内、学園の私有地であれば車の使用も可能だが、市街地をパトロールするとなればそうもいかないし、通学時はなおさらだ

 

そしてその世界に長く居た癖か、出かける時も親に軽く言っただけで家を出た

駅からでも歩いて15分ほどかかるのだが

 

 

 

 

わざわざそれだけ歩く分価値のある目的地

 

それはその工場を過ぎて角を右に曲がり、少々進んだところにある

駐車場入り口の左手、日本家屋のような佇まいを見せるものがそれだ

 

 

 

 

 

つくば温泉喜楽里

 

 

 

 

 

1人になりたい時、私はこの手の場所を訪れる

 

駐車場の手前から石畳の上を通り正面へ。靴を脱いで奥へと進む

 

ここの手続きは全て最後。靴の鍵で入場して精算まで済ませる型。荷物そのままに奥へ奥へと通路を進む

食堂前、自販前、岩盤浴前、そして手軽なカフェスペースの前を、時折和風の庭園を眺めながら過ぎると、暖簾の入り口が現れる

この通路が木目のようでかなり柔らかい素材を使っているのが、歩きやすくて良い

 

 

 

 

 

 

右の暖簾が女性側。その先には木のロッカー

この日この時間ならそこまで混んではいない。縦3段とも鍵が刺さっているところの真ん中に、僅かばかりの荷物を詰める

 

そしてミニタオル片手に浴場へ

 

 

 

 

入って左手の洗い場で体をよく洗う。網目の塊の泡立て器を持参したのもこのためだ

ボディーソープをよくよく泡立てて、あまり擦らないように全身に塗る

 

そして最後に、かつ一番丁寧に洗うのは髪の毛だ。この風紀委員の象徴たる髪型を維持するのは意外と楽なことではない

髪の毛全体をシャンプーで洗った後、手ですいて癖を無くし、リンス、そして持参のトリートメントを髪全体に塗る

 

ここから出る前にももう一度トリートメントを追加し、出た後にはドライヤーで根元までしっかり乾かす

私は比較的手を抜いている方だ。もっとしっかりやっている人は、毎晩ヘアドライヤーで形を丁寧に整えているという。特に髪の長い型の人は朝にも手入れを欠かさないそうだ

組織の象徴としての髪型。長さの制限はないが、意外と統一するのも楽ではないのだ

 

 

 

 

そして洗った後は、椅子、洗面台、座椅子、シャワーの取っ手。全てをしっかりシャワーで流す

こうして次の人のことを考え整えておく。こういった行為の積み重ねが本来風紀を形作るのだろうし、その精神性を学生に植えることも風紀委員の役目の一つなのだろう

 

 

 

 

 

入り口近くで掛け湯をし、まずは室内の炭酸泉へ

温度はそこまで熱くはない。そしてこのタイプの湯の特徴は、肌にまとわり付くものが見えるほどの泡の濃度だ

 

なんでも高濃度でないと炭酸泉としての効果は薄いらしい。この泡が肌から吸収され、血管の拡張から冷え症の改善に効くとかなんとか

 

実際湯冷めしにくいので、また最後に世話になる

 

 

 

 

 

一旦泡を払い落としながら湯から上がり、外へ

2枚ある扉の外は露天のエリアになっている

 

 

 

まずは外でも感じていた冷気、そしてそれを浴びせる風が正面から

そして奥の方に高く真っ直ぐ伸びる、檜の木

まずこの2つが取り入れられる

 

 

寒さに少し耐え、近場の方の湯船へ

ここはさっきと異なり炭酸など何かあるわけではないが、露天である分湯に浸かっているところと浸からないところの寒暖差が激しい

 

まずは足だけ、そこから時間を挟んで腹まで、そして胸へと段階的に沈む。その方がこの先を考えても負担が少ないのだ

 

 

 

 

 

椅子は入り口左脇の方に横になれるもの、右奥に白のプラスチック椅子が並ぶ

 

空き状況としては、4つある横になれる椅子のうち2つが使われている

プラスチック椅子はそこまで使われていない

 

首近くまでと沈んでいく中で、人の動きを遠目から観察する

やはり今日くらいであればそこまで混みすぎてもいないらしい

 

 

 

 

そのくらいが良い

 

 

 

 

 

体内時計で、だがタイミングを測る。一回浴室内で時計を見たが、それからどのくらい経過しているか計算する

 

時折肩だけは外に出しつつ、予定時間に近づいたと思ったら一度上がる

 

ミニタオルで体を拭きつつ熱を抜き、また浴場へと戻る

 

 

 

 

 

浴室内にて時間を確認。ほぼ想定通り

 

 

そしてまだまだサウナの室内も人がそこまで入っていない

 

ビート板をとって室内へ

そのところどころに空席のある3段のうち、真ん中の段を選ぶ

 

一番上ではいけない。どうしても少し下の方には居なければならない

 

 

 

 

座って正面を見ると、レンガの壁の後ろに左右に分かれて配置された石の入ったストーブ

 

そしてその真ん中にはテレビ

昼間というのもあってワイドショーみたいなものが流れているが、自分はこういう時に目を閉じておくので詳しいことはわからない

 

 

 

 

そして待つ

身体の各所から汗が伝い、落ちていく

 

時折入り口から人が入ってくる音、そして自分の近くを含め座っていく音が増えていく

 

最初は空いていた自分の両隣も、そう時間を要さずに埋まったようだ

 

 

 

 

喋る人はいない。皆ただ寡黙に時の経過を待っている

 

この時ミニタオルは、さっきトリートメントした髪の保護を兼ねて頭に巻く

薄目で他の人を見た限りでは、膝の上、ビート板の上など色々だ

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでその席もほぼ埋まった頃、肉の焼けるような音が正面方向の左右から響く

 

 

そしてまずはほのかに、そして段々と部屋の熱気の度合いが高まっていく

 

背中を汗が垂れる頻度が、少し早くなる

 

この時間、そしてこの後の時間のために、ここには多くの人が集うのだ

 

 

 

 

正面上、少なくとも隣の人もそちらに顔を向ける

 

そこには自分たちの方に向いた、大砲の口のような大きな穴が並んでいる

 

この段に座る全ての人間に狙いを定めて

 

 

 

轟音

 

というほど大袈裟なものではないが、音の後その穴からこちらに来るのは、熱風

 

 

顔に直接受けるのは厳しい

頭を下げてタオルと体に当てるようにする

 

さらなる汗、汗、汗

 

身体が流石に苦痛と喚きだす

 

だが、動く人はいない

自分も、動く気はない

 

 

 

 

考える余力はない

ただ、思っているよりも時間の経過は遅くない

 

 

 

この中の人々は、一踏ん張りを重ねながらここにいるのだ

 

 

 

頭のタオルも吸収に限界が近づく

タオルを通じてですら、膝の上に滴を感じるようになる

 

 

 

 

ちらっと見たテレビによくわからない健康食品のCMが流れているな、とわかって間もなく、その時は終わった

 

風は止み、また静まり返る室内

 

それがまた騒がしくなるのは、すぐ後だった

 

 

 

踏ん張り切った人が満喫してゾロゾロとこの部屋を出ていく

 

自分の前、後ろを人が過ぎていく

 

 

 

 

 

 

 

だが私はもう少し耐える

この最初より蒸し、暑くなっているこの空間で

 

 

こういう時、ただ時間が過ぎ去ることのみを求める際、何か他のことに意識を向ける

ありがちなのは呼吸の回数、心拍数を数えること。素数を順に思い出してみる、なんて手法もあるらしい

 

 

 

心拍数を数えるのは、前にやっていた方法だ。緊張を和らげるのによく使った

 

こうして心拍数が上がり、手首や胸を使わずとも感じられる時には、役に立つ

 

 

 

 

 

目標の数値を超えたら、そこからさらに数回数える

 

耐えようと思えば、プラスアルファ程度ならなんとかなるもの

 

ミニタオルを外して口元にあてながら何回か繰り返して、やっと出る

 

 

 

 

 

 

目の前には水風呂があるが、ここに入るのは難しい

 

この熱風の後は皆この水風呂に向かう

そしてここは2〜3人が正直限度。大体埋まっている

深さは結構あるのだが、かなり空いてないと使える機会は少ない

 

 

 

だからそこではなく、さっきも使っていたシャワーの一席を使う

 

一応水寄りに左のカランを切り替えて使うが、後半になってやっとぬるくなる程度

もともと体を冷やすつもりでは扱っていない

 

 

 

 

 

 

椅子、シャワーの取手などを流し切り、火照る身体と共にまた露天エリアへ

 

ドアを開けた時の冷気が一層重い、が、前へと進む

 

 

 

 

全体的に人は少ないとはいえ、あの集まりのあった後。椅子は全て埋まっている

 

 

 

 

 

その時左脇の横になれる長椅子にいた婦人が急に起き上がり、椅子に近くの湯をかけて去っていった

 

なにも話すこともなく、礼の一つも特段なく

 

 

 

こちらは少し頭を下げたが、まるでこっちが相手ではない、本当に気の済んだから去っていったのだと言わんばかりに

 

せっかくなので自分はそこで世話になることにした

 

 

 

こういう下手に相手に気を遣わせず、それでいて相手により良い環境を提供する

 

その連続がその場の風紀を形作っているのかもしれない

 

 

 

 

 

 

視界の下の方には檜、そしてそれが指し示す青空

冬の冷気が身を包み、体内から沸き立つ熱を攫っていく

 

考えることをやめる

何回も繰り返せるとはいえ、やはり最初の、この一回が最も至福なのだ

 

 

 

時折強く流れる風が、指の関節を鈍くさせる

だがこういう時に自分の心臓が、奥から強く体の隅々を目覚めさせる

 

 

 

 

この寒気を前にして涼しい

 

それが良い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして力を抜いていると、ふと意識が強く戻る時がある

 

個人的には、その後も横になっているのも良いが、そういう時にさっと休憩を終わらせてしまう派だ

 

体の冷えてきているこういう時にこそ、逆に温泉の方が心地良くなるからだ

 

 

 

 

しっかり長椅子に湯をかけてから、肩から自分も浴びる

そのまま近くの露天風呂へ

 

まずは足先から、縁に座り軽く先ほどの休憩の続き

 

そして足回りが暖かくなったら、肩下まで浸かる

 

 

 

 

 

 

 

また天を仰ぎ、拳を二つ天へと突き上げる

 

湯の温度に煽られ、また頭にも血が巡り始める

そうなるとさっき止まっていた思考が、些細なことで動き始める

 

 

そしてこういう時にも思い返すのは、なんだかんだ風紀委員会に関することだ

 

大学入試前に業務から離れた先輩方の顔とか、その前の先輩方の、とか

 

 

 

 

 

 

そうだ。戻ればその方々が持っていた肩書きを、今度は自分たちが背負うことになる

 

そしてその中で最も重いものを、自分は持つ

 

 

 

気怠い溜息が、勝手に出た

 

 

頭を左右に振り、今この時でも忘れよう

 

 

 

 

 

 

 

落ち着いたところでもう一セット、あのサウナにチャレンジする

 

とはいえ今回は熱風吹き荒ぶわけではない。ただ静かに、入る前に飲んだ水を汗へと変える

 

先程より部屋は空いている

あのイベントも30分間隔。結構頻繁とはいえ、避けるのは容易だ

 

 

 

先程よりは入りやすい。思考する余裕が生まれる

 

生まれてしまう

 

 

 

 

背負う肩書きは、最も重いものだ

 

『風紀委員長』

 

次に学園艦を踏んだ時から、しばらくついて回る

 

 

 

去年のような仮のものじゃない、ガチのだ

多数のこの頭の子らが、私の命、私の決断で動くようになる

 

その重責を思えば、この空間くらい耐えられるレベルのものだ

 

流石に絞ってきたミニタオルで、汗を吸い切れるか怪しくはなってきているが

 

 

 

 

 

表向きは遅刻などの取り締まりなどに過ぎない、かもしれない

ただ実態は、あの学園艦に住む全ての人々の安全の保障に関する最終的な責任、それが園みどり子の名の下に置かれる

 

もっとも他に生徒会長とか船舶科の艦長とか責任を背負う人々はいるが、その一端を担うことに変わりはない

 

 

 

 

 

頭に浮かんだ先輩方からは、確証ないままに

 

「そど子なら大丈夫だろ」

 

と声をかけられてきた

 

自分の一年間と彼女らの一年間が同じかどうかもわからないのに

 

 

 

 

……もう少し耐えられそうだが、一度出ることにしよう

 

 

 

 

 

 

 

 

同じようにシャワーで体を洗い、外へ

 

ただ今回は椅子には向かわない。その椅子たちの奥にある、竹の柵に囲まれた空間

 

 

 

寝ころび湯、と呼ぶそうだ

 

 

黒く非常に浅い浴槽は頭側の低い仕切りで分けられ、そのうち1区画を一人で使うようになっている

 

幸い3つほど空いているので、ひとつ借りることにした

 

 

 

 

 

仰向けに浸かり、ミニタオルは顔に被せる

 

肩、両腕の二の腕、手のひら、腰、もも裏、アキレス腱、かかと

 

頭のみ一段高いところに置いて、隙間はあれど背中側はほのかに温まっていく

 

 

 

それでいて腹側は冷気の下

温まった体を締めるには丁度良い

 

 

 

表裏で寒暖の差があることもあり、その速度は先程よりはゆっくりだ

 

 

丸みのある枕が硬いから眠りに落ちることはないが、目を閉じれば大きく落ち着ける時間を取れる

 

この浮つく感覚にしばし身を任せる

 

他に人が向かってくる気配はない

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらでは意識が少しはっきりしてきても、目を開き木組みの天井を眺める

 

指先からの脈と変わらぬ風景

 

少し先くらいなら、変わらない

 

もし永遠なんてものがあるとしたら、この感覚のことなのかもしれない

 

 

 

 

 

現実はそんなことはなく、流石に寒さを覚えてきたころに立つ

 

そしてまた露天、内湯と浸かってから、体の水分を落として浴場内での一連の流れは終わる

 

 

 

 

 

 

 

ドライヤーで丁寧に髪を乾かし、少しばかりの荷物も持って暖簾をくぐる

 

カフェなどを通り過ぎ、途中のソファーで休憩も挟みながら、食事処へ

 

とはいえ学生の貧相な財布の中身では、膨大なメニューから選べるものは限られる

 

本来ならトンカツにでも手を出したいが、流石に厳しい

 

 

 

 

卓上には茶碗に入った白飯、白い器の中の卵、そして醤油

 

卵かけご飯である

 

 

 

食べ方は変わらず、卵と醤油を入れてすぐ軽く混ぜるだけ

 

そして最初の一口目だけ、人目を気にせずかき込む

 

奥目の隅寄りの席を選んだのもこのためだ

 

 

 

釜戸で炊いたご飯、高級品だという卵

その弾力はまるっきり異なるものの、思い出す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

登校時に学園校舎正門前で生徒を監視していたり、校舎内で取り締まりを行っていたり

それが普通の生徒にとっての風紀委員のイメージだ

 

 

だけどもそれは表層的な部分に過ぎない

 

実態は寄港地での住民、住民以外の上下船の監視、船舶科の話の通じる側と協力しての搬入される物資の確認、船舶科の話の通じない側の鎮圧、都市内の学生以外での不適切行為の摘発などなど、内容は多岐にわたる

 

 

そしてこの中高と所属する間、色々な業務をしてきた。どの担当に配属されてもある程度こなせるだけの経験は積んできた

 

 

 

その中でも特に大変な業務がある

深夜間での都市治安管理の現場担当だ

 

0時ごろから朝までのパトロール。人気は少ないのだが、そんな時に出会う人間は大概碌な人間ではない

 

手を出してくれれば早いものの、その手のことはそうそうない。悪口暴言などへの対応にウンザリしながら、家に戻ればすぐ学校

その隙間に朝飯として食べていたのが、手早く食べられる卵かけご飯だった

 

 

 

タッパーのご飯をチンしながら卵と醤油を用意

できたらもうタッパーに突っ込んで混ぜて食べる

 

 

そして疲労感とともに通学する

 

 

 

味は格段に違う

だが口当たり、音、それらがその時の感覚を呼び起こす

 

 

 

 

今は立場こそ変わったものの、学園艦では今でも時々世話になる

 

そして降りた時も、こうして長期間離れるときは特に食べるようにしている

 

 

 

 

 

あとは折角の味を一口ずつ、卵の黄身のなめらかさを舌に落とし込むように

 

味だけのために、その質のために

そんな学生らしからぬ贅沢が、少しばかりあっても良いだろう

 

 

 

 

 

 

 

入り口近くの精算機で現金払いを済ませ、靴を回収して帰途に着く

 

身体の熱は残る。まだ夢の時間は続いている気さえする

だが、あと数日もすれば学園艦に戻らなければならない

 

 

なんとなく、本当になんとなくなのだが、自分の代は無事に進みそうな気がしない

ただ漠然とした不安のみが、心の中にある

 

 

そう思わせる理由の一つが、メールボックスの中にある

角谷新会長からのものだ

 

学園艦に帰ってきた後、一度会いたい、とだけ

 

 

 

 

新生徒会長と新風紀委員長

その2人が会うことには、特におかしなことはない

 

だが新学期が始まってからではなく、学園艦に戻り次第すぐ

この要素がどうにも引っかかる

 

 

だがそれだけだ。何の予兆なのかはさっぱりわからない。文面からも読み取れない

その不明瞭さ、その不完全さが、私の本性をくすぐり、苦しめてやまないのだ

 

 

 

 

折角楽しんだのに、どうにもスッキリしない

しかしそれは心の内。身体の方には心地よく疲労感がある

 

駐車場から右に曲がり、車がまた一台脇を通っていく

 

今夜ばかりは、身体の方に全てを預けておきたい

 

 

 

 

 

 







【ミカさんの一言サウナ】


『サ飯』


やぁ、こんにちは。今日紹介するのはサ飯、サウナ後のご飯についてだね

サウナで味覚が鋭くなり、より美味しく感じられると言われてるよ

サウナ施設には食堂などが付いていて、食事ができたりすることが多いよ。地元の名品などサウナのある場所の影響も受けたりするね

その地らしい味を楽しんでみるのも一興かな


ちなみにオススメなのは今回みたいなご飯類かつ水分も多めのもの
パン類などただでさえ身体の中の水分が抜けてるのに、さらに水分を求めているのは辞めておいた方が良さそう


ちなみに本場フィンランドではハンバーガー屋の中にサウナがあって、サウナ後にハンバーガーがすぐ食べられるんだって
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